横浜美術館は2019年で開館30周年!7つの展示室や蔵書約11万冊の美術情報センターなどの全貌を紹介
横浜の再開発地区「みなとみらい21」で1989(平成元)年3月に横浜博覧会が行なわれた。パビリオンのひとつとして開館し、同年11月に正式に美術館として開館したのが「横浜美術館」である。丹下健三氏設計のシンメトリーな建物の中には、7つの展示室のほか、美術情報センター、アトリエ、カフェ、ミュージアムショップが配置されている。令和の始まった今年(2019年)はちょうど開館30周年にあたる。それを記念して巨大美術館の全貌をご紹介したい。

国内最大級の総合美術館!

エントランスホールは吹き抜けになっていて、開放感にあふれている。ここは「グランドギャラリー」と呼ばれ、左右の階段状のスペースには、現在はイサム・ノグチやコンスタンティン・ブランクーシの立体作品が展示されている。

横浜美術館の延床面積は26,829平方メートル、所蔵品は約12,000点。床面積では日本最大とされる「国立新美術館」(延床面積49,834平方メートル、所蔵品なし)にはおよばないが、「国立西洋美術館」(延床面積17,369平方メートル、所蔵品約6,000点)をしのぐ規模といえる。
1859(安政6)年の横浜開港以降の美術、いわゆる近・現代美術を中心にコレクションしていて、ジャンルは絵画、彫刻、版画、写真・映像、工芸などバラエティに富む。

展示室へはエスカレーターで上っていく。グランドギャラリーの右側に3室、左側に4室ある。いつもは右側の3室で企画展が行なわれ、左側の4室でコレクション展(館の所蔵作品からセレクトして展示)が行なわれる。取材当日は開館30周年記念の「Meet the Collection ―アートと人と、美術館」の会期中で、この展覧会では全7室で展示が行なわれていた。
ピカソもマグリットもキャパも!
束芋(たばいも)、淺井裕介(あさいゆうすけ)、今津景(いまづけい)、菅木志雄(すがきしお)という4人の現代アーティストの作品と所蔵作品を並べることで、作品と作品の出会い(Meet)の場をつくりだすという趣向となっている(今回の企画展の観覧料は一般1,100円・税込)。
会期は6月23日(日)までと限られているが、内容をざっと紹介したい。なぜなら4人の作品以外は横浜美術館の所蔵品であり、今後のコレクション展で見られるチャンスも多いからだ(コレクション展は年2、3回展示替えされる)。








ピカソもマグリットもキャパもイサム・ノグチも一堂に見せてくれて、もうおなかいっぱい。ひとくちに近・現代美術といっても、その幅は広く、奥が深いことを存分に教えてくれた。横浜は日本の写真発祥の地のひとつだからか、写真が充実している印象も受けた。写真ファンはぜひ足を運んでみてほしい。
そのほか年に1回、「New Artist Picks(NAP)」と銘打って国内外の新進アーティストによる小展覧会も開催している。若い現代アーティストにも目配りが利いているのだ。
蔵書約11万冊、映像も見られる美術情報センター


アトリエでもアートと人が出会っている
「子どものアトリエ」は、小学校6年生(12歳)までの子どもを対象として、さまざまな造形プログラムを実施している。1日で終わるものから全6回の本格的な連続プログラムまであり、料金はプログラムによって異なる。
そのほか「親子のフリーゾーン」というプログラムもあり、月に3回程度の日曜に、保護者100円(税込)、小学生以下無料で、絵の具、粘土、紙を使って自由に遊ぶことができる(要事前申し込み)。

「市民のアトリエ」は、版画室、平面室、立体室の3部屋があり、それぞれで12歳以上(一部をのぞく)を対象にワークショップを行なっている。そのほか、オープンスタジオの日があり、スペースと専門的な道具を使って制作を行なうことができるので大人気だ(要事前申し込み)。


取材した日は立体室でオープンスタジオが行なわれていた。男性に話を聞いてみると、「もともと作家志望だったけど、別の仕事をしていて、リタイヤしてからようやく好きなことをできるようになった。アトリエを持っていないから、すごく助かるよ」とのこと。

テラコッタの鉢を磨いたり、粘土で土偶を作ったり、みなそれぞれが思い思いのものを作っている。スタッフによれば、素人からセミプロまでさまざまな人が利用し、まわりの人が作る作品に刺激を受けて、あたらしい作品に取り組む人も多いという。ここもアートと人の「meet」(出会い)の場なのである。

充実したカフェとミュージアムショップ




「Café小倉山」という名前は、所蔵作品の人気投票イベントで1位になった下村観山の屏風絵「小倉山」からとられた。「小倉山」は色づいたモミジの絵だが、カフェの窓からは新緑のケヤキと、前庭に展示された菅木志雄の作品「散境端因」が見える。

「小倉山パフェ」は、抹茶アイスの上に栗がのっていて、モチモチした白玉とポリポリしたチョコポッキーがそえられている。ひとつの器の中でいろいろな味と食感が楽しめる。これはまさに横浜美術館と同じだなと思った。
「横浜美術館」は、展示室のほかにも、美術情報センターやミュージアムショップ、カフェ、アトリエなどの施設が充実しているので、好みの企画展のときだけでなく、通常のコレクション展のときでもぜひ訪れてみたい美術館である。
横浜美術館
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
[開館時間]10:00~18:00(入館は17:30まで)
[観覧料]コレクション展:一般500円、大学・高校生300円、中学生100円、小学生以下無料 ※すべて税込
企画展:展覧会ごとに異なります。公式ホームページをご確認ください。
[休館日]木曜、年末年始
045-221-0300

大塚真
編集者・ライター。出版社兼編集プロダクションの株式会社デコに所属。近年編集した本は、服部文祥著『アーバンサバイバル入門』、『加藤嶺夫写真全集 昭和の東京』シリーズの「4江東区」「5中央区」(ともにデコ)ほか。ライターとしては『BE-PAL』(小学館)などで執筆。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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