伊根・宮津・舞鶴・京丹後、京都の海は美食と絶景の宝庫<もうひとつの京都をめぐる旅1・海の京都>

2019.03.20 更新

名所が集まる京都は観光客でいつも大賑わい。でも、中心部から少し足を延ばすと、ひと味違う魅力あふれるグルメや観光スポットが顔を出します。その魅力を海・森・竹・茶をテーマに、4回シリーズでご紹介。第1回目は、海の幸と風景を堪能できる、府北部の“海の京都”をご紹介します。【PR】

▲ぶりしゃぶ発祥の地・宮津にある「茶六別館」の食事処の「ぶりしゃぶ」

京都と聞いて、海というイメージを持つ方は少ないかもしれません。ですが、府北部の“海の京都”エリアは日本海に面し、カキやぶりなどのおいしくて新鮮な海の幸や、「天橋立」や「伊根の舟屋」などの観光スポットも豊富にあります。
今回は、そんな“海の京都”の中から伊根・宮津・舞鶴・京丹後の4つのエリアについて、その魅力を紐ときます。

1.「日本で一番海に近い暮らし」が垣間見える、舟屋で有名な【伊根の海】

▲日本最古の浦島伝説が残る場所としても知られる

最初にご紹介する「伊根の海」に面する伊根町は、丹後半島に位置し、1階が舟のガレージになっている「舟屋」が海沿いに並ぶ風景で有名です。2005年には、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

京都市街から車だと京都縦貫自動車道(以下縦貫道)・与謝天橋立ICで降り、約2時間で到着します。
JR京都駅からは天橋立駅へ向かい、そこからバスで1時間ほどで到着します。最短でも3時間ほどかかるので、車の方が便利かもしれません。

舟屋は基本、後ろの道路を挟んで主屋があるのですが、そちらに住む皆さんの多くが漁業関係者。毎朝にぎわう漁港も、ここならではの風景といえます。そこで「伊根漁港」に赴き、活気あふれる水揚げの様子を見学させてもらいました。
▲お仕事の迷惑にならないよう注意すれば、誰でも見学OK!

朝8時頃漁港に着いてしばらくすると、定置網の操業を終えた漁船が戻ってきました。すぐにホースで魚を吸い上げ、機械である程度の大きさにざっと選別。その後、魚の種類ごとに手で選別していきます。
▲冬は8時前後、夏は6時頃から選別の様子を見学できる

漁船は夜明けとともに港を出て、20分ほどで漁場に到着。そこで60~90分程度操業して、すぐに帰港します。漁港には様々な魚が次々と揚がり、皆さんの活気に圧倒されっぱなしでした。
▲希少なアカヤガラ。上品なおいしさが特徴の白身魚で、おもに料亭などで使われる高級魚
▲活魚用の生け簀に、大きなアンコウを発見

伊根には鮮魚店がなく、旅館や地元の人たちにとって漁港は大事な魚の仕入れ先であり、生活に密着した場所。そして、町内の食事処や旅館の魚料理がひときわおいしいのは、ここで毎朝新鮮な魚が手に入るからにほかなりません。
なお、駐車場はないので、車は港近くの「道の駅」の駐車場に駐めて、近道の階段を降りて行くのがオススメです。

各家庭で行っている「もんどり漁」は、軒下が海だからこその漁

舟屋は軒下が海。そこで、住民の皆さんは「もんどりかご」と呼ばれるかごに、魚のあらや骨などを入れ、軒下の海底に沈めておくのだそう。
▲下部の穴から入った魚を閉じ込める仕組みの「もんどりかご」。本来沖で使うものを活用

かごについたロープをたぐりよせて引き上げれば、中にはピチピチの魚が入っていて、それが晩御飯に早変わり!放っておくだけでおいしい魚が勝手に獲れるという、なんとも気軽な漁です。
▲舟屋の特徴と、地元の方々の知恵が生んだ「もんどり漁」

かごが沈められている海は、驚くほどの透明度。そんな美しい海で育った獲れたての魚を毎日食べられるなんて、うらやましい限り。このもんどり漁は、伊根町観光協会のガイドツアー「舟屋ガイドとめぐる、まるごと伊根体験」(参加料金大人1,800円・税込、5日前までに要予約)に参加すれば見学可能。こうした生活の一端を見られるのも、この町の楽しさの一つです。

また、獲れたての魚を使った料理が自慢の食事処や旅館の中には、現役の漁師が作る「漁師めし」をいただけるところもいくつかあります。
▲「漁師めし」の一例。この日はコッペ(メスのズワイガニ)、ぶり、サワラ、子持ちイカ、ヒラメ、ハタハタなど全15種類の魚がお目見え(取材協力:地魚料理よしむら)

刺身、焼魚、煮魚、天ぷら、鍋など、色々な料理で魚を味わいつくすことができる「漁師めし」。料理は家庭的で素朴ながら、魚の長所がいかされているものばかりです。
例えば、アカヤガラは天ぷらにすることで、フンワリとした身の柔らかさが引き立ち、脂ののった眼鯛は煮ることで、コッテリとした旨みが際立つ逸品に。「魚ってこんなにおいしいんだ」と、改めて感じ入りました。
▲朝揚がったアンコウが鍋に。野菜も地元のものだけを使っている

素材が良い分、シンプルな料理で十分そのおいしさを堪能でき、心もお腹も大満足!手に入る魚によってメニューが変わるため、どんな料理を食べられるかは、その日の漁や仕入れ次第というのも楽しみの一つです。そんな「漁師めし」を食べられる旅館や食事処については、伊根町観光協会まで問い合わせを。

2.日本三景の一つ「天橋立」の絶景を望める【宮津の海】

次にご紹介するのは、江戸時代に松島、宮島と並び、日本三景と呼ばれた「天橋立」のある「宮津の海」です。
この細長い独特の地形は、外海の宮津湾へ対馬海流が運んできた砂と、内海の阿蘇海に流れ出る野田川の土砂が、何千年と堆積したものと考えられています。
▲全長約3.6km、幅約20~170m。約8,000本の松が生い茂る「天橋立」

京都市街から車なら縦貫道を経て、宮津天橋立ICを降り約90分、またはJR京都駅から天橋立駅まで列車や高速バスで約2時間で到着です。

『丹後風土記』には、国生みの神・伊弉諾(イザナギ/男神)が地上にいる伊弉冉(イザナミ/女神)に会うため、天から地上へと降りるのに使っていた「天の浮き橋」が、イザナギの昼寝中に倒れ、それが天橋立となったという神話が残っています。

ちなみに、天橋立はどこから見るかで、まったく違う景色を楽しめます。そして、天橋立に最も近い場所からその眺望を楽しめるのが、「天橋立ビューランド」。モノレールかリフトで展望台まで上れます。
▲天橋立といえば「股のぞき」。きちんと手すりがあるので安心

こちらで有名なのが、いわゆる「股のぞき」。天橋立を股からのぞくことで天地が逆さに。すると、龍が天へ舞い上がる様に見えるということで、その眺望が「飛龍観(ひりゅうかん)」と呼ばれるようになったそうです。
▲こちらが「飛龍観」として知られる眺望
▲帰りは少し足を延ばして天橋立へ降りてみて。白い砂浜と緑の松、青い海と空のコントラストもまた絶景

100年以上、あまたの日本人が愛でてきた天橋立。北の方角(傘松公園)から見ると「昇龍観」、東の方角から見ると「雪舟観」、西から見ると「一字観」など、呼び名の変わる眺望を制覇するのも楽しそうです。

究極の「ぶりしゃぶ」を、その発祥にゆかりの深い「茶六別館」の食事処でいただく

▲「食事処 四季膳花の」、旅館「茶六別館」

天橋立の景色を堪能したら、ぜひ食べておきたいのが「ぶりしゃぶ」です。宮津市は、日本海で獲れる新鮮なぶりをしゃぶしゃぶで食べる「ぶりしゃぶ」発祥の地としても知られているんです。

その発祥に深くかかわった旅館「茶六別館」の一画にある、「食事処 四季膳 花の」で、本場のぶりしゃぶをいただくことに。
お店へは天橋立から車で約5分、電車なら京都丹後鉄道宮舞・宮豊線で一駅、宮津駅で下車して徒歩10分ほどで到着します。
▲コースの「ぶりしゃぶ」(税別・1人前6品7,000円、写真は2人前)。大根おろしを入れた雪見仕立ての出汁で、ぶりの味がよりまろやかに

いざ、ぶりしゃぶに対面!ぶりは刺身でも食べられる新鮮さで、その厚さはわずか2~3mm。皿が透けて見えるほどの薄切りこそ、職人のなせる技です。
火を入れすぎないのがポイントとのことなので、箸洗い程度に1~2回、熱々の昆布出汁にサッとくぐらせます。適度に溶けた脂のコクと、まろやかで濃い旨み、そしてとろけるような食感がたまりません。生のままでも食べてみると、しゃぶしゃぶとの味の違いを楽しめます。

