金山の坑洞跡にある焼酎蔵「薩摩金山蔵」のトロッコで行くワクワクドキドキ坑洞見学ツアー!

2019.03.21 更新

鹿児島県いちき串木野市にある「薩摩金山蔵」は、トロッコに乗って坑洞内の蔵や串木野金山に関する展示物を見学でき、観光スポットとしても人気です。今回はそんな唯一無二の焼酎蔵・薩摩金山蔵をご紹介します。

いちき串木野の歴史を支える金山と焼酎蔵のコラボ

「薩摩金山蔵」は、鹿児島市から高速道路を利用して車で約30分、もしくはJR串木野駅から川内(せんだい)方面のバスに乗り、「野下口(のしたぐち)」で下車して徒歩5分ほどのところにあります。
いちき串木野市は港町として栄えてきた地域ですが、日本屈指の金鉱である「串木野金山」があり、「金の町」としての顔も持っています。
初めて鉱脈が発見された万治元(1658)年から休山した平成8(1996)年まで、350年近くにわたって採掘した総産出金量は約56トンに及び、全国の金山の中でも第4位の産出量を誇っていました。(出典:三井串木野鉱山株式会社HP)
▲薩摩金山蔵。裏の山に鉱脈がある

串木野金山の坑洞跡の一部は、昭和63(1988)年~平成15(2003)年まで「ゴールドパーク串木野」というアミューズメント施設として利用されていましたが、閉園。明治元(1868)年創業の老舗焼酎メーカーである濵田酒造グループにより、平成17(2005)年に薩摩金山蔵としてオープンしました。

建物内にはカフェや売店、串木野金山の歴史を知ることができる資料館、鹿児島で唯一の清酒蔵もあるのですが、ココの目玉は何といっても坑洞内の見学!トロッコの出発時刻が迫っていたので、先に坑洞を見学することにしました。

トロッコに乗って坑洞にGo!

▲料金は大人(中学生以上)税込720円、子ども(3~12歳)税込310円(ガイド込、所要時間は約50分)

トロッコに乗る前にまずは受付をします。建物内の総合受付で料金を支払い、受け取った整理券を乗車の際に係員に渡せばOKです。

ちなみに、トロッコは基本的に1日4往復(11名以上利用する場合は要予約で臨時運行可能)ですが、夏休みなど繁忙期は5往復することもあるそうです。出発時刻を事前に確認しておくといいですね。
さぁ、「トロッコステーション」へと歩を進め、いよいよトロッコに乗り込みます。珍しい乗り物を目の前にすると、子どものようにワクワクしてきますね。
平成30(2018)年に登場した薩摩金山蔵2代目のトロッコは、レトロでかわいらしい雰囲気。中もゆったりとした造りです。採掘当時は線路に電気を流してトロッコを動かしていたそうですが、こちらのトロッコはバッテリーで動いています。

では、さっそく出発進行!
トロッコの様子を、動画にまとめましたのでぜひご覧ください。

乗車時間は約8分。全長約700mの線路を、ガタンゴトンと揺られながら坑洞の奥へと入っていきます。途中には分かれ道もあり、採掘当時のままの姿に感動を覚えます。また、奥に進むにつれてジメジメ感が増し、暖かくなってきました。そしてとうとう坑洞内のステーションに到着!
▲坑洞内のステーションはまるで映画のセットのよう

坑洞内のステーションは、まさに非日常空間。筆者もワクワクが止まりません。ふとステーションの案内板に設置されている温度計を見ると、坑洞の温度は16.5度。取材日の気温は9度だったので、坑洞が暖かく感じたんですね。

坑洞内の平均気温は19度で湿度は90%前後。温度・湿度共に年間を通じてほぼ一定している上に、坑洞内には紫外線がまったく入らないため、焼酎の熟成に最適な環境なのだそう。冬は暖かく夏は涼しいので、焼酎だけでなく人間にとっても快適ですよ。
トロッコから降りると、ガイドさんが案内板で見学経路を説明してくれます。

ガイドさんの話によると、串木野金山はこれまでに16層が採掘されていて、ここは上から2層目の2番坑。3~16番坑はすでに水没しているそうです。仕込蔵は、全長120kmにも及ぶ坑洞のごく一部とのことですが、話のスケールが大きすぎてポカーンとしてしまいました。

