これが本物!ししゃもの寿司やコロッケを北海道広尾町で食べ歩き

2018.11.20 更新

一般的にししゃもとして親しまれている魚は、実はししゃもじゃないということをご存知ですか?本当のししゃもが獲れるのは、北海道太平洋沿岸だけなんです!小さいながらも濃厚な旨みと、ふっくらとした身が非常に美味しいと人気の「本ししゃも」。その産地である十勝地方の港町広尾(ひろお)を訪れ、寿司やコロッケなど、ご当地ならではの様々なししゃも料理を味わってきました。

▲漁港に近いからこそ味わえる新鮮な刺身や握り寿司は絶品

北海道・太平洋沿岸部にだけ生息。本当のししゃもとは?

北海道の太平洋沿岸にのみ生息する固有の魚「本ししゃも」。普段は太平洋沖を回遊しており、10月中旬~11月下旬にのみ特定の河川に産卵のために遡上(そじょう)します。その時期にのみ漁がおこなわれるため、年間約1,300tほどしか漁獲されない貴重なものとして知られています。
▲魚体に丸みがあり、鱗、目、口が大きいのが特徴の本ししゃも
▲ちなみに一般的にししゃもとして出回っているのは「カラフトシシャモ」(英名Capelin:キャペリン)という別の魚で、本ししゃもの代用品として輸入されている

本ししゃもの産地として有名なのは、北海道胆振(いぶり)地方の鵡川(むかわ)町や釧路市、そして今回紹介する十勝地方の広尾町など。十勝地方の本ししゃもの漁獲量は、広尾町と近隣の豊頃(とよころ)町、大樹(たいき)町を合わせて全道の約3割を占めています。
▲とかち帯広空港から車で約60分。本ししゃもが水揚げされる広尾町の十勝港

広尾町では、例年10~11月に川に遡上する前の本ししゃもを沖合で漁獲します。遡上する前の、栄養と体力が蓄えられ肥えた身は柔らかく脂が乗っていて、一段上の美味しさです。
▲水揚げされた本ししゃもを、他の魚とより分ける漁業者(写真提供:十勝観光連盟)

主に干物へと加工されますが、それ以外にも広尾町内の飲食店では様々なメニューを提供。なんといっても獲れたての新鮮な本ししゃもは、他ではなかなか食べることのできない港町ならではの味です。

定食で本ししゃものフルコースに舌鼓「お食事の店 丸美」

さっそく旬の本ししゃもをいただこうと、最初に訪ねたのが「お食事の店 丸美(まるみ)」。60年以上の歴史を持つ、広尾町の老舗です。定食や麺類、丼物など豊富なメニューを提供し、地元の人たちも多く通っています。
▲国道336号線、並木通り沿い。赤い看板が目印です

こちらのお店では、一夜干しに天ぷら、甘露煮に刺身と、色々な本ししゃも料理が食べられる「ししゃも定食」(税込1,380円)を注文しました。
▲まさにししゃもづくしの定食。それぞれの料理の味の違いを楽しみます

まずは定番の一夜干しからいただいてみます。十勝港で水揚げされた本ししゃものえらと内臓を(メスは卵を残しながら)一尾ずつ取り除き、自家干ししたものを焼いた自慢の逸品。頭からかぶりつくと、凝縮された旨みが感じられ、干してあるとはいえふっくらした身の食感も味わえます。
▲オス、メス両方が盛り付けられています。卵の入った子持ちししゃもは、香ばしく柔らかい身とプチプチとした卵の食感が絶妙なハーモニーを生み出しています

天ぷらは淡白ながらしっかりとした味わいが、甘露煮は本ししゃもの旨みをうまく引き出した甘辛い味付けが特徴。バラエティに富んだ本ししゃもの美味しさを楽しむことができます。
▲天ぷらは身が引き締まり、より繊細な味に
▲さっぱりとしながらも濃厚な旨みは、しっかりとした甘露煮の味付けとも相性抜群。ご飯も進みます

そして、漁期に入荷したときにのみ味わえるのが刺身。新鮮なものは一般に手に入りにくく、捌くのも難しいためなかなか食べられない珍しい逸品です。火を通したものとは違い、脂の甘みを感じることができ、肉厚でありながら柔らかい食感でした。
▲刺身の小鉢は季節によって変わります。この日は本ししゃもとマグロの2種類。本ししゃもの刺身は漁期でも水揚げされなければ食べることができない貴重なもの

まさに本ししゃものフルコースといった定食。店主の道秀晃さんに評判を聞くと、「広尾ならではのメニューとして人気も高く、食べた多くのお客さんが満足してくれます」とのことでした。広尾の本ししゃもを味わいたいなら、一番おすすめのメニューです。

職人の技が光る、絶品ししゃもの握り「鮨処 翼」

次は広尾町で獲れた魚を江戸前の寿司職人の技で料理、提供している「鮨処 翼」へ。旅行客のリピーターも多いという人気店です。
▲住宅を改装した店舗。広尾町国民健康保険病院のななめ向かいにあります

ここではなんと、本ししゃもの握り寿司(1貫、税別350円)が食べられます!出される本ししゃもは、十勝港でその日に水揚げ、仕入れたものを味が落ちないうちに3枚におろしたもの。店主の関口清さんもおすすめの逸品です。
▲本ししゃもを握る店主の関口さん。15歳から東京で江戸前寿司の職人として修行をはじめ、40年以上その道を進んできました