皿の半分ほどぶりを食べると、ぶりの旨みが出汁にしみ渡るので、それから野菜を入れるのが、「茶六別館」のご主人・茶谷昌史(ちゃだにまさし)さんのオススメの食べ方だそう。
▲弾力のある背と、やわらかい腹、両方の部位が一皿に盛られているので、味比べも楽しめる

また、ゆずとすだちの果汁にしょうゆと、地元・飯尾醸造の富士酢プレミアムを少し加えた特製ぽん酢のおいしさも格別。角のとれた酸味が、ぶりの甘みを引き立てます。
スタッフの方がつくってくれる〆の雑炊は、卵が驚くほどフワッフワ。ぶりや野菜から溶け出した旨みと甘みを余すことなく包み込み、そのやさしい味わいが五臓六腑に染み渡りました。

この地でぶりしゃぶが誕生したのは昭和53(1978)年11月。宮津・天橋立観光旅館協同組合青年部が、「松葉がに」と並ぶ宮津の名物料理をつくろうと発案したものでした。
▲茶谷さんは当時の青年部の一人。「ぶりしゃぶの誕生は、いわば“コロンブスの卵”のようなものだった」とか

当初はさほど話題にならなかったものの、会席料理の一品として小鍋の「一人ぶりしゃぶ」を提供したところ評判となり、「ぶりしゃぶ」の名も定着。その後、ぽん酢のTVCMで取り上げられたのをきっかけに全国へ知れ渡り、今ではすっかり鍋の定番に!

ぶりしゃぶは11月7日~3月31日の期間限定の料理。ぜひ冬に宮津を訪れて、本場のぶりしゃぶを楽しんでください(要予約。ぶりしゃぶのL.O.は12:30)。

3.京都の水揚げの9割を誇る【舞鶴の海】で、その恵みを味わう

▲五老ヶ丘公園の展望台から見た舞鶴湾

“海の京都”で3つめにご紹介するのは「舞鶴の海」。京都市街から車なら縦貫道を経て舞鶴若狭自動車道の西舞鶴、または東舞鶴ICで降りて1時間10分ほど、JR京都駅からは西舞鶴、または東舞鶴駅まで約1時間40分で行くことができます。

舞鶴湾は若狭湾南西部にあり、日本海が最も深く入り込んでいるのが特徴。京都で水揚げされる魚の約9割が、ここ舞鶴の魚なのだとか。また、舞鶴は天然の良港だったことから、明治時代に旧海軍の鎮守府が開庁され、昭和29(1954)年に海上自衛隊の地方隊が設置されたことでも知られています。
▲周囲の山から豊富な栄養分が流れ込み、ミネラルたっぷりの舞鶴湾で育ったカキは、たった1年でフルサイズに育ち、味も大きさも抜群

舞鶴の美味しい海の幸をはじめ、新鮮な旬の素材とこだわりの出汁を使った創作料理をいただけるのが、JR東舞鶴駅から徒歩約15分のところにある「海辺のレストラン海望亭」です。とくに力を入れているのが、舞鶴名産のカキを使った料理なんだそう。
▲「舞鶴真カキ丼」(税込・2,000円)は旨みたっぷりの出汁とフンワリとした卵、そして衣がサクサクで身がプリップリのカキフライが見事に調和
▲秘伝のタレで蒲焼きにした「舞鶴真カキ蒲焼丼」(税込・1,800円)も美味。真カキのメニューは3月末で終了し、5月に岩ガキのメニューが登場予定。右奥は「ナスと合挽肉のキーマカレー」

また、こちらのお店は「まいづる海自カレー」プロジェクトに参加し、「ナスと合挽肉のキーマカレー」(税込・880円)を提供しています。2017年度に始動したこのプロジェクトは、毎週金曜日のお昼にカレーを食べる海上自衛隊の習慣にちなみ、各艦隊や部隊、学校で作られているカレーを、市内の飲食店で食べられるというもの。(2019年3月現在、12の店舗で実施中)

こちらの店のカレーは、掃海艇「のとじま」オリジナルのレシピで作られていて、たっぷりの挽肉とナスなどの野菜をふんだんに使った中辛味。隠し味のショウガが効いた、食べやすいカレーです。
▲窓際の席からは、美しい舞鶴湾を望むことができる

