これぞキングオブ寒ブリ!富山の冬の味覚「ひみ寒ぶり」は悶絶級の旨さだった!

2019.01.15 更新

冬の日本海を代表する味覚といえば、寒ブリ。その中でも、富山湾の中心部に位置する氷見市近海で水揚げされる寒ブリは「ひみ寒ぶり」と呼ばれ、全国にその名をとどろかせています。他の地域で水揚げされるものとは、脂ののりが格段に違うのだとか。今回は、寒ブリの本場である氷見漁港近くにあるおすすめのブリ料理提供店を訪問。キングオブ寒ブリともいうべき、今が旬の絶品寒ブリ料理の数々をご紹介します。

これが、寒ブリ界の絶対王者「ひみ寒ぶり」だ!

寒ブリとは、その名のとおり寒の時季に捕れるブリのこと。ブリは初冬になると産卵のために北海道から九州の五島列島付近まで南下をするのですが、中間地点である氷見市近海で捕獲したものが、最も脂がのっている状態だといわれています。しかも、能登半島の出っ張りにぶつかるおかげで、足止めされたたくさんのブリを捕獲できるのだとか。これが氷見市が寒ブリ漁の聖地と呼ばれている所以です。
▲たっぷりと脂を蓄え、丸々と太った「ひみ寒ぶり」。能登半島を南に越えた辺りから、ブリの脂は徐々に減少していく
▲富山湾から望む立山連峰。見ているだけで厳しい寒さが伝わってくるが、はっとするほど美しい

寒ブリ漁が活気づくのは、北陸地方特有の風雪を伴う雷「ブリ起こし」が鳴り始める11月下旬頃から。漁の最盛期を意味する「ひみ寒ぶり宣言」が発令されている毎年2月頃までが「ひみ寒ぶり」の旬とされています。
▲早朝の氷見漁港。まだ夜も明けきらないうちに、次々と寒ブリが水揚げされていく

さて、寒ブリ界の最高峰に君臨する「ひみ寒ぶり」ですが、その定義は3つ。
・富山湾の定置網で捕れたもの
・氷見漁港で競られたもの
・重さ6kg以上で、形・質ともに良いもの

これら3つの条件をすべて満たしたものだけが、「ひみ寒ぶり」の名を名乗ることができるのです。さて、気になるのは、そのお味。キングオブ寒ブリのおいしさとは、果たしていかに!?

「ひみ寒ぶり」の中でも最上のブリが味わえる【ばんや料理 ひみ浜】

「ひみ寒ぶり」のおいしさを余すことなく堪能したいなら、ブリ尽くしの「ぶりしゃぶコース」がいただける「ばんや料理 ひみ浜」がおすすめ。こちらは氷見漁港で水揚げされた正真正銘の地魚料理を提供するお店なのですが、中でもブリに対するご主人のこだわりがとりわけすごいんです!!
▲2名から注文できる完全予約制の「ぶりしゃぶコース」(時価 ※目安は1人前・税別10,000円~13,000円程度) ※写真は1人前(ぶりしゃぶのみ2人前)

「『ひみ寒ぶり』を名乗れるのは、重さ6kg以上のものとされていますが、うちでは10kg超えのものしか使いません!」とキッパリと言い切るご主人。それもただ重ければいいわけではなく、“どういう太り方をしているか”“どういう脂ののり方をしているか”が重要なのだと教えてくれました。
▲店主の宮川暢充(みやがわのぶみつ)さん。毎朝、氷見漁港に通い、自ら目利きしたブリだけを仕入れている

「6kgのブリと10kgを超えるものとでは、旨みも甘みも脂ののりもまったく違ってくるんですよ。私が理想とするブリは、でっぷりおなかが膨らんだメタボリックな体型のものですね」(宮川さん)
▲氷見漁港から車で約5分の場所にある「ばんや料理 ひみ浜」

ブランドブリといわれている「ひみ寒ぶり」の中でも、同店が狙っているのは頂点のものだけ。「氷見で水揚げされているものの中で一番いいものだけを仕入れてきています」と宮川さんは自信たっぷりに語ります。たとえたくさんのブリが水揚げされていたとしても、納得できるものが手に入らない日はブリ料理を提供しないというから恐れ入ります。
▲開店早々予約客でにぎわうが、予約なしの場合でも、可能な範囲で単品のブリ料理をオーダーできる。夜は基本的に週末のみの営業

たとえば300本のブリが水揚げされた日でも、宮川さんが理想とするブリはそのうち2本あるかどうか。予約が入っていたとしても、お眼鏡にかなうブリが手に入らない時は、直前になってキャンセルをお願いしてしまうこともあるそうです。

「そういった場合は数日前にお電話を入れるようにしていますが……自然を相手にしていることなので『絶対にこの日提供できます』と言い切ることはできないんですよ」(宮川さん)
▲「ぶりしゃぶコース」の小鉢の一例。この日は、イカスミを使った塩辛「黒作り」、名産のバイ貝、氷見の石清水で作られた豆腐などが供された

看板の「ぶりしゃぶコース」は小鉢から始まり、ブリ刺し、焼き物、ブリ大根、ブリしゃぶ、氷見うどん、デザートと盛りだくさん。氷見のおいしさを存分に楽しめる内容になっています。
▲宝石のごとく脂がきらめくブリ刺し。醤油をかけた大根おろしをブリで巻き、さっぱりと食べるのが地元流の楽しみ方

「ひみ寒ぶり」との待望の初対面は、ブリ刺しで実現♪見てください、この見事な脂ののり!こんなに美しいブリを見るのは生まれて初めてです!聞けば、この日のブリは12.1kg、体長約1.2mの超大物とか。

