新湊漁港の昼セリ見学!獲れたてのベニズワイガニを目と舌で味わってきた

2019.02.15 更新

富山湾近海は、日本海の特産品「ベニズワイガニ」の良質な漁場。漁が解禁される9~5月の時期には、近隣の漁港でほぼ毎日、このベニズワイガニが水揚げされています。この時期に界隈を訪ねるならばぜひとも足を運んでほしいのが、射水(いみず)市にある「新湊(しんみなと)漁港」。なんとこちらの漁港では、昼間の13時から昼セリを行っているんです。気になる昼セリの様子と合わせて、旬の絶品ベニズワイガニ料理が楽しめる近隣のお店もご紹介します。

早起きの必要なし!13時から始まる新湊漁港の昼セリ見学

9~5月が漁期のベニズワイガニは、日本海を代表するごちそうの1つ。11~3月が漁期のズワイガニよりも長い期間楽しめるとあって、多くの人に親しまれています。

なかでも富山県産のベニズワイガニは、鮮度の良さが自慢。カニの漁場と漁港が近く、その日に獲れたものがその日のうちに流通にのせられるため、ほかの産地とは比べ物にならないほどの鮮度が叶うのだそうです。そのことから富山県産のベニズワイガニは、近年「高志(こし)の紅(あか)ガニ」というブランド名でも親しまれています。
▲水揚げされたばかりのベニズワイガニ。その名前のとおり、茹でる前からきれいな赤い色をしている

そんな富山県産ベニズワイガニのセリの様子を見学するべく、全国的にも珍しい昼セリが行われている射水市「新湊漁港」へ。セリといえば、早朝の5~6時頃に行われるのが一般的ですが、こちらの漁港では朝5時30分~と13時~の1日2回セリが行われているんです。日中に行われる昼セリは通年で見学できるため、観光客にも大人気なんだとか(朝のセリは見学不可)。首都圏や関西圏を当日の朝出発してもゆうゆう見学できる点が嬉しいですよね!

まずは、受付を済ませるために漁港の近くにある「新湊きっときと市場」に向かいます。
▲新湊漁港からほど近い「新湊きっときと市場」。JR高岡駅から万葉線電車で約40分の東新湊駅から徒歩10分ほどの場所にある
▲昼セリ見学の受付を行っているインフォメーションセンター。受付は12時30分~

昼セリ見学は、電話かファックスでの事前予約制。枠が空いて入れば直前の予約でも見学できますが、バスツアーの予約と重なることも多いため、前日までの予約が安心です。

ベニズワイガニの漁期である9~5月は見学料金が100円(税込)かかるので、現地に着いたら受付と合わせて支払いを済ませておきましょう。それ以外の時期は無料で昼セリの見学ができますが、予約は忘れずに。
▲受付が済んだら、各自で「新湊きっときと市場」から徒歩6分ほどの場所にある新湊漁港へ。ここで昼セリが行われる
▲1階がセリ場(関係者以外立ち入り禁止)、2階部分が観光客向けの見学スペースになっている
▲建物の奥まで続く2階の見学通路。前方部分にこうした見学スペースがいくつも設けられている

カニ、カニ、カニ!床を埋め尽くす、美しき真紅の絨毯

ところで、皆さんは「ズワイガニ」と「ベニズワイガニ」の違いをご存知ですか?
名前はよく似ていますが、実は、2つのカニはまったくの別物。大きな違いは、その色にあります。茶色で茹でると赤くなるのがズワイガニであるのに対して、ベニズワイガニの体の色はもともと鮮やかな紅色をしているんです。
▲水揚げされたばかりのベニズワイガニ。なかにはまだ動いているものも!

さらに、ズワイガニの多くが水深300m前後の海底に棲むのに対し、ベニズワイガニは水深1,000m付近の深海に棲んでいるなど、生息地帯にも違いがあるんです。ちなみに富山県の漁港でベニズワイガニがたくさん水揚げされるのは、“岸から少し離れただけでガクンと深くなる”という富山湾ならではの地形が影響しているそう。そうと知っては、食べずにはいられないですよね!
▲新湊漁港は“浜前漁場”と呼ばれるほどベニズワイガニの漁場に近い。獲れたてのベニズワイガニは、高級なズワイガニにも匹敵する甘みと旨みを併せ持つ

新湊漁港では1日に2回セリが行われていますが、朝と昼ではセリにかけられる魚介の種類が違うんだそう。その理由は漁法の違いにあります。

朝セリで並ぶ魚介類は、定置網漁という漁法で獲れたもの。海中を泳ぐ魚群を網で誘い込んで漁獲しているため、魚類が多く種類も豊富なのが特徴です。一方、昼セリで並ぶのは、小型漁船による底曳(そこびき)漁業やイカ釣り漁業、カゴ網漁業などの漁法で獲った特定の魚介類。季節によって内容が変わりますが、主に甲殻類や貝類、イカなどが並びます。9~5月の昼セリの主役はベニズワイガニ!
▲ベニズワイガニは、漁船ごとに同じサイズのものを10杯ずつ並べるのが決まりとなっている

昼セリ開始30分前。今回は特別に許可をもらってセリ場の中に入れてもらうと、カニを黙々と並べる人たちの姿がありました。実はこの人たちは、地元の漁師さん。自分たちの船で獲ってきたカニを自らの手で素早く並べていきます。
▲体液が流れ出ないよう、おなか側を上に向けて並べられる。並べ終わった後は、鮮度が落ちないよう上から氷がかけられる
▲ずらりと並んだベニズワイガニは、まるで赤い絨毯のよう!

