京都で明智光秀も食べていた!?絶品ジビエや野菜を満喫<もうひとつの京都をめぐる旅2・森の京都>

2019.03.22 更新

もうひとつの京都をめぐる旅の第2弾、今回のテーマは「森」です。森林面積がなんと総面積の約75%を占める京都府は、森の恵みの宝庫です。その中で、近年注目度がグングン上昇しているのがジビエ。まず明智光秀の領地を見学し、その光秀も食べていたであろうおいしいジビエを求めて府中部の“森の京都”に向かいました。【PR】

▲「美山町自然文化村 河鹿荘」でいただける絶品「ぼたん鍋」

明智光秀の無念の思いが去来する「丹波亀岡城址」

早速、明智光秀が築いた「丹波亀山城」の城址を見に、「京の奥座敷」と称される亀岡へ向かいます。京都駅からJR嵯峨野線(山陰本線)で亀岡駅へ、そこから徒歩12分ほど歩けば、「丹波亀山城址」に到着。この亀山城は、天正5(1577)年ごろに光秀が築き、それを機に町が発展していったそうです。
▲亀岡の山から切り出された石で築かれた石垣。手前の角の部分が安土桃山時代に積まれたとされる

明智光秀といえば天正10(1582)年、本能寺の変で主君の織田信長を討ったことから、逆臣のイメージが強い武将の一人。ですが、領地では治水事業や地税免除などの善政を行い、領民からとても慕われていたお殿様だったとか。

今回はベテランガイドの井上さんに亀岡城の歴史や見どころを解説してもらいました。ガイドは1時間あたり1,500円(税込)、JR亀岡駅にある「JR亀岡駅観光案内所」で手配してもらえます。
▲「ふるさと亀岡ガイドの会」会長の井上市朗(いちろう)さん

明智光秀が丹波(現在の亀岡市、篠山市、丹波市、南丹市、京丹波町、綾部市、福知山市にわたる広大なエリア)の平定に着手したのは天正3(1575)年。亀山城の築城後、天正8(1580)年に丹波国を拝領し、城下町の整備を進める中で本能寺の変を起こし、山崎の合戦で命を落としました。

その後、羽柴秀俊(小早川秀秋)の修築を経て、慶長15(1610)年頃、岡部長盛の時代に城郭と城下町が完成。明治維新後の廃城令により、天守は解体されていますが、のちに現在の所有者・宗教法人大本(おほもと)が石垣などを修復し、25,000坪の敷地を管理。石垣や堀は無料で見学することができます。
▲城の石垣ではおなじみの刻印を発見。55箇所に17種類あり、天下普請に参加した諸国の大名が刻んだものだとか
▲写真中央 江戸時代からある大イチョウ

安土桃山時代の石垣の脇にある階段の先に、光秀が手植えしたと伝わる、太く白っぽい幹の大イチョウが見えます。初代のイチョウは江戸時代中期に台風で倒れ、若木が植え替えられたとされ、今も市民のシンボルです。

ところで、なぜ亀岡市にあるのに亀山城なのか、と思われた方もいるのではないでしょうか。この地はもともと亀山という名だったのですが、三重県の亀山と混同しないようにと、明治時代に亀岡と改称されたため、ちょっとややこしいことになっているというわけなのです。
▲境内を進んでいくと現れる「万祥殿」

苦難の歴史を乗り越えてきた城址に立つと、丹波の国の平定に注力し、その志半ばにして倒れた光秀の無念の思いが伝わってくるようです。

最も栄えた江戸時代の面影をあちこちに残す城下町

▲120年以上の歴史がある「丹山酒造」。なまこ壁が印象的

光秀の時代に基礎がつくられ、江戸時代に拡充・発展したという亀岡の城下町。せっかく亀山城址まで来たので、その城下町も散策してみることに。紺屋町や本町などに、京格子の町家などの古い建物が一部残り、歴史の重みを感じることができます。
▲明治2(1869)年創業の「関酒造」。時代劇にそのまま使えそうな風情

