南国の城下名物の厚焼き玉子やおび天を味わう「飫肥」で食べあるき!
宮崎県の南部に位置する日南市の城下町「飫肥(おび)」。東京五輪の会場となる新国立競技場の建材にも使われる「飫肥杉」の産地としても知られています。こちらでは古い街並みや文化財とその風情を楽しみながら、名物グルメのおび天や厚焼き玉子などを味わう食べあるきがおすすめ。では、さっそく旅をスタートさせましょう。

お得で楽しい「あゆみちゃんマップ」。名所めぐりと食べあるきのお供に

そんな飫肥城をはじめとした城下町散策を楽しむなら、まずは飫肥城の観光駐車場そばにある案内処へ。飫肥のグルメやイベント情報を教えてくれます。

ここで購入できるのが、地元名物の引換券付き食べあるき・町あるきマップ「あゆみちゃんマップ」。裏面で地元の41のお店が紹介され、5枚付いている引換券でそれぞれのおすすめ商品と交換できます。さらに飫肥城内の「松尾の丸」や「歴史資料館」など7カ所の施設に入館できる共通券がセットになっています。

7カ所の施設への入館料が大人610円なので、残りの約600円分で5つの店や施設のおいしいもの、特産品などをゲットできる仕組みです。今回はこの超お得なマップを使って、町あるきを楽しみます!


格式ある武家屋敷も。飫肥城当主・伊東家の施設をめぐりタイムスリップ



屋敷はとても広く、その歴史ある建物に格式の高さを感じます。残念ながら建物内に入ることはできませんが、竹林に囲まれた庭のベンチに座りのんびり目をつぶって、武家の暮らしをしばし想像。それだけで優雅な気分になれました。

豫章館を出ると、飫肥城の見どころ大手門が見えてきます。大手門は復元されたものですが、やっぱり写真を撮らずにはいられない立派さですね。




飫肥城の近くには「国際交流センター 小村記念館」(開館時間9:00~17:00、年中無休)があります。日本の近代外交の礎を築いた明治時代の外交官・小村寿太郎は飫肥の出身。彼の生い立ちから亡くなるまでの56年の生涯と、特に1905(明治38)年にポーツマス講和条約を結ぶまでの足跡などが解説されています。

小柄な体格ながら世界を股にかけて明治維新後の日本を代表し、外交していたことに感動を覚えました。こちらも共通券で入館できる7施設のうちのひとつなので、興味のある方は足を運んでみては。
揚げたてふわっふわ!おび天を実演販売する「おび天 蔵」

こちらはもともと江戸時代に飫肥藩の藩役所だった建物。その後、1873(明治6)年に小村寿太郎の父である小村寛が総代人を務めた「飫肥商社」がここで創業されました。瓦ぶきの屋根と巨大な小屋組みが特徴です。

1階ではスタッフが、次から次へとおび天を揚げていました。この日は団体の予約が4つ入っていたため、午前中だけで「160枚以上を揚げました」と笑顔で話してくれました。


白身魚のすり身と豆腐を主な材料とし、黒糖、みそ、しょうゆで味つけ。適当な大きさの「木の葉」の形に成形し、低温で5分ほど揚げます。もともとは小魚を利用した江戸時代の“庶民のおやつ”で、これが現代まで親しまれ、地元で受け継がれています。

揚げたての香ばしい香りが!あゆみちゃんマップの引換券を使って、おび天をゲットします。


実食!揚げたてはふわふわ。おしょうゆの香りと黒糖の風味がふわっと漂って、おいしーい。普通のさつま揚げの食感とぜんぜん違うのは、豆腐を練り込んでいるからなんですね。冷めたあとは黒糖のほんのりとした甘さが感じられ、よりデザートに近い感覚になりました。

お店の2階は食事処になっているということで、ランチもいただくために階上へ。

揚げたてのおび天や「ごぼうのちぎり揚げ」がついたこちらは「おび天定食(松)」(税込1,360円)。地元産の食材にこだわり、厚焼き玉子、梅肉としその葉を挟んだかまぼこ、キンカンの甘露煮、まだか漬け(切り干し大根の甘酢漬け)、かに巻き汁など10品がセットになった豪華な定食です。
かに巻き汁とは、ワタリガニの甲羅を干してつぶしたものをみそと水で割り、調味して作ったお味噌汁。とても手間がかかる料理で、甲羅からとったかにの出汁が香り高く、かに好きにはたまらない一品です。


