マイナス10度で焼肉!「北見厳寒の焼き肉まつり」で極限のグルメを楽しんできた

2019.03.20 更新

独自の焼肉文化が育まれ、人口あたりの焼肉店の数が北海道一(平成23年NTTタウンページ調べ)を誇る北見市。そんな焼肉の街で毎年2月上旬の夜に開催される一大イベントが、「北見厳寒の焼き肉まつり」です。寒さがピークを迎える時季に行われるにもかかわらず、2,000人の参加者が屋外で焼肉を楽しむという少々トリッキーなイベント。一体どんなものなのか、防寒対策万全で参加してきました!

▲焼肉の煙と、来場者の熱気で白いもやに包まれるまつり会場。これこそがイベント盛況の証!

焼肉の街・北見はこうして生まれた

北海道東部に位置する北見市は人口約12万人。市内には70軒以上の焼肉店があり、人口1万人当たりの店舗数は約6軒。この数は北海道一で、北見市よりも大都市である札幌市(人口約195万人、焼肉店約320軒)の約1.6軒や、旭川市(人口約34万人、焼肉店約110軒)の約3軒と比べても圧倒的です(2019年3月現在)。

そんな北見市の焼肉の歴史は、昭和25(1950)年に開店し、国鉄・北見駅近くで営業していた屋台から始まりました。当時、北見駅の南側には家畜処理場があり、新鮮な肉が手に入りやすかったことから、その後も次々と焼肉店が開店。昭和30年代には、どこのお店も多くの労働者や国鉄職員でにぎわっていたそうです。
▲焼肉といえばごちそうのイメージですが、北見市民にとっては身近な料理です(写真提供:北見市商工観光部観光振興室観光振興課)

人気だった部位は豚ホルモンや豚サガリなど、比較的に安く取引されていたのが内臓系の肉。 これらを下味の付いていない状態で炭火で焼き、塩コショウや、非加熱の生ダレに付けて食べるというのが、いつのころからか主流となっていきました。 こうして「北見焼き肉文化」と言えるものが出来上がり、焼肉は多くの北見市民に愛されるソウルフードとして発展しました。
▲美味しくてリーズナブル!多くの人から愛されるのも納得です(写真提供:北見市商工観光部観光振興室観光振興課)

そして、北見市を代表する一大イベント「厳寒の焼き肉まつり」が生み出されることになったのです。

寒空の下で心行くまで炭火焼肉を堪能!

筆者が参加した2019年の「焼き肉まつり」は記念すべき第20回目。2月1日、JR北見駅東側の北見芸術文化ホール駐車場の特設会場で開催されました。

イベントに参加するには前売りの入場券(2019年の場合は限定2,000枚、税込2,000円)が必要です。販売は市内の窓口やインターネットで行っており、詳細は北見市観光協会のホームページでお知らせしています。
▲入場券は開催日までに完売しない場合、当日販売もあるそうですが、2019年は1月20日前後で完売となりました

また、入場券と近隣ホテルの宿泊がセットになったプラン(2019年の場合、大人1名1室6,500円~)もあり、遠方から参加するにはお得になっています。こちらの申し込みも北見市観光協会で受け付けています。

当日は100人以上のボランティアスタッフが導入され、会場の設営や炭の火起こしが行われます。使う七輪は約800個!多くの来場者がイベントを楽しめるのは、こうしたスタッフさんたちの努力のおかげです。
▲ボランティアの人たちが大型のバーナーと送風機で豪快に炭の火をおこし、大量の七輪に入れていきます

まつり開始は17時から。開会式ではその年の新成人が会場中央のステージに登壇。その前に設置された巨大七輪に、たいまつを使って点火するのが毎回の恒例になっています。
▲新成人の目標達成と、まつりの成功を祈って点火!

