刺身が絶品の天然さば「関あじ&関さば」を産地・大分市佐賀関でど新鮮なまま味わう

2019.02.28 更新

九州旅行でのお楽しみの一つといえば、新鮮な魚介類。おんせん県・大分を代表するブランド魚といえばぷりぷりのお刺身が評判の「関あじ」、そして「関さば」。そのおいしさの秘密を探るべく産地の佐賀関(さがのせき)へ行ってきましたよ。獲れたてのど新鮮な関あじ・関さば料理が味わえる漁港近くのレストラン情報も含め、ご紹介します。

漁場に釣り方、えさ、測り方など、おいしいブランド魚のための5条件

関あじ・関さばの産地・大分市佐賀関は、対岸に愛媛県の佐田岬を望む佐賀関半島の突端にある港町。JR大分駅からは車で約50分、JR別府駅からは東九州道を利用して約60分で行けます。
▲臼杵(うすき)湾を望む佐賀関半島の南側にある佐賀関漁港

佐賀関半島と愛媛県の西端にある佐田岬に挟まれた好漁場・豊予(ほうよ)海峡で獲れるマアジ、マサバの中でも、刺身で味わえる新鮮さ、身の良さを保持するために行われる数々の条件を満たすものだけが、「関あじ」「関さば」の称号を得られるのです。

今回は関あじ・関さばの登録商標を行い、その品質管理に力を注いでいる大分県漁業協同組合佐賀関支店の高瀬大輔さんに詳しいお話を伺いました。
▲「ようこそ、佐賀関へ。まずは関あじ・関さばが獲れる環境についてお話ししましょう」と高瀬さん

「豊予海峡は豊後水道とも呼ばれていますが、ここは瀬戸内海、太平洋がぶつかりあうとても潮流が速い海域で、魚のえさとなるプランクトンも豊富に発生します。中でも『速吸(はやすい)の瀬戸』と呼ばれるエリアは魚たちのすみかとなる瀬が満載で、海水温度も一年を通して一定。普通、あじ・さばは回遊する魚なんですが、あまりに居心地のいい環境なので、まさに離れる必要のない、魚の気持ちを考えれば離れたくない。つまり、関あじ・関さばはほかではあまり見られない“瀬付き”のあじ・さばなのです」と語る高瀬さん。

たっぷりのえさと速い潮流暮らしによって作られる健康優良“魚”。そのナイスバディなフォルムを、とくとご覧あれ!
▲「関あじ」

「頭の小ささ、よく肥えて尾柄(びへい)のたくましいさまは、まさに豊予海峡の環境を表しています。さらに瀬付きの魚の特徴である金色味も帯びていますね」と高瀬さん。稚魚から約1年で15cm程成長しますが、そのまま瀬に住み続け、1kgサイズになるものもあるそうです。
▲「関さば」

関さばも実に美しいスタイル。回遊する中で一定期間、瀬に留まることは、食中毒の原因となる寄生虫「アニサキス」を取り込む機会も減る。実際、関さばの内臓を調べたところ、他の海域のマサバよりアニサキスが少なかった、という調査結果があるそうです。このことも関さばが生食できる要因の一つかもしれませんね。

また、年間を通して水温差が少ない「速吸の瀬戸」育ちのためか、関さばは蓄える脂肪の量の変化があまりなく、年中、安定したおいしさのお刺身が味わえるそうです。とはいえ、冬場(11月~2月)はやや脂がのるらしく、そのシーズンのお刺身は特有の歯応えはもちろん、濃厚な味わいも楽しめるとか。

なるほど、実に恵まれた環境に育まれたあじ・さばであることはわかりました。それがどうなると、「関」の名を冠することができるんですか、高瀬さん?

「関あじ・関さばには5つの定義があります。豊後水道の「速吸の瀬戸」で、上質な身を傷つけないように、1尾1尾丁寧に一本釣りで獲ること。この漁場と獲り方が第1、第2の定義です」と高瀬さん。こんな感じで釣られるそうです。

第3の定義は1本釣りの際のえさ。瀬のえさ以外をお腹に入れさせないために、まき餌の使用もNG。各漁師さんが魚の皮などで作った疑似餌、またはゴカイの使用だけが許されています。

このようにして釣った魚を船内のいけすに放ち、活かしたまま佐賀関漁港へ。この港での魚の扱い方も「関」の冠のためには欠かせないものだそうです。
▲早朝に出た船が、8:00~お昼にかけて続々と佐賀関漁港に帰ってきます
▲岸に設置したいかだ式のいけすに接岸。待ち構えていた漁協のスタッフが網を持って漁船に乗り込みます
▲船内のいけすをチェック。水面から魚の大きさを見て、おおよその重さを測ります

