レトロな洋館が並ぶ下関。おすすめ散策コースでノスタルジックな風情を満喫!

2019.01.14 更新

本州の西端・山口県下関市といえば、関門海峡の絶景やフグが有名ですが、実はレトロな洋館が立ち並ぶ、ノスタルジックな雰囲気がたまらなく素敵なエリアでもあるんです!和洋折衷のユニークな空間、淑女気分で楽しめる英国様式のアフタヌーンティーなど、女子旅にもおすすめな要素も満載。SNS映えを狙った写真撮影も楽しめますよ!

▲下関のランドマークの一つでもある「旧秋田商会ビル」。数々の洋館は「関門“ノスタルジック”海峡」として日本遺産にも登録されている

国際港として繁栄した下関には、レトロな洋館がいっぱい!

関門海峡の本州側に位置する山口県下関市。数々の絶景スポットやフグなどの海鮮グルメを目当てに、国内外を問わず日々多くの観光客が訪れています。
▲関門橋たもとは人気の絶景スポット。ひっきりなしに大小様々な船が海峡を通過していく

そんな魅力満載の下関にある海峡沿いの市街地・唐戸エリアを中心に、レトロな洋館が多数立地することをご存知ですか?明治から昭和にかけて国際港として繁栄した下関は、神戸や横浜のように、古い洋館をめぐるレトロな散策を楽しめる街でもあるんです!
▲「旧下関英国領事館」では唐戸エリアのMAPがもらえる。現存する洋館や跡地のほか、駐車場の位置も記載されている

洋館めぐりを楽しむのなら、同じ唐戸エリアに立地する観光施設「カモンワーフ」を起点とするのが便利です。食事処や土産店が集まる人気スポットであると同時に、多くの洋館は同施設から徒歩15分圏内に立地。周辺駐車場も豊富です。
▲唐戸エリアへはJR下関駅からバスで10分ほど。左側の白い建物が「カモンワーフ」、右奥の「唐戸市場」も人気スポット

今回は、館内が一般開放されている人気の3施設「旧下関英国領事館」「旧秋田商会ビル」「下関南部町(なべちょう)郵便局」を中心にご案内。すべて「カモンワーフ」から徒歩5分圏内に密集しているので、半日もあればコンパクトに見学できますよ。では、レトロな情緒あふれる下関・唐戸エリアの洋館めぐりへ出かけましょう!

和洋折衷の「旧秋田商会ビル」。屋上にはなんと日本庭園が!

最初に訪れるのは「旧秋田商会ビル」(下関市指定有形文化財)がおすすめです。というのも、開館時間が10:30~15:00(入場無料)と短いにもかかわらず、館内は見どころが盛りだくさんのため、時間に十分余裕を持って入館するのが安心だからです。

旧秋田商会ビルの場所は、カモンワーフから国道9号に出れば一目瞭然。歩道橋が架かる唐戸交差点の向こうに見える、エメラルドグリーン色のドーム型塔屋が目印です。
▲「旧秋田商会ビル」(右)は、カモンワーフから徒歩約5分。左隣の建物は「下関南部町郵便局」

1905(明治38)年に設立された秋田商会は、木材業や海運業を手がける会社として、下関の発展の牽引役となりました。同ビルは1915(大正4)年の竣工。その大きな特徴は、屋上に庭園を備えていることです。
▲ビルに近づいて見ると…!?何やら屋上に木が生い茂り、その中には日本家屋のようなものが?

今でこそ屋上に公園や庭園を備えた建物はそう珍しくはありませんが、こちらの屋上庭園は、現存するものとしては世界最古級の一つといわれているそう。この建物が、当時いかに先進的であったかをうかがい知ることができます。
▲鉄骨鉄筋コンクリート造の建物としては、当時において西日本初

ビルは地上3階・地下1階建て(地下は非公開)で、1階部分は秋田商会のオフィスとして使われていました。フロアいっぱいに長く伸びるカウンターなど、館内は当時の意匠が多く残されています。カウンターに寄りかかったり、洋窓を背に長椅子に座ったり、カメラでそのシーン切り取れば、レトロな雰囲気満点な写真の出来上がり!
▲フロア内にあるパネルでは、旧秋田商会ビルをはじめ、近隣の洋館について紹介している。観光パンフレットもあるので情報収集もしておこう
▲展示されている秋田商会の法被は、羽織って記念撮影OK。社章は長府(ちょうふ)藩を治めていた毛利家の家紋をそのまま利用したもの!毛利家と秋田家との間に血縁関係はないが、家紋を社章として利用することを許されたとされている
▲竣工時に設置された壁時計は、駆動方式のみ改造が施され今も現役です

さて、ビル外観や1階部分の意匠は洋風そのものですが、同ビルのユニークな点は「和洋折衷」なこと。2・3階も無料開放されているので、果たしてどんな空間になっているのか階上へ行ってみましょう。

階段の上り口からは靴を脱いで進みます。2階に上ると、洋風の壁に囲まれているのは畳の間!?なんと、和の空間が広がっているではありませんか~!