この日のスタート時の気温は約マイナス10度!まさに「厳寒」を名乗るのにふさわしい気温ですが、この時季の北見市としては標準的な気温です。防寒着はもちろん、帽子、手袋、マフラー、カイロなどで対策をしっかりすれば、この寒さも楽しいものに。
▲ステージ前では現在の気温を表示。もう少し暖かい開催年もあったそうですが、マイナス10度ほどの方が、寒さを楽しむにはちょうど良いかと思います(笑)

開会式が終わったら、入場券を持ってまずは「肉引換コーナー」へ。コーナー前には大勢の人が並び、このイベントの盛況ぶりがうかがえます。
▲袋に入れ用意された食材セットが次々と来場者に渡されていきます

入場券と交換した袋の中には豚ホルモン、牛サガリ(横隔膜)、豚肩ロース各100gの他、たまねぎ約半玉、味付け用塩コショウ、取り皿、お土産用のスープの素などの基本セットが入っていました。
▲焼き肉まつりの基本セット(写真は1人分)。入場料2,000円(税込)を考えればこれだけでもかなりお得です

この基本セットの他に、焼酎のお湯割り飲み放題も入場料に含まれます。会場の飲食ブースの一角でもらえ、無料でレモン、ライム、梅の果汁で割ることもできます。寒いイベントにはありがたい企画ですね。
▲お湯割りの焼酎で体の芯から温まります。しかし、早く飲まないとあっという間に冷たくなりますよ。ちなみにスタッフがかぶっているのは、お湯を提供するガス会社のキャラクターです

会場には、プラスチックのコンテナに木の板を渡して作った即席ベンチがずらり!その間に七輪が設置されており、来場者自ら肉を焼いて、食します。自由席なので気の合う仲間達や、初めて会った人同士でも七輪を囲んで和気あいあいと焼肉を堪能することができます。
▲どこで食べても北見の焼肉は最高!会場にいる人たちはみんな笑顔でした。帽子に手袋、耳当てなど防寒装備はもちろん必須です!

次第に焼肉の煙と匂いが立ちこめてきました。筆者もお腹がすいたので引き換えた肉を焼いてみます。
▲炭火も良くおきており、寒い中でも七輪の上で肉たちがどんどん焼きあがっていきます

先述の通り、北見の焼肉の定番は豚ホルモンと牛サガリ。どちらも内臓系の部位ですが、新鮮でしっかりと血抜きや洗浄などの下処理がされていることから、肉本来の美味しさを味わうことができます。

下味はついていないので、味付けはセットに入っていた塩コショウや、席ごとに備え付けられたタレやレモン汁で。筆者は主に醤油ベースのタレで食べてみました。
▲席備え付けの焼肉のタレ。祭りの協賛メーカーからの提供で、色々な味付けを楽しめます

豚ホルモンは柔らかくて食感が良く、脂も甘みがあります。一方の牛サガリはクセがなく、どの味付けをしても相乗効果でさらに美味しくなる印象。豚肩ロースもほど良く乗った脂が、とろける食感を生み出していました。どれもただ焼いただけとは思えない最高のごちそうです!アウトドアで食べる料理は美味しいというのは良く言いますが、極寒の中、七輪で暖を取りながら食べる焼肉はもう一段、美味しさが上です。
▲どの肉も下処理がしっかりされ、北見焼肉の名に恥じない美味しさ(写真は牛サガリ)

北見市が生産量日本一(農林水産省「平成27年作物統計」)を誇るたまねぎも重要な食材。焼かれることで甘みが増し絶品。農業王国である北海道の魅力を感じることができる野菜です。
▲たまねぎは肉たちを引き立てる名バイプレーヤー

あっという間に300gの肉とたまねぎを完食!もちろん、これだけでイベントは終わりません。会場には多数の飲食ブースがあるので、追加の肉はもちろん様々なグルメを楽しむことが出来ます。
▲追加の肉は北見市内の焼肉店が出店販売。おにぎりやモツ鍋といったサイドメニューもあります
▲地元ラーメン店による出店や、猟友会による鹿肉のジビエを提供するお店も。焼肉と一緒にご当地グルメを味わえる点もこのまつりの魅力

無料の焼酎お湯割り以外にも、各種アルコール類やソフトドリンクも充実。熱燗やホットワインで体を温めるも良し、乾燥した空気で乾いたのどを冷たいビールで潤すも良し、会場ではそれぞれの飲み方でみなさん盛り上がっていました。
▲焼肉には冷えたビール!どんなに寒くても定番です

