まぐろラーメンにまぐろ舵取り丼!?マグロの町・いちき串木野で必食のご当地マグログルメ3選

2019.02.13 更新

東シナ海に面する鹿児島県いちき串木野市。ここはマグロの町として有名で、GWには「まぐろフェスティバル」も行われます。また、マグロを使ったご当地グルメも人気で、なんと「まぐろラーメン」や「まぐろ舵取り丼」と名付けられたメニューまでバリエーションも様々。今回は、いちき串木野市の絶品マグログルメから3つご紹介します。

薩摩半島の北西部に位置するいちき串木野市は、南九州自動車道を利用して鹿児島市街地から車で約30分、鹿児島空港から約70分で行くことができます。

古くからマグロの遠洋漁業が盛んで、かつてはいちき串木野の漁港ではたくさんのマグロが水揚げされていました。いちき串木野での水揚げが減った現在も、市町村別遠洋マグロ漁船隻数は日本一(出典:鹿児島県漁業協同組合連合会)を誇り、マグロはいちき串木野を代表する特産品であり、マグロのご当地グルメは観光客を惹きつけてやみません。

というわけで、そんなご当地マグログルメの数々をご紹介するため、いちき串木野市を訪れました。

いちき串木野のマグログルメの代表格「まぐろラーメン」を実食!

最初に訪れたのは、JR神村学園駅から徒歩約1分、国道3号線沿いにある「まぐろラーメン」発祥のお店「昔ながらのラーメン屋 みその食堂」(以下、みその食堂)です。

まぐろラーメンは、いちき串木野市を代表するご当地グルメ。マグロを使ったラーメンとは、一体どんなラーメンなのでしょうか。さっそく注文してみましょう。
▲「まぐろラーメン(中盛)」 税込810円(小盛は税込702円)

運ばれてきてビックリ!何とチャーシューの代わりにマグロの漬けがのっています。スープは透明な琥珀色で、見るからにヘルシーなイメージです。生のマグロのインパクトに圧倒されつつ、恐る恐るマグロの漬けをパクリ。
懸念していた生臭さはゼロ。それどころか、スープの熱で少し火が通った状態になり、マグロのしゃぶしゃぶを食べているような感じでとってもおいしいんです。マグロの漬けには漬けだれ(オリジナルのマグロだし入り甘醤油)がしっかりと染み込み、優しい味わいに仕上がっています。食べるタイミングによってレア、ミディアム、ウェルダンと異なる食感を楽しめますよ。
▲これまた試行錯誤が繰り返された至極の麺

麺はスープが絡みやすい中太の縮れ麺で、つるっとしていて喉越し抜群!それもそのはず。この麺は、まぐろラーメンのために開発された特製の麺なんです。まぐろラーメンを提供している市内の飲食店7店舗で、同じ麺が使われています。

まぐろラーメンは、鹿児島県のご当地グルメの先駆け的存在で、2002(平成14)年にみその食堂の二代目店主(現会長)の勘場明(かんばあきら)さんを中心としたいちき串木野の飲食業組合が開発しました。

まぐろラーメンの定義は、「スープにマグロの頭を使うこと」と「加盟店共通の麺を使うこと」の2つだけ。みその食堂はマグロの漬けをトッピングしていますが、マグロのステーキや竜田揚げをトッピングしているところもあり、各店舗でまったく違う味わいを楽しめます。
▲厨房を切り盛りするスタッフの平均年齢は20代で活気にあふれている。それでいて経験豊富

みその食堂のまぐろラーメンは、琥珀色の透明なスープにこだわって開発されました。マグロの頭はそのまま煮ると魚臭さが気になるため、試行錯誤の末、一度焼いてから煮込むことで問題を解消したそう。鰹節や昆布、野菜類とともにじっくりと煮込むと、淡麗で上品な味わいのスープが出来上がります。

