猫好きの新聖地!「雲林寺」は仏様も授与品も猫にまみれる猫寺だった!

2019.02.22 更新

山口県萩市東部、山あいの集落に佇む「栖月山雲林寺(せいげつざんうんりんじ)」。実はこのお寺、猫寺として人気上昇中のスポットなのです!境内には、猫、猫、猫、そしてまた猫!仏様や招き猫、多彩な木彫りの置物に加えて、ホンモノの猫たちまでもが、キュートに参拝者をお出迎え。海外の人々も注目する「猫の聖地」へ猫にまみれに行ってきました!

今や世界中の猫好きが参拝!萩に伝わる忠義の猫伝説ゆかりのお寺

栖月山雲林寺(以下、雲林寺)は、萩市東部の内陸部・吉部上(きべかみ)地区に位置します。以前は猫寺としての知名度は低めでしたが、メディアやSNSでの紹介を通じて世の中に広く知られるように。近年は年間1万人を超える参拝者が訪れる、萩でも屈指の人気スポットとなりました。それも、国内はおろか、世界各国から!
▲萩市中心部から車で県道11号線と13号線を使うルートで約30分。県道13号沿いにあるお寺への分岐点には看板が
▲分岐点から3分ほどでお寺へ到着

そもそも雲林寺は、なぜ猫寺と呼ばれるようになったのでしょうか?諸説ありますが、同寺の本山「天樹院(てんじゅいん)」界隈に伝わる「猫町(ねこのちょう)伝説」がその一つであると、お寺で無料配布されているコミック「招福堂縁起絵巻」で紹介されています。
▲「招福堂縁起絵巻」は、なんと英語版、中国語版、韓国語版も用意されている

天樹院は、長州藩の藩祖・毛利輝元と夫人の菩提寺で、現在は廃寺となり墓所が残るのみとなっています。その傍らで、輝元に仕えその死に殉じたという家臣の長井元房(ながいもとふさ)も眠っています。

元房にはかわいがっていた愛猫がおり、彼が亡くなると、その猫も後を追って自ら命を絶ったそう。天樹院界隈では夜な夜な猫の鳴き声がするようになりましたが、不憫に思った住職の供養によって、ぴたりと鳴き声は聞こえなくなったとか――。
▲萩市のご当地キャラクター「萩にゃん。」は、「猫町伝説」の忠義の猫のよみがえりなのだとか(写真提供:萩市)

天樹院の末寺であった雲林寺は、長い間空き寺になっていましたが、1996(平成8)年に現住職の角田慈成(すみだじせい)さんが受け継ぐことに。親族より譲り受けた招き猫をお寺で展示したことをきっかけに、猫の置物を託したいという申し出が増え続け、かつての天樹院住職にならい、世の中の猫たちの魂を慰めようと発願しました。そう、角田住職もまた猫好きの一人だったのです。

猫にまつわる置物は今や600超!中にはSNS映えしそうなフォトスポットもあり、運が良ければお寺で飼われている本物の猫たちともふれあえるかも!?さあ、さっそくお参りして世界中の猫好きに愛されるその魅力に迫りますにゃ~!
▲雲林寺の山門。石段まわりにさっそく猫の像が!
▲石段横の壁に並ぶレトロな看板をよく見ると、その中の1枚にこんな細工が…。「神」の字が「ネコ」に~

大小様々な猫が参拝者をお出迎え!木彫りの像はチェーンソーアート

山門への石段では、たくさんの木彫りの猫たちがお出迎え。ちなみに、これからたくさんの猫の像たちが登場するのですが、そのほとんどが、角田住職の友人で、山口県在住のチェーンソーアーティスト・林隆雄(たかお)さんによる作品なのだそう。
▲石段に並ぶかわいらしい猫の像。丸太をチェーンソーで削って制作される。林さんはチェーンソーアートの国際大会「全米オープンチェーンソー彫刻選手権」で通算4度も優勝するほどの実力者
▲山門では「阿吽(あうん)」の招き猫と、小坊主さん、人気絵本「ノラネコぐんだん」のキャラクター(なんとチェンソーアート!)がお出迎え

石段を上りきると、お寺の玄関があるのですが、頭上には雲林寺名物の一つ「猫絵馬」がびっしり!そして、ここにもチェーンソーアートによる木彫りの猫が!わらじに手を伸ばす様はまるで生きているかのようです。
▲玄関頭上に並ぶ「猫絵馬」

建物内へ入る前に、ひとまずは境内を散策してみましょう。本堂前へと延びる石畳を進むとすぐに、扉に猫の顔が描かれたお堂があります。
▲屋根の上にはニャニャッと猫の手が!
▲お堂の前には招き猫も鎮座

