甘くてテリテリ!山梨のご当地グルメ「甲府鳥もつ煮」のおすすめ店3選

2019.03.24 更新

山梨の郷土料理といえば「ほうとう」が有名ですが、実は古くから親しまれ、ご当地グルメとして脚光を浴びている逸品があります。それが「甲府鳥もつ煮」。甲府市内の蕎麦屋をはじめとする飲食店では、定番メニューになっている甲府のソウルフードです。そんな「甲府鳥もつ煮」が食べられるおすすめ店を紹介します。

昭和25年に誕生した「甲府鳥もつ煮」

レバー・砂肝・ハツ・キンカン(産まれる前の卵)を、甘くて濃厚な醤油ダレで煮詰めた「甲府鳥もつ煮」。その誕生は昭和25(1950)年、甲府市にある蕎麦屋「奥藤(おくとう)本店」の2代目主人が、肉屋から「捨てられてしまう鳥のもつをどうにかできないものか?」と相談されたことが始まりだそうです。

戦後まもない頃だったので「安くて美味しいもの」を大前提に試行錯誤し、当時は貴重だった砂糖と醤油で煮た「甲府鳥もつ煮」を完成。甘じょっぱい味付けで、ご飯の上にかけても、お酒にも合うと評判を呼び、今では居酒屋や定食屋などでも定番になっているほど甲府市民の身近にある料理です。
平成20(2008)年には、甲府市役所の若手職員有志が「みなさまの縁をとりもつ隊」を結成。「鳥もつ煮で甲府を元気に!」を合言葉に普及活動を行い、平成22(2010)年には「第5回 B-1グランプリin厚木」で、見事ゴールドグランプリ(優勝)を獲得!「甲府鳥もつ煮」は、山梨を代表するご当地グルメのひとつとなりました。
▲「みなさまの縁をとりもつ隊」の隊員は2019年3月現在45名。甲府の象徴である武田信玄公の像(JR甲府駅前)とともに

そこで今回は、「みなさまの縁をとりもつ隊」の心強いスペシャリストたちに、甲府鳥もつ煮のおすすめを案内してもらうことに。マスコットキャラクターの「とりもっちゃん」も準備万端に体調?を整えてきてくれたそうなので、早速行ってみましょう!

「甲府鳥もつ煮」発祥の店「奥藤本店 国母店」へいざ!

中央自動車道・甲府昭和ICから車で約5分。最初に訪れたのは、「甲府鳥もつ煮」発祥の店である「奥藤本店 国母(こくぼ)店」です。大正2(1913)年創業の100年以上続く蕎麦屋で、山梨で「奥藤本店」と聞けば誰もが知る有名店です。入口に掲げられた「元祖鳥もつ煮」という大きな看板が、「甲府鳥もつ煮」の発祥店であることを伝えています。
▲「第5回 B-1グランプリin厚木」にも参加した「奥藤本店」

「お疲れ様ですね」と迎えてくれたのは、代表取締役で4代目の塩見大造(だいぞう)さん。料理人としても自ら厨房に立って活躍している塩見さんは、とても穏やかで優しい雰囲気の方です。
▲「B-1グランプリの時は、照りをつくりあげていくのが私の役目でした」と塩見さん

では、いきなりですが厨房を覗かせてもらいます。「うちはね、オーダーを受けてから生から調理するので、15分ぐらいお待ちいただいております」と塩見さん。レバーが5、ハツと砂肝が各2、キンカンが1の割合の材料を、醤油ダレの中へ入れ強火で絡めていくと…、見事な飴色の鳥もつ煮が完成~。
▲同店の鳥もつ煮は、竹の子が入っているのが特徴だそう