このスープはそのままでももちろんおいしいのですが、途中で別皿についてくるワサビを投入すると、おいしさが倍増します。あっさりとしたスープにワサビの風味がピリリと効いた大人味のスープは、飲み干してしまいたい衝動に駆られますが、そこをぐっと堪えてスープは残しておきます。なぜなら、このあとみその食堂おすすめのお楽しみが待っているからなんです。
このように、スープだけ残して白ごはん(小108円、中162円、大216円、すべて税込)を注文します。
そしてごはんを豪快に丼の中へ!
最後にワサビを投入し、ごはんをほぐします。もうどうなるかお分かりですね。
そう、だし茶漬けになるんです。
勘場さんは、元マグロ漁師。みその食堂のまぐろラーメンは、船上で食べていた「漬け茶漬け」をヒントに開発したという経緯があるため、ごはんとの相性も抜群というわけです。

「ラーメンもごはんも食べたらカロリーが心配」という方もご安心あれ。みその食堂のまぐろラーメンは、スープの材料も含め魚と野菜しか使用していないので、ローカロリーでとてもヘルシー。おいしいだけでなく、体にもやさしいラーメンなんですよ。
店名の通り、「昔ながらのラーメン屋」といったレトロな雰囲気の店内で、ゆっくりとまぐろラーメンを味わってくださいね。

ボリュームたっぷり、希少部位を楽しめる「まぐろ舵取り丼」

次に訪れたのは、創業40年を超える「味処 ぎおん」(以下、ぎおん) 。南九州自動車道の市来ICから車で約10分、国道3号線から一本筋に入った閑静な場所にあります。こちらのお店は、いちき串木野市のご当地グルメ「まぐろ舵取り丼」の加盟店の一つですが、名前を聞いただけではピンとこない「舵取り丼」とは、一体どんな丼なんでしょうか。
▲「まぐろ舵取り丼」税込900円

運ばれてきたのは、マグロの赤身と唐揚げがのった丼。唐揚げには甘辛い香りを放つ餡がかかっていて、見るからにおいしそうです。ではさっそくいただきまーす!
唐揚げはしっかりとした歯ごたえで、それ自体があっさりとしていて癖がないので、甘辛い餡が効いています。とてもおいしいのですが、普段口にするマグロとは食感がまったく違います。

この唐揚げこそ、舵取り丼の主役なんです。使用しているのはマグロの尻尾の少し手前の「尾身(おのみ)」と呼ばれる部分で、マグロは泳ぐ際にここを動かして舵を取ることから、舵取り丼の名がつけられました。
▲舵取り丼を注文すると、マグロの希少部位がわかるイラスト付きの紙をトレーに敷いてくれる

尾身は処理に手間がかかる上に身も少量しか取れないため、通常は捨ててしまう部位なのだそう。でも、世界的にマグロの需要が高まりをみせる今、獲ったマグロを余すことなく使い切るというのはとても大切なことですよね。

尾身は生では食べられないため、加熱調理がマスト。ぎおんでは丁寧に削り取った尾身をたれに漬け、唐揚げにしてオリジナルの餡を絡めていますが、そぼろにしている店舗もあるそうですよ。まぐろ舵取り丼には、「尾身を使った丼」というシンプルな定義しかないので、店舗によってまったく違う料理を楽しめます。
ぎおんの舵取り丼は、ごはんと野菜炒め、尾身の唐揚げ&マグロの漬けが乗っていてボリューム満点!ごはんに合う具材が丼に勢揃いしていて、唐揚げと野菜を一緒に食べてもおいしいです。具材がたくさんあるのに味がまとまっているのは、ひとえに特製餡のおかげ。この餡が尾身の唐揚げ以外の具材とも相性抜群で、ごはんがどんどん進みます。
▲二代目店主の河原勇司さん

特製餡のレシピは残念ながら「企業秘密」とのことですが、他の加盟店とは違う味を追求して作ったそうで、焼き肉のたれのような甘辛い味わいです。さらに「自分自身がマグロの刺身が好きだし、ひと目でマグロの丼だとわかるように漬けもトッピングしました」と河原さんは話します。
▲「尚(ひさし)定食」と「ギャク尚定食」はランチの一番人気メニュー

常連さんの名前がついた定食があることからも、いかにぎおんがこの町で愛されているのかが伝わってきます。そんな「町の定食屋」を目がけて訪れる遠方からのお客さんも少なくありません。その理由の一つが「舵取り丼」なのです。

ぎおんの舵取り丼は、まさに後を引くおいしさ。ボリュームたっぷりで男性も大満足間違いなしですよ!

