刺身が絶品の天然さば「関あじ&関さば」を産地・大分市佐賀関でど新鮮なまま味わう
九州旅行でのお楽しみの一つといえば、新鮮な魚介類。おんせん県・大分を代表するブランド魚といえばぷりぷりのお刺身が評判の「関あじ」、そして「関さば」。そのおいしさの秘密を探るべく産地の佐賀関(さがのせき)へ行ってきましたよ。獲れたてのど新鮮な関あじ・関さば料理が味わえる漁港近くのレストラン情報も含め、ご紹介します。※本記事の情報は取材時点のものです。最新情報は直接施設にお問い合わせください。

漁場に釣り方、えさ、測り方など、おいしいブランド魚のための5条件

佐賀関半島と愛媛県の西端にある佐田岬に挟まれた好漁場・豊予(ほうよ)海峡で獲れるマアジ、マサバの中でも、刺身で味わえる新鮮さ、身の良さを保持するために行われる数々の条件を満たすものだけが、「関あじ」「関さば」の称号を得られるのです。
今回は関あじ・関さばの登録商標を行い、その品質管理に力を注いでいる大分県漁業協同組合佐賀関支店の高瀬大輔さんに詳しいお話を伺いました。

「豊予海峡は豊後水道とも呼ばれていますが、ここは瀬戸内海、太平洋がぶつかりあうとても潮流が速い海域で、魚のえさとなるプランクトンも豊富に発生します。中でも『速吸(はやすい)の瀬戸』と呼ばれるエリアは魚たちのすみかとなる瀬が満載で、海水温度も一年を通して一定。普通、あじ・さばは回遊する魚なんですが、あまりに居心地のいい環境なので、まさに離れる必要のない、魚の気持ちを考えれば離れたくない。つまり、関あじ・関さばはほかではあまり見られない“瀬付き”のあじ・さばなのです」と語る高瀬さん。
たっぷりのえさと速い潮流暮らしによって作られる健康優良“魚”。そのナイスバディなフォルムを、とくとご覧あれ!

「頭の小ささ、よく肥えて尾柄(びへい)のたくましいさまは、まさに豊予海峡の環境を表しています。さらに瀬付きの魚の特徴である金色味も帯びていますね」と高瀬さん。稚魚から約1年で15cm程成長しますが、そのまま瀬に住み続け、1kgサイズになるものもあるそうです。

関さばも実に美しいスタイル。回遊する中で一定期間、瀬に留まることは、食中毒の原因となる寄生虫「アニサキス」を取り込む機会も減る。実際、関さばの内臓を調べたところ、他の海域のマサバよりアニサキスが少なかった、という調査結果があるそうです。このことも関さばが生食できる要因の一つかもしれませんね。
また、年間を通して水温差が少ない「速吸の瀬戸」育ちのためか、関さばは蓄える脂肪の量の変化があまりなく、年中、安定したおいしさのお刺身が味わえるそうです。とはいえ、冬場(11月~2月)はやや脂がのるらしく、そのシーズンのお刺身は特有の歯応えはもちろん、濃厚な味わいも楽しめるとか。
なるほど、実に恵まれた環境に育まれたあじ・さばであることはわかりました。それがどうなると、「関」の名を冠することができるんですか、高瀬さん?
「関あじ・関さばには5つの定義があります。豊後水道の「速吸の瀬戸」で、上質な身を傷つけないように、1尾1尾丁寧に一本釣りで獲ること。この漁場と獲り方が第1、第2の定義です」と高瀬さん。こんな感じで釣られるそうです。
第3の定義は1本釣りの際のえさ。瀬のえさ以外をお腹に入れさせないために、まき餌の使用もNG。各漁師さんが魚の皮などで作った疑似餌、またはゴカイの使用だけが許されています。
このようにして釣った魚を船内のいけすに放ち、活かしたまま佐賀関漁港へ。この港での魚の扱い方も「関」の冠のためには欠かせないものだそうです。



「このやり方を『面(つら)買い』と言います。はかりにかけるとその上で魚が暴れて、せっかくの身が悪くなりますから。魚の品質を第一に考えるこの『面買い』も関あじ・関あじの定義の1つ(第4の定義)。漁協の中でもこれができるベテランの職員は数人ですよ」と高瀬さん。






「釣ったばかりの魚を、地元では『新魚(あらいよ)』と呼んでいます。新魚はかなり興奮状態で、前日に獲った魚と一緒にすると、それらを傷つけてしまう可能性があります。ですから新魚専用のいけすに放って、必ず1日落ち着かせてから、一緒にするようにしています」と高瀬さん。身も心もクールダウンした関あじ・関さばたち。さて、いよいよ出荷です。

