とろ~り甘い!旬の下仁田ネギを群馬名物・すき焼きで味わう

2019.01.22 更新

トロトロのやわらかさと甘さが特徴の、群馬県の特産・下仁田ネギ。12~2月限定で収穫される冬の味覚です。そのおいしさを現地で堪能するなら「すき焼き」がおすすめ!下仁田ネギを筆頭に、こんにゃく、しゅんぎく、生しいたけ、さらに上州和牛などの名産がそろう群馬県は、「すき焼き自給率100%の県」ともいわれているんです。採れたての下仁田ネギを群馬名物・すき焼きで味わうべく、名産地の下仁田町(しもにたまち)に行ってきました。

とろっとろの下仁田ネギを、極上すき焼きで味わう「常盤館」

下仁田ネギ入りのおいしいすき焼きを求めて最初に訪れたのは、大正元(1912)年創業の老舗割烹旅館「常盤館」。上信越自動車道・下仁田ICから約6km、上信電鉄・下仁田駅から徒歩1分ほどの場所にある、蔵造りのような歴史情緒あふれる建物です。
▲白い壁に黒瓦の屋根をのせた老舗旅館。暖簾の文字が味わい深い

こちらでは、宿泊客以外でも食事処でランチやディナーを楽しむことができます(夜は要予約)。下仁田ネギ入りのすき焼きやしゃぶしゃぶ、上州下仁田こんにゃくをふんだんに使った料理など、下仁田の素材を堪能できます。
▲中に入ると、囲炉裏がお出迎え

レトロな品々が随所に配された館内は、古き良き時代にタイプスリップしたかのような雰囲気。同館の食事処はすべて個室になっており、プライベート感覚でゆったりと食事を楽しめます。廊下越しに庭の緑も楽しめ、オレンジの照明がやさしく灯った部屋で、穏やかな気持ちを味わえます。
▲やわらかな灯りが、気持ちをほっとゆるませてくれる

今回いただいたのは、12月1日~2月中旬の期間限定メニューである「下仁田葱すき焼き」。創業100年を迎えた2013年に、下仁田ネギを使った特別なおもてなし料理をふるまいたいと、新たに提供を始めたそう。
▲「下仁田葱すき焼き」(一人前4,500円・税込。二人前から注文可)。霜降りの上州和牛に、下仁田産の新鮮野菜がたっぷり。奥に見えるのは、お通し3品

主役の下仁田ネギは、冬の限られた時季にしか食べられない貴重な食材。そのおいしさを最大限味わってもらうべく、下仁田ネギから先に焼いていくのが常盤館流。
熱した鉄鍋に下仁田ネギを入れたとたん、香ばしい匂いが部屋中に広がっていきます。
▲焦げ目がつくまで下仁田ネギにしっかり熱を通すのが、おいしさを引き出す秘訣

下仁田ネギは、辛み成分が通常のネギの約3倍あるといわれ、生のままでは辛くて食べられません。しかし、熱を通すと途端に甘くなって食感もトロトロに。最初に焼き目をつけることで甘さをぐっと引き出すのが、おいしく食べるポイントなのです。

ネギに火が通ったら、次に入れるのは最高級A5ランクの上州和牛。軽く色が変わる程度にさっと焼きます。群馬県の環境に適した独自の飼料で肥育された、優秀な血統の黒毛和種のロース肉を使用しています。
▲上州和牛にはさっと熱を通すだけ。菜箸でひっくり返すだけで、そのやわらかさが感じられるほどの最高級品!

ここで常盤館秘伝の割り下を注ぎ、肉の色が全体的に変わったら、まずは上州和牛をいただきます。
▲お肉とネギに、割り下がしみ込んでいきます

卵によく絡めたお肉を一口。とろけてなくなっていくようなやわらかさは、まさに極上の味です。
そして、いよいよ下仁田ネギも一緒に堪能!鍋に入れる前は太くて立派だった下仁田ネギですが、火が通るとやわらかくなりトロトロの食感に。さらに、辛みを一切感じさせない濃厚な甘みにびっくり。ネギってこんなに甘かったっけ!?と感嘆の声を上げてしまいます。

上州和牛と下仁田ネギをじっくり味わったら、ほかの食材も鉄鍋に入れていきます。すき焼きといえば、ぐつぐつ煮るイメージがありますが、常盤館流はあくまでも「焼く」イメージで。香ばしさもあわせて味わってほしい、と調理法にもこだわるのです。
▲素材一つひとつをゆっくり丁寧に味わいたくなります

他の食材ももちろん群馬県産。下仁田で作られた生芋100%使用の手しぼりしらたき、通常の倍以上かけて菌床栽培された肉厚な下仁田産しいたけ、群馬県産のしゅんぎくに常盤館で香ばしく焼き上げた自家製焼き豆腐…鍋の中に地域の美味がすべて詰まっています。具材に絡める卵も、下仁田の豊かな大地で育てられた鶏からとれたもの。ぷりんと元気のいいとき卵と具材が絡まって、口の中に濃厚な味わいが広がっていきます。
▲下仁田で生まれた、つやつやの新鮮卵。鍋の中の素材の旨みを引き立てます
▲すき焼きのおいしい食べ方を教えてくれた、常盤館4代目の女将・松原真紀子さん

ちなみに、下仁田ネギの出荷期間は毎年12月1日~2月下旬頃。「寒さが深まり畑に霜が降りると、青い葉の部分が茶色に枯れていきますが、その分の養分が白い根元に集中し、甘さはさらに増します」と松原さん。1月、2月と寒くなるにつれて甘みが変わっていくので、時期をずらして食べるとおいしさも変わっていくそうですよ。

すき焼きの具材一つひとつ、その一口一口までこんなに大切に味わえたすき焼きは初めて。大正元年創業の歴史を感じさせる館内でいただくと、おいしさも格別です。下仁田の土地が生んだ素材の旨みを、ぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。

すき焼き×ワインのコラボレーション!?フランス仕込みのシェフが手がける「安兵衛」

続いて向かったのが、下仁田ネギを使ったユニークなすき焼きが味わえると噂の「安兵衛」。創業100年の歴史を持ち、地元の方が通う“気軽な食事処”として和洋折衷のメニューが長く愛されてきたお店です。
▲「YASUBEI」の看板が目印

お店のコンセプトは、「地元の方がふらっと立ち寄れる町民食堂」。下仁田名物のカツ丼や、下仁田ネギグラタン(冬季限定)などの洋食メニューが人気です。4代目の店主・新井渉さんがフランス・リオンで修業をしてきたことから、シェフおすすめのフランス料理コースを楽しむこともできます。
▲半個室のテーブル席もあるので、家族や大切な友人とゆっくり過ごしたい人にもおすすめ

そんな新井さんが新たに考案したすき焼きが、下仁田ネギ入り「フレンチ仕立てのトマト&ワインすき焼き」。ワインとの相性の良さを考慮して、さっぱりした味わいの群馬県産「麦風鶏(むぎかぜどり)」を使用。下仁田ネギ、しらたき、しいたけ、ミニトマト、しゅんぎくなど地元野菜もふんだんに使っています。さらに季節に応じて、カボチャや黒ダイコン、カブ、パプリカなど色鮮やかな野菜が加わることも。
▲すき焼きのイメージを覆す⁉一人前の鉄鍋に入れられた色鮮やかな食材たち

割り下のベースとなるのは、赤ワインです。フランスの伝統料理にある「鶏の赤ワイン煮(コック・オ・バン)」から、鶏と赤ワインの相性の良さを知ったという新井さん。赤ワインに醤油、砂糖を入れ、香り付けにカシスを加えた割り下で、群馬ならではのすき焼きを作ろうと考えたそうです。
▲上州の自然の恵みの中で育てられた麦風鶏を、こんがりと焼く

麦風鶏は、あく抜きのためにマリネし、皮目をカリッと焼いておいしさをぎゅっと閉じ込めてから提供。熱々のうちに切ると肉汁が出てしまうので、冷ましてからカットするのがポイントだそうです。
▲皮目を焼いているので、香ばしさが口いっぱいに広がります

ぐつぐつと煮え、表面から湯気が上がってきたら出来上がり。下仁田でのびのびと育てられた鶏たちの卵を絡めて、いただきます。

鶏は身がぎゅっと詰まってしっかりした食感。下仁田ネギのやわらかな口当たりとの相性は抜群です。ワインのやさしい甘みによって、下仁田ネギの甘みが引き出され、野菜もさらにやわらかくなっています。

野菜の多くは地元の農家さんが作ったものを、地元の「道の駅」を通して仕入れているのだとか。「自分の野菜がすき焼きに使われた!ということが農家さんに伝わって生産意欲を高めてくれたら、下仁田の農業がもっと盛り上がるはず」と新井さんは話します。
▲お客様とのおしゃべりも気さくに楽しむ新井さん。その穏やかなキャラクターが、お店のやさしい雰囲気を作っています

安兵衛の魅力は、リーズナブルな価格帯にもあります。「フレンチ仕立てのトマト&ワインすき焼き」は、下仁田ネギグラタン、下仁田産のさしみこんにゃく、下仁田ネギと根菜たっぷりこんにゃく入り味噌汁に、食後の飲み物(コーヒー、紅茶、桑の葉で作った桑茶から選べます)までついて、なんと税別2,000円!