「このやり方を『面(つら)買い』と言います。はかりにかけるとその上で魚が暴れて、せっかくの身が悪くなりますから。魚の品質を第一に考えるこの『面買い』も関あじ・関あじの定義の1つ(第4の定義)。漁協の中でもこれができるベテランの職員は数人ですよ」と高瀬さん。
▲面買いが済んだら、魚をやさしく網に入れて
▲いけすにポーン!
▲ちゃぷ、ちゃぷ、ちゃぷ~ん
▲さきほどの面買いでの漁獲量を伝票に書いて、漁師さんに渡すと……
▲「よっしゃ、今日はもういっちょう、行ってこようかな!」と船は再び漁場へ
▲いけすの中を見ると、先ほど入れられた関あじが元気に泳いでいます

「釣ったばかりの魚を、地元では『新魚(あらいよ)』と呼んでいます。新魚はかなり興奮状態で、前日に獲った魚と一緒にすると、それらを傷つけてしまう可能性があります。ですから新魚専用のいけすに放って、必ず1日落ち着かせてから、一緒にするようにしています」と高瀬さん。身も心もクールダウンした関あじ・関さばたち。さて、いよいよ出荷です。
出荷前に、いけすの横の作業台で2つの処理が行われます。

まず、いけすから魚を揚げると、魚のエラ部分に包丁を入れ脊髄を切断し、海水につけて血を抜く『活け絞め』、その後、脊髄にワイヤーを差し込んで仮死状態にさせる『神経抜き(神経絞め)』という処理を、手作業で一匹ずつ丁寧に行います。

「『神経抜き』をすることで死後硬直を遅らせる事ができ、長く身をやわらかく保つ事ができるんですよ」と高瀬さん。これらの処理を終えた関あじ・関さばには……。
ご覧のようにきらり輝く金の縁取りが入った「関あじ」シールが添えられます。そして、このタグシール付きの状態で出荷されることこそが第5の定義。

ということで、改めて関あじ・関さばの定義をまとめますと……。
1.佐賀関の組合員が一本釣りしたもの
2.漁場は豊後水道の「速吸の瀬戸」
3.エサの制限、疑似餌かゴカイだけ。まきえの禁止
4.面買い
5.佐賀関から出荷されたもので専用のパウチと証明のタグシール付き

上記の5条件を満たしたものだけが、刺身で味わえるど新鮮な関あじ・関さばとして世に出ることが許されるのです。現在、佐賀関漁協のほか、2つの水産会社が関あじ・関さばを出荷しているそうです。

ちなみに今回、取材させていただいたのは佐賀関漁港内にある「大分県漁業組合佐賀関支店 荷捌き施設」。その一角には関あじ・関さばを販売する直売所もあります。
▲その名も「関あじ関さば直売所」。建物の右側部分が入口
直売所内には関あじ・関さばのほか、例の4条件を満たした天然ブリ「関ぶり」、天然鯛の「関たい」、天然イサキの「関いさき」を使った一夜干しやフライ、さらに大分名物であるお刺身をしょうゆベースのたれに漬けた料理「りゅうきゅう」など、佐賀関漁協のオリジナル加工品が満載。
一部の商品は近隣の道の駅、空港にも置かれているようですが、ここのほうが断然お得!事前に予約すれば、生のお魚も購入できます。郵送も可能です。

また、お店の方にお願いすれば、関あじ・関さばが水揚げされる現場も案内してくれるそうです。ただし、天候や漁の状況などによって見学不可の時もあるので、その際はご了承くださいませ。

朝どれ、絞めたて、ど新鮮な関あじ・関さばのお刺身を、地球いち早く味わえるお店

新鮮さが売りの関あじ・関さば。せっかくなら水揚げされたばかりのものを食べたいですよね。おすすめは関あじ関さば直売所のある佐賀関漁港から車で1分ほどの「あまべの郷 関あじ関さば館」。ここの関あじ・関さば料理はおそらく、地球いち新鮮なはず!
▲「あまべの郷 関あじ関さば館」
国道217号を挟んだ向かいには穏やかな白木海岸が広がります。
▲建物は2階建。1階は佐賀関産の野菜や魚介類、加工品などを販売する直売所
▲直売所の奥には大きないけすもあり、あじやさばをはじめ、いろんなお魚が元気に泳いでいましたよ
このいけすのお魚たちは、2階にある「白木海岸のレストラン」で味わえます。店内にはテーブル席や個室のほか、ご覧のような“オーシャンフロント”のカウンター席やテラス席も用意されています。

では、そろそろ人気の関あじ・関さば料理をご紹介しましょう。一番人気はやはり、見た目もインパクト大な姿造り!
▲「関さばの半身姿造り」2,200円(税抜)

目ヂカラあるねー!肌つやも良く、実に美しい!そして輝く関さばシール!