今も「亀岡光秀まつり」や「ききょうの里」といったイベントが開催され、地元の人々に愛され続けている光秀。幹線道路も驚くほど細いのですが、それこそが昔ながらの町の名残。この道も光秀が通っていたかもしれません。
▲亀山城から移設したとされる豊臣の紋入りの「春日燈篭」(写真中央)

亀山城から移したと伝わる、安土桃山時代の石燈籠や井筒を見られるのが「楽々荘」の庭園です。ここは、丹波と京都を結ぶ京都鉄道(山陰本線の旧線、現在の嵯峨野トロッコ列車)を敷設した名士、田中源太郎の旧邸。七代目小川治兵衛作の日本庭園はとてもすばらしく、現在は「がんこ亀岡 楽々荘」に引き継がれました。
▲彩豊かな旬の味覚を堪能できる「がんこ亀岡 楽々荘」

店の営業時間内なら食事をしなくても見学させてもらえます。見学を希望する場合は、お店の方に一言声をかけてくださいね。
▲「城下町歴史街並み案内所」では情報収集やガイドの依頼も可能

亀山城址でもそうでしたが、ガイドツアーでお話を聞けば、より丹波の歴史に興味が湧いてくること間違いなし。こちらの「城下町歴史街並み案内所」にちょうどガイドの方がいれば、すぐ案内してもらうこともできますが、事前予約しておくと安心です。
▲「城下町歴史街並み案内所」は「本町・町家カフェ」も併設。一休みするのにもぴったり

城下町はぐるりと歩いても約1時間で回れるので、散策にはもってこい。また、亀岡からさらに足を伸ばせば、福知山市や綾部市、舞鶴市などにも光秀ゆかりの地がたくさんあります。時間をかけて、その足跡を辿ってみるのもまた一興です。

築300年超の武家屋敷「へき亭」でいただく、滋味深い「武将めし」

▲時代劇の映画やドラマも多数撮影されている武家屋敷を、そのまま店舗としている「へき亭」

亀岡城址と城下町の散策後はいよいよ、光秀が食べたであろう「武将めし」をいただきに「へき亭」へ向かいます。

JR亀岡駅まで戻り、そこから車で約5分。静かな森の中にあるこちらのお店では、文献などを調べて光秀が食べたとされる料理を再現した「武将めし」を提供しています。来店客数は1日数組に限定され、店内は静かで趣たっぷり。個室でゆっくりと食事をすることができます。
▲「武将めし」(税込・4,800円)は昼のみの提供。要予約

メニューを考案するにあたっては、光秀の時代の料理を文献などでリサーチ。さらに、田舎代官だった日置(へき)家に伝わる家庭料理を組み合わせた、全7品のコースです。

ジビエや地鶏、京野菜など“森の京都”の恵みをふんだんに使った往時のお料理は、一体どんな味がするのでしょう。
▲野菜がメインの「前菜」。この日は蕪と大根、海老芋の煮物。サラダなどを提供することも

個室に通され、「先付け」のフンワリとした自家製胡麻豆腐のおいしさに、のっけからノックアウト。続く「前菜」は野菜の旨みと甘みが濃厚で、ただただ圧倒されました。聞けば、野菜はできうる限り契約農家から取り寄せているとか。しっかりとした出汁のおいしさも感じられ、家庭料理の範疇を確実に超えています。
▲猪肉は当時焼くのが主流だったはず、と陶板焼きに。脂で肉が香ばしく焼け、肉の旨みが倍増

この日は、飛竜頭(ひりょうず)と野菜の「煮物」、「焼き物」の猪肉の陶板焼き、丹波黒どりと菜の花の「揚げ物」と続き、最後に「ご飯」のおこわと具だくさんの「味噌汁」が出てきました。
▲戦国時代、白米は食べられていなかったため、「ご飯」は丹波黒豆を入れたおこわに
▲「味噌汁」は大きめにカットされた地元野菜と、脂が乗った旨みたっぷりの柔らかい猪肉入り

