洞窟のライトアップが幻想的!「飛騨大鍾乳洞」の大迫力でロマンチックな世界を体感してきた

2019.06.02 更新

岐阜県の飛騨高山と奥飛騨の中間にある「飛騨大鍾乳洞(ひだだいしょうにゅうどう)」。日本全国に約80カ所ある”観光鍾乳洞”の中でも、日本で一番標高の高い場所にある鍾乳洞です。何億年もの歳月をかけて自然がつくりあげた洞窟には、大迫力の光景がいっぱい。さらに洞窟内はライトアップもされていて、幻想的な世界へと誘ってくれます。

3,000m以上の名峰が連なる北アルプスのふもとにある「飛騨大鍾乳洞」は、昭和40(1965)年に発見された鍾乳洞。標高900mという日本で一番標高の高い場所にある鍾乳洞だとされています(※)。およそ2億5千万年以上かけてつくられた鍾乳洞の内部には神秘的な光景が広がっていて、カップルたちにも大人気。今回は、そんなデートスポットとしても話題の「飛騨大鍾乳洞」をご紹介します。
(※)飛騨大鍾乳洞観光株式会社調べ

人気観光地である高山から出発!

中部縦貫自動車道・高山ICから東へ車で30分ほどのところにある「飛騨大鍾乳洞」。
公共交通機関で訪れる場合は、まずは電車でJR高山駅まで行き、そこからバスに乗車。30分ほどで飛騨大鍾乳洞のふもとにあるバスの停留所・鍾乳口に着きます。
▲鍾乳口バス停の向かいにある無料送迎車の待合所

鍾乳洞の入口は、停留所からさらに車で3分ほど山を上ったところにありますが、バスの停留所の向かいにある待合所に行けば、入口まで無料で送迎してもらえます。
▲入場料は大人1,100円、小人(小・中学生)550円(ともに税込)

入口に到着。入場券売場の横には、大きな建物が見えます。この建物は、飛騨大鍾乳洞の発見者、故・大橋外吉(とよし)氏が集めた美術品が展示されている「大橋コレクション館」。鍾乳洞の入場料には、この大橋コレクション館の入場料も含まれていて、来場者は先にコレクション館の展示を見学した後、鍾乳洞の入口へと向かう順路に。

「大橋コレクション館」については後ほどあらためてご紹介するとして、さっそく鍾乳洞内部をご紹介していきましょう。

「第1洞」2億5000万年の歳月がつくりあげた幻想の世界へ

▲鍾乳洞の入口でお手洗いを済ませてから進むのがオススメ

それでは、いよいよ入洞!!
飛騨大鍾乳洞の全長は約800mあり、所要時間は30分ほど。他の鍾乳洞と比べるとアップダウンが大きいのが特徴です。洞内は第1洞、第2洞、第3洞と3つに分かれていて、第2洞からは急勾配の坂や階段などの上り下りが激しくなります。そのため、第2洞、第3洞の手前に出口が用意されていて、足腰に自信のない方が退避できるつくりに。また、洞内は、足場が濡れて滑りやすい場所もあります。スニーカーなどの歩きやすい靴で入洞しましょう。
洞窟内に入った瞬間、外との気温差に驚きました。洞内の平均気温は約10度。一年を通して気温が低くなっています。夏でも、上着を1枚用意しておくといいかもしれません。ひんやりとした独特の空気感の中、進んでいきます。
▲入り口すぐ近くにある「三段の滝」

現在は、山の中腹にある「飛騨大鍾乳洞」。しかし、2億5千万年前、このあたりは海の底に沈んでいました。海中で、サンゴなどの遺骸が堆積されると石灰岩を生成します。その後、石灰岩のできた場所が地殻変動により隆起。隆起した石灰岩を、雨水などが数万年以上かけて融解・侵食しつづけます。飛騨大鍾乳洞は、こうして長い年月をかけてつくられた壮大な洞窟なんです。
▲画面中央、壁面の「ウミユリ化石」