こちらのお店では、1匹丸ごとだけでなく、半身の姿造りも用意。おひとりさまやほかにもいろいろ食べたい、という人にとって半身の姿造りはうれしいですよね。ちなみに丸ごと1尾の「関さば姿造り」は3,400円。また、「関あじ姿造り」はまるごと一尾で2,900円、半身は1,800円(すべて税抜)。
ご覧ください、この透明感!口に入れた瞬間、衝撃のぷりぷり食感、しかも青魚特有の臭みも一切なし!逆にさば本来が持つ芳香、または味わいといいましょうか、それがじんわり楽しめます。あまりのおいしさに調理場にダッシュ、「料理長、うますぎです!」

「うちは漁港で絞めた魚は使いませんから。特別に毎朝、活魚のまま仕入れて1階のいけすに活かし、注文を受けてから、いけすから出して2階の調理場で神経絞め、活け絞めをして、即調理に取り掛かります。これ以上の獲れたて、絞めたての関あじ・関さばのお刺身ってないんじゃないかなぁ」と料理長。
関さばのアタマから背骨にかけてワイヤーを通し、神経締めを行ったのち、エラ側から包丁を入れ、脊髄を折り、海水につけて血抜き。そして素早い包丁さばきで一気に三枚におろすと……。
透明感のある薄ピンク色の身が登場。これを程よい厚みにシャッシャシャと引いていきます。いけすから出して、お刺身になるまで10分もかからず、テーブルへ。なるほど、ど新鮮だ。

感動の姿造りのほかにも、こちらのお店ではど新鮮極まりない関あじ・関さば料理が満載でした。.
▲「関あじ御膳」2,500円。注文後に活け絞めした関あじとサザエのお刺身のほか、旬の魚をゴマダレに絡めた大分名物のりゅうきゅう、茶わん蒸し、お漬物、お味噌汁付き。同様の内容の「関さば御膳」は2,900円(価格はともに税抜)
関さば同様にぷりぷりで歯応えの抜群な関あじのお刺身。しかも目をつぶったら「これって青魚じゃなくて、ほんとは白身魚じゃないの?」と思うほどのさっぱり味。青魚の匂いなんてみじんもない!

まさに刺身が真骨頂の関あじ・関さばですが、そこにあえて火を入れるという、なんだかバチあたりなメニューもありましたよ。
▲「関あじフライ」単品1,200円(税抜)

なんてもったいないことを!と慄きながら口に入れると、まあ、なんてことでしょう!
サクサク衣の次にやってくる、実にエアリーなふんわり食感。とっても上品な白身魚のフライみたい。これはもうあじフライの概念を超えた逸品。恐るべし関あじ!

ちなみに関さばは、フライはなく天ぷらで登場。どちらも単品だけでなく、先ほど紹介したりゅうきゅう、茶わん蒸し、お漬物、お味噌汁付きの御膳もあります。2人で行くとしたら、関あじ、関さばのお造りを半身ずつ、さらに関あじフライ御膳、関さば天ぷら御膳をオーダー、がおすすめですね。

行くなら3月上旬の土曜!関あじ・関さばがお得に味わえる漁港イベントへ

最後にお得でおいしいイベント情報を。毎年3月上旬の土曜日には、関あじ・関さばをはじめ佐賀関の鮮魚がお得にたっぷり味わえる「関あじ関さばまつり」が行われます。平成ラストの「第19回関あじ関さばまつり」は3月9日(土)の9:00~14:00に開催。
会場は先ほどご紹介した佐賀関漁港内の「大分県漁業組合 佐賀関支店 荷捌き施設」前。
佐賀関漁港に水揚げされた旬の魚介や地元野菜などの販売のほか、のどかな港風景を望みながら味わう海鮮バーベキューが楽しめます。ただし、地元の方々が狙うのは毎年恒例、1,000食限定、売り切れ御免のこちら!
▲「関あじ関さば関ぶり刺身定食」1,500円(税込)

3大“関もの”のお刺身、さらに佐賀関の特産海藻「クロメ」入り味噌汁も付いた豪華定食。9:00の開始時間と同時に整理券を配りはじめるので、早めの来場がおすすめです。
ということでいろいろ語らせていただきました、大分のブランド魚「関あじ・関さば」。実は別府市や大分市内、時には湯布院のお宿や飲食店で関あじ・関さばが登場しないこともないのですが、より新鮮さを求めるなら、やはり産地・佐賀関で味わうのが一番ではないでしょうか。

佐賀関まで行く道中のシーサイドドライブもおすすめですよ。タイミングがあえば、佐賀関漁港にも行って、水揚げシーンもぜひ、見ていただきたい!おいしい魚のために手間暇を惜しまない海の男たち。素敵だし、かっこいいし、実はなかなか儲けてもいるらしい。惚れちゃいますよ。
山田誠

山田誠

新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。

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