光秀の出征時、妻が髪を売って材料を用意し、兵たちをもてなしていたという具だくさんの猪肉入り味噌汁を再現。猪肉とたっぷりの野菜の旨みと味噌のコクに、食欲がとまりません。
▲立派な門構え。奥に店舗が見える。この地は亀山城を真正面に見ることができ、旗本・津田藩の代官だった日置家は見張り役だったとか
▲障子のみの部屋の寒さも体感。当時の人々の生活ぶりを偲べる貴重な体験に

「心づくしのおもてなしをしたいから」と来店客数を限定し、つねに細部まで目を配っているという女将の日置道代(へきみちよ)さん。そのおかげで、とっておきの時間を過ごすことができました。

猪肉に地鶏の丹波黒どり、そして地元の野菜など、森の恵みの良さを最大限にいかした「武将めし」。料理は仕入れ状況や季節によって、内容が変わるとのことですが、いただいた料理はどれも素朴で滋味深いものばかりでした。古い武家屋敷の中、光秀もこれを食べていたのかもと思いながら料理をいただけば、タイムスリップした気分を味わえるかも!?

初めて見るのにどこか懐かしさを感じる「美山かやぶきの里」

「武将めし」のランチをいただいた後は、南丹市美山町へ移動します。亀岡から車で約60分、JR亀岡駅からなら嵯峨野線(山陰本線)で日吉駅へ、そこから市営バスで約45分ほど。京都市街地からだと車と公共機関、ともに90分ほどで到着します。
▲例年4~5月にはレンゲの花が咲き乱れる

美山町には、多くのかやぶき屋根の民家が残り、「美山かやぶきの里」と呼ばれています。なかでも、「北」の集落と呼ばれる知井地区・北村には、39棟のかやぶきの家が現存し、日本の原風景が息づいています。
▲毎年5月20日と12月1日の一斉放水の日は、大勢の観光客でにぎわう

集落の中を通る道は、福井県と京都府を結ぶ鯖街道の一つで、かつては多くの人が行き交っていたそう。その歴史的景観の保存度の高さから、平成5(1993)年には、重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

日本人にとってはどこか懐かしく、海外の観光客にとっては日本らしさを感じられる、情緒たっぷりの場所です。
▲例年1月下旬から2月頭にかけて実施される「雪灯廊」。民家のライトアップは2月末まで実施

ちょうど訪れた1月末は、「雪灯廊」のイベントの真っ最中。民家のライトアップと、雪灯廊・花灯廊・LED灯廊・提灯の4種類の灯廊の明かりで、里は得もいわれぬ美しさでした。
▲台湾など海外からの観光客も大勢来訪

この里は、かやぶきの家がただ並んでいるのではなく、そこで実際に人々が暮らして生活を営んでいる、文字通り「生きた里」。だからこそ、その景色がより印象的で、心に響いてくるのかもしれません。
集落内には2つのカフェと「美山民俗資料館」、2軒の民宿もあるので、じっくり滞在することも可能です。ゆるやかな時間が流れる静かな里で、日々のストレスを洗い流してみませんか?

こだわりの猟師が獲った、最高級猪肉のおいしさを堪能できる「美山自然文化村 河鹿荘」

美山地区の名物料理の一つが、猪や鹿などのジビエ料理です。ジビエとは「狩猟で獲った天然・野生鳥獣の食肉」という意味のフランス語。ヨーロッパでは貴族の伝統料理として愛され、もちろん日本でも長年食されてきた肉です。
▲ぼたんの花のように美しい猪のロース肉

なかでも、味噌仕立てのスープでスライスした猪肉をいただく「ぼたん鍋」は、人気ジビエ料理の代表格。猪肉のさっぱりした脂と、旨みの濃い赤身が味噌のコクとよくあう絶品鍋です。
▲「美山町自然文化村 河鹿荘」。猪肉は11~3月の冬季限定での提供。ぼたん鍋の宿泊プランは2名以上から

今回、ぼたん鍋をいただけるとやってきたのは、「美山かやぶきの里」から車で3分ほどの所にある「美山町自然文化村 河鹿荘」です。こちらのぼたん鍋は、名人と呼ばれる猪専門の猟師の方が獲った、最高級の猪肉だけを使用。なんでも、何日も森を歩いて猪の足跡をたどり、他の人がどんなに不猟でも必ず仕留めてくるという、まさに伝説のハンターなのだとか。