気を取り直して、ここから坑洞内の探検が始まります。

金山の歴史を物語る本物の機械たち

▲ダイナマイトなどさまざまな爆薬が積まれた「爆薬の受付」

最初に見学したのは「爆薬の受付」です。ここに爆薬を取り扱うことのできる専門の人がいて、爆薬を管理していたそうです。棚の横にドアがあり、その奥が爆薬庫になっています。展示してある爆薬がリアルでちょっとドキドキしましたが、もちろんレプリカなので安心してくださいね。
▲鉱石を持ち上げるときに使う「巻揚機」

続いて登場したのは、実際に使われていた本物の「巻揚機」です。

「この機械は大きくてそのままでは地上から運べないので、分解して運び込み、ここで組み立てたんです。よく見ると、パーツのつなぎ目があるでしょ」とガイドさんは話します。確かに、所々に溶接したような跡が確認できました。
こちらは、採掘した鉱石を運搬するために使っていた本物の「鉱車」。このコンテナ1つ分の鉱石から取れる金の量は約5~7g、小指の爪半分ほどの量です。金がどれだけ貴重なのかがわかりますね。

坑洞内は換気が難しいので、ガソリンは使えません。ですから、巻揚機は電気、鉱車はバッテリーで動かしていたそうです。

本物の展示物を見ていると、坑夫たちが昼も夜もなく働いている様子が目に浮かんできます。最盛期には約7,000人の坑夫がここで働いていたといいます。

伝統的な焼酎造りを忠実に再現

▲焼酎は基本的に仕込み終了後12日目に蒸留されることが多い

さらに歩いて行くと、焼酎蔵のあるエリアに到着しました。取材時は、焼酎を仕込んで4日目だったようで、女性の杜氏さんが発酵の様子を確認していました。

杜氏は男性の仕事というイメージがありますが、薩摩金山蔵では女性杜氏による焼酎造りにこだわっています。
▲麹づくりの様子

薩摩金山蔵では、明治時代以前の焼酎造りを再現しています。現在はほとんどの焼酎が「二次仕込み法」という、仕込みを2回に分けて行う製法で造られていますが、この製法が普及したのは大正時代。それより前は、麹と原料(さつまいもや麦など)、酵母、水をいっぺんに仕込む「どんぶり仕込み」という製法で造られていました。

そして味噌や醤油と同じように、焼酎造りもまた各家庭の女性の仕事だったのだそう。
▲薩摩金山蔵の杜氏・野元奈月(なつき)さん

薩摩金山蔵の杜氏・野元さんは「杜氏は力仕事が多いから男性向きだと思われるかもしれませんが、焼酎造りは生き物(微生物)相手の仕事なので、子育てと似ている気がします」と話します。
薩摩金山蔵の焼酎にはもう一つ特徴があります。それは「黄金麹」を使用していること。焼酎に使われる麹は白麹や黒麹が一般的で、数は少ないながらも黄麹を使った焼酎もあります。でも、黄金麹を使った焼酎は世界中でここにしかありません。

黄金麹は明治44(1911)年に自然変異の過程で発見されたものの、これまで使用されることなく東京大学の研究室に保存されていました。そこで薩摩金山蔵では、串木野鉱山の「金」のイメージに合う黄金麹を使用することにしたのです。
▲左「薩摩焼酎 金山蔵」税込3,240円、右「薩摩焼酎 金山蔵RED」税込5,400円(各720ml)

薩摩金山蔵の代表銘柄である「薩摩焼酎 金山蔵」のシリーズにはすべて黄金麹が使われています。黄金麹は、華やかな香りと余韻を引く味わいが特徴。香りが良く甘いので、女性にも人気なのだそう。

強運の持ち主・島津義弘公を祀る坑洞内のパワースポット

▲島津義弘を祀る「加治木精矛(かじきくわしほこ)神社」から分祀された

焼酎蔵の次にやって来たのは、坑洞内にあるパワースポット「薩摩開運神社」です。ここには関ヶ原の戦いで敗れながらも、敵陣を突破して奇跡的に薩摩に帰還した島津家第17代当主・島津義弘公が祀られています。
両脇に設置されている鉱石を触ると金運がアップするそうなので、筆者もしっかり触ってきました。義弘公の幸運にぜひともあやかりたいものです。
続いて、「長期熟成貯蔵庫」にやって来ました。約200m先まで大きな甕(かめ)がズラリと並ぶ光景は、まさに圧巻の一言。ここでたくさんの焼酎たちが、静かに熟成の時を待っているのですね。

買った焼酎を長期貯蔵してくれる画期的なサービスとは?