猫たちの魂を慰め福招きを、と建立された観音堂で、内部には猫の姿をした「招福観音菩薩」が2体祀られています。この猫観音様は萩焼で造られているそうで、優しい表情にほっこり癒されます。
▲観音堂内の「招福観音菩薩」。それぞれ、孫の手とネコジャラシを持っている

そして、本堂の縁側にも猫、猫、猫!人気キャラクターをかたどったものや、まるで本物の猫がくつろいでいるかのような置物まで、多彩な猫が並びます。本堂の正面へと歩みを進めたところで、ひとまずはお参りしましょう。
▲絵本のキャラクターをモデルにしたものなど、本堂の縁側にも様々な猫の置物が並ぶ
▲ひとまずはお参り。天気が良く暖かな日は本堂の扉が開かれている。正面に仏様!?猫耳!?
▲あ、賽銭箱の向こうに本物の猫!…と思ったら、この猫もチェーンソーで彫られた作り物。なんというリアルさ!

本堂内はさらに猫まみれ!最深部はフォトジェニックな「猫部屋」

続いて、玄関から本堂内へ。内部も一般開放されていて、拝観時間中(9:00~17:00)は自由に出入りができます。
▲玄関の引き戸を開けると「萩にゃん。」登場!
▲玄関内部からして猫まみれ!写真中央には三猿ならぬ「三猫」も。右から、聞かにゃい、言わにゃい、見にゃい

板の間にあがり本堂の方向を向くと、目の前に現れたのは「猫みくじ」(1回200円)を背中に乗せた猫!表情多彩でかわいらしい「猫みくじ」は同寺で一番人気の授与品です。
▲背中の器に「猫みくじ」がいっぱい!
▲おみくじとしてだけでなく、ちょっとした置物としても大人気。猫の種類は全部で7種類、全種ゲットする人も多い

玄関横の部屋には、お寺のパンフレット「猫寺のツボ」、前述したコミック「招福堂縁起絵巻」、さらに「雲林寺便り」などが用意されています(いずれも持ち帰りOK)。タイミングが良ければ、お茶のご接待を受けながら、角田住職や奥様と話をすることもできますよ。
▲お寺のパンフレット「猫寺のツボ」や「雲林寺便り」、各地からの交通案内がまとめられた「ネコデラへの道」などがもらえる
▲隣室には招き猫やぬいぐるみなど角田住職の収集品がびっしり!参拝者より託された猫関連の置物やキャラクター品などもある

また、「あなたはどこから猫寺へ?」というテーマの日本地図や世界地図が掲示されており、訪れた人がシールを貼って答えられるようになっています。国内は津々浦々、海外からは香港や台湾を中心に、遠くはヨーロッパや南米からも!
▲あちこちに「ここから来た」シールが貼られた世界地図。テレビ東京系「YOUは何しに日本へ?」に登場したポーランドからの“猫好きYOU”もいたそう

「国内でも、なんと関西からここまでタクシーで来られた方もいらっしゃいました」と角田住職の奥様。さらに、動物写真家・岩合光昭(いわごうみつあき)さんほか、猫好きを公言する多くの著名人がお参りに訪れているそうです。

本堂の広縁中央に置かれた、猫の「なで仏」も雲林寺名物です。表面がつやつやになっているのは、文字通りたくさんの人によってなでられたため。体を良くしたい部分となで仏の同じ場所をなでながら「良くなりますように」とお祈りします。
▲なぜか不思議と人間味を感じるなで仏。角田住職がモデルになっているとかいないとか!?

最後に、本堂の一番奥にある通称「猫部屋」へと歩みを進めます。何やらディープなオーラが…、わわわ、ここにも猫がいっぱい!
▲二間続きの「猫部屋」。かわいらしくもあり、シュールでもあり、さらに妖しくもありと、とにかく不思議な空間

身体がすっぽりと収まる「ねむり猫」に寝そべったり、相性占いが楽しめる「猫神様」の髭を引っ張ったりと、いろいろなシチュエーションで楽しめます。
▲大人ほどの大きさがある「ねむり猫」。多くの参拝者が、猫のお腹にもたれかかるなどして記念撮影を楽しんでいる
▲「猫神様」の髭は一対が繋がっており、二人で片方ずつを引っ張ることで相性占いに
▲特大サイズの招き猫は高さ約1mもある。スマートフォンやタブレットの待ち受けにすると、金運、仕事運アップに繋がると評判 

そして、猫部屋でその存在感を一際主張していたのは猫の頭をかたどった「猫かぶり」!中が空洞になっていて、頭にかぶって猫になりきる!?ためのアイテムです。手を前に出して猫ポーズをしてみたり、大人数でポーズを決めたりと、参拝者の多い日は写真撮影の賑やかな声が絶えません。
▲「猫かぶり」もチェーンソーアート作品!かぶりやすいように、頭頂部が接する部分には小さな座布団が仕込んである
▲グループで決めのポーズ!小学生くらいなら楽にかぶれる程度の重さ(写真提供:雲林寺)

猫好きならずともコンプリートしたくなる!?オリジナル授与品は必見!