単品をはじめ、丼ぶりや温かいそばの具として鳥もつ煮が使用されたものなど、鳥もつ煮を味わえるメニューは豊富にありますが、やはり蕎麦付きのセットが人気と聞いたので、迷わず「甲府鳥もつセット」をオーダー。
▲「甲府鳥もつセット」(1,230円・税込)は、半ご飯、小鉢、香の物、蕎麦orうどんが付いたセット。昼夜問わずいただけます ※価格は変更になる場合があります

タレが絡んだもつがツヤツヤ?テリテリ?に光り輝き、キンカンの色鮮やかな黄色と相まって食欲をそそります。口に運んだ瞬間「あま~い」!塩辛さより先に甘みが広がる醤油の風味が絶妙です。ふわふわなレバー、コリコリとしたハツと砂肝、ふっくらとしたキンカン…、それぞれ違う食感を楽しむことができます。

タレが命とも言える「甲府鳥もつ煮」ですが、奥藤本店では昭和25年の誕生以来、一度も味を変えず、代々の味を守り続けているそうです。
▲2~3人用680円、1人用530円の単品もあります(ともに税込)※価格は変更になる場合があります

蕎麦は、厳選された蕎麦粉と山梨の水を使用した二八蕎麦。本節、宗田(そうだ)節、鯖節から取ったダシに生醤油を合わせた風味豊かなつゆに、たっぷりと浸けて食べるのが奥藤流だそうです。
甘じょっぱい鳥もつ煮と、醤油の風味を活かした蕎麦の相性は、味わい深いものでした。
▲とりもつ隊の内田絢子(あやこ)さんと羽田(はだ)惠さん

とりもつ隊の集まりでも同店を利用するそうで、おすすめポイントを内田さんに伺ったところ「看板メニューの甲府鳥もつ煮と蕎麦の味には定評がある上に、お店の雰囲気が落ち着いているので食事会などで利用するのもおすすめです。また、ほうとうや馬刺し、信玄鶏や富士桜ポークなどの山梨ブランドを使用したメニューも揃い、地産地消を心がけている点も観光客の方に喜ばれているようです」と教えてくれました。

そこで、こちらのもう1つの人気メニュー「甲州名物 馬刺し」をいただくことに。臭みの少ない赤身を使用した馬の刺身です。日本酒はもちろん、赤ワインにも合うそうで、取材でなかったら赤ワインと一緒に食べたい衝動に駆られました!
▲「甲州名物 馬刺し」(1,100円・税込)※価格は変更になる場合があります

甲府鳥もつ煮が誕生して約70年。その味の発祥店である「奥藤本店」は、今も当時と変わらぬレシピを受け継いで、多くの弟子に手ほどきし後世に伝えることにも力を注いでいるそうです。この店から甲府鳥もつ煮がさらに広がりを見せそうな予感がしますね。
▲「ほうとう」(一人前840円)、「そばかりんとう」(480円)などお土産品も豊富。カルビーポテトチップス「甲府鳥もつ煮味」(130円)は、平成31(2019)年1月21日から3月上旬まで数量限定で発売されたそう ※すべて税込

深夜2時まで営業している「生そば きり」でお酒と一緒に

続いては「生そば きり」へ。甲府駅北口から徒歩約2分とアクセスの良い場所にあり、すぐ近くには、明治~昭和初期の城下町を再現した「甲州夢小路」もあります。
▲とりもつ隊の市川眞利惠(まりえ)さんと古屋佑典(ゆうすけ)さんが案内してくれました

「閉店時間が早い蕎麦屋が多い中、こちらは深夜2時まで営業するお店です。夜ともなれば、隣接するテレビ局で働いている社員の方やサラリーマン、カップル、友人同士など多くの人が自然に集まってくるんですよ。私もよく利用するのですが、平日でも満席のことが多く、いつも楽しい会話が飛び交っています」と市川さん。
▲ズラ~ッと並ぶお品書きがいい味を出しています