支配人の大野琢馬(たくま)さんいわく、「信頼できるものだけを提供したいので、その人の獲った肉に限定しているんです」とのこと。肉の味や質は、狩猟法や解体法によって大きく変わるため、色々なところから仕入れると味にばらつきが出てしまうのだそう。
▲身は驚くほど柔らかく、噛むほどに脂の甘みと肉の旨みが口の中に広がる

名人は最適な弾を使って銃で猪を仕留め、すぐに清潔な解体場で厳選した道具を使って処理をしているとのこと。しっかり血を抜き、内臓を抜く穴を最小限にすることで、臭みのない肉に仕上げ、皮を極限まで薄くはぐことで、脂身をたっぷり残しています。

そうしてこだわり抜かれた猪肉は、確かに臭みがなく、脂の乗りも抜群。しかも、その脂がとにかくあっさりしていて、驚きを通り越し、思わず感動してしまうほど。
▲新鮮な野菜も、地のものを中心にたっぷり。とくにごぼうと猪肉の相性はばっちり

スープも美山味噌のコクが濃厚で、ほんのりと山椒が香り、塩気は抑えめ。猪肉のおいしさがより際立ち、箸の勢いはそれこそ「猪突猛進」!
気づけばペロリと食べ終わっていて、すっかりお腹いっぱいに。「猪の肉は臭くて固い」というイメージがある人にこそ、ぜひ食べてほしい逸品です。
▲肉の量はたっぷりあったのに、アクがほとんど出ないことにびっくり

日本では縄文時代から食べられていたとされる猪。良質なタンパク質とビタミンB群が豊富で、栄養も満点です。天然の餌をたっぷり食べ、山を駆け回った猪は身が引き締まり、力強いおいしさは“森の京都”のジビエならでは。

日本で狩猟が解禁されているのは11月15日から翌年の2月15日まで。こちらでのぼたん鍋が食べられる宿泊プラン(大人2名1室税込11,340円~)も11月から3月末までとなりますが、鹿肉などを使った「和のジビエ」が食べられるプラン(大人2名1室税込10,260円~)は通年楽しめます。
▲「美山町自然文化村 河鹿荘」は本館全12室と、写真のかやぶき民家別館1棟の計13部屋

かやぶき民家別館は一棟貸しで、10名以上で利用可能。8畳2部屋、6畳1部屋、囲炉裏つきの10畳1部屋、計4部屋があり、里山の暮らしを疑似体験できます。

滋味深くおいしいジビエは、まさに森からの贈り物。その恵みにしみじみと感謝して、大切な命をいただく、そんな貴重な体験ができるのも里山だからこそ。絶品ジビエを堪能でき、ログハウス調の本館やかやぶき民家に宿泊できる「美山町自然文化村 河鹿荘」。季節ごとに美しい姿を見せてくれる森の中、ひっそりと佇むくつろぎの宿です。
光秀の領地の繁栄ぶりとその意外な人物像に触れ、ジビエを始めとする森の恵みを存分に味わった今回の旅のレポートはいかがでしたか?

実際に食べてみれば、これまでのジビエのイメージが一転し、本来はとてもおいしいものなのだと痛感することでしょう。また、野菜のおいしさも格別なので、つい食べ過ぎてしまうこと必至。そして森の清涼な空気と美しい緑にすっかり癒され、城址や城下町をそぞろ歩いて知的好奇心も満タンに。ぜひ自分らしいスタイルで、“森の京都”を満喫してください。

~もうひとつの京都をめぐる旅~
<vol.1 海の京都>伊根・宮津・舞鶴・京丹後、京都の海は美食と絶景の宝庫
<vol.3 竹の里・乙訓とお茶の京都>京都の知られざる竹林と松花堂弁当ゆかりの地
<vol.4 お茶の京都>雉や一休寺納豆も楽しめる京都の茶どころへ
京都府観光推進・ぐるたび編集部

京都府観光推進・ぐるたび編集部

「もうひとつの京都」の魅力を取材し発信します。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP