京都・西陣織のはた織り体験/クリエイター女子が行く!Vol.6

2015.10.22

こんにちは。フリーでイラストレーターをしています五島です。「ものづくりに興味はあるけどどこで体験できるのか分からない、なかなか行動に移せない……」この企画は、そんな悩めるあなたのために、クリエイター女子を代表してわたくしが全国各地で「ものづくり」を体験しまくります。そして、ものづくり体験の思い出を描き下ろしのイラスト付きでお送りします!前回は山梨でワインづくりを体験してきました。さてさて今回は……?

晴天に恵まれた本日、京都にやってまいりました。
言わずと知れた、日本を代表する観光地のひとつですね。
外国人観光客が数多く訪れることでも有名です。

鶴になりたい

さて、皆さん「鶴の恩返し」というお話はご存知ですよね?
私は幼い頃、このお話のはた織りのシーンが大好きで、いつか自分も美しい布を織ってみたい!と願っていました。

それから十数年たった今、その夢が叶おうとしています。

……そうです!今日は京都で西陣織のはた織り体験をしちゃいます。
▲早速、体験施設へ。良い天気だ
そろそろかな~。あ!発見!
▲うお!立派な建物だ!
ドーンとそびえ立つこちら、「西陣織会館」さん。
中には体験教室の他、西陣織に関する史料の展示やショップも併設されており、伺った日は一階スペースできものショーを行なっていました。
▲かなり本格的な体験工房
お邪魔してすぐに、本日お世話になる山口先生が出迎えてくださいました。
ご挨拶もほどほどに、まず体験の説明を受けます。
▲お互いの名刺を持ったままスタート
先生「今日はよろしくお願いします。今回は3時間程かけて、西陣織のマフラーを織っていただきます。お好きな縦(たて)糸と緯(よこ)糸をお選びいただいた後、織り方の説明をしていきますね」

なるほど、糸の組み合わせを選べるんだ。なかなかセンスが問われるぞ……。
ずらーっと並ぶ美しい糸を目の前に、思わず迷ってしまいます。
▲クレヨンの箱を開けたみたいだ
▲たて糸もいくつか用意された中から選べます

夢叶うとき

迷った結果、いろんな色の糸を使ったカラフルなたて糸と、先生おすすめのみかん色のよこ糸をチョイスしました。

先生「明るくてかわいらしい組み合わせです!では、まず最初だけ私が織りますね。椅子に座ってもらって、足元の踏木(ペダル)を交互に踏みながら糸を通していきます。右から通したら左から通す……この繰り返しです。どう、簡単でしょう?」

先生が説明をしながらもの凄いスピードで織っていくので、目と頭が全く追いつかず軽くパニックになりました。
素早く織り込まれていく糸は機械で織ったように均等で、ただただ先生の腕前に圧倒されます。
どうしようぜんぜん簡単な気がしない。
▲ものの数分でこの仕上がり、すごすぎる
先生「まあ、とにかくやってみましょう!慣れれば徐々に楽しくなってきますよ、大丈夫」

ついに幼き頃の夢が叶う瞬間……どきどきのはた織り体験スタートです。

椅子に腰をかけ、そうっと糸を通します。
自分のさじ加減で糸と糸の間隔が広くも狭くもなるので、最初はとても慎重に。
▲つい肩に力が入ります
▲焦らず、ゆっくりと
わああ、想像以上の緊張感!変な汗かいてきちゃった。
しかし、ぐーっと糸を詰めていく初めての感覚が、なんとも気持ちいい。
長い髪の毛にクシを通しているような感じです。

鶴の恩返しでは、鶴は一日中この作業をしていたことになるよなあ……。
絶対腰にくるよ。鶴すごいよ。
▲先生のアドバイスを聞きながら、集中!
織りはじめてすぐに、はた織りにはかなりのリラックス効果があると気づきました。
糸を見つめ、綺麗に仕上げることだけに集中するので、日頃の悩みとか割とどうでもよくなるんですよ。いや、これ本当に!