超ビッグな希少部位を豪快にいただく「まぐろ大かま焼き定食」

最後に訪れたのは、南九州自動車道市来ICから車で約8分のところにある「まぐろ料理専門店 松榮丸(まつえいまる)」。1階には物産館「薩摩串木野 まぐろの館」(以下、まぐろの館)があり、松榮丸は2階にあります。

ここではマグロの海鮮丼やお刺身定食など、さまざまなマグログルメを楽しめますが、観光客にひときわ人気のメニューがあるんです。
▲「まぐろ大かま焼き定食」(税込1,620円、1日限定30食、予約可能)

それがこちらの「まぐろ大かま焼き定食」です。主役は何といってもマグロ1匹から2つしか取れな大かまの塩焼き。写真ではサイズ感が伝わりづらいかもしれませんが、この大かまの長さは20cmほど。大かまがのっているお皿が、通常は3~4人前のお刺身盛りに使うようなサイズのお皿なんです。

運ばれて来た時点で辺りに香ばしい匂いが立ち込め、食欲中枢を刺激される筆者。マグロは生で食べることが多いので、塩焼きというのも新鮮です。ではレモンを絞って、さっそくいただきましょう。
太い骨と肉厚な身はさすがマグロ。身はお箸でスルッと外れるので、小さな子どもも食べやすそうです。口に入れると香ばしさが口いっぱいに広がり、ギュッと詰まった身は食べごたえも抜群です。
薬味を入れた醤油につけて食べても絶品です。表側を食べ尽くしたら、今度は大かまをひっくり返します。裏にも骨と骨の間にもまだまだ身がついています。

それだけでなく、部位によって微妙に食感や味わいが違うのも驚きです。表側はさっぱりしていましたが、骨の間にある身はツルンとしていてジューシーな味わい。かなりのボリュームですが、最後まで飽きずに食べられますよ。
▲まぐろ大かま焼き定食についているキハダマグロのお刺身

マグロのお刺身ももちろんついてきます。こちらはマグロの中でもさっぱりとした味わいのキハダマグロのお刺身。透き通った赤い身がとても美しく、上品な味わいです。
マグロの大かま焼きは、アジなど普通サイズの魚1匹の塩焼きと比べると、2倍ほどのボリュームがありますが、あまりのおいしさに1人でぺろりと平らげる女性も多いそう。食べ切れる自信がない方は、数人でシェアしてもいいかもしれませんね。

希少部位ゆえに、1日限定30食しか提供できないという「まぐろ大かま焼き定食」。確実に食べたいなら、事前予約をおすすめします。

格安でトロも希少部位もゲットできる物産館

お腹もいっぱいになったので、1階の物産館「まぐろの館」も覗いてみることにしました。店内には、冷凍マグロや生の切り身、マグロの加工品などがズラリと並びます。
▲マグロ以外の魚や鹿児島の特産品も多数販売されている

そもそも、マグロにはどんな種類があるのか、皆さんはご存知ですか?

マグロは「クロマグロ(ホンマグロ)」「ミナミマグロ」「キハダマグロ」「ビンナガ(ビンチョウ)マグロ」「メバチマグロ」の5種類しかいません。そして、種類によって大きさや色、味わいが異なります。

一般的にはクロマグロのような大きいマグロほど脂がのっていて、キハダマグロやメバチマグロなど小ぶりなマグロはさっぱりとした味わいです。
▲同じミナミマグロでも、部位が違えば色合いがこんなに違う!

同じ個体でも部位によっても色や味わいが違うのはご承知の通り。これが大型の魚の魅力でもありますよね。
脂ののったピンク色のトロはもはや魚というより肉!とってもおいしそうですね。まぐろの館の商品は時価ですが、市販の6~7割程度の価格。その安さに驚きます。
▲心臓や大かまなど、希少部位を販売している店舗は県内唯一。九州でもほとんどない

こちらは何とマグロの心臓。実は近年、マグロの血合いに含まれるアミノ酸「セレノネイン」はDHAに続く健康成分として研究が進んでおり、心臓や血合いがお店でも人気なんです。心臓は解凍して塩コショウを振り、醤油につけてレバ刺しのようにして食べたり、ソテーしたりするとおいしいそうです。

