南国の城下名物の厚焼き玉子やおび天を味わう「飫肥」で食べあるき!

2018.12.29 更新

宮崎県の南部に位置する日南市の城下町「飫肥(おび)」。東京五輪の会場となる新国立競技場の建材にも使われる「飫肥杉」の産地としても知られています。こちらでは古い街並みや文化財とその風情を楽しみながら、名物グルメのおび天や厚焼き玉子などを味わう食べあるきがおすすめ。では、さっそく旅をスタートさせましょう。

お得で楽しい「あゆみちゃんマップ」。名所めぐりと食べあるきのお供に

1588(天正16)年から明治初期までの約280年間、伊東氏の城下町として栄えた飫肥。約100年間にわたって薩摩の大名・島津氏と日向伊東氏が領地を激しく争った地で、国の重要伝統的建造物群保存地区に保存されています。現在、飫肥城跡地には日南市立飫肥小学校があり、子どものたちの元気な声が聞こえてきます。JR日南線・飫肥駅から徒歩約15分でアクセスできます。
▲石垣が続く城下町

そんな飫肥城をはじめとした城下町散策を楽しむなら、まずは飫肥城の観光駐車場そばにある案内処へ。飫肥のグルメやイベント情報を教えてくれます。
▲ご当地キャラの「飫肥城あゆみちゃん」もお出迎え

ここで購入できるのが、地元名物の引換券付き食べあるき・町あるきマップ「あゆみちゃんマップ」。裏面で地元の41のお店が紹介され、5枚付いている引換券でそれぞれのおすすめ商品と交換できます。さらに飫肥城内の「松尾の丸」や「歴史資料館」など7カ所の施設に入館できる共通券がセットになっています。
▲「あゆみちゃんマップ」(大人1,200円、高校・大学1,100円、小・中学生1,000円。 ※すべて税込)

7カ所の施設への入館料が大人610円なので、残りの約600円分で5つの店や施設のおいしいもの、特産品などをゲットできる仕組みです。今回はこの超お得なマップを使って、町あるきを楽しみます!
▲引換券5枚と「商家資料館」「旧山本猪平家」「旧高橋源次郎家」の入館券がセットになった700円のタイプもあります
▲マップは案内処のほか、飫肥城由緒施設でも購入できます。今回は案内処の向かいにある「豫章館(よしょうかん)」でマップを購入

格式ある武家屋敷も。飫肥城当主・伊東家の施設をめぐりタイムスリップ

食べあるきの前に、歴史ある建造物や資料館もめぐってみたい!ということで、まずは豫章館を見学します。こちらは、1869(明治2年)年に城内より旧藩主が移り住んだ邸宅。かつて敷地内に大きな楠木があり、老楠の別称が「豫章木」であることから、こう呼ばれるようになりました。
▲豫章館のエントランス(開館時間9:00~17:00、年中無休)
▲飫肥では最も格式があるといわれる武家屋敷
▲緑豊かな庭で休憩。日常を忘れてほっとできます

屋敷はとても広く、その歴史ある建物に格式の高さを感じます。残念ながら建物内に入ることはできませんが、竹林に囲まれた庭のベンチに座りのんびり目をつぶって、武家の暮らしをしばし想像。それだけで優雅な気分になれました。
▲豫章館を出て飫肥城の象徴「大手門」へ

豫章館を出ると、飫肥城の見どころ大手門が見えてきます。大手門は復元されたものですが、やっぱり写真を撮らずにはいられない立派さですね。
▲飫肥城の大手門
▲大手門の裏はこのように石垣がたくさん積まれています
▲城内の「歴史資料館」には飫肥藩ゆかりの資料、約220点が展示保管されています(開館時間9:00~17:00、年中無休)
▲「松尾の丸」にはお殿様の気分になって撮影できるお座敷も(開館時間9:00~17:00、年中無休)

飫肥城の近くには「国際交流センター 小村記念館」(開館時間9:00~17:00、年中無休)があります。日本の近代外交の礎を築いた明治時代の外交官・小村寿太郎は飫肥の出身。彼の生い立ちから亡くなるまでの56年の生涯と、特に1905(明治38)年にポーツマス講和条約を結ぶまでの足跡などが解説されています。
▲館内には等身大パネルを設置。身長156cmだったとの説明書きが!

