飛騨高山に行ったら絶対に食べたい!高山ラーメンの名店3選

2019.05.31 更新

国内のみならず海外からも注目を集める日本屈指の観光地、岐阜県・飛騨高山エリア。世界遺産・白川郷や美しい景観が多く残る高山市街地など、観光スポットが豊富な高山市には、連日多くの観光客が訪れています。そんな高山で古くから愛され続けているのが、「高山ラーメン」。今回はその中から特におすすめの3軒をご紹介します。

▲高山ラーメン発祥の店といわれている「まさごそば」の「中華そば」

古くから愛され続ける高山ラーメンとは?

今回の旅の舞台は、岐阜県高山市。
JR高山駅の東側は、江戸時代から城下町の中心として栄えたエリア。幕府直轄の役所だった「高山陣屋」や国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれている、その名も「古い町並」など、現在も歴史を感じさせる古い建物が数多く残っています。
▲全国に唯一現存する郡代・代官所「高山陣屋」
▲JR高山駅から徒歩で10分ほどのところにある「古い町並」

飛騨の小京都などと評され、連日多くの観光客で賑わう高山市内。趣きある町を散策していると、あちこちに「高山ラーメン」や「飛騨高山 中華そば」の文字が。
何を隠そうこのあたりは、たくさんのラーメン店がひしめき合う、ラーメン激戦区です。

高山ラーメンとは、昔ながらの醤油スープと細ちぢれ麺が特長の中華そば。昭和初期にはじまり、高山市民に広く親しまれてきました。最近では、大ヒットアニメ映画『君の名は。』で、高山ラーメンを食べるシーンが登場したこともあり、全国的な注目を集めて盛り上がっているようです。

「これはぜひとも食べてみたい!」というわけで、今回は高山ラーメンの魅力を徹底調査します。

高山ラーメン発祥の店「まさごそば」で、昔ながらの中華そばを堪能

まず訪れたのは、高山ラーメン発祥の店といわれている「まさごそば」。観光客で賑わう表通りから一本裏路地に入ったところにひっそりと店を構えています。
▲老舗ならではの趣きある「まさごそば」の外観

お店の中には、カウンターと座敷、奥にはテーブル席もあります。町の定食屋のようなアットホームな雰囲気です。
「こんにちは。高山ラーメン発祥のお店と聞いてやってきたんですが、ご主人が高山ラーメンをはじめて作られた方ですか?」
「義理の祖父のことだと思います。本人は照れて、元祖といわれることに抵抗してましたけれどね」

店を切り盛りしていたのは、三代目店主の坂口健司さん。健司さんの義理の祖父、時宗(ときむね)さんは飛騨高山の中華そばの草分け的存在として知られている方なんだとか。
▲創業当初の写真を見せてくれる三代目店主の坂口さん

「昭和13(1938)年のことです。当時、夜になると芸妓さんがおなかを空かせていたそうで。それを聞いて、義理の祖父が夜に屋台を始めたんです」

日中は、高山の料亭で板前として働いていた初代・時宗さんは、夜に屋台を出すことを決意。日本料理の修行中に出会った中国人から話を聞き「支那そば(現在の中華そばやラーメンのこと)」を出し、夜な夜な町をめぐっていたそう。
▲メニューは、創業当時から変わらない「中華そば」一択

「それが今の高山ラーメンのはじまりだとされているみたいです」
「へえ~。すごく歴史のあるラーメンなんですね」
お話をうかがっているうちにどんどんお腹がすいてきちゃいました。
「何はともあれ、まずは食べなきゃはじまらない!」ということで早速「中華そば」を注文。
▲「中華そば」700円(税込)

こちらが元相高山ラーメンです!!
「わりと濃い色をしているんですね」
初代、時宗さんがもともと日本料理専門だったことから、スープはかつお出汁をベースにした醤油スープ。一見かなり濃厚ですが、その味は果たして……。
スープを飲んでみてびっくり!とてもすっきりとしたキレのある味わいと、華やかな醤油の風味。非常にコクがあります。

