雉や一休寺納豆も楽しめる京都の茶どころへ<もうひとつの京都をめぐる旅4・お茶の京都>

2019.03.27 更新

もうひとつの京都をめぐる旅の第4弾となる今回は、「お茶」がテーマ。京都といえばお茶、というイメージを持つ人も多いと思いますが、その代表的な宇治茶の産地は、府南部の山城地域に集中しています。美しい茶畑が連なりお茶文化が息づく、お茶の郷「和束町(わづかちょう)」がある“お茶の京都”を訪ねる旅をご紹介します。【PR】

▲お茶をアレンジした色々なお料理を楽しめる「京都 和束荘」のランチ「和束御膳」

約800年の歴史を紡ぐ、日本茶のふるさと「和束町」

京都を代表とする「宇治茶」は、言わずと知れた日本三大茶の一つ。古くから水運が盛んだった京都南部の山城地域は、水はけがよく風通しがよい土壌と、年間を通してしっかり雨が降る気候が茶葉の栽培に適していたことから、宇治茶の名産地となりました。その宇治茶の主産地が、“お茶の京都”(山城地域)の南東部に位置し、桃源郷ならぬ「茶源郷(ちゃげんきょう)」と呼ばれる和束町です。
▲京都府景観資産第1号にも登録された和束町の「石寺の茶畑」は、日本遺産にも登録

日本茶の歴史は古く、奈良から平安時代にかけ、中国・唐へ留学した僧侶や、遣唐使がもたらしたのがその始まりだそう。和束町では鎌倉時代、明恵上人(みょうえしょうにん)から種を分けてもらった海住山寺(かいじゅうせんじ)の慈心上人が、お茶を植えたと伝えられています。そんな和束町から、お茶をめぐる旅をスタートすることに。

和束町の「石寺の茶畑」へは、京都市街地から車なら国道24号から同163号を経て約90分、公共交通機関なら京都駅からJR奈良線と関西本線を乗り継いで加茂駅まで約60分、そこからタクシーで約15分、バスなら「和束高橋」下車、徒歩約15分、計30分ほどで到着します。駐車場はありませんので、自家用車の場合はご注意を。
▲春は薄紅色の桜と緑の茶畑を同時に眺めることができる場所も(例年4月上~中旬頃)。この場所は「和束高橋」バス停から、橋を渡ってすぐ
▲和束町で最初にお茶が植えられたとされる「原山」へは、最寄りのバス停「原山」から徒歩20分ほど

茶は常緑樹なので、一年中緑が美しい畑を見ることができますが、新芽が芽吹く春の美しさは格別だとか。また、5月には新茶の収穫風景、冬は美しく刈りそろえられた様子など、四季折々の風景を楽しめるとのこと。
今回は真冬の訪問でしたが、農家の方が丹精こめて育てている茶畑の美しさに感動し、久しぶりにゆっくりお茶を淹れて飲みたい気分になりました。

幅広いアレンジ法に感心しきり。和束ならではのお茶づくしの料理

茶畑見学の後は、“お茶を五感で楽しめる宿”として人気の「京都 和束荘」へ。「石寺の茶畑」からは車で約10分、バスなら「和束山の家前」で下車し、徒歩約8分のところにあります。
▲お茶文化を発信する和束町の人気宿「京都 和束荘」。料理のほか、煎茶を浮かべたお茶風呂や茶香炉、朝のお茶の一服など、お茶を五感で楽しめる(宿泊料金:大人2名1室1泊2食10,000円~/人※税・サ別)

こちらでは、宿泊しなくてもランチ限定の「和束御膳」(税別・2,500円)をいただくことができます。黒塗りの箱の引き出しを開けると、美しく盛られた料理が顔を覗かせ、思わずうっとりしてしまいます。
▲引き出しを一つ開けるごとに、ワクワク感があふれ出す

まずは目で楽しんだら、いざ実食!地元の野菜などをふんだんに使った、四季折々の料理のほか、「抹茶豆腐」や「抹茶羊羹」、「焙じ茶ご飯」などお茶を使った料理もたくさん。せっかくなので、「茶葉入りかき揚げ」からいただきます。