「学生さんやご家族でも手頃な金額で食べられる、みんなの食堂でありたいんです。ワインベースの割り下やカラフルな野菜を味わって、こんなすき焼き珍しい!と会話が弾んでくれたらうれしいですね」と新井さん。

アットホームで居心地のいい店内に、ついつい長居してしまいたくなる。そんなあたたかさが、人々から長く愛されてきた理由なのだと感じました。赤ワインで引き出された下仁田ネギの旨みは、安兵衛でしか味わえません!下仁田ネギグラタンなどと一緒に、フレンチとのコラボレーションをぜひ楽しんでみては。

下仁田ネギをたっぷり買える!食事も充実の「道の駅しもにた」

自宅でもおいしいすき焼きを再現したい!と思ったら、「道の駅しもにた」にも立ち寄ることをおすすめします。2018年1月にリニューアルした構内には、下仁田ネギをはじめ、こんにゃくやしいたけなど、地元の特産品を使った商品が陳列されています。
▲高速バス停留所も設置されアクセスも便利に。販売所の隣には、下仁田町観光協会による「下仁田町観光案内所」もあります
▲地元の朝採れ野菜はすぐ売り切れに

道の駅構内には下仁田ネギ専用の販売所もあり、旬の時期である12~2月下旬には毎日、太くて立派な下仁田ネギがずらりと並びます。
▲一袋に6~7本の下仁田ネギが入って、400~600円という破格の値段!何袋もまとめて買っていくお客様がたくさんいます

ところで、下仁田ネギが1年のうちたった3カ月間しか販売されないのはなぜなのか。道の駅しもにた・駅長の岩崎智則さんにお話を伺うと、「種まきから収穫まで15カ月ととても長い時間をかけて栽培する品種だから」と話してくれました。

「その年の温度など気象条件の変化に左右されやすいのが下仁田ネギ。下仁田の気候、土壌の特徴などさまざまな要因が合致して、長い間、この限定された地域でしか栽培できないといわれてきました。その貴重さから『殿様ねぎ』とも呼ばれています。今では下仁田以外の土地でも育てられる“品種”として確立していますが、下仁田で生まれた下仁田ネギは、やっぱり甘さが違う!ぜひ道の駅しもにたで、畑から直送された下仁田ネギを両手いっぱいに買っていってください」(岩崎さん)
▲駅長の岩崎智則さん。すき焼きのほかに、下仁田ネギのおすすめの食べ方は、シンプルにバターで焼いて塩こしょうをかける「下仁田ネギソテー」だそう

構内には、下仁田ネギを使ったユニークなメニューを味わえる食事処も充実しています。なかでもおすすめなのが、惣菜店「まるも屋」で提供している「下仁田ネギ揚げ」(300円・税込)。下仁田ネギにパン粉をつけて揚げたシンプルな一品ですが、サクサクの衣と、トロふわ食感の下仁田ネギとのコラボレーションは絶妙。塩こしょうの味付けが、下仁田ネギの甘みをさらに際立たせます。
▲外はサクサク、中はトロトロの「下仁田ネギ揚げ」
ちなみに、道の駅周辺は一面に広がる下仁田ネギ畑!収穫中の農家さんがいたので声をかけてみると、「一緒に収穫してみますか⁉」と体験をさせていただけることに。下仁田ネギを土から掘り起こす作業は専用のトラクターで行うそうですが、特別に手作業で体験させてもらいました。クワで土を起こし、下仁田ネギを次々と収穫していく動きには無駄がなく、つい見入ってしまうほど。
▲収穫体験をさせてもらった下仁田ネギ農家さん。2018年で、なんと御年86歳

「1月、2月になると、もっともっと甘くなるから、また来たらいいよ!」というあたたかい声に、すっかり下仁田好きになって帰路についたのでした。
▲下仁田ネギと土のいい匂い。あらためて、下仁田ネギの太さと、どっしりとした重さを実感しました

下仁田ネギの産地で食べる、すき焼き体験。ぜひ、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

撮影/山本遼
田中瑠子

田中瑠子

ライター兼編集者。神奈川県生まれ。広告会社、出版社を経てフリーランスに。アスリートからビジネスパーソンまで人物インタビューを幅広く手がける。昨今ロードバイクにハマり、全国津々浦々チャリンコ旅を楽しんでいる。(編集/株式会社くらしさ)

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