海底に沈んでいた証拠として、洞窟内の壁面には多数のウミユリの化石が。ウミユリとは、棘皮(きょくひ)動物と呼ばれる、水管系という特別な器官をもつ生物。ヒトデやウニの仲間で、見た目がユリに似ていることからウミユリと命名されました。

今いる場所が海中だったなんて、すごく神秘的ですね。また、そのころ生きていた生物の化石が見られるのにも驚きです!
▲飛騨大鍾乳洞はヘリクタイトが日本で最も多く見られる希少な場所

こちらは、針のように細いつらら石がさまざまな方向に伸びたヘリクタイトと呼ばれる珍しい鍾乳石です。通常のつらら石と違い、いろんな方向にクネクネ伸びていて、なんとも不思議です。
その奥に急な階段が現れました。飛騨大鍾乳洞の公開部はどんどん上に向かって上っていくルートになっています。先が見えないため、冒険心をくすぐられてワクワクします!

そして、この階段を上れば第1洞の目玉がやってくるので、心の準備を。
▲第1洞にある「竜宮の夜景」

「わ~!」なんと幻想的な眺めでしょう。あまりの美しさに思わず声が漏れてしまいました。ここは飛騨大鍾乳洞で最も天井が高く、広い空間。
▲橋の上からの見事な光景

赤や青、緑の光でライトアップされていますが、この色には理由が。純白の鍾乳石に白いライトを使用すると苔が繁殖するため、あえてカラーライトを使用しているんです。この鮮やかな照明により、一層神秘的な世界が強調されます。
▲赤くライトアップされた「ローマの遺跡」
途中で、2匹のワンちゃんを連れた方に遭遇。なんと、飛騨大鍾乳洞ではペットの入場もOKなんです(要リードなどの注意事項あり)。きっとワンちゃんたちも大興奮でしょうね!
▲第1洞の終わりにある「洞窟低温貯蔵庫」

洞窟内には、こんな立派な酒蔵も。蔵の中では飛騨高山名産の地酒が熟成されているそう。お酒は低温で長期保存することで独特の風味が出て、まろやかな味わいになるんだとか。この酒蔵で熟成された地酒は、本数限定ですが土産売り場で買うこともできるそう。

それでは、第2洞へと進んでいきます。

「第2洞」幻想的なライトアップや、巨大な鍾乳石も

▲全長45mのトンネル「愛深(あいしん)スポット」

第2洞へと向かうと現れるのが「愛深スポット」。第1洞と第2洞をつなぐために作られた全長45mのトンネルです。
このトンネルは、平成27(2015)年から7色のLEDライトを使ったライトアップが行われるように。
▲ペットを連れて、カップルで歩く姿も

最近では「このトンネルで写真を撮りたい」と訪れるカップルも多いよう。こんなロマンティックなトンネルを2人で通れば、愛が深まるのも頷けますね。

トンネルを抜けると、変わった形をした鍾乳石がありました。
▲昭和46(1971)年に飛騨大鍾乳洞を訪れた高松宮殿下に命名された「王冠」

これは、「王冠」と名付けられた鍾乳石。自然によって偶然に、この複雑な形状が形作られたことに驚かされます。
▲写真中央、真っ直ぐ伸びる巨大な「石筍(せきじゅん)」

さらに進むと、長さ4.5mもある石筍がありました!
石筍とは、天井からの雫によって上向きに成長する鍾乳石のこと。なんと、1cm伸びるのに、約130年もかかるそう。きのこのような形をした石筍は多く見られましたが、4.5mも伸びたものがあるなんて!

何億年と計り知れない時の流れを感じ、感動してしまいました。
▲岩肌が見事な「大石柱」

第2洞の終盤あたりまで来ると、行く手に立ちはだかるように、立派な大石柱が!
石柱とは、先程の石筍と天井から伸びるつらら石がつながって一本の柱のようになった鍾乳石のこと。このスケールの大きさには圧倒されます。

さて、飛騨大鍾乳洞もいよいよ終盤。これから、第3洞へ突入していきます!