カウンター6席とテーブル8席、奥に小さな座敷があるミニマムな店内を見渡すと、キープされた焼酎のボトルがたくさん並んであり、カウンターの上にズラッとメニューが貼られています。刺身や焼き魚、天ぷらなど、おつまみ系のメニューが多く、夜の喧騒を想像できますね。
▲店主の河西(かさい)司郎さん。お兄さん的存在の河西さんのあたたかい人柄に惹かれて、やってくるお客さんも多いとか

こちらでは、昼のランチセットのメインとしても人気の「甲府鳥もつ煮」をいただきます。
同店の鳥もつ煮の特徴は、焦げる直前まで煮詰めることだそう。そのため少し香ばしい風味を感じることができます。
▲焦げる直前に火を止めるので、片時も目を離さず調理します
▲「甲府鳥もつ煮」(600円・税込)。昼は「鳥もつセット」(1,000円・税込 ※ご飯、味噌汁、小鉢、サラダ、漬物付き)として提供されます

「うちのは甘いよ」と言う河西さんですが、食べてみると思っていたほど甘さは感じられず、食べやすい味です。そうは言っても、砂糖の甘みを存分に味わえ、醤油ダレの濃厚さが口の中に広がり、あと引く美味しさ。

山梨県内では鳥もつ煮に七味をふりかけるのが一般的ですが、「山椒もおすすめだよ」と河西さんが教えてくれたので、山椒をふりかけ実食!
なるほど~、甘じょっぱさとともに清涼感が味わえ、さっぱりとした風味を楽しめます。これは酒肴としても最高かも!濃いめの味付けが特徴の「甲府鳥もつ煮」が、山椒1つでこんなにすっきりとした印象になることにビックリしました。
▲2人共、山椒が気に入った様子

「仕事帰りに軽く一杯という時や、友人との2次会、3次会としても利用させてもらいますが、まずは“ビールと鳥もつ煮”これは外せませんね」と古屋さん。

そこで、夜のメニュー「そば揚げあんかけ」もいただくことに。じっくりと時間をかけて揚げた蕎麦に、キャベツやしいたけなどが入ったつゆ風味のあんかけをジュッとかけた一品です。
▲そのボリュームにビックリ!「そば揚げあんかけ」(800円・税込)

蕎麦のパリパリとした食感と、あんの上品な味わいが絶妙。赤唐辛子のピリッとした刺激で食欲をアップさせてくれます。甲府鳥もつ煮と併せて食べると、どちらも突出せずバランス良く味わうことができました。
▲昼は観光客や主婦、サラリーマン。夜はどこからともなく様々な人が集まってくる地元に愛されているお店です

昼にランチで食べるのもいいし、深夜に気心の知れた仲間たちと酒肴にするのもいい。そんな、いつでも気軽に食べられる「きり」の甲府鳥もつ煮。夜の甲府の顔として、これからも甲府鳥もつ煮を多くの人に提供していってくれそうですね。

大会で殿堂入りを果たしたほうとう専門店「歩成」がつくる鳥もつ煮

最後に伺ったのは、中央自動車道・勝沼ICから車で約20分。「笛吹川フルーツ公園」や「ほったらかし温泉」につながる広域農道・フルーツラインの入り口に位置する「ほうとう蔵 歩成(ふなり)フルーツライン店」です。
▲フルーツラインに入る直前のわかりやすい場所にあります

同店は、昭和54(1979)年創業の「お食事処 歩成 本店」の姉妹店として、平成23(2011)年にオープンしたほうとう専門店。山梨の郷土料理であるほうとうを提供する店が集まり、その中から投票によって順位を決める「昇仙峡ほうとう味比べ真剣勝負」で、平成23~25(2011~13)年に3年連続でグランプリに輝き、同大会殿堂入りになりました。

鳥もつ煮は、もともと本店のメニューでしたが、フルーツライン店をオープンする際、ほうとうと並ぶ店のいち押しにしようと力を入れられるようになったメニューだそうです。ほうとうと鳥もつ煮という2つの郷土料理を打ちだしたことで、今や桃狩りやぶどう狩りのシーズンになると、駐車場が県外ナンバーの車でいっぱいになる大盛況の人気店となりました。
▲100席もある広々とした店内ですが、桃・ぶどうシーズンは待ち時間が出るそう