本堂外周の廊下部分には、様々な授与品が並びます。玄関頭上にあった「猫絵馬」(400円)もこちらで購入できるのですが…、ん?猫の顔がない!?実は、「猫絵馬」は願い事の他に、授かった本人が、猫の顔や名前を書き込む仕組みになっています。
▲「猫絵馬」の表に顔、裏にその猫の名と願い事を書き込む
▲顔、名前、願い事が書き込まれた「猫絵馬」。力作は玄関内でお披露目される

角田住職直筆の猫のイラストが添えられた御朱印(300円)も大人気!なお、数ある授与品のイラストやデザインは全て角田住職が手がけています。かわいいだけでなく、面白さや楽しさも意識して創作しているそう。
▲御朱印集めを楽しみたい人にはオリジナル御朱印帳(2,000円)もおすすめ。写真のようにご朱印がすでに押印されている
▲お守りは「交通安全」「金運・仕事運」など5種類のほかに新作「合格祈願」もある(各500円)

そして、お寺といえばお経。般若心経を絵で紹介する「絵心経(えしんぎょう)」は古来より知られていますが、雲林寺ではここでも猫が大活躍しています。
▲絵心経がプリントされた手ぬぐい(500円)

「はんにゃ」「はら」「みた」と、猫の仕草などによってコマ割りで綴られる同寺オリジナルの絵心経は、ユーモアたっぷり。お経が分からなくても、思わずクスクスと笑いがこみ上げてきます~。
▲「はんにゃ」「はら」「みた」のフレーズがプリントされた、ECOならぬ「NECOバッグ」(500円)

ここで紹介した授与品はほんの一部です。いずれも雲林寺でしか手に入らない激レアなものばかり!猫好きはもちろん、同寺を訪れたならばきっと誰もが欲しくなってしまうはずですよ!

お寺で飼われている猫やご近所猫たちが神出鬼没。キュートな“本物”たちとのふれあいも!

雲林寺の猫は置物ばかりではありません。同寺で飼われている4匹の猫や、たまに遊びに訪れるご近所の猫たちとふれあうこともできるんです!

お寺で暮らすのは黒猫の「クロマメ」、真っ白な足袋をはいているかのような「タビ」、縞模様の「シマ」、おしゃべり好きな「アウアウ」、ご近所猫は立派なふさふさしっぽの「オレンジしっぽ」など。
▲石段前で「オレンジしっぽ」がお出迎え。この後、本堂まで筆者を案内してくれるかのように境内へ

取材に訪れた日は真冬ながら、よく晴れて陽差しぽかぽかな猫日和。幸運にも3匹の猫と出会うことができました。本物の猫たちとのふれあいを楽しみに、何度も訪れているリピーターも多いそうです。
▲境内にて「アウアウ」が登場。冬毛で超モフモフ!

そして、彼・彼女らと多彩な置物との組み合せはとってもフォトジェニック!置物の側に佇むだけで、たちまち絵になる光景が生まれます。視界にその姿を見つけたならば、シャッターチャンスの連続ですよ!
▲筆者の帰り際にビュンッと山門を横切ってお寺の外に出掛けていった「シマ」。咄嗟のことにピントが合わず~(泣)
▲今回は出会えなかった「クロマメ」(写真提供:雲林寺)

猫寺・雲林寺へのお参りはいかがでしたか?猫好きの筆者にとっては、念願の「聖地巡礼」で終始ハイテンション。そして、想像のさらに上を行く凄さと感動は、やはり現地を訪れてこそと感じました。猫好きならばより一層、そうでない人も、たちまち同寺の魅力の虜となってしまうはずですよ!
兼行太一朗

兼行太一朗

フリーライター・カメラマンとして、山口県を拠点に活動中。 主に旅行、グルメ、歴史、地方創生などについての書籍やウェブサイトを中心に取材・執筆を行っている。拠点とする山口市では、歴史資源を生かした地域活性化に取り組むNPO法人「大路小路まち・ひとづくりネットワーク」にも所属し、守護大名大内氏や幕末に関する史跡、ゆかりの場所や人物についての取材を担う。(編集/株式会社くらしさ)

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