「まずは食べてみてください!きっと驚かれることと思いますよ」
宮川さんの自信たっぷりの言葉に、期待も膨らみます。
▲奥が脂ののったおなかの部分、手前が超稀少な「ひみ寒ぶり」の大トロ

口に入れた途端に広がるジュワ~ッと上品な甘み。う~ん!舌の上でやさしく脂が溶けていくのが分かります。「今まで食べていたブリって一体何だったの?」と思わず叫びたくなるほどのおいしさ!
▲脂がたっぷりのった大トロの部分は、大根おろしでさっぱりといただこう

大トロの部分は、本マグロのそれを上回るほどの脂ののり。噛むと“ブリン”とした適度な歯応えが楽しめます。それにしても、濃厚な旨みと甘みが楽しめるというのに、まったくクドさを感じないから不思議!キングオブ寒ブリ最上級部位のおいしさは伊達ではありません。
▲あっさりしがちな背中の部分でも、これだけの脂がのっている

衝撃は焼き物になってもとどまることなく続いていきます。
▲ジュワジュワーッと脂したたるブリの塩焼き。熱々のうちに召し上がれ!

筆者がとりわけ感動したのが、こちらの塩焼き。お客さんのタイミングに合わせて焼き上げてくれるので、熱々の一番おいしい状態を食べることができるんです!口の中でほろりと崩れるやわらかな身とジューシーな味わいに、またもや感動!
▲じっくり何日もかけて仕上げる飴色のブリ大根も絶品。ブリ本来のおいしさが感じられるよう、醤油も砂糖も控えめにし、上品な味付けに仕上げている

そして、いよいよメインディッシュの「ぶりしゃぶ」の登場です。先ほどのブリ刺しと同じものを使っているそうですが、とにかく切り身が分厚くて大きい!
▲ポン酢と薬味、ご当地名物の「氷見うどん」が添えられてくるブリのしゃぶしゃぶ
▲「ご要望があれば小さく切ることもできますが、お口いっぱいにブリのおいしさを感じていただきたいので!」と、あえて分厚く切って提供している

出汁にくぐらせて5秒ほど“しゃぶしゃぶ”して食べるのがおすすめの食べ方。一口では収まりきらないほど大きなブリを口いっぱいに頬張る贅沢さといったら!
▲少し長めに出汁にくぐらせると、ブリンとした弾力のある食感から、ほろりとやわらかな食感に変わる

しゃぶしゃぶと共に供される氷見うどんは、ツルツルッとしていて、もっちりシコシコ!鍋の〆に投入しても美味ですが、そのままざるうどんとして食べるのもおすすめですよ。
▲温かくても冷たくても、おいしく食べられるのが氷見うどんのいいところ!なめらかで独特のコシが楽しめる
▲やや甘みのある醤油をかけて食べるのもおすすめ!

最後にお口直しのアイスクリームをいただいてコースは終了!最初から最後までうなりっぱなしの内容でした。これは、冬になる度に訪ねたい!!わざわざ足を運ぶ価値のある名店です。

氷見で一番“きときと”なブリ料理が楽しめる【魚市場食堂】

予約なしで気軽に「ひみ寒ぶり」を楽しみたいという方は、「地方卸売市場氷見魚市場」内にある「魚市場食堂」がおすすめです。店があるのは、なんと競り場の2階!競り落とされたばかりの新鮮な魚が届きます。
▲氷見魚市場の競り場の2階にある「魚市場食堂」。早朝から新鮮な海の幸を楽しめる

11~2月の寒ブリの時季にだけ登場するという名物料理がこちら。どんぶりを覆い尽くすほどブリ刺しが盛られた「ブリ丼」!分厚く切られた「ひみ寒ぶり」がこれでもか!というほど盛られた、ブリ好きにはたまらない逸品です。
▲花びらのように美しくブリが盛られた売り切れ御免の「天然ブリ丼」(時価 ※税別2,800円程度)

ブリ刺しはもちろんのこと、貴重なブリトロを心置きなく楽しめるメニューもありますよ!
▲「ひみ寒ぶり」のトロが盛り込まれた「天然ブリ刺身」は、定食にすることも可能(時価 ※刺身単品は税別1,580円程度、定食は税別2,080円程度)

「ブリ丼」や「天然ブリの刺身定食」などのご飯ものメニューをオーダーすると、もれなく氷見浜名物の「すり身汁」がついてくるそう。これはカラダが温まるうれしいサービスですね!
▲魚のあらやつみれがたっぷり入ったすり身汁。こちらの鍋からお椀によそって供される

この他にも「天然ブリしゃぶしゃぶ」が楽しめるほか、日によっては「天然ブリかまの塩焼き」が登場することもあるそうです(時価 ※「天然ブリしゃぶしゃぶ」は税別1,580円程度、「天然ブリかまの塩焼き」は税別1,500円程度)。
▲84席もある大きな店内。漁師さんたちも御用達!

氷見で一番“きときと(=新鮮)”な魚が食べられる食事処。そのおいしさは言うまでもありません!市場内にあるので、早朝に競りの見学がてら食事を楽しむのもいいですね。
寒ブリ界の王様「ひみ寒ぶり」。ぜひ、現地でそのおいしさを体感してみてください。あまりのおいしさに、きっと度肝を抜かれるはずですよ!

(写真・香田はな)
松井さおり

松井さおり

出版社勤務を経て、フリーランスのライター&編集者に。雑誌や書籍を中心に、主に、食・旅・くらしなどにまつわる記事を執筆している。現在は、東京から長野県長野市に拠点を移し、県内外を奔走する日々。(編集/株式会社くらしさ)

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