2・3階は、同社の創業者・秋田寅之介夫妻やその娘の居住スペースとして利用されていたそう。「白壁と洋窓」に「畳と障子」という和と洋が入り混じった組合せに、大正ロマンを感じます。よりタイムスリップした気分に浸るなら、撮った写真をセピア風に加工してみるのも面白いかも!?
▲2階の様子。洋風の白壁に囲まれて和室が並ぶ。フロア奥にあるトイレは100年以上前のもの。なんと当時から水洗完備だったそう

さらに、3階には20畳の大広間があります。隣室との柱や敷居を取り外すことで最大52畳分もの広さを確保できるそうで、その広大な空間は壮観。秋田商会の繁栄を肌で感じることが出来ます。
▲3階奥の大広間は宴会などに使われた。床の間の掛け軸や中国製の丸テーブルなど、当時のものがそのまま置かれている

なお、屋上庭園「棲霞園(せいかえん)」は、残念ながら安全上の理由で一般公開は無期限休止となっています。1館に展示されている写真を通じて、その様子を詳しく知ることができますが、今回は取材ということで特別に撮影させていただきました。
▲屋上庭園も純和風。園内にある日本家屋は来客のもてなしに使用された
▲かつて灯台として使用されていた塔屋。海峡を通る秋田商会の自社船に合図を送った
▲庭園全景の様子は1階に展示されている

その他にも、館内にそのまま残されている当時の電気スイッチ(触ってOK!)など細かな部分まで見ている内に、気が付けば時間はあっという間(汗)。開館時間が限られているため、洋館めぐりは同ビルを基準に時間配分をするのがベストです!小腹が空いてきたところで、カフェで軽食も楽しめる、お隣の洋館「南部町郵便局」へと移動します。

「旧」ではなく「現役」!南部町郵便局のギャラリーカフェでひと休み

「下関南部町郵便局」(国指定登録有形文化財)は、「旧赤間関(あかまがせき)郵便電信局」として1900(明治33)年に建てられたレンガ造の洋館です。郵便局としてなんと今も現役!下関に現存する最古の洋館であるだけでなく、全国に約24,000軒ある郵便局の中でも最古の局舎だそうです。
▲今も現役の「下関南部町郵便局」。こんなお洒落な郵便局があるなんて、地元の人が羨ましい~!奥に見える「旧秋田商会ビル」との並びも素敵!
▲正面の丸ポストも現役。なんと、旧赤間関局の郵便用具職人が丸ポストの生みの親というからさらにびっくり

建物の一部には「ポストギャラリー レ・ト・ロ」が入居し、「カフェ多羅葉(たらよう)」を営業。散策のついでに気軽にひと休みできるだけでなく、個展やコンサートなどイベント会場としても人気です。
▲カフェの入口は建物の左側面。ATMコーナー奥にあり、見学のみでも入館可(無料)
▲落ち着いた雰囲気の店内。屋根裏まで吹き抜けになっていて音の響きがとても良いそう

カフェは、100年以上もの歴史を刻む文化財ならではの特別なくつろぎが自慢。落ち着いた雰囲気はまさに大人の空間で、いかにもレトロモダンという言葉が似合います。

コーヒーや紅茶、ワッフル、ホットケーキといった喫茶メニューのほかに、“ハイカラ”という言葉がぴったりなカレーライスやハヤシライスもおすすめです。なかでも特製「多羅葉カレー」は絶品。パプリカや生姜などをたっぷり使ったスパイシーな味わいです。
▲名物「多羅葉カレー」(税込950円)は、サラダ、デザート、コーヒー付

さらに、カフェ奥の扉を開くと、そこには中世ヨーロッパを思わせるような石畳の中庭が~!フォトジェニックな空間であると同時に、天気が良ければ、こちらでランチやお茶を楽しむこともできます。お嬢様・お姫様気分に浸りつつ優雅な時間を過ごせそうですね。
▲郵便局の建物全体はコの字型。外界から完全に切り離された中庭は、カフェ営業時に開放される。結婚式を挙げることも可能

お次は「旧下関英国領事館」へと向かいます。郵便局の正面入口を背に立てば、唐戸交差点を挟んで左向かいに見える赤れんがの建物です。

明治にタイムスリップした空間で、英国式アフタヌーンティーを満喫!