小柄な体格ながら世界を股にかけて明治維新後の日本を代表し、外交していたことに感動を覚えました。こちらも共通券で入館できる7施設のうちのひとつなので、興味のある方は足を運んでみては。

揚げたてふわっふわ!おび天を実演販売する「おび天 蔵」

飫肥の歴史を垣間見たら、いよいよ今回のメインテーマである食べあるきを始めましょう!まずは、飫肥特産の天ぷら・おび天の店「郷土料理 おび天 蔵」を訪れます。
▲飫肥城跡から徒歩約2分。飫肥城観光駐車場のすぐ近くにあります。城下町巡りの起点となる場所です

こちらはもともと江戸時代に飫肥藩の藩役所だった建物。その後、1873(明治6)年に小村寿太郎の父である小村寛が総代人を務めた「飫肥商社」がここで創業されました。瓦ぶきの屋根と巨大な小屋組みが特徴です。
▲1階ではおび天を実演販売している

1階ではスタッフが、次から次へとおび天を揚げていました。この日は団体の予約が4つ入っていたため、午前中だけで「160枚以上を揚げました」と笑顔で話してくれました。
▲1枚1枚手で成型
▲低温で約5分間揚げていきます

白身魚のすり身と豆腐を主な材料とし、黒糖、みそ、しょうゆで味つけ。適当な大きさの「木の葉」の形に成形し、低温で5分ほど揚げます。もともとは小魚を利用した江戸時代の“庶民のおやつ”で、これが現代まで親しまれ、地元で受け継がれています。
▲香ばしく揚げられたおび天

揚げたての香ばしい香りが!あゆみちゃんマップの引換券を使って、おび天をゲットします。
▲黄金色に揚がったおび天をいただきます!(購入する場合は1枚100円 ※税込)
▲白身魚たっぷり

実食!揚げたてはふわふわ。おしょうゆの香りと黒糖の風味がふわっと漂って、おいしーい。普通のさつま揚げの食感とぜんぜん違うのは、豆腐を練り込んでいるからなんですね。冷めたあとは黒糖のほんのりとした甘さが感じられ、よりデザートに近い感覚になりました。
▲1階ではおび天のほか漬け物や焼酎など土産物も販売する

お店の2階は食事処になっているということで、ランチもいただくために階上へ。
▲地元産の魚や野菜にこだわった料理が並びます

揚げたてのおび天や「ごぼうのちぎり揚げ」がついたこちらは「おび天定食(松)」(税込1,360円)。地元産の食材にこだわり、厚焼き玉子、梅肉としその葉を挟んだかまぼこ、キンカンの甘露煮、まだか漬け(切り干し大根の甘酢漬け)、かに巻き汁など10品がセットになった豪華な定食です。

かに巻き汁とは、ワタリガニの甲羅を干してつぶしたものをみそと水で割り、調味して作ったお味噌汁。とても手間がかかる料理で、甲羅からとったかにの出汁が香り高く、かに好きにはたまらない一品です。
定食の一品である、この食べ物は何だと思いますか?「むかでのり」という名前です。「トゲキリンサイ」とも呼ばれる赤紫の海藻を火にかけて、型に入れて固め、味噌漬けにしたもの。とってもプルプルしていて、味はすこし塩辛く、ごはんのお供にぴったりです。日本酒のおつまみとしてもいただけそう!
▲ゴマがたっぷり入った「かつお飯」(税込880円)もおすすめ

揚げたてのおび天をいただける「おび天 蔵」。日南の食文化を知り、新鮮な材料をふんだんに使った料理に大満足でした。

焼きたて玉子がおいしそう!でも冷めるまで待つべし…「厚焼処 おびの茶屋」

飫肥の名物はおび天だけじゃありません。厚焼き玉子も名物なんです。飫肥では、お正月やお祝い事に厚焼き玉子を食べることが多く、郷土料理の一つとして親しまれています。そこで飫肥城跡から徒歩約4分、城下町の端の商店が並ぶあたりにある「おびの茶屋」へ。1995(平成7)年創業で、地元の人にも観光客にも愛されています。
▲黄色い看板が目印の「おびの茶屋」。こちらでは「厚焼卵」という表記で販売されています

こちらでは店内で厚焼卵の実演販売を行っています。さっそく見せてもらうと、なんと七輪で焼いています。銅製の玉子焼き器は18cm四方で深さ6cm、見るからに重そうです。その焼き器へ卵液を入れて七輪の上へ。店主のこだわり、木炭の「おが炭(たん)」をのせて熱を加えます。ひとつ作るのに卵20個ほどを使っており、完成までには1時間もかかるそう!
▲鉄製ふたに「おが炭」をのせて上からも加熱
▲店主の久島佳朗(きゅうしまよしろう)さん。夏には室温50度にもなるそうで、「夏は午前中しか作れません」とのこと