まず、いけすから魚を揚げると、魚のエラ部分に包丁を入れ脊髄を切断し、海水につけて血を抜く『活け絞め』、その後、脊髄にワイヤーを差し込んで仮死状態にさせる『神経抜き(神経絞め)』という処理を、手作業で一匹ずつ丁寧に行います。
「『神経抜き』をすることで死後硬直を遅らせる事ができ、長く身をやわらかく保つ事ができるんですよ」と高瀬さん。これらの処理を終えた関あじ・関さばには……。

ということで、改めて関あじ・関さばの定義をまとめますと……。
1.佐賀関の組合員が一本釣りしたもの
2.漁場は豊後水道の「速吸の瀬戸」
3.エサの制限、疑似餌かゴカイだけ。まきえの禁止
4.面買い
5.佐賀関から出荷されたもので専用のパウチと証明のタグシール付き
上記の5条件を満たしたものだけが、刺身で味わえるど新鮮な関あじ・関さばとして世に出ることが許されるのです。現在、佐賀関漁協のほか、2つの水産会社が関あじ・関さばを出荷しているそうです。
ちなみに今回、取材させていただいたのは佐賀関漁港内にある「大分県漁業組合佐賀関支店 荷捌き施設」。その一角には関あじ・関さばを販売する直売所もあります。



また、お店の方にお願いすれば、関あじ・関さばが水揚げされる現場も案内してくれるそうです。ただし、天候や漁の状況などによって見学不可の時もあるので、その際はご了承くださいませ。
関あじ関さば直売所(大分県漁業協同組合 佐賀関支店内)
大分県大分市佐賀関2016-4
[営業時間] 9:00~17:00
[定休日]第2土曜
097-575-0513
朝どれ、絞めたて、ど新鮮な関あじ・関さばのお刺身を、地球いち早く味わえるお店





では、そろそろ人気の関あじ・関さば料理をご紹介しましょう。一番人気はやはり、見た目もインパクト大な姿造り!

目ヂカラあるねー!肌つやも良く、実に美しい!そして輝く関さばシール!
こちらのお店では、1匹丸ごとだけでなく、半身の姿造りも用意。おひとりさまやほかにもいろいろ食べたい、という人にとって半身の姿造りはうれしいですよね。ちなみに丸ごと1尾の「関さば姿造り」は3,400円。また、「関あじ姿造り」はまるごと一尾で2,900円、半身は1,800円(すべて税抜)。

「うちは漁港で絞めた魚は使いませんから。特別に毎朝、活魚のまま仕入れて1階のいけすに活かし、注文を受けてから、いけすから出して2階の調理場で神経絞め、活け絞めをして、即調理に取り掛かります。これ以上の獲れたて、絞めたての関あじ・関さばのお刺身ってないんじゃないかなぁ」と料理長。


感動の姿造りのほかにも、こちらのお店ではど新鮮極まりない関あじ・関さば料理が満載でした。.


まさに刺身が真骨頂の関あじ・関さばですが、そこにあえて火を入れるという、なんだかバチあたりなメニューもありましたよ。

なんてもったいないことを!と慄きながら口に入れると、まあ、なんてことでしょう!

ちなみに関さばは、フライはなく天ぷらで登場。どちらも単品だけでなく、先ほど紹介したりゅうきゅう、茶わん蒸し、お漬物、お味噌汁付きの御膳もあります。2人で行くとしたら、関あじ、関さばのお造りを半身ずつ、さらに関あじフライ御膳、関さば天ぷら御膳をオーダー、がおすすめですね。
あまべの郷 関あじ関さば館
大分県大分市大字白木949
[営業時間]直売所9:00~17:00、レストラン11:00~16:00※土・日曜。祝日は~21:00(但し、ネタがなくなり次第終了)
[定休日]なし(年末年始は要問合せ)
097-575-2338
行くなら3月上旬の土曜!関あじ・関さばがお得に味わえる漁港イベントへ



3大“関もの”のお刺身、さらに佐賀関の特産海藻「クロメ」入り味噌汁も付いた豪華定食。9:00の開始時間と同時に整理券を配りはじめるので、早めの来場がおすすめです。
関あじ関さばまつり
大分県大分市佐賀関2016-4 大分県漁協佐賀関支店 荷捌き施設
[開催日] 毎年3月上旬の土曜日
[開催時間]9:00~14:00
097-575-2000(NPO法人さがのせきまちづくり協議会)
佐賀関まで行く道中のシーサイドドライブもおすすめですよ。タイミングがあえば、佐賀関漁港にも行って、水揚げシーンもぜひ、見ていただきたい!おいしい魚のために手間暇を惜しまない海の男たち。素敵だし、かっこいいし、実はなかなか儲けてもいるらしい。惚れちゃいますよ。

山田誠
新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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