「通常、ラーメンのスープは、豚骨やかつおなどからとられる“出汁”と醤油などの“かえし(タレ)”からなっていて、ラーメンは、この出汁とかえしをそれぞれ別々の鍋で作り、注文が入ってから丼で混ぜ合わせるのが一般的。だから、醤油・味噌・塩など、かえしを何種類か作ることで、出汁が1種類でもいろいろな味のラーメンを提供できるようになっているんです。しかし、義理の祖父は、屋台であまり広い調理スペースが確保できなかったこともあって、出汁が入った寸胴鍋に醤油(タレ)を入れていっしょに煮込んじゃったんです」
▲出汁と醤油を同じ鍋で煮込む、坂口時宗流が高山ラーメンの大きな特長のひとつ

この方法が画期的だったのは、調理スペースだけではありません。健司さんによると、出汁とタレをいっしょに煮込むことで独特なコクが出るそう。
「日本人なら誰にでも好まれそうなやさしい味ですね」
創業以来変わらないというスープは、和風の上品な味わいに胡椒のスパイシーなアクセントが効いていて、くせになりそう。日本料理が専門だった初代店主ならではの技が光ります。
つづいては麺。「まさごそば」の麺は店主が毎日、閉店後から翌日分の仕込みをするという自家製麺。ちぢれが強い極細麺でスープとよく絡み、噛むほどに小麦の甘みを感じることができます。

そして具は、チャーシューとメンマ、ネギのみというシンプルな構成。なかでも注目は、地元の名産「飛騨ネギ」。
「まさごそば」で使用されているたくさんの飛騨ネギは、素材にこだわる店主が秋から冬にかけて自ら栽培したもの。
さらに、風味を損なわないよう切り置きはせず、注文が入るたびに丼の上で切っていくという徹底ぶり。
「これも屋台のころからの技。空中でそぎ切りにして、そのまま丼に入れていくんです」
これにより飛騨ネギの食感が引き立ち、よりシャキシャキに。お客さんたちからは「ネギの真空切り」などといわれ、パフォーマンスとしても密かに注目されているようです。
「ひと通り食べ進めたら、お酢を入れて味の変化を楽しんでみてください」
「え!!ラーメンに酢を入れるの?」
「まさごそば」に限らず、多くの高山ラーメンのお店には、お酢が置いてあります。昔、お酢好きな人がラーメンに入れてみたところ、これが大好評。今では広く高山で認知されている食べ方なんだとか。恐る恐るお酢をひと回しかけて実食。
「うん。全然あう!!」
醤油の味がまろやかになり、後味がさっぱりするのでおすすめです。

あっという間に一杯をペロリ。シンプルながら贅沢な一杯で、スープまで完食です。
老舗「まさごそば」は、実は平成20(2008)年に類焼にあい、全焼。長期休業に追いこまれました。二代目・坂口順治さんは、一度は店を畳もうと思ったそうですが、常連客からの強い後押しもあり、店を再開。

「新しいお店が次々とオープンし、盛り上がりを見せる高山ラーメン。多様に発展していくのは喜ばしいことですが、一方で、昔ながらの伝統を守り引き継いでいくことも重要だと思ったんです」

坂口さんは、高山ラーメンの老舗5店による「飛騨高山中華そば伝承会」に所属。現在、伝統の味を守っていく活動にも尽力しています。元祖高山ラーメンの味を守り続けている「まさごそば」。本物の高山ラーメンを味わってみてください。

行列の絶えない人気店「麺屋しらかわ」で至高の味に舌鼓!

次にご紹介するのは、高山一行列のできる店といわれる「麺屋しらかわ」。
多いときには150人以上の列ができることもある、超人気店です。この日も、歩行者用のアーケードがある国分寺通りを進んでいくと、大行列。
こぢんまりした店内に入ると……スタッフの方々の威勢のいい声が響き、活気にあふれていました。
「いらっしゃいませ~い!!」
▲「麺屋しらかわ」店主の白川宗弘(むねひろ)さん

ひときわ大声で元気よく動き回っていたのが、店主の白川さん。次々と入る注文に調理を続けながら、「お客さんはどちらから来られたんですか?」「高山を楽しんでいってくださいね!」など、カウンター越しにお客さんと会話を弾ませています。

こちらでも何はともあれ、まずは注文。
▲「中華そば(並)」800円(税込)