舞鶴の海の幸と山の幸を、極上料理に昇華させる「京都舞鶴ARIYOSHI」

舞鶴の海の幸を堪能できるオススメ2軒目は、JR東舞鶴駅から徒歩約6分のところにある「京都舞鶴ARIYOSHI」です。
食材は、当日入手できる最高級のものだけを厳選。その食材のポテンシャルを極限までいかすべく、丁寧に手仕事を施した料理は上品で上質。そんな料理を求め、府内外から食通が足繁く通う店なのです。
▲料理が仕上がっていく様子を見られるよう、まな板はカウンター席から見える高さに設置。それができるのも、仕事に絶対の自信があるからこそ

店主の有吉功光(のりみつ)さんは舞鶴出身。15歳から大阪の日本料理店で修業を始め、その後飛騨高山の高級料理旅館で長年料理長を務めた、2019年で職人歴35年のベテラン料理人です。

良質な海と山の幸が豊富な舞鶴は、最高の料理をつくれる環境だと再認識し、故郷へ戻り、2014年にこの店をオープン。
魚は朝市や卸業者の元へ出向いて旬の新鮮なものを、野菜は地元の旬のものを中心に、肉はきっちり熟成したものを、それぞれしっかり目利きして仕入れているそうです。
▲白板昆布で〆た目鯛に、芽ネギや花穂ジソなどを美しく盛りつけた「昆布〆目鯛の和かるぱっちょ」。軽く塩をふり、柚子オリーブオイルで仕上げ
▲しっかり下処理した筍と、色鮮やかな山菜に、ゴマ入りのシャリをあわせた「筍と山菜各種ばら寿司」。桜の花を添え、目と舌で春を味わえる一品に

メニューはおまかせコースのみ。料理の仕込みをしているとアイディアが湧き上がり、献立がどんどん変わってしまい、お品書きを何度も書き直すこともあるのだとか。そのため、どんな料理と出合えるかは、お店に行ってからのお楽しみです。

金額は6,000円 、8,000 円 、10,000円 、12,000円 、15,000円 (すべて税抜)のいずれかで、その日の予約を最初に入れた人が希望する金額と時間に合わせて一斉にスタート。そのため、事前に予約が必要です。
▲醤油に5分ほど漬けたすじ鰹を並べ、細かく刻んだ葱・大葉・みょうがの薬味と白ごま、和がらしを盛り付けた「すじ鰹の漬け」

一品ずつ絶妙なタイミングで供される料理は、味、香り、温度すべてが最高の状態。見事な職人技につい見とれてしまいそうになりますが、食べどきを逃さずいただくのが礼儀。また、骨董品や高級な塗り物など、器の美しさも料理を引き立てる重要なエレメントになっています。
▲生と、湯がいてペースト状にした百合根、トロロ芋をあわせて下味をつけ、丸めて蒸すこと15分。一度冷まし、皮を炙った真鯛を盛り付け、再度温めて銀あんを掛けた「炙り真鯛の百合根つつみ蒸し 銀あん掛け」

高級感あふれる店内にこだわりの料理と聞くと、つい敷居が高いように感じますが、子供連れのファミリーもウェルカム、という有吉さん。しかも、事前の電話予約の際に、苦手な食材やリクエストなどを細かく聞いてもらえるので、安心して来店できます。
料理をベストなタイミングで出せるようにと、料理のスタート時間を揃え、席数も最大9席のカウンター席と定員6名の個室、計15席に限定。なお、カウンターと個室の間の仕切りは外すことができ、ワンフロアの貸切も可能だそう。
極上の料理に舌鼓を打ちながら、有吉さん、友理さんご夫婦のとっておきのおもてなしを堪能でき、この上なく贅沢な時間を過ごせるこちらのお店。全国各地から選りすぐった地酒やワインも揃っているので、舞鶴ならではの料理とのマッチングを楽しめるオススメの一軒です。

4.【京丹後の海】で、従来の概念を覆す「へしこ」との出合いに驚愕

▲京丹後の海は、「立岩」や「屏風岩」といった奇岩から、浜遊びに最適な白浜のビーチまで、変化に富んだ地形が特徴

最後にご紹介するのは、丹後半島の西側、「京丹後の海」。
この京丹後の海に面した「地産食堂 味工房ひさみ」でぜひ食べてもらいたいのが「へしこ」です。

こちらのお店へは、京都市街から車で縦貫道を経て、鳥取豊岡宮津自動車道・与謝天橋立ICで降り、約2時間。京都駅からは約2時間半、JR西舞鶴駅で京都丹後鉄道に乗り換えて峰山または網野駅で下車、そこからバスで「間人診療所前」下車が便利です。
▲これまでのへしこの概念が一変すること間違いなし。お店で提供する際は、七輪で炙って香ばしさをプラス