人参や水菜と一緒に揚げられた茶葉はパリパリとした食感で、スッキリとしたお茶の香りも残り、とても美味。抹茶塩でいただけば、よりお茶の香りを楽しめます。
▲ボリューム満点の御膳。写真左下から時計回りに天ぷら、水物、彩り重、吸物、香の物、御飯、お造り

インパクト大だったのが、焙じ茶で炊いた「焙じ茶ご飯」と、水物(デザート)の「焙じ茶プリン」。芳ばしい香りとさっぱりとした味わいが絶妙で、抜群のおいしさでした。

パリパリの揚げ茶葉や、焙じ茶のご飯やプリンなど、お茶をこんな風に使うのかと驚いたり感心したり。ただ飲むだけではない、お茶の楽しみ方を教えてもらいました。新茶の時季は、新芽を揚げた天ぷらなど、よりお茶を前面に押し出したお料理をいただけるそうです。
▲宿泊者用の夕食メニュー。写真は「睦月の会席料理」

ちなみに、宿泊者の夕食でいただける月替りの会席料理もお茶づくしで、抹茶、緑茶、焙じ茶がふんだんに使われ、それぞれのお茶の長所がいかされているそうです。
▲「焙じ茶のしゃぶしゃぶ」は、お茶が脂をさっぱりとさせ、豚肉の甘さがさらに引き立つのだとか

「和束茶カフェ」で、おいしい淹れ方を学べるお茶体験

「京都 和束荘」から歩いて行ける「和束茶カフェ」では、お茶体験(税込・800円)を実施していて、予約をしておけばお茶についての知識を学べるほか、おいしい淹れ方を教えてもらえます。
▲日本茶インストラクターの中山美雪さん。丁寧にわかりやすく説明してくれる

日本茶や茶器についてレクチャーを受けたら、早速実際にお茶を淹れていきます。おいしいタイミングを逃さないよう、中山さんと同時に動作を行います。
▲急須の「宝瓶(ほうひん)」は、お茶の旨みを引き出すのに最適。低い温度で淹れるお茶に用いられるため熱くならず、取っ手がない

今回使うのは和束のかぶせ茶。一人前の茶葉はティースプーン一杯、約3gが適当だそう。
一煎目は低い温度で淹れることで、旨みと甘み成分のテアニンをメインに抽出します。沸騰させてカルキを抜いたお湯の温度を50~60度まで下げ、茶葉の周りから注ぎ、1分から1分半待ちます。茶葉が1/3ほど開いたときが注ぎどきです。

最後の一滴までしっかり注ぎ切るのも重要なポイント。こうして淹れたお茶は、色がやや薄いものの、旨みと甘みが濃く、出汁のような味わいに思わずびっくり!
二煎目は約60~70度、三煎目は約70~80度と、徐々にお湯の温度を上げていくことで、お茶の味わいがどんどん変化し、緑色もより鮮やかに。そのすがすがしいさわやかな香りとお茶の奥深さに圧倒されっぱなしでした。

時間があまりない場合などは、レクチャーを短縮して、お茶の淹れ方をしっかり教えてもらうこともできるそう。一度体験すれば、きっとお茶の概念が変わりますよ。

和束茶の直売や、和束茶を使ったクッキーや佃煮などの商品も置かれている「和束茶カフェ」。レンタサイクルの受付やMAPの配布など、観光案内の拠点ともなっています。

侘び茶のキーパーソン「一休さん」の寺へ

次に向かったのは「一休さん」こと一休宗純(そうじゅん)禅師のお寺、「酬恩庵(しゅうおんあん)一休寺」です。

侘び茶の基礎を築いたとされている村田珠光は、一休禅師から禅を学び、「茶禅一味(茶道は禅を起源とするため、その本質は同一であるべきという考え方)」の境地に至ったと言われています。つまり、一休禅師なくしては茶道は生まれなかったと言っても過言ではありません。