「はい。おまちどうさま!」
出てきました!行列に並んでも食べたいラーメン「中華そば(並)」。昔ながらの飛騨高山の中華そばをベースにしながらも、華やかで豪華さがある一品です。

それでは、まずはスープを一口。
口に入れた瞬間、「ガツン」とくる濃厚な醤油の旨み。その後、野菜や鶏、にぼしなどの豊かな風味がじわじわと口の中いっぱいに広がります。そして、最後にブラックペッパーの刺激がピリリと味をひきしめます。
鶏ガラやかつお、にぼし、高山野菜などを7時間以上煮込んでつくられる「麺屋しらかわ」のスープ。「雑味をなくすため、いろいろな材料を足していくのではなく、いかに余計なものを省いていくか、味の引き算が重要」と話す白川さん。濃厚でありながら洗練されており、後味にもキレがあります。
そして麺。こちらの店で使用されているのも「まさごそば」同様、細めのちぢれ麺。しかし、「まさごそば」に比べると、かなりちぢれが強い印象です。高山の老舗製麺所が作っているというこの麺は「この麺にあう最高のスープを作るために、この店をオープンした」というほど、白川さんが惚れ込んだ麺。スープとの相性もバツグンで、ついつい食べすすめてしまいます。
そして、忘れてはいけないのが、この味付け玉子。
「うわぁ~。トロトロ~」
黄身のオレンジ色がとても鮮やかで、これ以上ないほど絶妙な茹で加減。高山ラーメンに欠かせない飛騨ネギもまったく辛味がなく、後味をさっぱりとさせるアクセントになっています。
「好きなラーメンの味は人それぞれ。でも、幅広い人から愛される味ってあると思うんです。だから、地元で愛され続ける伝統の高山ラーメンを、高山を訪れるたくさんの人たちに喜んでもらえるような一杯に進化させたいと思ったんです」
白川さんの熱い思いがこめられた至高の一杯に、お腹も心もいっぱいです。
近年は海外からも多くの観光客が訪れるという高山。店内の外国人観光客にも流暢な英語で話しかける白川さんの笑顔からは「高山を盛りあげたい」という純粋な思いがあふれ出ていました。
▲お土産としても人気の持ち帰り用中華そば・2食入り600円(税込)

「麺屋しらかわ」では、店舗で食べたような本格的なラーメンを自宅で気軽に味わえるお土産も販売しています。細ちぢれ麺はそのままに、スープの味も店舗の味を完全再現。本かつおを煮込んだときの酸味を表現するため、「ゆず果皮」もついてくる本格仕様で、お土産に喜ばれること間違いなしです。

「店が繁盛することよりも、僕の大好きな高山が盛り上がっていくことが何よりもうれしい」と語る白川さんの思いがこもった高山ラーメン。ぜひお試しあれ。

外国人観光客にも話題のフレンチシェフが提供する高山ラーメン「中華そば専門店 M」

最後にご紹介するのは、なんと、フレンチシェフがオープンしたラーメン店。
▲本町通りとさんまち通りの交差点にあるフレンチレストラン「LE MIDI(ル ミディ)」

観光客で賑わう「古い町並」からほど近い、本町通りの角に立つフレンチレストラン「LE MIDI」は、某旅行口コミサイトのランキングで全国4位に選ばれたこともある本格フレンチの名店!そんな「LE MIDI」のフレンチシェフがオーナーを務めるお店が「中華そば専門店 M」です。
▲「中華そば専門店 M」。「LE MIDI」から歩いてすぐのところにあり、こちらのお店にも「LE MIDI」の文字があしらわれています

こちらが「中華そば専門店 M」。白と青を基調にした外観は洗練されたフレンチレストランの雰囲気を残していて、女性1人でも入りやすそう。
▲オーナーの田上克憲(たがみかつのり)シェフ(右)と五十嵐店長(左)

店内で迎えてくれたのは、オーナーの田上シェフと、五十嵐店長。
田上シェフはもともとフランスにある、フレンチの名店の数々で修行を積んできた本格フレンチシェフ。現在は、「LE MIDI」で腕をふるいながら、このお店のほかにもイタリアンレストランやスイーツ専門店など、計4つの店舗を手がけています。
「この地で古くから愛され続ける高山ラーメンに、フレンチのノウハウを注ぎ込んでみたら、何かおもしろいものができるんじゃないかと思ったんです」と田上シェフ。

