しまなみ海道ののんびり流れる島時間に癒されて。大島のカフェ3選

2019.04.09 更新

愛媛県今治市と広島県尾道市をつなぐ「しまなみ海道(西瀬戸自動車道)」。瀬戸内海に浮かぶ島々を橋で結んだ海の道は、「サイクリストの聖地」としても世界中から注目を集めています。その中で大島は、今治市から出発すると最初の来島(くるしま)海峡大橋を渡った先にある島です。今回はその大島で、サイクリングやドライブ途中のランチやティータイムにおすすめのおしゃれなカフェをご紹介します。

中世に瀬戸内海を舞台に活躍した村上海賊の本拠地が、ここ大島を含む芸予(げいよ)諸島と呼ばれる一帯でした。大島には「村上水軍博物館」をはじめ彼らに関連した数々の名所旧跡も存在します。自然豊かな大島は海産物も豊富、墓石などに使われる良質な「大島石」の産地としても有名です。

ため息が出るほど素敵なパン屋さんのカフェ「Paysan」

まずは島の西側、大島の観光スポットの一つ「よしうみバラ公園」から湾をまわりこむように車で8分ほどの走ったところにある小さなパン屋さん「Paysan(ペイザン)」。空と緑の木々を背景に白い板壁と赤い扉が鮮やかに映えるお店は、まるで物語の世界へやって来たようなキュートな佇まいです。店内にはカフェスペースも設けられています。
「Paysan」はフランス語で「農夫」を意味します。お店を営む求(もとめ)さんご夫妻は、自給自足の田舎暮らしができる地を探してこの大島と出合い、2002年に県外から移り住んできました。古い民家を自分たちの手でコツコツとリフォーム。かつてパン工房で働いたご主人の経験を生かしてパンを焼こうと決め、石(レンガ)窯も独学で作り上げたのだそうです。
▲どこを切り取っても絵になる店内のインテリア
▲素朴な設えにほっと安らぐカフェのテーブル席
▲ソファもつい長居してしまいそう。このほか、青空の下のテラス席もある

無理をせず、自分たちにできる範囲で丁寧に焼くパンは、毎週金曜と日曜だけの販売。30種ほどのパンは店頭に並ぶとすぐに売り切れるほどの人気です。そして金曜から日曜の週3日営業するカフェには、美味しいパンを様々なアレンジで楽しめるメニューが並びます。
▲「パンプレートランチ」はドリンクも付いて1,300円(税込)
▲パンはそのままでも、野菜やクリームチーズをのせて食べてもおいしい

パンをオープンサンドスタイルでいただくパンプレートランチは、付け合わせのサラダなどをのせたり、スープにつけたり、お好みの食べ方で楽しめます。カリッと香ばしいトーストやしっとりとした食感のパン、木の実がたっぷり入ったボリュームのあるパンなど、様々なパンを一度に複数種類食べられる嬉しい一皿です。パンはおかわり自由なので、特にパン好きにはたまりません!
▲卵がとろ~りとろける「クロックマダム」700円(税込)

クロックマダムもボリュームたっぷり。目玉焼きの黄身を崩して、チーズやベーコンと一緒にパンにからめて頬張ります。他にも具沢山のサンドイッチやアイスクリームがのったデザートトースト、金曜と日曜には石窯焼きのピザも味わえます。
Paysanのパンは安心して食べられるように、無添加食材を使ってできるだけシンプルに作られています。店頭販売は週2日だけですが、地方発送もしてもらえるそうですよ。

島を愛する仲良し家族が作った笑顔あふれる「石のカフェ」

続いては島の南東部へ進んで、海に向かう国道317号沿いにある「石のカフェ」へ。大島石をふんだんに使って建てられたお店です。
▲柔らかな印象の木の壁と屋根に、キリッとした大島石の質感が絶妙に調和

大島は日本屈指の石材産出地です。ここで採れる「大島石」は非常に硬く変質し難いことで知られ、墓石や石碑、建材用などに使われる上質な石材として全国に出荷されています。
▲駐車スペースに敷き詰められた大島石には採石時に付いた跡も
▲弾ける笑顔の店長・矢野さん(左)と、明るくお話好きなお母様

店長の矢野さんは、採石業を営むお父様の仕事を手伝っていた頃、製品として流通できず廃材となってしまう多くの大島石を目にしました。「なんとか活用したい」。そう考えたのがきっかけでした。
その思いを耳にした世界的建築家の伊東豊雄(いとうとよお)さんが設計監修を引き受けてくれることになり、伊東氏率いる「伊東建築塾」のメンバーや地元の方々と一緒に、矢野さん一家がほぼ手作りでお店を完成させました。
▲店内の床材やカウンターの天板にも大島石を使用
▲採石時に出る小さな石のかけら「石粉(いしこ)」
▲石粉を散りばめた壁は、天の川のようにも、風に舞う小さな花のようにも見える

