富山産の旬ネタがてんこもり!「富山湾鮨」で極上の寿司をリーズナブルに堪能

2019.05.19 更新

せっかく旅行するなら、旅先でおいしいものを思い切り楽しみたいですよね。今回は、富山に行ったらぜひとも食べておきたい「富山湾鮨(とやまわんずし)」をご紹介!「お寿司だなんて、高いのでは!?」なんて心配はいりませんよ。比較的リーズナブルな値段で、富山ならではの旬の味があれもこれも楽しめちゃうんです。今回は「富山湾鮨」をいただける人気店に足を運び、おすすめのネタをチェックしてきました。

富山のおいしさを寿司で味わい尽くせる「富山湾鮨」

「富山湾鮨」とは、2011年に誕生した、富山県内の寿司店で提供されているご当地寿司のこと。その名のとおりネタには富山湾で獲れた魚、シャリには富山県産米が使われていて、汁物にも富山らしさを出すなど、徹底的に富山産にこだわっているのが特徴です。“天然の生け簀(いけす)”と称される富山湾の海の幸を思う存分楽しむことができるとは、嬉しい限りですね!
▲寿司10貫に汁物付きのセットメニューとして供される富山湾鮨。値段は店舗によって異なるが、2,000~3,500円(税別)の間と決まっている

誕生から8年目を迎える現在は、富山県内の50強の寿司店で、この富山湾鮨をいただくことができます。

今回向かったのは、富山市にある人気寿司店「寿司正(すしまさ)」。何を隠そう、この店のご主人は、この富山湾鮨の考案者の一人なのだとか。富山県の鮨組合で理事長を務める実力者と聞いて、ますます期待が高まります!
▲富山市の街中から見る立山連峰。左に見えるのが、富山名物の路面電車

お店を目指しててくてく歩いていると……なんとビルの間から勇壮な立山連峰がのぞいているではありませんか!雪をかぶった見事な姿に見とれて、思わず足を止めてしまいました。
▲路面電車・富山都心線の大手モール停留場から徒歩1分ほど、JR富山駅からは徒歩30分ほどの場所にある「寿司正」

“富山湾鮨”と書かれたのぼり旗を発見!人気店でありながら、このこぢんまりとした店構えに、逆に期待が高まります。
「一体どんなネタが食べられるんだろう?(ワクワク!)」
はやる気持ちを抑えて、のれんをくぐります。
▲1階はカウンターを中心とした造り。2階は宴会用の座敷になっている

富山湾鮨の誕生についてうかがうと、「きっかけは北陸新幹線の開通です」と店主の山下信夫さん。
▲山下さんは、寿司職人歴50年以上という大ベテラン!

「せっかく富山まで足を運んでもらうのだから、地元ならではの味をおなかいっぱい楽しんでもらいたいと思いましてね。いろいろな種類の海産物を一品料理であれもこれも食べるのは大変ですが、寿司なら一度の食事でたくさんの種類を味わってもらえるでしょう?地元の味を知ってもらうには、寿司がぴったりだと考えたんですよ」と教えてくれました。

気になる!この日の富山湾鮨のネタとは……!?

富山湾鮨で供されるのは、板前さんお任せによる10貫。季節や仕入れの状況によって都度ネタが入れ替わるので、どんなお寿司が食べられるかは出てきてからのお楽しみです。普段は10貫まとめて出されますが、今回は特別に1貫ずつ出してもらうことにしました。

それでは大将、ウワサの富山湾鮨、一丁お願いします!
▲貴重な海獲れのサクラマス。旬は2月中旬~5月

最初に握っていただいたのは、こちらのサクラマス。
富山といえば酢で〆たサクラマスを使った押し寿司「鱒(ます)寿司」が有名ですが、こちらの握り寿司には生のサクラマスが使われます。押し寿司には、主に川や養殖場で獲れたものを使いますが、海で獲れたものは臭みがないので塩や酢で〆る必要がないからだそう。脂がしっかりのった生のサクラマスは、サーモンよりも脂があっさりとしていて上品な印象を受けました。肉厚の身をほおばると、やさしい脂の甘みが口の中に広がります。
▲11~4月が旬のスミイカ。コウイカの名前でも知られる

スミイカの特徴は、なんといってもそのやわらかさ。身を押しつぶすようにやさしく噛んだだけで、あっという間に消えてなくなってしまいました!イカの風味はもちろんのこと、じんわりとした甘みも楽しめるツウな一貫です。
▲寿司の定番ネタ、甘エビは通年で楽しめる

定番人気の甘エビは、北海道から山陰地方までの日本海沖でよく水揚げされるそう。深海に生息する生き物ですが、富山湾は沿岸からわずか10~20km沖に出るだけで海底が1,000mの深さにまで達するため、鮮度抜群の甘エビが楽しめるのだといいます。

言わずもがな、プリッとしたその身は甘くて美味!酸味を抑え、やや甘めに仕上げたシャリともよく合っていました。
▲年末から梅雨の時季まで楽しめるクルマダイ。マトダイ、モンツキダイとも呼ばれている

脂が少なくタンパクなクルマダイは昆布〆に。むっちりとした身は非常に上品な味わいで、舌の上で心地よくほぐれていきます。
▲3~6月が旬のサヨリ。「これが出てくると春っていう感じがするよね!」と山下さん

塩焼きや干物でいただくことの多いサヨリも、富山では春の定番ネタ。白身ならではの上品さと青魚を食べているような旨みが楽しめました。こちらは、ワサビではなくショウガでさっぱりいただきます。

それにしても、これだけバリエーション豊かなネタがすべて富山湾産とは!訪れた甲斐があるというものです。「居酒屋をはじめ、ほかの業態の店舗からも『富山湾鮨を出したい』と言われるんだけどね。本物の寿司を食べていただきたいので、『富山湾鮨は寿司店でしか提供しない』と決めているんです」という山下さんの言葉から、職人としての心意気が伝わってきます。
▲富山名物のバイ貝。通年で獲れるが、「冬が一番旨い」と山下さん

富山湾名物の一つとして外せないのがこちらのバイ貝。山陰地方でも獲れるそうですが、生で食べるのは富山県と石川県だけなのだとか。コリコリとした独特の食感と磯の風味、そして貝の甘み……。富山でぜひともいただきたいネタの一つです。
▲9~5月の漁の時期だけ楽しめるベニズワイガニも富山湾の名物。寿司ネタとして食べるのは北陸地方だけなのだそう

日本海のごちそうといえば、カニ!漁場から漁港までの距離が近い富山湾のベニズワイガニは鮮度抜群なので甘みが違います。ふっくらとした身を噛みしめると贅沢な甘みがジュワ~ッ♪
▲産卵期にあたる2~6月が絶品のマダイ。エサをたくさん食べているので旨みが増す
▲4~11月に獲れるシロエビ。こちらも富山湾ならではのネタなので、ぜひとも食べておきたい

こちらも富山に来たら絶対に外せない、シロエビ。日本海付近に広く生息していますが、漁が成り立つほど大量に獲れるのは富山湾だけなのだとか。甘エビよりも甘みが強く、ねっとり濃厚!
▲産卵を控えた3~4月と、脂がのってくる9~11月が特においしいといわれるカマス

最後の10貫目はカマスです。「そのままでもちろんおいしいのですが、うちでは軽く炙って提供しています」と山下さん。表面をさっと炙ることで、皮と身の間に蓄えられた脂が溶け出し、旨みが一層際立つのだそうです。
▲バーナーで勢いよく炙ると…
▲香ばしい皮の焼き目がアクセントに!さっぱりと塩でいただく

淡白なイメージのあるカマスですが、富山湾で獲れたものはしっかり脂がのっていました。
▲寿司正の富山湾鮨は3,000円(税別)。寿司下駄ではなく、富山県の形をしたガラス製の寿司台で供されるのもおもしろい

白身魚から青魚、イカ、カニ、貝まで全10貫を完食!個性豊かなネタがそろっていたので、最後まで飽きることなく楽しめました。それにしても、地元産のものだけで、これだけバリエーション豊かなネタが味わえるとは!富山湾がいかに豊かな漁場であるかが分かります。
▲寿司10貫に日替わりのあら汁物が付く。この日の具材はサクラマスのアラ。汁物からも、富山湾のおいしさが伝わってくる

春はノドグロ、夏はホンマグロ、冬は寒ブリ!四季折々の高級魚も勢ぞろい

それにしても、富山湾の魚介はなんでこんなにおいしいのでしょうか!?
「一つに、複雑に入り組んだ海底の地形があります。沿岸から少し沖へ行くだけで急激に深くなっている富山湾は、魚たちの格好のエサ場となっているのです。漁場と漁港が近いので、鮮度抜群の魚が食べられるというのも大きいですよね」と山下さん。

続けて、「でも、一番大きいのは立山連峰の存在かな。立山連峰の雪解け水が地中を通って富山湾に流れ込んでいるのですが、海に到達するまでに、なんと80年もの歳月がかかるそうなんです。つまりは、地中のミネラルをたっぷり含んだ伏流水が海に流れ込んでいるということ。それによってプランクトンにしっかり栄養が行き渡るため、生き物たちがふくよかに育つのです」と教えてくれました。
まさか山の恵みが、海の幸をおいしく育てていたとは!
▲3,000m級の山々が連なる立山連峰から、海底1,000mの富山湾へと栄養たっぷりの伏流水が流れ込む

ネタのおいしさは去ることながら、もう一つ驚かされるのがその種類の多さ。「日本海側の地魚」と聞くと「白身魚ばかりのお寿司なのでは?」と思いがちですが、富山湾鮨のネタは白身魚だけにあらず!

「ウニ、赤貝、ミル貝以外は、ほとんどのネタが富山湾で獲れるんじゃないかな。魚はもちろん、カニやエビ、イカ、カキ……夏場はクロマグロ(本マグロ)だって水揚げされるんですよ」という山下さんの言葉にビックリ仰天。
▲6・7月は、富山県の北西部にある氷見漁港でクロマグロが水揚げされる

「富山湾のクロマグロは、ブランドになっている“大間のマグロ”にも負けない品質ですよ!サイズは70~80kg級とそこまで大きくはないのですが、脂がのっていて本当に旨いんだから!」と山下さんも胸を張ります。

ちなみに、11・12月頃に現地を訪ねると、クロマグロの幼魚にあたるメジマグロを食べることができるそうですよ。メジマグロは、クロマグロよりも脂が少なく、身がやわらかいのが特徴なのだとか。
▲青い神秘的な光を放つホタルイカの旬は3~5月。その美しい姿から「富山湾の神秘」と呼ばれている
▲高級魚の代名詞ノドグロは4~5月が旬。石川県の特産品として有名だが、実は富山湾でもよく獲れる
寒ブリの旬は11~1月。特にブリトロ(写真)は、ホンマグロの大トロにも負けないほど脂がのっている

春のホタルイカにノドグロ、冬の寒ブリなど、季節によっていろいろなネタが楽しめるのも富山湾鮨の魅力。日本近海に生息する魚の種類は全部で3,400種ほどといわれていますが、そのうち日本海に生息する魚は約800種、富山湾だけでも約550種の魚がいるというのですから驚きですよね!

地酒と旬魚介のマリアージュも最高!

寿司正では、お寿司だけでなく一品料理も充実。おなかに余裕のある方やお酒のつまみを求めている方は、店内にあるホワイトボードもチェックしてください。
▲内容や値段は日替わり。3~5月はホタルイカの刺身や酢味噌和えなどがお目見えする
▲「これも食べてみてよ!」と出してくれたのは通年提供の「バイ貝の刺身」1,200円(税別)
▲みずみずしく、風味抜群のバイ貝はお酒のあてにもぴったり!
▲“富山湾の宝石”と呼ばれる希少なシロエビをたっぷり楽しみたいなら、一品料理がおすすめ。写真は通年提供の「白海老の小鉢」1,000円(税別)

「せっかく富山に行くならカニを食べたい」という方にも朗報!寿司正では、なんとベニズワイガニを丸ごと1杯楽しむこともできるんです。“カニ”といえば冬のイメージがあるかもしれませんが、山下さん曰く狙い目は春先。冬場は3,000~4,000円ほどまで値段が高騰するそうですが、春先は2,500円~とリーズナブルに楽しむことができるんです。産卵期を控えているので、実は味も一番おいしいのだとか。
▲9~5月の漁期だけ楽しめる「ベニズワイガニの塩茹で」1杯2,500円~(税別)。仕入れがない日もあるため予約するのが確実

地酒にも力を入れている寿司正。富山の地酒は白ワインのようにさらっとした飲み心地のものが多く、魚介ともぴったり合うといいます。
▲「勝駒(かちこま)」や「林」、「羽根屋」など、市場にはなかなか出回らないレアな地酒が10種類以上そろう。1合1,000円~(税別)

のん兵衛には「一献セット」もおすすめ!お寿司5貫に、旬の地魚を使った刺身盛り合せ、富山の地酒(1合)、富山らしい酒の肴が付いてきます。富山湾鮨の派生メニューとして、富山湾鮨加盟店のうち20店舗で提供されています(一律5,000円・税別)。

通常は、ネタに合う地酒を板前さんが選んでくれるのですが、寿司正ではメニューの中から好きな地酒(「勝駒」と「米の芯」を除く)をセレクトできるそう。まだ見ぬ銘酒を楽しんでみてはいかがでしょうか?
▲おすすめのネタと地酒を合わせた寿司正の「一献セット」(画像提供:富山湾鮨誘客キャンペーン事務局)
富山湾で水揚げされた旬のネタを心ゆくまで楽しめる「富山湾鮨」。季節ごとに驚くほど内容が入れ替わるので、いつ訪ねても感動のおいしさに出合えますよ!店によっても個性が出るので、食べ比べをしてみても楽しいかもしれません。
▲寿司正から徒歩7分ほどの場所には富山城も!JR富山駅に向かいがてら立ち寄るのもおすすめ

(写真・香田はな)
松井さおり

松井さおり

出版社勤務を経て、フリーランスのライター&編集者に。雑誌や書籍を中心に、主に、食・旅・くらしなどにまつわる記事を執筆している。現在は、東京から長野県長野市に拠点を移し、県内外を奔走する日々。(編集/株式会社くらしさ)

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