人気の工場見学!ファミリーにおすすめ「キッコーマンもの知りしょうゆ館」の楽しみ方をレポート

2018.12.06 更新

たくさんのしょうゆメーカーやしょうゆ醸造所がある千葉県は、日本の食卓には欠かせない調味料「しょうゆ」造りが盛んです。その中でも日本を代表するしょうゆメーカーのひとつ、キッコーマンの「キッコーマンもの知りしょうゆ館(野田工場)」は工場見学のほか、おいしいしょうゆスイーツが食べられて、せんべい焼き体験やしょうゆの味くらべもできる人気の施設です。今回は、その見どころをご紹介します!

▲工場内には大きなサイロがたくさん並んでいます!

千葉県野田市は江戸時代からしょうゆ造りで栄えたしょうゆの街

千葉県野田市は、江戸という大消費地に近い立地と、気候がしょうゆ造りに向いていたこと、大豆や小麦等の原料が手に入りやすかったこと、そして、利根川や江戸川を使った舟運の便が良かったことから、1603(慶長8)年に江戸幕府が成立した後、ほどなくして本格的にしょうゆ造りがスタートしました。

しょうゆ造りを行っていた醸造家8家が合同して1917(大正6)年に設立した会社が、キッコーマン株式会社の前身の「野田醤油株式会社」です。
▲「キッコーマンもの知りしょうゆ館」には都心より電車で約1時間、東武野田線野田駅からは徒歩約3分で到着

キッコーマンは、“しょうゆ”のことを知ってもらい、より身近に感じてもらうため、千葉県野田市にある工場内に“しょうゆ”の知識を学べるミュージアム「キッコーマンもの知りしょうゆ館」を1991(平成3)年5月に開館しました。

工場の敷地内に1歩足を踏み入れると独特なしょうゆの香りがふわ~っと漂ってきて、中でどんな作業が行われているのか想像を掻き立てられます。
▲しょうゆのおいしさとキッコーマンの歴史を探りに工場へ行ってきます!

しょうゆ造りの秘密に迫る、ワクワクの工場見学スタート!

工場見学の案内開始時間は、9:00/10:00/11:00/13:00/14:00/15:00の1日6回。事前に2名以上で予約が必要です。ただし、案内なしで自分でまわるのであれば予約がいらないので、思い立ったその日に見学ができます。
見学コースの所要時間は、ビデオ上映約15分としょうゆの製造工程見学約45分の約60分(カフェや御用蔵見学等を除く)です。※自分でまわる場合はこれに限りません。

今回、筆者は予約をして案内してもらえるコースに参加しました。入館して受付を済ませると、早速映像ホールでしょうゆの歴史や造り方を紹介するビデオを視聴します。ここで予習をしてから見学コースをまわることで、しょうゆに対してより理解が深まります。
▲大きなスクリーンで映像を見ながらしょうゆについて学びます

ビデオを見終わったら、いよいよ工場見学がスタート!
▲エントランスホールには「しょうゆワールド」というしょうゆに関するクイズが出題されるゲーム機があり、子どもたちがチャレンジしていました

見学コースにはしょうゆ造りを解説するパネルが随所にあり、ガイドスタッフが展示内容を都度細かく説明、質問にも答えてくれます。
▲工程ごとに壁に貼られた大きなパネルで解説しています

最初のパネルの前では、ガイドスタッフが「原料」について説明してくれました。

「しょうゆは、麹菌・酵母・乳酸菌という3種類の微生物によって完成する発酵食品です。麹菌は各社独自の菌を育てていて、これがしょうゆの味を決める大きな要因となります。キッコーマンの麹菌も<キッコーマン菌>と呼ばれ、長年大切に育てられているんですよ」
▲「濃口しょうゆ1Lを造るために必要な原料は、大豆と小麦各180gと食塩165gです」

次のパネルは、しょうゆ造りの1日目の作業「原料処理」の説明です。
ここでは蒸した大豆と、炒った小麦に麹菌を加え、「製麹室(せいきくしつ)」で3日間かけて「しょうゆ麹」をつくる作業まで。ここでグルグルかき混ぜて空気を入れることで、発酵する際に出る熱を調整してしょうゆ麹に育てます。この製麹室はタイミングが合うと、製麹装置で実際に作業している様子を窓越しに見ることができます。
▲残念!取材は製麹室での作業時間に合わず、映像でその様子を確認しました

どんどん進んでいきます。次のパネルでは製麹の説明と共に、できあがったしょうゆ麹の様子が見られます。製麹室で混ぜた麹菌は3日間寝かせておくと見た目が緑色に変化していました。
▲色が全然違うのにビックリ。材料を混ぜて置いておいただけなのにこんなに変化するなんて!