それではさっそく、お店の人気メニューの一つ、パンケーキをいただくことにしましょう。
▲彩りも華やかな「フルーツ&ソフトクリームパンケーキ」1,080円(税込)

「かわいい!」運ばれてきたパンケーキに思わず歓声が上がります。パウダーシュガーで描かれたスマイルマーク。お皿からはみ出すほどの大きさ。みずみずしいフルーツと、ソフトクリームもたっぷり添えられています。
「まずそのままで味わって、それからメイプルシロップをかけたり、ソフトクリームをのせたりして味の変化を楽しんでください」と店長さん。
おすすめの食べ方に従って、まずはそのまま一口。ふわふわで甘さ控えめ、何枚でも食べられそうです!
▲パウダーシュガーの絵は数種類あって、季節やお客様によっても変えることがある

メイプルシロップでしっとりとした食感と甘味をプラス。ソフトクリームはコクのあるミルクが舌にとろける「クレミア」生ソフトクリームなので、パンケーキと合わせれば一層贅沢なスイーツに。口に運ぶ手が止まりません!
フルーツは島で採れた柑橘やキウイ、ぶどうなど、その季節の旬のものが添えられています。フルーツの酸味とジューシーさでアクセントを加えながら、あっという間に完食してしまいました。なんだか幸せな気分。
▲サイクルスタンドもお父様の手作り。サイクリストの自転車を借りて何度も試しながら作ったそう

老若男女を問わず近所の人たちが日課のように立ち寄る憩いの場。広いテラス席でお茶やソフトクリームを味わいながら一休みするサイクリストもたくさんいます。お天気の良い日はテラスに面した大きな窓を開け放ち、店内とテラスが一続きの開放感あふれるスペースになることも。
矢野さん親子のあたたかいおもてなしも人気要因の一つで、関西など遠くからのリピーターも多いそうですよ。元気と笑顔があふれるカフェです。

お母さんたちが作る故郷の味「映日果」

3店目は「石のカフェ」から少し島の内陸部へ入ったところにある「映日果(ええじっか)」。大島石のモニュメントやグラウンド、野球場などを備えた「宮窪石文化運動公園」内にあるお店です。
▲高い天井と木の梁が印象的なゆったりとした店内。植物もたくさん置かれている

お店は昭和女子大学の建築学の研究室と連携し、使われなくなった施設建物をリフォームして作られました。農業再生と地元の女性たちの活躍の場所作りという願いが込められていて、昔の農機具をインテリアとして利用するなどのアイデアも取り入れられています。
▲落ち着いた雰囲気の中で過ごせるソファー席も

「映日果」とは無花果(イチジク)の別名。その読みである「ええじっか」は「ええ(良い)実家」という意味も持たせているそうです。
メニューは地元産の新鮮な旬の食材を使った料理で、大島の味を知り尽くした島のお母さんたちの手作りです。
▲「宮窪うどんランチ」600円(税込)は売り切れ次第終了の人気メニュー。「宮窪うどん」に日替わりのおかずがついてボリューム満点

宮窪うどんはお店で作る自家製麺で、魚介を使った優しい出汁がしみじみと美味しい、初めてなのにどこか懐かしい味です。かき揚げや煮物、和え物などの日替わりおかずも季節の食材を使った素朴な味。希望(注文)すれば、郷土料理の「もぶりごはん」のおにぎりなども作ってくれます。
▲宮窪うどんには、鯛の焼印が押されたかわいいかまぼことヒジキの揚げ物入り

どれも本当に「お母さんの味」といった味わいで、まさに実家に帰ってきたようなくつろいだ気分になります。
▲お店の名前を冠したイチジクケーキ「映日果」400円(税込)

ご自慢のスイーツはというと、島の名産の一つでもあるイチジクを使ったパウンドケーキ。イチジクは昔から長寿の果物とされ、美容にも健康にも良いといわれているので、女性には特に嬉しい食材です。シナモンがふわりと香りイチジクの風味が広がるしっとりとしたパウンドケーキ。ぜひ食べてみてくださいね。
▲かつて使用されていた農機具を取り入れたインテリア

お母さんの味に癒されながら、故郷で過ごすような安らいだ時間を映日果で過ごしてみませんか?
▲「しまなみアートキャニオン」とも呼ばれる採石場は、アメリカのグランドキャニオンさながらの絶景が広がる

いかがでしたか?海や山の豊かな自然に恵まれたしまなみ海道の中でも、大島には「石文化」という他にはない特色も併せ持っています。「しまなみアートキャニオン」など大島の美しく力強い自然や文化も観光しつつ、素敵なカフェでゆるやかに流れる時間の中で一息つく、そんな島時間を楽しんでくださいね。
矢野智子

矢野智子

愛媛県在住。愛媛県出身ながら高校卒業後ほとんどの時間を県外で過ごした後、生活の拠点を愛媛に定めた現在、改めて気付く地元の魅力に感動しきり。 人生を豊かにするものは「食」と「読」と信じ、そこに情熱を傾ける日々。

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