この美しい眺めを見てください!昼セリの開始前から2階の見学スペースで待機することができるので、ぜひ写真に収めてくださいね。
▲この日は2,000杯以上のベニズワイガニが並んだ

撮影に夢中になっているうちに、あっという間に13時!昼セリが始まる前に急いで2階の見学スペースに戻ります。

見学にあたっては、いくつかの注意事項があるので、ここで確認!

・セリ中は、私語を控えて静かに見学すること
・指定された場所以外は立ち入らないこと(見学場所の途中移動は不可)
・セリ中はフラッシュ撮影及び動画撮影禁止

セリの邪魔にならないようルールはきちんと守りましょう。
▲セリ場の様子を2階から眺める見学者たち。若い女性の姿も多く見られた
▲上から眺めたセリ場の様子。一度のセリで、こんなにたくさんのベニズワイガニが並ぶなんてビックリ!
▲これから始まるセリに備えて、身の付き方や体つきなどを入念にチェックする仲買人たち

活気あふれる昼セリの様子を間近で見学!

定刻の13時。ブザーが鳴り、いよいよ昼セリが始まりました。
ハンドマイクを持っている人がどうやら進行役のセリ人のようですが……特殊なセリ用語を使っているので、何を言っているのかチンプンカンプン!さっぱり理解ができません!!
▲手前左側の赤い帽子をかぶった人がセリ人。その右側にいる赤い帽子の人は、競り落とされた商品、数量、競り落とした仲買人の名前などを記録する役

カニのセリは1ブロック(40杯)ずつ行われていくのですが、威勢の良いセリ人の掛け声も仲買人が繰り出すサインもとても早く、“気づくとセリが終了している”という状況……。誰が競り落としたのかも分からないまま、あれよあれよという間にどんどん進行していきます。
▲紺色や黒の帽子をかぶっている人が仲買人。鮮魚店や飲食店を営む人など、許可をされた人だけがセリに参加できる

競り落とされたカニの上には、仲買人の屋号を記したメモが置かれていきます。よ~く耳を凝らして、セリ人の声を聞いていると「ん千ん百円……」と言っているような!?でも、それ以外はやはり何を言っているのかまったく聞き取れませんでした。後で漁港のスタッフに聞いたところによると、1年ほど毎日通っていないと、この“呪文”を理解できるようにはならないのだそう。どうりで難しいわけです。
▲気付けば、見学通路の後ろの方までたくさんの人であふれかえっていた

ふと後ろを振り返ると、いつの間にか大勢の見物客でいっぱいに!バスツアーの参加者が来場すると一気に混雑するので、早めの時間からスタンバイをしておくのがおすすめです。
▲仲買人の手によってカゴに入れられ、運ばれていくベニズワイガニ

競り落とされたベニズワイガニは、競り落とした人やその従業員によってすぐさまカゴに入れられていきます。
▲入り口付近にある荷さばき所に次々と並べられていくベニズワイガニ。ここからトラックに積み込まれて、それぞれの店に運ばれていく

わずか30分ほどで、2,000杯以上あったベニズワイガニのセリはすべて終了となりました。見てください、このガランとしたセリ場を!さっきまでのにぎわいが嘘のようです。
▲カモメやカラスが残骸を求めて入ってこないよう、セリが終わったブロックからすぐに掃除が始められる

観光客に大人気の昼セリ見学。旅の行程に加えてみてはいかがでしょうか。活気あるセリの様子を間近で体感することができますよ!

獲れたてのベニズワイガニが楽しめる「新湊きっときと市場」

昼セリ終了後、再び「新湊きっときと市場」へ。お目当ては、たった今競り落とされたばかりのベニズワイガニ!こちらでは、先ほどまで漁港に並んでいた“きときと(富山の方言で「新鮮」という意味)”なカニを早速いただくことができるんです。
▲市場の入り口にあるカニ売り場。大きな釜で塩茹でされた茹でガニが売られていて、その場で食べることができる(茹で上がりは14時頃)
▲1杯1,500円(税込)~という手頃な価格でベニズワイガニを丸ごと堪能できる

渡されたお盆の上には、カニが1杯丸ごとドーン!殻むき用のキッチンばさみが添えられてきます。建物内には自由に使えるテーブル席がいくつも用意されているので、そちらでゆっくり味わうことにしました。
▲脚や爪の硬い部分は、キッチンばさみを使って身を取り出すべし