それにしても、まぐろの館はなぜ希少部位を格安で提供できるのでしょうか。
▲新洋水産 代表取締役社長・松元要(かなめ)さん

松榮丸とまぐろの館は「新洋水産」という企業が経営していますが、その大元はマグロ延縄(はえなわ)漁船4隻を有する「島平第一漁業生産組合」で、社長の松元さんも1983(昭和58)年までケープタウン沖やオーストラリア沖で延縄漁を行っていた元マグロ漁師。自社で水揚げ、加工生産、販売までできるから貴重なマグロを格安で提供できるんですね。
▲3階にはいちき串木野の遠洋マグロ漁の歴史がわかる資料館があり、無料で見学できる

ちなみに、レストランの名前でもある松榮丸は、島平第一漁業生産組合の歴代のマグロ漁船の名前なんだそう。

元マグロ漁師・松元さんならではのこだわりが感じられる商品をまぐろの館で見つけました。
▲皮付きのミナミマグロのトロが手に入るのも、ここならでは

皮付きのミナミマグロのトロです。ミナミマグロは皮が薄いので、皮だけカットして湯引きし、熱湯で浮いてきた鱗を取って千切りにするとおいしくいただけるのだそう。「皮を食べられるのは、ミナミマグロだけなんです。常連さんは皮のおいしさをわかってるから、皮付きを選びますよ」と松元さん。

マグロへの愛情を感じられるものは他にもあります。松元さんは、物産館とレストランを建てる際、驚くべき設計をオーダーしたのだそう。
▲2階のレストランは船でいうと居住スペース、3階の資料室は操舵室にあたる

物産館とレストランがある建物は、正面から見るとわかりませんが、後ろ側に回ると、漁船の形をしてます。実はこの建物、実際にマグロ漁を行っている400t級の漁船を実寸大で再現しているんです。下半分の黒い部分は、魚を貯蔵する魚倉にあたる部分で、海面より下になります。こうやって見ると、本物の船みたいですよね。

誰もが経験するアノ悩みを解消する方法とは?

最後に筆者が長年気になっていたことを松元さんに質問してみました。
筆者がずっと悩んできたのがこれ。真空パックの冷凍マグロを上手に解凍できないことです。解凍するとドリップが出てしまったという経験、皆さんもありませんか?
▲店内で販売されている切り身は、ぬるめの塩水につけて半解凍してからパック詰めされる

松元さんが教えてくれた方法は、40~42度のぬるま湯に1Lにつき大さじ2杯の塩を入れ、袋から取り出した冷凍マグロを2~3分浸けた後、キッチンペーパーで水気を拭き取るというもの。ぬるま湯につけた時点で半解凍になるので、全解凍したければペーパーに包んで冷蔵庫のチルド室に入れれば良いのですが、半解凍の状態でカットすると家庭用の包丁でもきれいに切れるそうです。「切って盛り付けている間に全解凍されますよ」と松元さんは言います。
▲毎月27日(ツナの日)には、マグロの解体ショーを実施

まぐろの館では、毎月27日にマグロの解体ショーを開催しています(団体客などの要望があれば、27日以外でも対応可能)。解体したらその場で購入し(価格はマグロの種類や部位により異なる)、食べることもできますよ。大迫力のパフォーマンスをぜひ目の前で楽しんでください。

マグログルメが集結する「まぐろフェスティバル」も要チェック!

いちき串木野市で味わえるマグログルメを3品ご紹介しましたが、いかがでしたか。串木野漁港外港で毎年4月30日と5月1日に開催される「まぐろフェスティバル」でも、たくさんのマグログルメを楽しめます。このイベントは元々、新洋水産がまぐろの館の駐車場で始めたのですが、あまりの人気ぶりに現在では市主催のイベントになっています。もちろん今回ご紹介したまぐろラーメンやまぐろ舵取り丼も食べられますよ。

いちき串木野市は、鹿児島でいち早くご当地グルメの開発に着手し、食の町としての魅力を全国に発信し続けています。日本を飛び越えて、世界中から愛される魚の王様・マグロの魅力をこの町で存分に味わってみてはいかがでしょうか。
さわだ悠伊

さわだ悠伊

鹿児島市出身・在住のフリーライター。グルメ、旅、コラム等ジャンルや媒体を問わず活動中。鹿児島県内の離島取材も豊富。

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