揚げたてのおび天をいただける「おび天 蔵」。日南の食文化を知り、新鮮な材料をふんだんに使った料理に大満足でした。
郷土料理 おび天 蔵
宮崎県日南市飫肥9-1-8
[営業時間]9:00~17:00
[定休日]なし
0987-25-5717
焼きたて玉子がおいしそう!でも冷めるまで待つべし…「厚焼処 おびの茶屋」

こちらでは店内で厚焼卵の実演販売を行っています。さっそく見せてもらうと、なんと七輪で焼いています。銅製の玉子焼き器は18cm四方で深さ6cm、見るからに重そうです。その焼き器へ卵液を入れて七輪の上へ。店主のこだわり、木炭の「おが炭(たん)」をのせて熱を加えます。ひとつ作るのに卵20個ほどを使っており、完成までには1時間もかかるそう!


ようやく完成した厚焼卵がこちら!ふわっふわで今すぐ食べたいと思ってしまいますが、ちょっと待った。

飫肥の厚焼き玉子は熱々ではなく、冷ましたものをデザート感覚で食べるものなんです。食感はなめらかなプリンと寒天の中間のような弾力で、のど越しはつるつるっ!砂糖の甘みもきいています。これは初めての体験でした。

久島さんは「おが炭でじっくり弱火で1時間焼くので、冷やした時にプリンのような食感になるんですよ。火加減が強いと気泡ができてしまったり、厚焼卵が固くなってしまいます」と話してくれました。

厚焼処 おびの茶屋
宮崎県日南市飫肥8-1-12
[営業時間]9:00~17:00(完売次第閉店)
[定休日]水曜
0987-25-1240
二日がかりで丁寧に作るからおいしい!「日南銘菓 飫肥せんべい」

飫肥の町では、古き良き街らしく道路の脇を流れる水路に鯉がたくさん。観光客や地元の人など見る人を癒してくれますが、筆者がそばによっていくと…

どんどん鯉が逃げていき…。せっかく写真を撮ろうと思ったのに、残念。気を取り直して、食べあるきのラストを飾るお店へレッツゴー!

到着しました!地元名物の飫肥せんべいを販売してるお店の一つ、1954(昭和29)年創業の「日南銘菓 飫肥せんべい」です。飫肥せんべいは、手みやげや贈り物にも重宝されているお菓子。地元の人にとっては「おばあちゃん家には必ずあるお菓子」として有名なんだそう。


今回は特別にお店の方に作り方を見せていただきました。
原料はもち粉で、これを水に練ってティースプーン1杯くらいの大きさに切り分けます。そして飫肥せんべい専用の鉄板に一つずつ載せていきます。


そのまま鉄板のふたの部分で押さえると、瞬く間に松の形の飫肥せんべいが焼きあがります。

飫肥せんべいは、2枚の薄いせんべいの間に砂糖蜜が挟まっているのが特徴です。そこで、せんべいの間に挟む砂糖蜜を作る様子も見せてもらいました。工場では砂糖が固まらないようにずっと火にかけているそうです。

こうしてできた砂糖蜜を、丸一日かけて水分をとばしたせんべいに塗り、もう一枚のせんべいでサンドします。せんべいも蜜も湿度にすぐに影響されてしまうので、気をつけて管理し、工程をすすめるそう。結果、ひとつの飫肥せんべいを作るのに二日かかるのです。シンプルなお菓子ですが、手間ひまかけて作られていることがわかりました。

そして食べてみると、さくさくした食感とほのかに甘い砂糖蜜がちょうどいい!口当たりも軽いので何枚でも食べられるお菓子です。今回初めて、手間のかかる手作りの温かさを知り、よりおいしく感じられるようになりました。

日南銘菓 飫肥せんべい
宮崎県日南市今町2-1-12
[営業時間]9:00~16:00
[定休日]第2・4土曜、日曜、年末年始
0987-25-2272

新名有佳
フリーランスライター。宮崎県出身。生まれた頃から海や山、自然に恵まれた宮崎県北の日向市で過ごす。高校時代は福岡で暮らし、都会と地元の違いを体感。故郷では「当たり前」だったことに価値があると気づく。通信制の短大で学びながら、地域活性化に取り組む。ローカルフードをこよなく愛す。 (編集/株式会社くらしさ)
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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