「第3洞」神秘的な「月の世界」と、鍾乳洞内に神社も!

▲壁には複雑な形をした鍾乳石が多数

第3洞に入ると、70mほど急な坂や階段を上りつづけるルートに。インディ・ジョーンズに出てくる洞窟のような世界が繰り広げられており、興奮が止まりません!
坂の途中に、人ひとりがやっと通れる幅の急な階段が。この先には第3洞の目玉があるよう。足を滑らせないように、慎重に階段を上っていきます!
「なんだ、この光景は!」
「月の世界」と名付けられたこの場所は、今までの洞窟内とは雰囲気が一変していました。ドーム状に天井が高くなっているこの地形は「洞穴シールド」と呼ばれているそう。本当に月にいるかのような錯覚を覚えます。
▲サンゴに似た形状の鍾乳石「洞穴サンゴ」

壁には「洞穴サンゴ」と呼ばれる、表面にぶつぶつした突起のある鍾乳石が。
洞穴シールドの地形と相まって、この不思議な世界を作り出しています。現実とは思えないような光景に、思わず息をのんでしまいました。
「月の世界」を抜けると、ひたすら出口まで上りが続きます。このころになると、最初感じていた寒さをすっかり忘れていました(笑)。
それにしても、この洞窟内の裂け目、すごいですね!
地球の内部を覗いているかのような気分になります。

さらに奥に進むと、洞窟の出口に神社らしきものが。
▲鍾乳洞内、出口付近にある「子宝神社」(写真左)

実はここ「飛騨大鍾乳洞」は、子宝に恵まれるご利益があるパワースポットとしても有名です。その象徴として、洞窟内には「子宝神社」や「子宝地蔵」が建てられています。
▲「子宝神社」に子宝祈願に訪れるカップルも

この「子宝神社」は、御神体の石を撫でると子宝に恵まれるという言い伝えがあるんだとか。子宝祈願スポットとしてもオススメです。
洞窟の外に出ると、見覚えのない光景にびっくり!
なんと、山の中腹部まで登っていました。取材した日は4月中旬でしたが、近くにはまだ凍ったままの雪が残っているところも。外に出ると、何日かぶりに日光を浴びたかのような清々しい気分になりました。ここから、鍾乳洞の入口まで10分ほど外の景色を楽しみながら戻ります。

恋人との絆を深め、願いが叶う鐘と絵馬

長い階段を下っていくと、鍾乳洞の外にもカップルに人気のスポットがあります。
▲鐘を鳴らしながら写真を撮るカップル。ここで鐘を鳴らし、お互いの愛を誓い合えば、より一層愛が深まるはず

先にご紹介した洞窟内の「愛深スポット」のライトアップなどにより、カップルの来場者が増えた「飛騨大鍾乳洞」。平成29(2017)年には、NPO法人地域活性化支援センターが選ぶ「恋人の聖地」に選定されました。これを記念してつくられた、ハートのモニュメントと金の鐘です!
▲近くの売店には願いを書き込む絵馬(300円)やハートの錠(1,080円)が売られており、多くのカップルが願いを残している(ともに税込)

モニュメント近くの鎖には、恋愛成就や子宝を願う絵馬がたくさん!

日本一大きい鉄製鍋!かまども蓋もすべてが巨大!

仲良さそうなカップルを横目に、うらやましく思いながら鍾乳洞の入口まで戻ってきました。すると、なにやら巨大な物体が。
▲日本一の大きい鉄製鍋「日本一宿儺(すくな)鍋」

「でかっ!」と誰もがそう、声を上げてしまうくらい大きい鍋です。
この鍋は高山市丹生川で11月に行われる「飛騨にゅうかわ宿儺まつり」の際、地元特産の具材を煮込むなど、実際に使われていたもの。現在は老朽化のため、こちらに展示されています。
▲大橋コレクション3階から見た「日本一宿儺鍋」

直径6.1m、重さ9tある鉄製鍋で、蓋やかまどなど全てがビッグサイズ。まるで、絵本の「グリとグラ」の世界の中にいるような気分になりました!