赤茶色のレンガが美しく映える「旧下関英国領事館」(国指定重要文化財)は、1906(明治39)年に建てられました。領事館という役割の建物としては、国内最古なのだそう。
▲18世紀前期・アン女王の時代に流行した「クイーン・アン様式」で建てられている。煙突部分の階段状の壁などに注目
▲玄関の上には英国王室の紋章がある。一時期失われていたが、同王室の許可を得て忠実に復元された

こちらの施設も入館は無料!館内は、1941(昭和16)年まで領事館として使用されていた雰囲気をそのまま残しています。タイムスリップしたかのような感覚を味わえるだけでなく、異国情緒も存分に堪能することができますよ。
▲玄関横にあるのは旧待合室。時代ごとの唐戸界隈の移り変わりがタブレット端末で紹介されている

1階の右手奥にある広いお部屋が旧領事室。机や一部の椅子など、領事館時代に使われていたものがそのまま残っています。実際に座ることもOKなので、領事になった気分でぜひ記念撮影をしてみましょう!
▲旧領事室は暖炉も立派。来客用ソファーは後に用意されたアンティーク家具だが、領事の机と椅子は当時のまま
▲隣室は旧海事監督官室。建物についてのCG解説や、刻印入りレンガなどの展示物がある

2階には、海事監督官が居住していた旧寝室や旧居間があります。現在は「tearoom Liz」と名付けられたカフェスペースとなっており、見学のみでも自由に立ち入ることができます。
▲「tearoom Liz」は、しっとり大人の空間。スコッチなど、イギリスならではのお酒メニューも充実している

こちらのおすすめは、イギリス伝統のアフタヌーンティー。せっかくなら見学ついでに、美味しい体験も満喫しておきたいところです。2~3段のティースタンドにスコーンやスイーツが並ぶ様子は感動モノですよ!
▲3段セット税込2,160円(写真は2人前)。1段目にサンドイッチ、2段目にスコーン、3段目にスイーツがたっぷり!ランチを兼ねて注文する人も多い

アフタヌーンティーセットは2人前から注文を受け付けており、ほかに2段セット税込1,620円(スコーンとスイーツ)もあります。提供まで時間がかかるため、入店後に注文するよりも、あらかじめ店に予約を入れておくのがおすすめです。
なお、館内随所で来訪者を迎えてくれるのは、イギリス生まれの人気キャラクター・ピーターラビットのパネルやぬいぐるみたち。旧下関英国領事館とほぼ同じ年月を刻んでいることから、同施設の公式キャラクターとなり、各部屋の案内やカフェのメニューに楽しくかわいらしく華を添えています。
▲玄関横のショップにはイギリス関連の雑貨や紅茶、ピーターラビットグッズ(なんと300種!)が充実
▲1階別棟の附属屋はギャラリーとして使用されている

同館を徹底して堪能するなら、ぜひスタッフさんに声をかけましょう。各部屋の細かな意匠から、歴史をふまえた下関やイギリスの豆知識まで、部屋をめぐりながらいろいろなお話が聞けますよ!

時間に余裕があるのなら、近隣の洋館や美しいライトアップも堪能すべし!

唐戸エリアでは、もう少し足を延ばせば、さらなる洋館めぐりが楽しめます。前述した唐戸エリアマップや各洋館に置かれたパンフレットでも、相互に近隣施設の紹介があるので便利です。
▲1924(大正13)年竣工「旧逓信省下関電信局電話課局舎」(現「下関市立近代先人顕彰館田中絹代ぶんか館」)。唐戸交差点から徒歩約10分 ※開館時間9:30~17:00(月曜休館)、入場料は一般200円、小・中学生100円(ともに税込)
▲すぐ隣にある1907(明治40)年竣工「旧宮崎商館」(現ヨシダメディカルクリニック)※外観のみ見学可
▲1920(大正9年)年竣工「旧三井銀行下関支店」(現山口銀行旧本店)。唐戸交差点より徒歩約15分
▲内部は「やまぎん史料館」として無料で見学可能(10:00~17:00、月・火曜・祝日休館)

また、「旧秋田商会ビル」「下関南部町郵便局」「旧下関英国領事館」は通年でライトアップ(日没~22:00)されています。時間が許すなら、ぜひ夜景も押さえておきたいところです。
▲「旧秋田商会ビル」と「南部町郵便局」が隣り合う姿は、昼も夜も絵になる

唐戸エリアの洋館めぐり、いかがでしたか?明治から大正、昭和まで建てられた時代も違えば、建てられた目的も異なります。それぞれの雰囲気もガラリと変わりますが、いずれの洋館も写真映え抜群!海峡の街・下関で、ノスタルジックなタイムトラベルを楽しみませんか?
兼行太一朗

兼行太一朗

フリーライター・カメラマンとして、山口県を拠点に活動中。 主に旅行、グルメ、歴史、地方創生などについての書籍やウェブサイトを中心に取材・執筆を行っている。拠点とする山口市では、歴史資源を生かした地域活性化に取り組むNPO法人「大路小路まち・ひとづくりネットワーク」にも所属し、守護大名大内氏や幕末に関する史跡、ゆかりの場所や人物についての取材を担う。(編集/株式会社くらしさ)

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