大阪の新名物・甘辛カレーに初挑戦!「白銀亭」はおひとりさまでも入りやすいオススメ店

2015.09.11 更新

今や世界中で愛されるカレー。しかし、一言でカレーといっても日本人に馴染み深い欧風カレーに始まり、スープカレーやキーマカレー、さらには独自の進化を遂げた個性派まで、カレーの世界というのは本当に奥深いもの。

この企画では、これまで7,000店舗以上のカレー店を制覇したカレーの第一人者・井上岳久先生(株式会社カレー総合研究所代表取締役)と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

【Contents】

1.和食からの転身!オープン前から行列のできる大人気店へ
2.オープンキッチンならでは!五感を刺激する待ち時間
3.甘くて辛いカレー、その味とは一体!?

こんにちは、井上こんです。前回の混ぜカレーに続き、今回も真夏の大阪からレポートします。一体どんなカレーに出会えるのでしょうか?
こん「到着~!」

食の都・大阪が誇るもうひとつの名物カレーを求め、井上先生と私が降り立ったのは地下鉄本町駅。このあたりは大阪を代表するオフィス街で、東京でいう丸の内や大手町のような雰囲気を持つエリアです。
井上「これから行くお店のカレーを初めて食べたときには『なにこれ!?』と驚きましたよ」
こん「先生が驚くカレーですか?……あ、ご飯だけで1キロぐらいある超デカ盛りとか!?」
井上「いやいや。何に驚いたってその味。甘くて辛い、通称『甘辛カレー』なんです」

こん「大阪では有名なんですか?」

井上「もちろん!前回の混ぜカレー同様、大阪を代表するカレーと考えもらって大丈夫です。混ぜカレーが“旧”だとしたら甘辛カレーが“新”って感じかな」
井上「甘辛カレーの発祥は『インデアンカレー』という老舗カレー店で、そこから火が付き大阪中で甘辛カレーを出す店が増えた。今回のお店はその中でも抜群に人気があって、いわばルーキーみたいな存在です。まぁ食べてのお楽しみだね!」
井上「はい、ここです。今はちょうど営業が終わるところだけど、ピーク時は店の前にズラッと行列ができますよ」

本町駅から徒歩5分ほど。大通りから少し入ったところにある「白銀亭(はくぎんてい)」が本日の舞台です。オフィス街になじむスタイリッシュな外観は1人でも気軽に入れそうな雰囲気。

1.和食からの転身!オープン前から行列のできる大人気店へ

お店がオープンしたのは2007(平成19)年。午前11時の開店からたった5時間(土曜は3時間)の時短営業にもかかわらず、連日たくさんのお客さんで賑わう大人気店です。カウンター16席がキッチンをぐるりと囲むような造り、そこを1人で仕切るのは和食出身の店主・大城龍一郎さん。
大城店主(以下、大城)「和食畑だったのでカウンターの大変さは知っているのですが、お客さまを一番近く感じられるのはやっぱりカウンターなんですよね。仕込みや調理は1人でするので僕にはこの席数がベストです」
井上「店名にはどんな由来が?」

大城「僕は滋賀県出身でして。地元の雪景色が本当に大好きで、何にも染まっていないという意味も込めて『白銀亭』にしました。色々染まってますが(笑)」
こん「一番人気はなにカレーですか?」

大城さん「トンカツカレーが断トツです。ボイルしたホウレン草をたっぷり乗せたホンレン草カレーも人気ですよ」

こん「わ~迷う!でも先生、ここはやっぱり……」

井上「トンカツカレーでしょう!」

2.オープンキッチンならでは!五感を刺激する待ち時間

注文後、アメリカ産豚ロースをサラダ油の中へ優しくイン。「サクッとした揚がりを重視するならサラダ油が一番ですね」(大城さん)。
「ジュォォォォッ……」
井上「こうやって厨房の様子が見られるのはいいね」

こん「本当ですね!こう、油のチリチリ音や香ばしい香りで五感が刺激されて待ち時間なのに楽しい!」

大城さん「ピーク時は全方位から視線を浴びるのでいい緊張感がありますよ(笑)」
な~んて話していたら……できました、できちゃいました。このカツをご覧くださいな。キツネもびっくり、なんと見事なキツネ色。
カツカレーといえばルーの上にカツが乗っているのが定番ですが、こちらはドドーンと豪快にカツの上にルーがかかっているスタイル。食べやすいように、とカツがひと口大にカットされてるのがうれしい!
それでは、熱々のうちに……「いただきまーす!」

3.甘くて辛いカレー、その味とは一体!?

(パクッ)
井上「そうそう、この味!甘さと辛さのコントラストが素晴らしい!それから、お肉にも丁寧に千枚通しされているんでしょうね。肉の筋がスッと切れる感じがいい」
こん「どれどれ……」
こん「何ですかコレは! 最初のひと口は甘めの欧風カレーかと思いきや、あとから爽やかな辛さが追っかけてきます!こやつ、ただの欧風カレーじゃありません」

甘い、そして辛い。ツンデレならぬデレツンカレーとでもいいましょうか。でも決してキテレツではなく、初めてこの味を体験する人をスッと納得させてしまう絶妙なバランス感覚。う~ん、これは中毒になりそう。大城さんによると、最初に感じる甘さの秘密は数種類のフルーツだとか。完成したルーは2日寝かせるこだわりっぷりです。

大城「ルーは煮込むより寝かせて熟成させるとぐんと美味しくなります。あと、粉もののカレーは大量に作るほど旨みが出るもの。こればっかりはスパイス系のカレーや家庭では表現できないと思います」
井上「やはりカレーを食べればご主人がどれだけこだわっているか伝わってきますよ」

大城「ありがとうございます。縁あってカレーの世界に転身しましたが、当時は理想の味を追及するあまり、夜中に急に飛び起きてカレーを作ることもありました(笑)」
ちなみに、自家製の玉ねぎピクルスが絶品なので紹介します。淡路島産玉ねぎ本来の甘さを活かすため、味付けは酢、砂糖、塩のみとシンプルながらカツやルーをスッと洗い流すような……さりげなくいい仕事します、この子。お恥ずかしながら、なりふり構わず食べ尽くすところでした。
完食後はほとぼりが冷めないうちにいつものヤツいきますよ。本日の格言タ~イム!
井上「大阪・新名物カレー。人気の裏には……徹底した研究とこだわりがある!」
こん「『甘さ×辛さ』の同居カレーを堪能せよ!」
「売り切れ次第終了」スタイルのため、早いと14時で完売することもあるそうですが、あしからず。昼間だけの限定営業にしているのは、営業終了後から夜中まで大城さんおひとりで仕込みに時間をかけているから。ひとたび食べれば忘れられない店主こだわりの味は、大阪人ならずともハートを鷲掴みにされること間違いなし。大阪甘辛カレー、ぜひお試しあれ!

白銀亭さん、ごちそうさまでした!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

<カレーうんちく>
実は、大阪では昔からカレーといえば牛スジを使うのがポピュラー。関東のスーパーではあまり見かけませんが、関西では牛スジは安くてどこでも手に入る身近な存在。モツ煮やおでんのタネなど煮込み系の料理に最適で、そのひとつがカレーというわけです。
井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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