京都の知られざる竹林と松花堂弁当ゆかりの地<もうひとつの京都をめぐる旅3・竹の里・乙訓とお茶の京都>

2019.03.25 更新

もうひとつの京都をめぐる旅の第3弾は、「竹」と「松花堂弁当」がテーマ。京都の竹林といえば嵐山が有名ですが、「竹の里・乙訓(おとくに)」には知る人ぞ知る穴場の竹林があります。また、竹の里・乙訓のお隣、八幡(やわた)市は「松花堂弁当」にゆかりの深い土地。京都駅から電車ですぐとは思えない、静かでゆったりとした時間が流れる竹の里とお茶の京都・八幡をご紹介します。【PR】

▲「京の味処 うお寿」で食べられる「竹の子姿ずし」

自分のペースでゆっくり見学できる、穴場の静かな竹林

竹の里・乙訓(向日[むこう]市、長岡京市、大山崎町)エリアは、京都駅から30分もかからず到着できる場所に位置しています。日本最古の物語といわれる『竹取物語』の発祥の地の一つとも言われ、全国的にも有名な良質な筍(たけのこ)の産地でもあります。
なかでも、阪急京都線・東向日駅から徒歩約15分、向日丘陵の竹林に整備されている「竹の径」は、まさに穴場のオススメスポット。嵐山ほど知られていない分、静かにゆっくり美しい景色を堪能できます。
▲剪定した竹の枝のボリュームをいかした「竹穂垣(たけほがき)」。竹の径で最も多く使われている

全長約1.8kmの竹の径には、竹の枝を束ねた「竹穂垣」をはじめ、かぐや姫の十二単衣の襟元をイメージした「かぐや垣」や「古墳垣」など、全8種類の竹垣が連なっています。
▲丸みを帯びた古墳の形を表現した「古墳垣」
▲春、芽吹きのシーズンを迎えると、あちこちで筍を掘る様子も見られる(例年4~5月頃)

この地域の筍がおいしい理由は、ずばり土のよさだと言います。敷き詰めたワラの上に、竹やぶから掘り出して盛った土は柔らかく、筍がよく育つのだそう。
▲明るい色の土が、新しく敷かれた土。年々土が盛られていくので、中には垣根より高くなっている場所も

悠久の歴史に思いを馳せ、美しい竹林の景観を楽しみながら、ゆっくり散策できる「竹の径」。ちょっと歩くのにちょうどいい距離で、つい撮影したくなるスポットもたくさん。筍料理を食べる前にお腹をすかせるのにぴったりかも!?

筍の香りと甘さ、食感を一年中楽しめる「京の味処 うお寿」

乙訓地域の筍は、さっくりとした歯ごたえとやわらかさを兼ね備え、えぐみがないのが特徴です。そのおいしい筍の料理を提供しているのが、竹の径から車で約8分の場所にある「京の味処 うお寿(うおす)」です。

こちらのお店では、旬の季節に朝掘りしたものを厳選し、水煮にして保存しているため、春だけでなく、一年中おいしく筍を食べられます。

水煮の筍を丁寧に下ごしらえし、香りを残しつつえぐみを抜いたら、酒やみりん、追い鰹などでじっくり炊き込むこと一昼夜。中身を一つずつ手でくり抜き、特製のすし飯をつめたのが、看板メニューの「竹の子姿ずし」(1人前、税別・1,350円)です。
▲持ち帰りもでき、美しい箱に入れてもらえるので、お土産にもぴったり

醤油を使わず白さを残して炊き上げられた筍は、甘みと爽やかな香りがふわりとして、柔らかいのにシャキシャキとした歯ごたえも楽しめます。

すし飯も、くり抜いた筍を刻んで甘鹹(から)く煮たものと木の芽や柚子が混ぜ込まれ、さっぱりとした味わい。酢の酸味もやわらかく、つい箸が進むおいしさです。
姿ずしをいただいた後は、「笹羊羹」(税別・450円)がオススメ。この春登場した新デザートで、笹粉を入れた羊羹にシロップ煮の筍と白玉、つぶあんをトッピング。笹の清涼感と筍の食感が楽しい和スイーツです。
こちらの「筍入り豆乳アイス」(税別・400円)は、底にシロップで炊いた筍が入っています。さっぱりした豆乳アイスとシャキシャキの甘い筍、上にかけられた笹パウダーの香りが、見事なハーモニーを奏でます。
▲これらの地元の筍と笹を組み合わせたスイーツの開発に取り組んでいるのが、3代目店主の山下武司さん。先代が開発した「竹の子姿ずし」を伝承するだけでなく、様々なアイディアを形にしている