歩成があるのは山梨市。よって鳥もつ煮のメニュー名に甲府はつきません。また、キンカンが入っていないのも同店の特徴。なぜキンカンが入っていないのかというと「キンカンが入っていたほうが色味もキレイなのですが、時間が制限された観光客の方々にも早く提供できるよう、手間が必要なキンカンを敢えて入れていないんですよ」と、店長の手塚龍之介さん。
▲オープン当初からフルーツライン店を仕切る手塚さん。歩成では若いスタッフがSNSで常に情報を発信しています

歩成の鳥もつ煮は、水洗いなどの下処理を店舗独自で行うため、まったく臭みのないフレッシュさがウリだそう。最初に焼くことも特徴で、焼きながら生姜と七味でしっかり味付けをしてから、自家製のタレで煮詰めていく工程を経て出来上がります。
▲最初に焼く工程は珍しいそう

焼き加減と煮込み加減を見極めて出来上がった「鳥もつ煮」は、砂肝・ハツの歯応えと、とろけるようなレバーの口当たりが優しく、砂糖の甘さも醤油の塩辛さもちょうど良いまろやかさ。箸が止まらず、バクバクいただいちゃいました。
▲「鳥もつ煮」(500円・税抜)。下味をつけているので味に深みが増しています
▲山梨県産ワインを多数用意。左から「KIZAN」(ハーフボトル1,500円)、「古代甲州」(ハーフボトル1,500円)、「勝沼の地ざけ」(グラス400円) ※すべて税抜

ほうとう専門店で、3度のグランプリ、そして殿堂入りなんて聞けば、ほうとうも頼まずにはいられません。人気メニューの「黄金ほうとう(豚肉入り)」が、土鍋でグツグツ音を立てて運ばれてきました。
▲「黄金ほうとう(豚肉入り)」(1,200円・税抜)

あわびの肝のペーストと京都の出汁を合わせた「究極のダシ」をベースにしたスープに、秘伝の黄金味噌で味付けした「黄金ほうとう」。しいたけと昆布をブレンドした秘伝の黄金味噌には、かぼちゃのペーストを加えています。味噌をはじめ、煮干し・さば節・かつお節・昆布からとった自然だし、自家菜園で採った野菜など無添加の食材を使用。11種入った野菜の旨みがたっぷり出た、マイルドで上品な味わいの逸品です。テーブルに置かれた「自家製辛味噌」で味変もできるので、最後まで楽しくいただくことができました。

食の安心・安全、地産地消に取り組み、素材へのこだわりが強い分、その素材に負けない鳥もつ煮を提供してくれる「歩成」。2019年でまだ8年と若い店ですが、そこで提供される鳥もつ煮から、元気なパワーをもらえたような気がしました。
戦後の貧しい時代の中で生まれた「甲府鳥もつ煮」。甘じょっぱく濃い味付けは、もしかしたら少しでも満腹感を感じられる苦肉の策だったのかもしれませんね。

砂糖と醤油というシンプルな味付けなのに、お店それぞれに個性があって、甘みが強かったり、両方が際立ったり、ご飯のおかずにもお酒のおつまみにもなったりと、万能な煮込み料理「甲府鳥もつ煮」。徐々に知名度が上がっていますが、今後もさまざまな可能性を秘めています。山梨を訪れた時は、一度「甲府鳥もつ煮」を食べてみてはいかがですか?きっと、なにか楽しい縁を取り持ってくれるはずですよ。
平岡宏枝

平岡宏枝

ライター。毎日を楽しく幸せに過ごせるような小さな発見をしていけたらと、 日々アンテナを張り巡らせています。 (編集/株式会社くらしさ)

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