出されたのは、見た目にもきれいな薄いピンク色の本ししゃもが乗った寿司。塩とかぼすでいただきます。口に含むと、まさに豊かな旨みが口の中に広がりました。プリプリとした身は歯ごたえがありながら柔らかく、塩とかぼすの酸味が脂の甘さを大いに引き立てます。ふわっと握られたシャリと相まってとろけるよう。
▲見た目も美しく上品な味わい。人を引き付ける美味しさです

「ししゃもの刺身」(税別1,500円)のほうも、ぜひ食べてほしいメニュー。こちらでは、本ししゃもならではの肉厚な身の食感や、豊かな風味が楽しめます。
▲刺身は店主お手製の煮切り醤油と、本わさびでいただきます

「様々な料理法があるのが本ししゃもの特徴。ぜひ旬の味を食べてみてほしい」と関口さん。他にも広尾で獲れる魚の中では、カレイの一種であるまつかわや、高級魚と知られるハッカクなどがおすすめとのこと。くつろげる雰囲気で、それらも食べにまた訪れたいと思えるお店でした。
▲ししゃもの季節の後はハッカクが旬(12〜2月)。刺身で食べるとコリコリとした食感で、甘みのある脂がのった上品な味わいです

広尾町の本ししゃもを手軽に味わうなら!オリジナルB級グルメ「しゃロッケ」

広尾町には、特産品である本ししゃもをPRするために作られたB級グルメもあります。それがししゃものコロッケである「しゃロッケ」。2010(平成22)年に地元の有志により考案されました。

広尾町内には、しゃロッケ定食などを提供する飲食店がいくつかありますが、今回は手軽に味わうことが出来るスーパー「Aコープ サンタ村」のホットスナックコーナーへ。
▲広尾町の中心街より車で約15分、豊似(とよに)地区にある「Aコープ サンタ村」。サンタ村の由来は、広尾町がサンタの故郷ノルウェーより公式にサンタランドとして認められていることから

店内に入るとレジ横の保温機に「しゃロッケ」(税込160円)を発見。早速購入してみました。
▲「Aコープサンタ村」のしゃロッケは、広尾町内の中華料理店「王府(わんふー)」製のものを販売

まず中身を見てみると、ほぐしたししゃもの身に、チーズ、ホワイトソース、ライスを和えた具が入っていました。
▲正体は本ししゃもが入ったライスコロッケ。カラッと揚げられています

お店の人によると何もつけないで食べるのがおすすめとのことで、その通りに食べてみました。ホワイトソースによって魚特有の臭みは抑えられていますが、本ししゃもの旨みはしっかりと感じることができます。チーズのコクも良いアクセントになっていました。
▲こちらのお店では年間を通して販売しています

流通量が少なく、貴重な魚である本ししゃもを気軽に美味しく食べることができる「しゃロッケ」。これも地元を訪れたからこそですね。

お土産にするなら「ししゃも一夜干し」がおすすめ!

現地で味わっていただくのが一番ですが、その味を自宅に持ち帰る方法もあります。そこで、十勝港すぐ近くにある「岡嶋水産」に最後に立ち寄りました。
▲漁港を見下ろす丘の上にある店舗。ししゃも以外にも昆布やいくらなど、広尾の海で獲れた水産品を販売しています

こちらのお店が自信をもっておすすめしているのが「生干ししゃも」(一夜干し、大オス・メス各40匹入り、税込3,564円)。漁船の上から徹底管理した本ししゃもを職人の手で一匹いっぴき丁寧にさばき、徹底した温度・品質管理のもとに干した逸品です。今回はこれを購入し、自宅で味わってみました。
▲冷凍してあるのでお土産にも。「本ししゃもを一番美味しく食べることができるおすすめ品」とのこと

食べ方は冷凍状態のものを、クッキングシートを敷いたフライパンやホットプレートで中までしっかりと焼くだけ。身が柔らかく焼き上がり、食べてみると凝縮した旨みが口いっぱいに広がります。オスは脂が乗ってジューシー、メスは卵のプチプチとした食感。それぞれの違いも楽しめました。
▲身はふっくら、旨みたっぷりの美味しさ。ごはんにもお酒にも良く合います(写真提供:岡嶋水産)
色々な本ししゃもの料理を食べましたが、それぞれ、本ししゃもの美味しさが存分に引き出されていました。広尾町では例年、漁期(2018年は10月24日~11月23日)に町内の飲食店で本ししゃもメニューを食べたり、鮮魚店で買い物をして集めたスタンプの個数に応じて水産加工品などの景品を抽選で当てたりするイベント「ししゃもラリー」(広尾おいしい町づくりの会主催)も実施。本ししゃもの産地であることをPRしています。
産地で食べる絶品の本ししゃも料理の数々、ぜひ北海道広尾町に訪れ、晩秋の海の恵みを存分に堪能してみてください!
長尾悦郎

長尾悦郎

北海道十勝地方でカメラマン、ライター、新聞記者として活動中。撮影ジャンルは広告、風景、人物など幅広く。地元観光協会勤務やご当地キャラマネージャーなどの経験を生かし、地元をもっと盛り上げていきたいと思っています。(編集/株式会社くらしさ)

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