金塊やお宝が眠る「大橋コレクション館」

そして、忘れてはいけない見所のひとつが「大橋コレクション館」。
ここには、飛騨大鍾乳洞を発見した故・大橋外吉氏が収集した美術品が展示されています。
▲大橋コレクション館2階にある、美術品の数々

大橋外吉氏は、一代で巨万の富を築いた地元の実業家。彼が収集した自慢の品の数々はなんと、1,000点以上。陶芸品、美術品など、多岐にわたります。その中でも多くの人の注目を集めているのが「金塊」です。
▲盗まれたあと、バラバラになって一部戻ってきた金塊

この金塊は飛騨大鍾乳洞の発見25周年記念と平成改元記念として平成元(1989)年から展示されていたもの。それが平成19(2007)年に強奪され(100kg、現在の相場にして約5億円!)、日本中を賑わすニュースとなりました。

その後、無事犯人は捕まり金塊は返却されたのですが、一部がガスバーナーで溶かされ売られていたのです。そのため、現在はばらばらになってしまった金塊の断片約70kgと、盗まれる前のレプリカの2つが並んで展示されています。輝きに圧倒されるとともに、溶かされた跡が生々しく残っていて衝撃的でした!

冬限定で見られる「氷の渓谷」は、ライトアップも!

そして、「冬に高山を楽しみつつ、飛騨大鍾乳洞を観光しようかな」と考えている方に耳寄りな情報を。

今回は季節の関係上見ることができませんでしたが、冬には洞窟内だけでなく、外にも絶景があるんです。それが、こちら!
入口近くの山の斜面に見事な氷柱が!厳冬地域ならではの自然の寒さを生かし、川から引いた水を凍らせてつくっているんだとか。「氷の渓谷」と呼ばれ、例年1月上旬から3月上旬にかけて無料で公開。日の光を浴びて蒼白く輝く氷柱、大きいもので高さ30mにもなります。

さらに、夜には日によってライトアップも!
ご覧の通り、息をのむほど美しい光景です!
ただ、ライトアップされるのは2月の特定日のみなので、公式ホームページなどで開催日の確認をしてください。
数億年かけて自然がつくりあげた世界を体感できる「飛騨大鍾乳洞」。想像をはるかに上回るスケールで、壮大な世界が広がっていました!

みなさんも飛騨高山を訪れる際には、ぜひ「飛騨大鍾乳洞」で幻想的な体験をしてみてはいかがでしょうか。

「飛騨大鍾乳洞」ダイジェスト

記事内でご紹介しきれなかった写真をダイジェストでまとめました。この他にも数え切れないくらい、絶景の写真スポットが多数あります!
▲幻想的な光景の鍾乳石群「夢の宮殿」
▲「ストロー」と呼ばれる、つららの内側が空洞になり、水が垂れる鍾乳石
▲左は「国会議事堂」、右は「テンガロンハット」だそう
▲青くライトアップされた「ヘリクタイト」
▲写真中央、奥の方には滝が
▲こんなに天井が低い場所も
▲洞窟内では「ウド」の栽培が行われている。年間を通して温度・湿度が一定に保たれ、日光の当たらない環境がウドの栽培に向いているそう
▲見事なつらら石がいたる所に
▲鍾乳洞の出口のそばにある「岩魚(いわな)たちの楽園」
▲水中には、たくさんの岩魚が
▲「誓いの鐘」のモニュメントには、ハートとフクロウが
▲「大橋コレクション」にある工芸品の数々
▲「氷の渓谷」のライトアップ

みなさんもお気に入りの一枚を撮りに行きましょう。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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