なかでも気になったのが、北見市の地ビールメーカー「オホーツクビール」が販売していた「メープルホッティ」(税込500円)。湯せんで温められた発泡酒で、見た目は黒ビールのようです。
▲注文すると、湯せんをしたお酒をコップに注いでもらえます

飲んでみると、その名の通り樹液(メープル)のほのかな甘みがひろがり、それが発泡酒のコクと酸味を引き立ていました。
▲深い味わいと温かさが、冷えた体の中に広がります

ひと通り焼肉を楽しんだ後に多くの人が食べていたのは、なんとソフトクリーム(税込350円)!出店している「くんねっぷ ミルククラウン」の移動販売車には行列ができ、みなさん美味しそうに食べていました。
▲どんなに寒くても、やっぱり締めはソフトクリーム!とことんまで寒さを楽しみます

まつりの最中はゲストによる歌謡ショーや、追加の肉が当たる抽選会などステージイベントも開催。中でも大盛り上がりだったのは、北見の焼肉を愛し、PRする「北見焼肉アイドル Meat You」のステージ。「シャーベットには早すぎる 」など焼肉にちなんだ楽曲で、厳寒の会場を熱くしていました。
▲焼き網とトングを持ち、熱唱する「Meat You」メンバーの星隈(ほしくま)瞳さん。現在はソロユニットですが、ファンも多く会場では応援コールも響いていました

イベントの間は終始マイナス10度前後。しかし、しっかりとした防寒対策と会場の熱気のためか寒さはあまり感じませんでした。まつりに参加したことで、北見の焼肉の美味しさとすばらしさ、そしてそれを愛する人たちの気持ちが実感できました。

全国に広がる「北見焼き肉文化」

実は、この大盛況のイベントを最初に立ち上げたのは、地元の人ではありませんでした。北見市には様々な企業の支店や出張所があり、転勤や出張で訪れる人たちにも北見の焼肉は評判でした。そんな企業の支店長らの交流を目的として「ぼらんち会(当時はでさき会)」という組織が平成7(1995)年に結成されると、そこから「安くて美味しい焼肉と、厳しい寒さで北見市をPRするイベントを」という声が上がりはじめました。
▲まつり創設者の思いは現在にも伝わり、毎回大勢の人が北見の焼肉と厳しい寒さを楽しみます(写真提供:北見市観光協会)

そうして、ぼらんち会と北見まちづくり研究会のメンバーで実行委員会を組織し、平成12年(2000)年2月29日(ニクの日)に初めて開催されたのが「北見厳寒の焼き肉まつり」でした 。当初は1回限りの予定でしたが、市民からの反響が大きく翌年からも2月初旬に毎年開催されるように。以来、現在(2019年)まで続く21世紀の新たな伝統のイベントとなっているのです。

美味しい焼肉を寒さと楽しむ。この「厳寒の焼き肉まつり」について、第13回から実行委員長を務めている下元(しももと)陽司さんに話を聞いてみました。
▲実行委員長の下元陽司さん。当日も実行委員やボランティアをまとめ、イベントを支えていました

「第1回目の開催から20年の間に 、北見市で勤務した人たちがこのイベントと北見の焼肉を全国に広めてくれました。おかげさまで、遠くは九州など全国から参加してくださる方やリピーターの方も増え、年を追うごとにいっそうの盛り上がりを見せています」

北見の寒さは決して快適なものではありません。しかし、そこに焼肉が加わることで、全国の人々をも魅了するひとつの文化に発展していることを、このまつりを通して感じることが出来ました。年に1度の開催ですが、今度はみなさんが「北見厳寒の焼き肉まつり」に参加し、冬の北海道の寒さと北見の焼肉のすばらしさを体験してみてください!
▲飲み物やタレもあっという間に氷ってしまう寒さでも、美味しく楽しめるイベントでした!(写真提供:北見市商工観光部観光振興室観光振興課)
長尾悦郎

長尾悦郎

北海道十勝地方でカメラマン、ライター、新聞記者として活動中。撮影ジャンルは広告、風景、人物など幅広く。地元観光協会勤務やご当地キャラマネージャーなどの経験を生かし、地元をもっと盛り上げていきたいと思っています。(編集/株式会社くらしさ)

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