江戸時代にタイムスリップ!奈良県今井町の町家めぐりの楽しみ方
近鉄奈良駅から、大和西大寺(さいだいじ)駅を経由して約40分。大阪市内からも約1時間で到着する近鉄八木西口駅で下車すると、徒歩5分ほどで江戸時代にタイムスリップしたかのような景色が広がります。ここは奈良県橿原(かしはら)市の今井町。重要伝統的建造物群保存地区に指定されたレトロな町並みには、カフェやレストラン、酒屋などが軒を連ねています。江戸情緒を感じさせながら、現代の人々の生活も息づくこのエリアで、町家めぐりを楽しみました。

史跡だけじゃない!なぜ奈良の今井町に町家があるの?


全国に数ある「重要伝統的建造物群保存地区」の中でも、今井町は東西600m・南北310mほどと最大規模。端から端まで歩くと10~15分程度です。その中に約760軒の民家が立ち並び、そのうち約6割が江戸時代に建てられたものだそう。9軒が国指定の重要文化財、3軒が県指定文化財に指定されており、今も多くの家屋で人々が生活もしくは店舗を営むなどしています。


町家の中で昔の人の暮らしを体験!
今井町の中心部にある「今井まちや館」の建物は、江戸時代初期に建てられたもの。今井町の中でも大型で、現在は、江戸時代の町家の様子を知ることができる施設として無料開放されています。

こぢんまりとした入口をくぐるようにして入ると、そこには予想以上に広い空間が広がっていました。

中にいる地元のガイドさんが、質問に応じてくれます。さっそく、目の前にあるロープは何か尋ねてみると「引っ張ってみてください」とのこと。

畳に上がると、敷居が一段高くなった部屋があります。「帳台(ちょうだい)構え」といい、家長の部屋だったそう。家族でも気軽に入らないようにという意味があったそうです。

2階へ通じる梯子を上がると、町家特有の天井の低い中2階になっていました。「厨子(つし)2階」と言います。

現代とは、家の造りがずいぶん違います。一体どのように生活していたのか、興味が湧きますね。
今井まちや館
奈良県橿原市今井町3-1-22
[開館時間]9:00~17:00(12:00~13:00は閉館)
[休館日]12月25日~1月5日
[入館料]無料
0744-22-1287

こちらも入ってすぐに広い土間があり、奥には横長のかまどがあります。焚き口が5つもあり、それを1人で煮炊き番ができるように少し湾曲させた形状になっていることから、「勾玉(まがたま)型かまど」と呼ぶそうです。

かまどで一日中火をおこしていた理由は、屋根に集まる虫の駆除や乾燥、防湿にも役立ったからだそうです。

蔵前座敷の前に、水をたたえた井戸がありました。当時は炊事や洗濯などの生活用水をここから汲んでいたそう。そこでガイドさんにお願いして、中庭の井戸で水汲み体験!



しっかりした造りの家屋で内部も広く、お座敷に上がるのはもちろん2階へ梯子で上がることもできる「旧米谷家住宅」。これだけ探検して体験しても、無料なのがうれしいですね。
旧米谷家住宅
奈良県橿原市今井町1-10-11
[開館時間]9:00~17:00(12:00~13:00は閉館)
[休館日]12月25日~1月5日
[入館料]無料
0744-23-8297
地元の食通も納得のレストラン「Tama」で、奈良を味わう


ランチとディナーの2部営業で、メニューは予約制のコース料理。
ランチコースは3,000円、ディナーコースは5,000円があります。ほかに4,500円のコースもあり、ランチタイムにディナーコースをいただくこともできます。今回は料理3皿に食後のデザートとカフェが付く、3,000円のコースをいただきました(すべて税別)。

手前のペースト状のソースは、白菜とケイパーを混ぜたもの。旬を過ぎたヒネ物の白菜を使うことで、まるでマスタードのような酸味の効いた味わいになっています。一見花びらのように見える添え物は、紫大根や青大根など4種類の大根。さらにカリフラワーの酢漬けなど、野菜の特徴にあった調理法で変化をつけています。
クセのない上品な味わいのさわらと個性的な大根の組み合わせは、味と食感の違いが楽しめて相性抜群でした。
自家製パンをオリーブオイルでいただいている間に、リゾットが運ばれてきました。