実際に、サラリーマンやOLさんなどが体験された後、「ストレス発散できました!」と言って帰っていかれるそうですよ。

先生「私も元々は趣味ではじめて、いつの間にか講師をさせてもらっている、という感じなんですよ。最初は夫が、息抜きにどうか?と勧めてくれたのがきっかけです。すぐにハマってしまったので、ストレス発散になるとおっしゃるお客様のお気持ちが分かります」

焦りはきんもつ

▲没頭していたら、あっという間に一時間半が経過
慎重に慎重をかさねてスタートしたはた織りも、工程自体は簡単で、一度覚えると余裕がでてきます。
鼻歌でも歌いたくなっちゃうなあ。

そして自分で言うのもなんですけど、選んだ糸の色が可愛すぎる。
こういうところに美的センスが溢れちゃうんだよなあ、へへへ。

先生「ほんと、綺麗な色よ。でも、だんだん糸の間隔がずれてきましたね。みんな慣れると手が早くなっちゃうの。でもいい調子ですよ、ゆっくり頑張ってください」

調子に乗っていたのがすぐにバレました。
集中し直して、残り半分がんばります!
▲糸がひと巻きなくなると、そのつど入れ替えてくれます
最初に約180cm織る、と聞いた時はひっくり返りそうになりましたが、先生とおしゃべりしたり糸の美しさに見とれたりしているうちに、かなり織り進めていました。
ずーっと集中し続けているように見えて、ただぼーっとしている時間でもあって……はた織りには不思議な魅力がありますね。
▲糸を使い切った道具たち。がんばった証!
▲背中の哀愁がすごいです
開始から大体2時間で、目標の180cmまであと一歩というところまできました。
これはなかなかハイペース。
時折先生に修正していただきながらでしたが、完成はもうすぐそこ!

先生「簡単な作業だけに、集中力が必要よね。だからこそ出来上がりの達成感があるし、大人には向いていると思います。プレゼントで作られていく方も結構いらっしゃいますよ。やっぱり手作りの品はもらって嬉しいものね。さあ、あと少しですよ、がんばって!」

言葉の力というのはすごいもので、応援されるとやる気がもりもり湧いてきます。
カターン、カターン、と小気味よく響く織り機の音を聞いていられるのも、あと少し。

よくがんばりました、わたし

最後の糸管を使い切ったところで……かんせーーーい!
▲ぐわあああ腰がバキバキだあああ
▲なんということでしょう、めっちゃ綺麗
織り終えた部分を引き出す瞬間の感動は、忘れられません。
いつの間にこんなに織っていたんだ!? と自分のことながら驚きました。
▲ずるずるずるずるー!あっぱれ!
先生「完成といってもね、ここからまだちょっとやることがあるの。両端のフリンジの部分を作るために、糸を結んでいきますよ。これが終われば本当に完成!」

できたできたと騒いじゃってごめんなさい。
▲仕上げの房結び
この、糸を結ぶだけの一見簡単そうに見える作業にもコツが必要なのです。
先生は8倍くらいのスピードで終わらせていたので、改めて経験の違いを痛感しました。(あたりまえ)
▲なんとか結び終えました
仕上げにアイロンをかけてもらって……
▲わくわくわく
ついに、完成ー!!!!
多分、人に見せたら「本当にお前が作ったのか」と疑われると思います。
そのくらいクオリティ高いです。
▲純国産の立派なタグ付き
あっという間の2時間半でしたが、先ほども述べたように、集中とリラックスが混在する不思議な時間でした。
スポーツをしているような、音楽を聴いているような、完成だけでなく過程を楽しめる魅力が西陣織には詰まっています。

先生「お疲れさまでした。よく頑張りましたね。西陣織会館では、マフラー作りの他にも繭玉アートやテーブルセンター作りも体験できるので、また旅行のついでにでも気軽に遊びに来てください。ありがとうございました」
▲テーブルセンター体験用の毛糸もかわいい
にこにこ優しくて励まし上手な山口先生、ありがとうございました!
▲先生と記念の一枚

おばあちゃん、ありがとう

織物って、若い女性には少し渋いかな?と思っているそこのあなた。
都会では味わえない新鮮な面白さが待ち構えていますよ。
私は全力でおすすめします!

最後に、実際に巻いてみちゃいました。
▲ぱっと映えるみかん色
これがなかなか暖かくて、見た目以上に柔らかいんですよね。
冬は暖かく、夏は涼しく、ということで一年中使える代物だそうです。

そういえば、もうすぐ敬老の日。(この日は9月上旬でした)
なかなか顔を見せに行けていない父方のおばあちゃんに、このマフラーを贈ろう。

いつも忙しいことを理由に、遊びに行けなくてごめんね、おばあちゃん。
孫も働く歳になりました。
もうすぐ寒い冬が来るので、このマフラーであったまってください。
夕夏より。

▲(たまにはオチがなくたって、いいよね?)

今日のいちまい

五島夕夏

五島夕夏

桑沢デザイン研究所卒業。学生時代ロシアの絵本に大きく影響を受け、絵本画家を志す。現在はサロンのレセプションをしながら、イラストレーターとして活動中。

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