福井名物としてよく知られる「へしこ」は、石川県から鳥取県までの日本海沿岸地方で生産され、京丹後でも昔からよく食されていた保存食。さばやいわしなどの青魚を塩漬けした後、米糠に長期間漬け込んで熟成させるため、強い塩気と独特の香りがあり、実は苦手という人も少なくありません。

そんなマイナスイメージを変えたいと改良を重ね、従来とはまったく違う“浅漬け”のへしこを生み出しているのが、「地産食堂 味工房ひさみ」の店長・今出龍(いまでたつる)さんです。
▲「へしこの浅漬け」(350円)のほか、「へしこ定食」(1,290円)や「へしこのお茶漬け」(650円)でも存分に堪能できる(すべて税込)。予約制の会席料理なら、自分で炙って食べることも可能

今回は特別に、「へしこの浅漬け 至福」(税別・1枚630円)の一切れを、目の前で炙っていただき、まずは一口。すると、塩気はそれほどきつくなく、身は柔らかくジューシー。脂もしっかり残り、とにかくさばの旨みが凝縮していて、びっくり仰天のおいしさです。

このおいしさを生み出すため、さばは脂ののったものだけを厳選。3回に分けて濃度の違う塩水に漬け込むことで、さばの臭みや余分な脂が抜けてよりおいしくなり、塩分を控えめにすることも可能に。そこから「浅漬け」というネーミングにしたんだそう。
▲祖母のへしこのレシピをベースに、塩加減に徹底してこだわり、開発を進めたという今出さん

塩に漬けた後は、じっくり米糠に漬け込んで熟成し、旨みが極限まで引き出されたへしこが完成。2010年の発売後、どんどん人気が高まり、2018年には食堂の隣に専用工房「へしこ工房HISAMI」を増設。今では毎日100本以上仕込みをしないと追いつかないというほどの人気商品になっています。
こちらの店でもう一つ食べておきたいのが、「京サワラと堀川ごぼうの釜めし」(税別・1,200円、前日までに要予約)です。利尻昆布と2種類の鰹節をじっくり火入れして、旨みを引き出したオリジナルの出汁で、旬の京サワラと京都の伝統野菜・堀川ごぼうを一緒に炊き上げていて、やさしい味わいとごぼうの香りがたまりません。

堀川ごぼうは直径がなんと6~9cmと太く、中には空洞があり、収穫まで2年もかかる希少な種類。柔らかくて香りもよく、希少価値が高いことから、主に料亭などで使われています。しっかりアク抜きしたごぼうはえぐみが一切なく、甘さとやわらかさだけが残っています(3月末までの提供)。
「地産食堂 味工房ひさみ」は、旧・間人(たいざ)町にあった祖父母の洋食店を継いだ今出さんが、“丹後に来た観光客がきちんと食事できる場所をつくりたい”と、平成5(1993)年に現地へ移転したのが始まりだそう。さらに、種類豊富で安心な丹後の海の幸と山の幸をもっと多くの人に知ってほしいと、2018年にリニューアルオープンしました。

すぐ近くの間人漁港で仕入れた地魚や、地元の野菜を使った創作料理はどれも奥深い味わいで、観光の途中にいただくのにもってこい。もちろん、へしこのメニューも色々あり、予約時に申し出があれば釜飯も食べられます。日本海を一望できるロケーションも満喫できますよ。
伊根・宮津・舞鶴・京丹後の4つの“海の京都”の魅力をご紹介しましたが、気になる海、行きたくなった海はありましたか? 2015年の縦貫道全線開通により、府北部へのアクセスも楽になったので、美食と驚きにあふれた美しい“海の京都”へ、ぜひ出かけてみてください。

~もうひとつの京都をめぐる旅~
<vol.2 森の京都>京都で明智光秀も食べていた!?絶品ジビエや野菜を満喫
<vol.3 竹の里・乙訓とお茶の京都>京都の知られざる竹林と松花堂弁当ゆかりの地
<vol.4 お茶の京都>雉や一休寺納豆も楽しめる京都の茶どころへ
京都府観光推進・ぐるたび編集部

京都府観光推進・ぐるたび編集部

「もうひとつの京都」の魅力を取材し発信します。

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