現在は、シェフから絶大な信頼を寄せられている五十嵐店長が調理場に立ち、田上シェフが開発した新感覚の高山ラーメンのほか、期間限定メニューなど数々のラーメンを提供しています。

そんなすごい人たちが作るラーメン。想像するだけで楽しみですね!
早速作っていただきました。
「中華そば専門店 M」の特長は、まろやかなオリジナルスープ。このスープには、なんと本店のフレンチレストランで作られているブイヨン(肉と香味野菜からとるフレンチの出汁のこと)が使われているんです。

同店のブイヨンは、「ひねどりの鶏ガラなど良い素材を使って、丹念にアクをとることでまろやかになる」という田上シェフ渾身のもの。約2日かけてていねいに抽出された、そんなブイヨンが惜しげもなく使われている、なんとも贅沢なスープなんです。
さらにガスバーナーで炙った飛騨豚のチャーシューに、飛騨ほうれん草、飛騨ネギと、地元飛騨の特産品のオンパレード。ほうれん草やネギが色鮮やかで、炙ったチャーシューの香ばしい香りが食欲をそそります。
▲「飛騨高山中華そば 牛串セット(並)」1,300円、単品700円(ともに税込)

これが、フランス料理を知り尽くしたシェフが生み出した高山ラーメン!
さらに、中華そばと飛騨牛の串焼きが味わえるお得なセットもあります。高山ラーメンと飛騨高山の食材を同時に味わうことができる贅沢なメニューです。
それでは実食。香り高い醤油スープは、とてもまろやかで深いコクが。ブイヨンの豊かな風味が甘みのある醤油と絶妙にマッチしています。細ちぢれ麺がスープによく絡み、食べる勢いがとまりません!飛騨ほうれん草や飛騨ネギは苦味がまったくなく、噛んでいくと甘みを感じるほど。
立派な飛騨豚のチャーシューは、箸で簡単にほぐれ口の中でとろけます。素材の一つひとつに仕込みのていねいさが感じられる一杯でした。

つづいて、台湾やタイなど東南アジアの旅行客からも大人気というお店一押しの一杯をいただくことに。
それがこちら。
▲「A5飛騨牛とび肉塩そば」1,500円(税込)

麺を覆い隠すほど大きい飛騨牛のラーメン「A5飛騨牛とび肉塩そば」です!
「え?生の飛騨牛が乗っているんですか?」
なんと、飛騨牛の薄切り肉をしゃぶしゃぶのようにスープにひたしながら食べるというこのラーメン。見た目のインパクトもはんぱない!
しかも、メニュー名にある「とび」とは、A5等級のなかでも極上のものの呼び名。これより上のランクはない、まさに最高級のお肉なんです!
「系列店があり、飛騨牛を一頭買いすることもあるから実現できる価格なんです。他の店では絶対に真似できないと思います」と田上シェフ。
飛騨高山観光に来たら一度は味わいたい飛騨牛。中でも特上なA5「とび」飛騨牛が、ラーメンと一緒に1,500円で食べられるのだから驚きです。
スープは塩ベース。飛騨牛から肉の旨みが出るため、シンプルな味付けにしているそう。レモンの爽やかさな酸味と飛騨牛の旨みが感じられ、ラーメンの枠を超えた新感覚のラーメンです!

口に入れた瞬間、舌の上でトロッととろけるA5「とび」飛騨牛。高山ラーメンも飛騨牛も食べたいという欲張りな方に、ぜひおすすめです。

「普通のラーメンではもの足りない」「ちょっと変わったラーメンを食べてみたい」など、好奇心旺盛なラーメンファンをうならせること間違いなしの「中華そば専門店 M」のラーメン。注目のお店です。
昔ながらの中華そばに和風のテイストを加えることで、小さい子どもから大人まで幅広い年代に好まれ、古くから高山の人たちに愛されてきた高山ラーメン。現在、高山ラーメンは、伝統の味を引き継ぎつつ新たにさまざまな発展や盛り上がりを見せ、高山の名物となっています。ぜひ、現地で体感してみてください。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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