その一休さんのお寺には、お茶と供にぜひ食べておきたい茶受けがあるんだそう。和束町からは車で約40分、電車なら加茂駅に戻りJR関西本線と片町線を乗り継ぎ京田辺駅へ。駅からはタクシーで約5分、徒歩なら20分ほどで到着します。
▲方丈内のこちらの部屋でお茶をいただける

鎌倉時代、中国で禅を学んだ臨済宗の高僧・大應国師(だいおうこくし/南浦紹明[なんぽじょうみょう])が、帰国後にその道場としてこの地に妙勝寺を建立しました。その後、康正年中(1455~1456年)に、一休禅師が再興し、「酬恩庵」と命名。88歳で亡くなるまでここで過ごしたことから、「一休寺」という通称で知られるようになりました。
▲境内の「方丈庭園」は国の名勝に指定。こちらは方丈正面の南庭。写真右奥に写る屋根が、一休禅師のご廟所(墓)

「とんち」で知られる一休禅師は、応永元(1394)年京都で生まれ、後小松天皇または足利義満の血を引くとされる人物。6歳で京都の安国寺に入門し、のちに大徳寺の高僧・華叟宗曇(かそうそうどん)の弟子となり、一休の名を授かります。幼い頃から漢詩の才能に長け、東山文化を代表する文化人でもありました。
▲糸を引く納豆とはまったくの別物の「一休寺納豆」。塩味のきいた独特の味は、たとえるなら豆豉(とうち)のよう

一休寺には、ここならではの食文化があります。それが、一休禅師から伝わる「一休寺納豆」です。数百年もの間、ほぼ同じ製法で作られる納豆は、貴重なたんぱく質補給の栄養源として、また冷蔵庫のない時代に保存食として珍重されてきたという歴史があります。
▲蒸した大豆に、麦を炒って挽いた“はったい粉”と麹を混ぜて発酵。その後、塩湯と共に桶に移し、約一年間天日干しにして完成

庫裏(くり)売店では小100g・850円、中200g・1,600円、大300g.2,800円、ふりかけ450円が販売されています。

それではいよいよ、抹茶(500円)をいただくため、庫裏売店へ。注文時、茶受けに一休寺納豆を使った落雁かブールドネージュ(クッキー)のどちらかを選べます。正座が苦手な人向けに、テーブル席も用意されているとのこと。
▲京都の老舗和菓子店「鶴屋吉信」の落雁「一休寺」

とくに作法は気にしないでOKとのことなので安心です。
まずは茶受けに一粒添えられていた納豆をいただくと、噛むほどに旨みがじんわりと広がります。ご飯やお茶漬けのお供に、またお酒のおつまみにもぴったりな味わい。調味料代わりにも使えるとのことで、市内のフレンチやイタリアンレストランでも愛用されているそう。

落雁は刻んだ一休寺納豆を練りこんであり、その塩気とはったい粉の香ばしさ、控えめな甘さが美味でした。
▲京田辺市のケーキ店「パティスリー メルシーラヴィ」のブールドネージュ「もくもくじ」にも一休寺納豆を使用。味わいはチーズをたっぷり使ったクッキーのよう

今回は特別に、両方の茶受けをいただきましたが、お菓子との意外でおいしいコラボに、一休寺納豆の底知れぬポテンシャルを感じざるをえません。

最後に抹茶をいただき、心はすっかり穏やかに。と同時に、歴史の長さをひしひしと感じ、厳かな気持ちにもなりました。
▲お話を伺った田辺宗一住職。「伝わってきたものをそのまま後世に残したい」と、70歳を超えた今もご住職自ら、一休寺納豆の仕込み作業をされている

なお、禅宗では食べることも修行の一つということで、肉や魚をまったく使わない、四季折々の精進料理も提供しています(1,850円~。要事前予約)。日常を忘れ、ゆったりと贅沢な時間を過ごせる名刹「酬恩庵一休寺」。多数の重要文化財や宝物殿など、見どころももり盛りだくさんです。

お茶の京都のもう一つの名物、「雉料理」を食す

▲雉(きじ)肉の様々な部位を色々な状態で楽しめる「雉鍋」のコース料理(1人前)。基本は先付、前菜、お造り、鍋、ご飯にデザートとボリュームたっぷり

お茶の京都へ出かけたなら、ぜひ併せて食べておきたいのが「雉」。雉は平安時代から食されていた、日本人にはゆかりの深い鳥です。

和束町のすぐ南に位置する笠置町(かさぎちょう)の高級鶏肉メーカー「ナカムラポートリー」が、地元・山城地域の名物を作るべく、雉の養殖をスタート。その雉を使った料理を、木津川市にある直営の高級鳥料理専門店「萬鳥料理 雉祥(よろずとりりょうり きじしょう)」で提供しています。
▲元割烹の店舗は高級感たっぷり

一休寺からなら近鉄新田辺駅で近鉄京都線に乗り、近鉄山田川駅で降りて徒歩約6分。車だと京奈和自動車道経由で20分ほど。京都市街からも電車1本で来られるアクセスの良さです。

この日の夕食に「雉鍋」のコース(1人前11,000円・税別)をいただくことにしました。雉肉はミネラルやビタミン類が豊富で、鶏肉に比べるとたんぱく質が多く脂質は少なめとのこと。
▲この日はコースに陶板焼きが登場。写真左下から時計回りに雉のムネ肉、モモ肉、若鶏のモモ肉、ムネ肉と、4種類の肉を食べ比べでき、それぞれの味わいの違いを楽しめる

雉肉の食感は弾力がありプリプリ。味は地鶏の味を凝縮したような濃厚な旨みに加え、どことなく野性味もあり、とても個性的です。
▲「雉鍋」は1年中食べることができ、お好みで水炊き又はすき焼きを選べる。写真の水炊きの出汁は、雉の旨みに負けないよう、京都の出汁乾物店「うね乃」の「職人だし」をセレクト。野菜は地元のものを中心に使用

こちらの雉は、状態に応じて餌を変えるなどとても丁寧に育てられ、元気いっぱいで肉質は抜群!さらに、「外はぎ方法」という捌き技法で処理しているため、肉は臭みがなく水っぽくなることもありません。

手間もコストもかかることから、今ではほとんど見られない方法とのことですが、手作業による外はぎにこだわっているんだそう。おいしい上に衛生的で安心していただくこともでき、まさに一石”三“鳥!

また、1~2日熟成させてから調理するのも、おいしさのポイントとのこと。その雉肉を、夜はコース料理と鍋料理で、昼は加えて御膳でも楽しめます。
▲オーナーシェフの中村哲(さとる)さんはフレンチ出身。コースは予算や食べたい料理に合わせて組み立ててもらうことも可能
落ち着いた雰囲気のなかでいただく雉料理はとても滋味深く、お造りに焼き物、鍋など、調理法ごとの味わいも堪能できました。ちなみに、4月から6月中旬には、希少なメス肉や雉の玉子も登場するとのことですが、数に限りがあるので、2日前までに予約が必要です。
山城地域で美しい茶畑を眺め、おいしいお茶を飲んで食べ、歴史や本格的な淹れ方なども学び、お茶をとことん楽しむことができた今回の旅。心身ともにリラックスもでき、飲むだけではわからなかったお茶の奥深さを痛感しました。

また、一休寺納豆や雉など、ここでしか味わえない美味との出合いにも感激しきり。賑やかな京都市街から少し足を延ばせば、そんな貴重な体験ができる静かな癒しの郷<お茶の京都>が待っています。

~もうひとつの京都をめぐる旅~
<vol.1 海の京都>伊根・宮津・舞鶴・京丹後、京都の海は美食と絶景の宝庫
<vol.2 森の京都>京都で明智光秀も食べていた!?絶品ジビエや野菜を満喫
<vol.3 竹の里・乙訓とお茶の京都>京都の知られざる竹林と松花堂弁当ゆかりの地
京都府観光推進・ぐるたび編集部

京都府観光推進・ぐるたび編集部

「もうひとつの京都」の魅力を取材し発信します。

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