筆者は、後でまとめてカニを食べたい派!黙々とカニと格闘すること十数分……これだけの身をためることができました!
▲1,500円(税込)でも、甲羅に山盛りいっぱいの量のカニが楽しめる

まだ何本か脚が残っていましたが、もう我慢の限界!!たまらずカニ身を口に運ぶと、甘みがブワッと広がっていきました。ベニズワイガニの風味も想像以上に濃厚!う~ん、もう最高です!
▲カニ味噌と絡めると、より一層濃厚な味わいが楽しめる
▲建物内にあるフリースペース。自由に食事をしたり、休憩することができる

一番小さいサイズの1,500円(税込)のものでも食べ応えはバッチリ。1人で食べるには十分すぎるほどのボリュームなので、絶対に試す価値ありですよ!
▲建物内にある鮮魚コーナーでもベニズワイガニが売られている
▲カニだけでなく、新鮮な魚介類がズラリ。地方発送にも対応している

ベニズワイガニを使った丼や定食が充実!「きっときと亭」

鮮魚やお土産の購入もできる新湊きっときと市場ですが、中にある飲食店でも、さまざまなカニ料理を楽しむことができます。
▲インフォメーションセンターの隣にあるレストラン「きっときと亭」

こちらを訪ねた際にぜひ食べていただきたいのが、名物の「紅白丼」。塩茹でされたベニズワイガニと富山湾の特産品である白エビが惜しげもなくたっぷりと盛られた一番人気の丼です。
▲富山湾の名物が一度に楽しめる、カニ汁付きの「紅白丼」(2,300円・税込)

こちらのベニズワイガニも風味が濃厚で美味、美味♪ねっとりとした口当たりの白えびも、驚くほど甘くてビックリ!!ワサビ醤油を付けることで、甘みが一層引き立ちます。
▲ふっくらとしたベニズワイガニの身。殻をむく手間がないので、心置きなくそのおいしさを堪能できる

カニ身にガブリとかぶりつきたい方には、「かに天丼」がおすすめ!太いカニ脚2本と、ぎっしり身が詰まった爪2本がさくさくの天ぷらになって盛られているので、バッチリ満足感を得ることができます。「カニを食べた~!」と実感できる一杯。
▲天ぷらにすることで、ベニズワイガニの甘みが一層濃厚に。食べ応え満点の「かに天丼」(1,620円・税込)
▲甘みのある地元産の醤油をベースにした秘伝の特製ダレ。とろりと濃厚で、甘酸っぱい味わいがカニの風味とよく合っている
▲たくさんのテーブル席が並ぶ店内。注文はタッチパネル式になっている

冬の時季は「寒ブリ丼」(2,376円・税込)や「寒ブリづくし御膳」(3,456円・税込)なども登場するこちらのお店。いつ訪ねても、富山湾の“旬”をおなかいっぱい楽しむことができますよ!

超新鮮なベニズワイガニを贅沢に味わえる「新湊かに小屋」

もう1軒、ぜひともおすすめしたいのが、新湊漁港内にある「新湊かに小屋」。こちらの店舗でも、昼セリで競り落とされたばかりの超新鮮なベニズワイガニを9~5月の期間限定で食べることができます。
▲カニのイラストが描かれた看板と幟(のぼり)が目印。「高志の紅ガニ」の幟もはためく
▲浴槽ほどもある大きな釜で茹でられた獲れたてのベニズワイガニ。茹でる前よりも、一層赤みが増したように見える

たっぷり身が詰まった大ぶりのベニズワイガニですが、おいしさが一番伝わる食べ方は、やっぱりコレ!
▲カニのおいしさを余すことなく楽しめる「茹でガニ(1杯)」(1,800円・税込)
▲カニ爪も大ぶりで、しっかりとした弾力と旨みが楽しめる

「カニ1杯では物足りない!」という方には、「漁港鍋」もおすすめ。ベニズワイガニをはじめ、富山湾で獲れた新鮮な魚介類がたっぷり盛り込まれた、なんとも欲張りな内容です。
▲ごはん付きの「漁港鍋」(1人前3,000円・税込)。写真各3人前
▲具だくさんの熱々鍋は女子にも大人気!海の旨みがたっぷり詰まっている
▲たくさんの人でにぎわう店内

富山県産のベニズワイガニをおなかいっぱい食べられる「新湊かに小屋」。連日大盛況なので、予約をしてからの来店がおすすめですよ。
全国的にも珍しい昼セリ見学と、“きときと”なベニズワイガニ料理の数々。見て、食べて、富山湾の旬が楽しめますよ!富山旅行を計画中の方は、スケジュールに加えてみてはいかがですか?

(写真・香田はな)
松井さおり

松井さおり

出版社勤務を経て、フリーランスのライター&編集者に。雑誌や書籍を中心に、主に、食・旅・くらしなどにまつわる記事を執筆している。現在は、東京から長野県長野市に拠点を移し、県内外を奔走する日々。(編集/株式会社くらしさ)

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