ようやく完成した厚焼卵がこちら!ふわっふわで今すぐ食べたいと思ってしまいますが、ちょっと待った。
▲厚さ5cmほどの焼きたて、ふわっふわの厚焼卵は見るからに美味しそう

飫肥の厚焼き玉子は熱々ではなく、冷ましたものをデザート感覚で食べるものなんです。食感はなめらかなプリンと寒天の中間のような弾力で、のど越しはつるつるっ!砂糖の甘みもきいています。これは初めての体験でした。
▲こちらが熱を冷ましたあとの厚焼卵

久島さんは「おが炭でじっくり弱火で1時間焼くので、冷やした時にプリンのような食感になるんですよ。火加減が強いと気泡ができてしまったり、厚焼卵が固くなってしまいます」と話してくれました。
▲引換券1枚でゲットできるのは二口分です(持ち帰り用は小700円、中1,300円、大2,500円 ※すべて税込)。外のベンチのほか、店内にも飲食スペースあり

二日がかりで丁寧に作るからおいしい!「日南銘菓 飫肥せんべい」

▲街の水路には鯉が

飫肥の町では、古き良き街らしく道路の脇を流れる水路に鯉がたくさん。観光客や地元の人など見る人を癒してくれますが、筆者がそばによっていくと…
▲鯉に嫌われてしまいました

どんどん鯉が逃げていき…。せっかく写真を撮ろうと思ったのに、残念。気を取り直して、食べあるきのラストを飾るお店へレッツゴー!
▲「日南銘菓 飫肥せんべい」。城下町の中心から東側800mほどのところにあり、車で行けば必ず通るところ

到着しました!地元名物の飫肥せんべいを販売してるお店の一つ、1954(昭和29)年創業の「日南銘菓 飫肥せんべい」です。飫肥せんべいは、手みやげや贈り物にも重宝されているお菓子。地元の人にとっては「おばあちゃん家には必ずあるお菓子」として有名なんだそう。
▲店先には看板に手描きされた可愛らしいイラストも
▲これが飫肥せんべい。形が松なのは、飫肥城内にかつて植えられていた松をモチーフにしているから

今回は特別にお店の方に作り方を見せていただきました。

原料はもち粉で、これを水に練ってティースプーン1杯くらいの大きさに切り分けます。そして飫肥せんべい専用の鉄板に一つずつ載せていきます。
▲せんべいの原料であるもち粉を水で練って小さく切り分けた生地
▲生地を鉄板の上にのせて

そのまま鉄板のふたの部分で押さえると、瞬く間に松の形の飫肥せんべいが焼きあがります。
▲鉄製の型に入れて焼く。この後、手作業で型から抜いて丸一日乾かします

飫肥せんべいは、2枚の薄いせんべいの間に砂糖蜜が挟まっているのが特徴です。そこで、せんべいの間に挟む砂糖蜜を作る様子も見せてもらいました。工場では砂糖が固まらないようにずっと火にかけているそうです。
▲火をかけて温められている砂糖蜜

こうしてできた砂糖蜜を、丸一日かけて水分をとばしたせんべいに塗り、もう一枚のせんべいでサンドします。せんべいも蜜も湿度にすぐに影響されてしまうので、気をつけて管理し、工程をすすめるそう。結果、ひとつの飫肥せんべいを作るのに二日かかるのです。シンプルなお菓子ですが、手間ひまかけて作られていることがわかりました。
▲サクサクとした食感が魅力

そして食べてみると、さくさくした食感とほのかに甘い砂糖蜜がちょうどいい!口当たりも軽いので何枚でも食べられるお菓子です。今回初めて、手間のかかる手作りの温かさを知り、よりおいしく感じられるようになりました。
▲引換券1枚で飫肥せんべい2枚に交換(10枚入り・税込540円)
以上、のんびりとした風情に癒された飫肥の町あるき・食べあるきをお届けしました。お店の方や案内処の方など、チャーミングでフレンドリーな地元の人々のやさしさにも触れて、ほのぼの温かい気持ちに。人との触れ合いも楽しい日南・飫肥の旅となりました。あなたも南国の城下町・飫肥でお腹も心も満たされる楽しいひと時をお過ごしください。
新名有佳

新名有佳

フリーランスライター。宮崎県出身。生まれた頃から海や山、自然に恵まれた宮崎県北の日向市で過ごす。高校時代は福岡で暮らし、都会と地元の違いを体感。故郷では「当たり前」だったことに価値があると気づく。通信制の短大で学びながら、地域活性化に取り組む。ローカルフードをこよなく愛す。 (編集/株式会社くらしさ)

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