春には、新鮮な旬の筍をたっぷり使った筍づくしのコース料理なども登場します。フレッシュな香りと滋味深さは、採れたての筍ならでは。姿ずしと一緒に、ぜひ食べてみてください。

「松花堂」跡地がある、霊験あらたかな京都の守り神「石清水八幡宮」へ

竹の里・乙訓エリアの西側に接する八幡市は、平安京守護のために建てられた「石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)」の門前町として発展し、エジソンの電球のフィラメントに使われた「八幡バンブー」の産地としても有名です。そして、あの「松花堂弁当」誕生にゆかりのある土地でもあります。

その誕生のヒントとなったのは、江戸時代前期の芸術文化に大きく貢献した文化人・松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)が、晩年にこの地で隠居所として構えた草庵「松花堂」です。
▲「京都吉兆 松花堂店」の「松花堂弁当」。弁当箱は4つに仕切られ、料理を入れやすいように少し深く作られている

そんな「松花堂」の跡地が「石清水八幡宮」の境内にあるとのことなので、まずは八幡宮へ参拝に向かうことに。「京の味処 うお寿」からは車なら25分ほどです。
八幡市・男山に鎮座する「石清水八幡宮」は、平安時代の貞観元(859)年に、八幡宮総社の大分県・宇佐神宮から分霊を迎え、翌年八幡造の社殿が造営、創建されました。京の都から裏鬼門(南西)に位置し、都の守護、国家鎮護の社として長年崇敬され、伊勢の神宮に次ぐ第二の宗廟とも称されています。
▲訪れた1月下旬は、まだ正月仕様でジャンボ御神矢(ごしんや)が飾られていました

御祭神は御本殿中央に応神天皇(誉田別尊/ほんだわけのみこと)、西に比咩(ひめ)大神(多紀理毘賣命/たぎりびめのみこと・市寸島姫命/いちきしまひめのみこと・多岐津比賣命/たぎつひめのみこと)、東に神功皇后(息長帯比賣命/おきながたらしひめのみこと)です。この三座の神々の総称が、八幡三所大神となります。
▲まずは御社殿に参拝。一帯には厳かな空気が漂い、気持ちが引き締まる

現在の社殿は徳川家光の造替によるもので、現存する八幡造の本殿の中で最古かつ最大規模なんだそう。荘厳な社殿形式を保ちつつ、近世的な装飾を兼備した完成度の高い神社建築として、2016年に本社10棟、附棟札(つけたりむなふだ)3枚が国宝へと指定されました。
松花堂昭乗が営んだ草庵「松花堂」の跡地は、一旦南総門から表参道へ出て、「影清塚」の分岐点を右に上がり、「石清水社」へと向かう途中にあります。

神仏習合の時代、石清水八幡宮の境内にあった僧坊(僧の住居)「瀧本坊」の住職だった昭乗は、弟子に坊を譲った後、別の僧坊「泉坊」に移って隠棲。寛永14(1637)年にその一角で草庵を結び「松花堂」と称したことから、松花堂昭乗と呼ばれるようになったのだとか。

なお、裏参道から下りる階段は台風被害による落石のため、2019年3月現在一部通行止めとなっています。見学の際は、表参道から階段を上がってくださいね。
▲現在のエジソン記念碑は、記念碑建立50年にあたる昭和59(1984)年に建て替えられたもの

ちなみに、エジソンと八幡の縁から、境内には大きな記念碑が建てられています。エジソンは、八幡の竹をフィラメントに使い、白熱電球の長時間点灯に成功しました。その後、八幡の竹はその質の高さから、「八幡バンブー」として海外に輸出されたのだそう。

神社に参詣した際は、こちらの記念碑もぜひ見学してみてください。

庭園・美術館と老舗日本料理店で「松花堂弁当」の誕生秘話に迫る

▲松花堂弁当の発想を得るきっかけとなった「松花堂好四つ切塗箱」(八幡市立松花堂美術館蔵)

その後は、草庵「松花堂」が石清水八幡宮より移築された庭園と、「松花堂弁当」の源になった箱の写しなどを所蔵している「松花堂庭園・美術館」へ向かいます。石清水八幡宮からは車で15分ほど、またはケーブルカーで八幡市駅まで戻り、そこからバスで約15分。バス停「大芝・松花堂前」からすぐです。
▲右側の建物が「松花堂庭園・美術館」の美術館。左側が松花堂弁当がいただける「京都吉兆 松花堂店」
▲美術館の展示室。展覧会は、春と秋の企画展と特別展のほか、年に3回ほど館蔵品を中心とした展示を実施

江戸時代初期、寛永文化の一翼を担った松花堂昭乗(1584~1639年)。美術館には、昭乗が晩年を過ごした草庵「松花堂」や「泉坊書院」の内装品や、自画像写などの作品が収蔵されています。

併設されている庭園は22,000平米と広大で、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。庭園の内園と呼ばれるエリアには、草庵「松花堂」と「泉坊書院」が石清水八幡宮から移築されています。
▲明治24(1891)年に現地に移築された草庵「松花堂」。昭和32(1957)年に草庵「松花堂」とその区域が国史跡、2014年に「松花堂及び書院庭園」が国名勝に指定

なお、2018年の災害により、2019年3月現在、庭園は外園のみ開園され、草庵「松花堂」は見学不可となっています。

発祥の店「京都吉兆」で、季節感たっぷりの彩美しい「松花堂弁当」を食す

美術館と庭園を見学した後は、せっかくなので隣の「京都吉兆 松花堂店」に移動して、「松花堂弁当」をいただきたいもの。今や「松花堂弁当」と言えば、日本全国で定番となっていますが、発祥の地のお弁当はどんなものなのか、期待に胸がふくらみます。
▲老舗料亭として高名な「京都吉兆」が平成14(2002)年に「松花堂庭園・美術館」の敷地内で「京都吉兆 松花堂店」をオープン
それでは早速、「松花堂弁当」(税・サ込・5,000円)をいただくことに。弁当箱の蓋を開けると、造里(つくり)・八寸・焼物・煮物の盛り付けの美しさに、思わず感嘆の声がこぼれます。
もちろん、お料理は旬の素材をふんだんに使い、季節感たっぷり。そして見事な手仕事が施された逸品ぞろいです。
取材した1月下旬のお料理は、菜の花や鰆などで春を先取りし、冬のおいしい根菜をふんだんに使用。弁当左下の煮物「粕仕立ての大根とごぼうの炊き合わせ」は、野菜の濃い甘みと旨みがしっかり感じられ、酒粕と白味噌でほっこりと温まりました。
▲店長兼料理長の大槻隆昌(おおつきたかまさ)さん

料理長の大槻さんが「松花堂弁当」で一番のポイントと教えてくれたのは「お椀」。おいしい八幡の水と良質な昆布でとった、すっきりとしながらもしっかりと旨みを感じられる一番出汁に、旬の魚のしんじょうの優しい味が溶け合う、見事な一品でした。
▲店内から美しい庭園を眺めながら、料理を楽しめる。落ち着いた雰囲気の中、贅沢な時間を過ごせるはず 

「松花堂弁当」の器は、十字に仕切られているため、それぞれの料理の味や香りが混ざらない上に、冷たい料理と温かい料理を同時に提供できるという利点があります。
実際、お造里と温かい煮物が隣り合わせになっていても、それぞれ適温でおいしくいただくことができました。

繊細な味わいのお料理はどれも職人技が光り、素材の良さが最大限引き出され、これぞまさに日本料理の真骨頂。春にはもちろん地元の筍もふんだんに使われるとのことなので、早めの予約がオススメです。
竹と松花堂弁当をテーマに、竹の里・乙訓と八幡市を訪れた今回の旅。とくに、いつも大にぎわいの嵐山では味わえない「竹の径」の穴場感は、これぞ京都という魅力にあふれ、きっと感動を味わえるはず。筍料理や松花堂弁当などのグルメも味わえ、石清水八幡宮や松花堂昭乗ゆかりの地では歴史の重みを感じられるので、ぜひ現地を訪れて、いつもとはひと味もふた味も違う京都を発見してみてください。

~もうひとつの京都をめぐる旅~
<vol.1 海の京都>伊根・宮津・舞鶴・京丹後、京都の海は美食と絶景の宝庫
<vol.2 森の京都>京都で明智光秀も食べていた!?絶品ジビエや野菜を満喫
<vol.4 お茶の京都>雉や一休寺納豆も楽しめる京都の茶どころへ
京都府観光推進・ぐるたび編集部

京都府観光推進・ぐるたび編集部

「もうひとつの京都」の魅力を取材し発信します。

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