これで3,000円とは信じられないクオリティです。新鮮な季節の食材を使ったお料理の数々は彩りも鮮やかで、お腹も心もいっぱいに。大満足でした。
「奈良で採れる食材は、すべておいしいですね。野菜は奈良県御所(ごせ)市の生産者の方から直接仕入れていますが、この方が実に多種多様な野菜を作っていて。直接お話していると、野菜の知識だけでなく料理のアイデアまでいただけます」(南部さん)。
福井出身で、奥様の故郷である奈良の今井町にお店をもった南部シェフ。いちから人脈を作るのは大変だったとおっしゃいますが、そうまでしてここにお店を開く価値があったというのも納得です。
Tama
奈良県橿原市今井町4-5-14
[営業時間]12:00~15:00(L.O.13:30)、18:00~22:00(L.O.20:00)
[定休日]水曜
0744-24-8868
町屋で作られている日本酒や醤油をお土産に

こちらは河合家住宅を利用した河合酒造。江戸時代中期の建物をそのまま使っています。江戸時代の町家の二階は、大名行列など表を通る武士の姿をあまり上から見下ろさないようにと、窓に向かって天井が低く傾斜しているのが一般的でした。しかし河合家住宅は、今井町の中でも比較的新しい建物のため、現代のような天井の高い二階を造ることが許されたのだそうです。二階は、今も主座敷(おもざしき)として使われています。

店内では試飲や試食ができるので、お土産を選ぶのにも便利ですね。飲むお酒だけでなく、酒粕に漬け込んだ奈良漬や酒ケーキなど、お酒を食べて味わえる商品も豊富にそろっています。


「ケーキは焼いてから、『大吟醸 出世男』に浸します」とのことで、アルコール分が強いのかと思いきや、ケーキのしっとり感とお酒の風味がちょうど良くておいしい。
そして奈良発祥の食べ物、奈良漬。こちらでは出世男の酒粕と国産野菜で作っています。定番商品のうり浅漬けは、柔らかい風味としゃっきりした食感。その他に、うり深漬け、きゅうり、すいかの4種類があります。試食があるので食べ比べてみて。
なお、お店の人にお断りすれば、酒蔵の一部にある酒造道具展示室も見学できます。時期は3月頃~10月頃の仕込みのない期間に限りますが、ぜひ覗いてみてください。
河合酒造(河合家住宅)
奈良県橿原市今井町1-7-8
[営業時間]9:00~17:00
[定休日]年始、お盆
0744-22-2154




恒岡醤油醸造本店
奈良県橿原市今井町3-2-34
[営業時間]9:00~17:00
[定休日]年末年始
0744-22-2071

カステラのサイズは1斤と、半斤の2種類。味はプレーンをはじめ、人気の抹茶や珈琲、チョコマーブル、金ごまなどがあります。プレーンは1斤1,000円、半斤550円。その他は1斤1,100円、半斤600円(すべて税込)。

手作りカステラは緑茶とも合い、いくらでも食べられそう。老若男女に喜ばれるお土産としてちょうど良いですね。
同じ奈良県の香芝(かしば)市にある六斎堂二上(にじょう)工房で、同店店主の息子さん夫婦も同じカステラを製造・直販しているそうです。
六斎堂
奈良県橿原市今井町2-10-29
[営業時間]10:00~17:00
[定休日]月・火曜
0744-22-0806

町の人たちといろいろお話をする中で、「今井町の称念寺は、かつて橿原神宮に参拝する明治天皇が宿泊していたお寺です」と教えてくれる人もいました。長く、由緒ある歴史を持つ土地ならではのエピソードがぽんと飛び出る今井町。町の人と会話しながらめぐるのが楽しいこの町で、レトロな散策を満喫してみませんか。

國松珠実
大阪エリアの女性ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」所属。人と話すのが好きで店舗や企業取材を得意とする。また旅行好きが高じて世界遺産検定1級を持っている。 編集/株式会社くらしさ
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