さらに進むと、ヴィンテージ感漂う棚が設置されたエリアに到着しました。棚には、ウイスキーのようなおしゃれな酒瓶がズラリ。これは一体何でしょう?
▲コルクの栓が湿気で腐食しないよう、ロウで密閉してあるから劣化する心配もない

ラベルには、手書きでコメントや名前、日付などが書かれています。実はこれ、薩摩金山蔵で造られている「熟成と共に福来たり」(720ml税込7,560円、購入日から最長5年間の貯蔵料込)という焼酎で、薩摩金山蔵の売店「蔵乃仲見世」で購入すると、1~5年間ここで貯蔵してくれるシステム。
何年貯蔵するかは購入時に決めることができ、貯蔵期間が終わると事前連絡の上、郵送してくれます。焼酎は貯蔵期間が長いほど熟成が進んでまろやかな味わいになりますよ。

還暦のお祝いや子どもや孫、自分が成人する年を指定する人が多いそうで、5年以上貯蔵を希望する場合は、1年ごとの延長料金を支払えばOK。中には15年後、20年後を指定したお客さんもいるそうですよ!
▲「熟成と共に福来たり」を購入すると預り証として木札をもらえる

そして、この焼酎を購入すると必ず木札をもらえます。焼酎の貯蔵期間中、この木札を提示すると1枚につき3名まで何回でもトロッコに無料で乗車できるんです。熟成の様子を無料で見に行けるのはうれしいですね。
さて、坑洞内の見学ツアーを締めくくるのは、鉱泉水の上に静かに佇む「黄金の観音像」です。この観音様は、坑夫たちが安全や健康を祈願するために建てられたといわれています。

実物を見ると、鉱泉水に観音様が写り込んでとても幻想的です。この観音様が坑夫たちの安全を守っていたのだと思うと、グッと来るものがあります。

こうして、坑洞内の見学ツアーは終了しました。再びトロッコに乗って、地上へ戻ります。前述の通り、薩摩金山蔵は坑洞以外にも見どころがたくさんあるので、一つひとつ回ることにしました。

串木野金山の歴史が丸わかり!「金山資料館」を見学

まずトロッコステーションのすぐ近くにある「金山資料館」(入場無料)に行ってみました。ここには、串木野金山の歴史を学べるものが多数展示されています。

幕末期、薩摩藩は全国に先駆けて積極的に近代化を推し進めていました。西洋の高度な技術を使って殖産興業を推進するためには、莫大な資金が必要です。そんな薩摩藩にとって、串木野金山で採掘される金は貴重な資金源だったのです。串木野金山は、明治維新を支える大きな原動力の1つだったと言っても過言ではありません。
昔はここにさまざまな施設があり、採掘した鉱石から金を取り出す作業が行われていたそうです。ジオラマで金の精錬の工程を学ぶことができますよ。ちなみに精錬所は現在も稼働しているそうです。

県内でただ一つ、清酒も造る焼酎蔵

▲もろみを絞り出すため、酒袋に入れる作業

続いて、清酒蔵にやって来ました。薩摩金山蔵では焼酎だけではなく清酒も製造しており、清酒「薩州正宗」は、ここで造られています。残念ながら、取材当日は仕込み作業は行われていませんでしたが、清酒蔵もガラス越しに見学することができますよ。

売店には無料の試飲コーナーも!

▲売店「蔵乃仲見世」には、ここでしか手に入らない商品もズラリ

焼酎や清酒の製造工程を見学したら、やっぱり商品が欲しくなりますよね。というわけで、売店「蔵乃仲見世」へやって来ました。

焼酎も清酒もお土産に最適なミニサイズから一升瓶まで、さまざまなサイズが揃っています。お湯割りグラスとミニサイズの焼酎のセット(税込1,080円)も人気なのだそう。
▲代表銘柄の「金山蔵 坑洞内瓷貯蔵」(300ml税込710円、720ml税込1,620円、1,800ml税込3,240円)

薩摩金山蔵の代表銘柄「金山蔵」は、他にもさまざまな種類があります。熟成期間の長さや坑洞内熟成なのか否かで風味などが変わるので、迷ったらスタッフに聞いてみてくださいね。
▲「薩州正宗」。左は純米吟醸酒 税込1,040円、右は純米酒 税込957円(共に300ml)

キュートなラッピング付きの清酒も発見!こちらは、スタッフが1本1本蓋の部分に布をラッピングしているそうです。女性へのお土産にぴったりですね。このラッピングは、焼酎バージョンもありますよ。
▲「福金山(ふくきんざん)金箔入り」(300ml税込710円、720ml税込1,815円、1,800ml税込3,070円)

筆者の目を引いたのは、こちらの金箔入りの焼酎「福金山」。水色のボトルに金箔がキラキラと光ってとてもきれいです。結婚式やお正月、誕生日などお祝いの席におすすめの華やかな焼酎です。

このように蔵乃仲見世にはたくさんのお酒がありますが、実際に味を確認してから買いたい!という人のために、無料の試飲コーナーもあります。
▲4種類の焼酎を無料で試飲できる。ストレートが苦手な人のために氷も用意されている

筆者は金箔に惹かれて福金山を飲んでみることにしました。フルーティーな香りとすっきりとした飲み口で、いわゆる「焼酎臭さ」がないのに驚き!金箔も優雅な気分にさせてくれます。

ぜひお気に入りの焼酎を見つけてくださいね。

オリジナルジェラートを楽しめる「KINZAN@CAFE」

最後に訪れたのは、売店の奥にある「KINZAN@CAFE」。ここでは、コーヒーやハーブティーなどのドリンクとオリジナルジェラートを楽しむことができます。
▲「しおこうじジェラート」税込300円

甘じょっぱさがクセになる「しおこうじジェラート」は、清酒「薩州正宗」の酒粕入り塩麹を使用した薩摩金山蔵のオリジナルジェラートで、鹿児島県薩摩川内市のイタリアンレストラン「ビス!ラ・フルッタ」に特別に作ってもらっているのだそう。後味がさっぱりしているので、いくらでも食べられそう!これはハマります。
▲「桑の葉とハーブのお茶(すこやかブレンド)ホット」税込450円

ジェラートと一緒にいただいたのは、ハーブと鹿児島県産の桑の葉をブレンドしたお茶。全部で3種類ありますが、筆者はローズヒップやレモングラスなどがブレンドされた「すこやかブレンド」にしました。
▲6個入のティーバッグ(税込540円)を蔵乃仲見世で販売している

ほんのり甘酸っぱい香りで、アイスでもおいしくいただけそうなお味。売店でティーバッグを購入することもできますよ。

薩摩の歴史を「体験」できる場所

焼酎と串木野金山の歴史を学ぶことができる薩摩金山蔵。トロッコに乗ったり本物の鉱石に触れたり、焼酎を試飲したりと、見学するだけでなく体験もできるというところに薩摩金山蔵の魅力があります。

残念ながら串木野金山は現在休山中ですが、多くの坑夫たちの努力によってできたこの歴史的遺産で、たくさんの焼酎が熟成の時を待っているというのは、何とも感慨深く、壮大なロマンを感じます。
▲「蔵乃仲見世」前の廊下

鹿児島を代表する特産品である焼酎と、明治維新期の薩摩躍進の立役者となった串木野金山。どちらも鹿児島を語る上で欠かせない存在です。ぜひ薩摩金山蔵で、そんな薩摩の文化や歴史に触れてみてください。
さわだ悠伊

さわだ悠伊

鹿児島市出身・在住のフリーライター。グルメ、旅、コラム等ジャンルや媒体を問わず活動中。鹿児島県内の離島取材も豊富。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP