有形文化財の石蔵発酵槽も必見!「ルミエール」の想いと伝統を感じるワイナリーツアー

2015.10.26

「ルミエール」の創業は明治18(1885)年。日本で国産ワインの製造がはじまったばかりの頃から、ぶどうづくりとワイン醸造を一貫して行ってきた山梨のワイナリーです。100年以上の歴史を刻む石蔵発酵槽は必見!歴史と伝統を感じるワイナリーツアーのしめくくりは、ワインと料理のマリアージュを楽しみましょう。

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▲地下のワインセラー
丘の上に佇む「ルミエール」を訪れると、まるでフランスの小さな田舎へ来たような気分に。ワイナリーツアーでは、自社のぶどう畑見学や、醸造棟、石蔵発酵槽、ワインセラーなどを見ることができます。
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▲ルミエール入口
今回案内してくれるのは、ワイナリーツアー担当の酒井勇治さん。
酒井さんは、学生時代からワインが大好きで、もともとはお客さんとしてルミエールを訪れ「ここで働きたい!」と、その場で採用試験に申し込み見事合格。
いまや、ワイナリーツアーに欠かせないスタッフとして活躍しています。

「“勉強した”というより、“楽しかった”と言っていただけるようなワイナリーツアーにしたいと思っています。わからないことがあれば、気軽に聞いてください!」
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▲酒井さん。参加者との会話も大切にしながらツアーをすすめていく

ぶどうの枝に注目! 

ルミエールの自社農園のぶどう畑は、約3ヘクタール。甲州、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、プチ・ヴェルドなどを栽培しています。

「枝の向きに注目してみてください」と、酒井さん。
ぶどうの品種によって樹勢(じゅせい/枝が伸びていく力)が違うため、品種に合わせて枝の伸ばし方を変えるのだそうです。
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▲ルミエールの畑は標高約350メートルにある。ぐるりと山に囲まれた、ぶどう栽培に最適な土地につくられている
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▲訪れた日は、収穫間近だった
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▲品種「ミルズ」の枝の様子。樹勢が強いので、下に向けて伸ばして果実を実らせる
畑を歩くと、土がふんわりとやわらかいことに気づきます。その秘密は、土を耕さず、草生栽培を行っているからです。自然のリズムに合わせることで、土壌が本来持っているエネルギーを高め、ぶどうの風味を引き出す方法をつづけています。

「四季を通じて移り変わる景色も美しいですよ。鳥のさえずりも聞こえてきます」
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▲雑草が伸びた畑だが、ただただ放っているわけではない。風通しをよくするために最低限の除草を行うなど、こまめな手入れを欠かさない
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▲実際にぶどうを見ながら説明を聞くと、次々と質問が生まれてきて会話がつきない
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▲棚栽培のほかに、垣根栽培も行っている

貴重な石蔵発酵槽の中をのぞいてみよう

醸造棟へ移動すると、ちょうどぶどうの実と茎を分ける作業の真っ最中。選果台(せんかだい)の大きな可動音とともにスピーディーにすすむ作業は迫力満点!
除梗(じょこう)機に入れられたぶどうは、茎が取り除かれ、実の部分だけが選果台を経てタンクへと移され、発酵が行われます。
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▲選果台をぐるりと囲み、茎が取り除かれた果実をチェックして未熟な粒などを手作業で取り除く
※作業の見学は醸造棟の外からになります
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▲発酵・貯蔵させるステンレス製のタンク
※時期や時間によっては、作業を行っていないため醸造棟内の見学のみになる場合があります。
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▲DVDで、ルミエールの歴史やワイン醸造について知ることもできる
つづいて、「石蔵発酵槽」を見学しました。
石蔵発酵槽とは、文字通り、石蔵の中でぶどうを発酵させる発酵槽。もともと明治34(1901)年に10基造られたもののうちの1基を、いまも使用してワインをつくっています。

石蔵ならではの酵母菌によって、独自の発酵がなされ、重厚感のある味わいと風味が生まれます。上から覗くと、100年の歴史がずっしりと伝わってくるような気配が漂っていました。
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▲石蔵発酵槽をのぞく。ここでワインができるなんてなんだか不思議……
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▲石蔵発酵槽は、国の登録有形文化財に指定されている

ポコポコポコ……発酵するワインの音!?

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▲地下へ降りるとワインセラーの入口がある
地下にあるワインセラーも石づくりです。自然の温度管理によって、年間平均16~17度前後を保ちます。耳をすますと、「ポコポコポコ……」という音が聞こえてきました。

「これは樽発酵によってガスがふき出る音です。樽発酵が行われる仕込みの時期は、ワインが発酵する様子を、目だけでなく、耳をすまして体感していただけたらと思います」
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▲地下セラーには樽がずらり
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▲ポコポコという音は、樽の上部に設置された発酵栓から聞こえてくる。ワインが発酵する時に出る炭酸ガスを、水を入れた発酵栓が発散させているのだ
石づくりのセラーの先には、昭和36(1961)年に建造されたというセメントタンクのセラーがあります。なんと、当時はこのセメントタンクにろうでコーティングをし、ワインを注いで貯蔵していたそうです。

「壁を見てみてください。赤い色の染みがありますよね、貯蔵されていたワインの色です」
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▲セメント製のワインセラー。両側の樽が並ぶ部分にワインが注ぎこまれ貯蔵されていた
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▲壁に注目するとワインの染みが見える

お待ちかねの石蔵ワインの味は?

ショップ内にはカウンターがあり、ワインの試飲ができます。迷わず石蔵発酵槽で仕込まれた「石蔵和飲(わいん)」をリクエストしました。
口に含んだ瞬間、複雑な風味が広がり、いつまでも余韻を楽しみたくなる味わいです。
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▲「石蔵和飲」のほかにも数種類のワインを試飲できる
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▲「石蔵和飲」(2,160円/750ml)。和やかに楽しむという意味が込められている
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▲発酵途中のぶどう果汁「シュトルム」の試飲もある。甘酸っぱくて、微発泡。酵母のエネルギーを感じる一杯 ※9~10月の期間限定
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▲フレーバードワインヴィネガー白・赤(各1,080円/100ml)。それぞれ15年以上熟成した赤ワインヴィネガーと白ワインヴィネガーにスパイスやハーブと蜂蜜を加えている。どちらも、料理や冷水・炭酸水で割って楽しむ

1本のワインボトルの中の風景が見えてくる

社長夫人で広報担当の木田和(きだ かず)さんが、ルミエールでワイナリーツアーを開催する思いを教えてくれました。
「ワイナリーツアーを通して、1本のワインボトルの中に広がる風景を見て頂けたらと思っています。ルミエールのワインへの思い、醸造家の技術、すべてを知っていただければ、より一層味わいを楽しめると思うのです。ぜひ一度、ワイナリーツアーへお越しください。そして、レストランでぜひ食事も楽しんでくださいね」
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▲木田和さん。航空会社に勤めていたときに、機内食にルミエールのワインがあり、日本のワインがセレクトされていることに衝撃を受けたのが出会いとなった。現在は、代表の木田茂樹さんとともにルミエールのワインの魅力を伝えている

ショップに直結しているレストラン「ゼルコバ」は、ちょうどランチタイム。たくさんのお客さんが、ワインと食事を楽しんでいました。

「ゼルコバ」は、ホテル西洋銀座で総料理長をつとめていた広田昭二シェフが、総料理長をつとめています。「ここに来ると、いろんなアイディアがあふれてくる」と、広田シェフ。勝沼の地と、ルミエールのワインに刺激を受けながら、お客さんにワインと料理を一緒に楽しんでほしいという思いで腕をふるっています。

さっそく、季節のコース料理をいただきました。
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▲ラタトゥイユは、隠し味に赤ワインヴィネガーを使用。赤ワイン「ペティアン ルージュ」とともに
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▲スペルと小麦のニョッキ。山梨産豚のバラ部位を、赤ワインのたまりに3週間以上漬けこんでつくったベーコンがアクセント。白ワイン「甲州シュルリー」とともに
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▲メインの甲州ワインビーフの炭火焼き。ぶどうの搾りかすを食べて育ったという牛。風味豊かな肉の味わいを楽しんで。赤ワイン「シャトールミエール赤」とともに
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▲メインの牧丘産甲斐サーモンのポワレ。清流で育ったサーモンのふっくらとした身は、マッシュルームのバターソースとの相性が抜群。白ワイン「シャトールミエール白」がすすむ
※メイン料理はお肉かお魚のどちらかを選べます
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▲デザートまでぶどうづくし。ぶどうジュレとルミエールのブランデーを加えたバニラアイス。ジュレの中にはぶどうがごろごろ入っていた
※季節のコースメニュー 魚のコース3,888円、肉のコース4,536円(ワイン料金別途)

野菜の出汁を大切にしたフランス料理は、最後まで重たい印象が少しもなく、すーっとお腹に消えていきます。どれも素材の味をしっかり感じるだけでなく、シェフの「お客さまに楽しんでほしい」という心意気があふれる一皿ばかり。
一皿ごとに、組み合わされるワインと一緒にいただくと、さらに味わい豊かになります。

「自然豊かな場所なので、まわりに広がる風景の変化も楽しんでいただけると思います。春には萌黄色の若葉、秋にはぶどうの黄色い葉や、紅葉した山が美しいですよ。季節の食材を使った料理といっしょに楽しんでいただけたらと思います。毎月訪れてのんびりとここで過ごすお客さまもいらっしゃいます」
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▲最後は併設のショップでお気に入りのワインをじっくり選んで

こころもおなかも大満足のワイナリーツアー。毎月足を運んで、季節とともに表情をかえるぶどう畑やワインを楽しみたくなりました。

※価格はすべて税込みです

写真・奥田晃司
齋藤春菜

齋藤春菜

編集者、ライター。出版・編集プロダクションデコ所属。女性の美容・健康・ライフスタイルに関する書籍、雑誌を多数編集・執筆。文芸、料理、アート本の編集も行う。全国各地へと取材に訪れたさいには地元のおいしいお店を必ずチェックする。編集を担当した本に『お灸のすすめ』『瞑想のすすめ』(ともに池田書店)、『足もとのおしゃれとケア』『わたしらしさのメイク』(ともに技術評論社)、『はじめてのレコード』(DUBOOKS)、『顔望診をはじめよう』、『月の名前』、『健康半分』などがある。

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