しょうゆ麹と食塩水を混ぜて仕込んだ「もろみ」について説明しているブースには、仕込んでから1カ月・2~3カ月・4~6カ月を経過したもろみの様子を見せた見本があります。色の違いは一目瞭然。麹菌が生み出す酵素や乳酸菌、酵母が働き、徐々に茶色く変化していくそうです。
「実はここで展示されているもろみは4~6カ月のものだけが本物で、展示ブースの上部には空気口があり、そこからおいしそうなしょうゆの香りが周囲に漂っているんですよ」

そしてその奥には、それぞれの時期のさらに詳しい説明が展示されています。
1カ月の初期、2~3カ月の発酵期、4~6カ月の熟成期のもろみがどのような変化を遂げていくのか細かく紹介されていて、こちらではそれぞれの状態の香りを間近で嗅ぐことができます。ぜひ箱の蓋を開けて、香りの違いを確かめてくださいね。
▲2~3カ月の発酵期のもろみは、しょうゆではなくて味噌のような香り!

ここで、見学コースの半分が終了。渡り廊下を通って、工場内にあるたくさんのタンクやしょうゆに関するミニ知識が書かれたパネルを見ながら移動します。
▲窓にもかわいいイラストで「仕込みタンクのしくみ」が紹介されていました
▲工場内のタンクは大小合わせて600本位あり、一番大きな仕込みタンクの内容量は360KL。1Lのしょうゆが33万本仕込めるそうです
▲こちらは大豆が入っているサイロ。大きすぎて想像もつかない量の大豆が蓄えられています

見学コースの後半は、6カ月が経過して熟成したもろみをしょうゆにして販売するまでの紹介です。

熟成したもろみは、圧搾(あっさく)作業を行います。帆布のようなしっかりした長い布「沪布(ろふ)」にもろみを挟み込み、蛇腹折りにしたら、自分の重さでギューッと搾られていくそうです。ここで搾られて出てきた液体がしょうゆです!
▲「幅3m、長さ2,800mの大きな沪布にもろみを挟んで折り畳んでいくと、高さはビル3階位になります」

もろみを搾る圧搾作業は大きな機械の中で行われているため、直にはガイドスタッフも見たことがないそうです。ジワジワと染み出すように出てくるしょうゆの様子は、上部にあるモニターの映像で確認できます。
▲大きな圧搾機は窓から見ることができます。昔はこれを手作業でやっていたというから驚き

ここには搾ったあとの「しょうゆ粕(かす)」が用意されていて、香りを嗅いでみるととっても濃いしょうゆ!発酵食品なので、少しアルコールっぽさもあります。
▲しょうゆ粕は家畜の餌に混ぜられるので、最後の最後まで無駄がなくエコ!

最後に、圧搾作業により搾りだされたしょうゆに火入れを行い、微生物の活動が止まり色や香りが整ったら、パッケージに詰めて完成です!

見学コースの最後には、世界中で販売されているキッコーマンのしょうゆが並んでいました。ペットボトルの容器を使い始めたのは、1977(昭和52)年から。それまで樽や缶、びんが使用されていた容器の歴史も、実物を見ながら知ることができます。
▲江戸時代~昭和初期(キッコーマンでは1970<昭和45>年)まで使われていた「樽」も展示されています

キッコーマンのしょうゆ工場は国内3カ所の他にアメリカに2カ所、オランダ、シンガポール、台湾に1カ所ずつ、中国に2カ所の全10カ所。世界中でしょうゆが愛されているのがわかります。
▲世界で販売されているキッコーマンのしょうゆのパッケージの違いを見比べるのも楽しいですよ

これで、見学コースは終了。最後に来館記念品の「しぼりたて生しょうゆ」をお土産にいただきました。※記念品は変更になる場合があります。
▲筆者の自宅にも常備されている「しぼりたて生しょうゆ」

案内なしで自分でまわる人は、最初に受付でスタンプラリーの用紙をもらって館内でスタンプを集めると、同じ来館記念品がもらえますよ。
▲スタンプは、見学コースに4カ所あります

しょうゆができる工程や歴史など、しょうゆについて様々なことを知ることができました。
材料を仕込み始めてから私たちがしょうゆを手にするまで、最短でも約半年。手間暇かけて造られるしょうゆは、なんと、この野田工場だけでも1Lのしょうゆが1日約30万本分も造られているんだとか。
▲大人用(左)と子供用(右)のパンフレットも忘れずにもらいましょう

おいしく学ぶ♪いろんなしょうゆの味を堪能しよう!

しっかりしょうゆのことを勉強した後は、館内にある「まめカフェ」へ。ここは、しょうゆの味を生かしたメニューと、せんべい焼き体験やしょうゆの味くらべができるカフェです。
▲カウンターにはたくさんのしょうゆが置いてあります

まずは、せんべい焼き体験(3枚/250円)にチャレンジ!
レジでオーダーして、そばにある電熱器の前で待っていると焼く前の煎餅3枚としょうゆがセットされ、スタッフが焼き方をレクチャーしてくれます。
▲焼き方の説明シートもあるので、スタッフの説明を聞き逃しても安心です

焼く前の煎餅はウエハースのように薄く、トングで1枚ずつ袋に入った煎餅をソーッと取り出して、電熱器にのせていきます。
▲割れないように慎重に…

3枚のせたら、焦げないようにひっくりかえしながら様子をみます。最初の説明で「焼け始めると早いので、注意してくださいね」と言われていたので、頻繁にクルクルとかえしていきます。
▲なかなか焼けないなー、なんて思って目を離さないように注意!

どれくらいで焼けてくるのかな?と疑問に思っていたら、2分程で焼き目がついてきました!焦げないように注意しながら、全体が綺麗なキツネ色になるのを目指します。
▲あっという間に全体に焼き目がついて、ぷっくり膨らみました!

3枚は焼けるタイミングがバラバラなので、ちょうど良く焼けたものからトレイに移しておき、全部焼けたタイミングで、しょうゆを刷毛でまんべんなく塗ります。ここで使っているのは「特選丸大豆しょうゆ」です。
▲濃い味が好きな人は、両面にたっぷり塗るのがおすすめ!

再度、電熱器にのせて両面に塗ったしょうゆが乾いたら完成!上手に焼けました~♪
▲いい色!いい香り!しょうゆの香ばしい香りがたまらない!

その場で焼きたてをいただきます。自分で焼いた熱々の出来たて煎餅を食べる機会なんてないので、ドキドキです。「熱い!熱い!」と言いながら手に持ち、バリッといい音を響かせてひと口食べたら、ザクザクの良い歯ごたえ!口の中にしょうゆの香りと味が広がります。
「おいし~い!!」
▲今まで食べたどんな煎餅よりもおいしい!

続いて、しょうゆの味くらべに挑戦します。「しょうゆの味くらべ用とうふ」(50円)を購入し、カウンターに用意されている6種類のしょうゆを小皿に入れます。

取材日に用意されていたのは、キッコーマンいつでも新鮮シリーズの「塩分ひかえめ丸大豆生しょうゆ」「旨みあふれる牡蠣しょうゆ」「大豆ペプチド減塩しょうゆ」「旨み豊かな昆布しょうゆ」「おさしみ生しょうゆ」「削りたてかつお節香るしょうゆ」の6種類。なかなか自宅にこんなに多くのしょうゆが並ぶことがないので、どんな違いがあるか楽しみです。
▲目で色をみて、鼻で香りをみる、そして舌で味をみるのがしょうゆのきき味3ステップ

スプーンで豆腐をすくい、しょうゆをつけて食べていきます。ひと言でしょうゆと言っても全然味が違う!「ちょっと甘い」「味が濃厚」「少ししょっぱいかなー」なんて感想を言いながら6種類を試してみました。
▲お気に入りのしょうゆを探す楽しみも。筆者は「旨みあふれる牡蠣しょうゆ」が気に入りました

他のメニューも食べてみます。「しょうゆソフトクリーム」(280円)は、見た目は普通のソフトクリーム。メニュー名に「しょうゆ」とついていて、「特選丸大豆しょうゆ」を使っているというので、しょっぱさがあるのかと思いきや、コクがあって甘くておいしい!牛乳が苦手な人は、「豆乳しょうゆソフトクリーム」(280円)もありますよ。
▲社会科見学で訪れていた子どもたちの多くも食べていた人気メニュー

小腹が空いていたら食べたいのが「特製もろみ豚汁」(180円)と「生しょうゆうどん」(180円)。
豚汁は、工場限定で販売している「もろみ味」を使用し、野菜等の材料を食べごたえのある大きめサイズにカットして作られています。もろみの味がしっかりきいていて、味噌を使っていないとは思えない味わい。うどんは、細麺のうどんに大根おろしと刻み青ネギがトッピングされ、鮮度の良い生しょうゆがかけられています。さっぱりとしていて、ツルツルっと食べられる、シンプルにしょうゆを楽しめるうどんでした。
▲この2つで360円とリーズナブルなのに、ボリュームがあっておいしい!

これ以外に、事前に予約をするとランチで食べられる「特製しょうゆもろみ弁当」(840円)があります。もろみを使用した鶏の照り焼きやしょうゆをかけて食べる白身魚のフライを中心に、しょうゆのおいしさを実感できるお弁当を特別に作っているんだそう。※予約は来場の3日前まで。利用可能日は火~金曜日(予約受付は営業時間内のみ)。
▲ご飯も「もちもち五穀」というキッコーマンの商品で、冷めてももっちりとした食感で美味しく食べられます

お土産は工場限定商品をゲット!特製のしょうゆやお菓子、雑貨まで

せっかく工場見学に来たのだから、記念にお土産を手に入れたいですよね。館内には「むらさき屋」という工場限定商品やオリジナル商品が購入できる売店があります。
▲豊富な品揃えでバラエティ豊かな商品が揃っています

たくさんの工場限定商品の中でも、「亀甲萬 御用蔵(ごようぐら)醤油」は宮内庁に納めているしょうゆと同じものを限定で販売しているものなんです。国産の大豆、小麦、食塩を使い、濃厚な味わいに仕上げたしょうゆは、他では手に入りづらいので、見つけたら即買い決定です!
▲工場限定商品の一部。左から、「トッピング!サクサクしょうゆ~オイルベース~」(350g・734円)、「亀甲萬 御用蔵醤油」(542円)、「オリジナル携帯ストラップ」(257円)、「御用蔵揚げ餅」(756円)、「もろみ味」(500g・432円)、「特選丸大豆しょうゆ なあにちゃん卓上びん」(241円)
▲なあにちゃんが描かれたエプロン(2,480円)や萬マークの入ったTシャツ(2,916円)などオリジナル商品も人気

ここでは、キッコーマン商品の他、野田市の名産品や特産品も販売されています。お土産がここ1カ所で手に入るのは便利ですよね。
▲名産品の野田せんべいは種類も豊富

しょうゆのことをもう少し知りたい!特別なしょうゆは「御用蔵」で造られていた

しょうゆについてもっと知りたい人は、工場敷地内にある「御用蔵」にも立ち寄ってみてください。ここは、先ほど紹介した宮内庁に納めている「亀甲萬 御用蔵醤油」専用の醸造所として1939(昭和14)年に江戸川沿いに建設され、2011(平成23)年に現在の場所に移築された醸造所です。こちらも自由に見学することができます。
▲外観に当時の趣を残しています

中に入ると、しょうゆ造りで使用されていた道具や御用蔵でのしょうゆ造りの歴史などが展示されています。また、現在も宮内庁に納めるしょうゆは、木の桶を使って仕込まれていて、その様子を一部見学することができます。
▲側面の一部しか見えない木の桶は、直径2m深さ1.7mという大きな仕込桶

ここで造られているしょうゆは、厳選された国産の大豆、小麦、食塩を使い、杉の木の桶の中で自然の気候でもろみをじっくり発酵・熟成させています。
ここでは月1回程度、桶の上下でもろみが均等になるように撹拌(かくはん)しているそうです。通常より長く1年かけて発酵・熟成を行うので、濃厚な味わいになるそうです。
▲仕込室では、先ほど見た仕込桶を上から見ることができます

キッコーマン創業家のひとつ、茂木家が用いた商標「亀甲萬印」が、1839(天保9)年に江戸幕府本丸と西御丸の両御丸御用を拝命した際に店舗に掲げられた看板や、江戸時代に将軍家に御用醤油を納入する際に使用された箱等、歴史的に貴重な品も館内のいたるところに展示されています。
▲キッコーマンの歴史が詰まった展示物の数々

御用蔵では、実際に造っている途中の御用蔵醤油や昔のしょうゆ造りを再現した様子を見ることができ、今のように機械がない時代のしょうゆ造りが天候等に左右される大変な作業だったことがわかりました。また、その貴重な品々を見ることにより、野田のしょうゆ造りの歴史についてより深く知ることができました。

「キッコーマンもの知りしょうゆ館」は土・日曜の多い時で900人程、平日でも社会科見学等があると300人程の来館者がありますが、平日の午前中は比較的予約がとりやすいそうなので、見学案内を希望される方は早めの予約がおすすめです。ちなみに、成田空港からも比較的近く、日本の伝統的な調味料であるしょうゆについて学べると話題となり、最近では海外から来られる方も増えているそうですよ。
▲しょうゆ醸造の伝統を継承し続けるキッコーマン

日本が世界に誇る調味料「しょうゆ」について、製造工程を見て学び、カフェで味わって楽しく学べる工場見学。毎日食べているしょうゆをよりおいしく味わうために、小さい子でも楽しめる「キッコーマンもの知りしょうゆ館」を訪れてみてはいかがでしょうか。
※記事内の価格はすべて税込です。
岸 久美子

岸 久美子

東京在住フリーライター。好きなことは海・山・ビールにワイン、たまにスポーツ観戦。気になる場所には行ってみないと気がすまない性分で、ちょっと暇ができると旅に出るフットワークの軽さがウリ。知らない文化に触れ刺激を受け、一緒に暮らすウサギに癒される日々。(制作会社CLINK:クリンク)

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP