「焼豚玉子飯」って知ってる?まかない飯から、今治を代表するご当地グルメにまで上りつめた安うまグルメ!

2019.04.10 更新

愛媛県今治市の街中を歩いていると、「焼豚玉子飯(やきぶたたまごめし)」という看板やのぼりを立てた飲食店をあちこちで目にします。実はこれ、今治市民のソウルフード。その普及に取り組む「今治焼豚玉子飯 世界普及委員会」が、「2017西日本B-1グランプリin明石」でグランプリを受賞したことで、人気はうなぎのぼり。現在(2019年3月)では確認されているだけで市内50店舗以上で提供されています。シンプルでありながら各店の工夫が凝らされた「焼豚玉子飯」の食べ比べを楽しんでみませんか。

▲半熟の目玉焼きが食欲をそそる「焼豚玉子飯」

まかない飯を改良した、元祖の店「白楽天 今治本店」

「焼豚玉子飯」は、かつて今治市内にあった中華料理店「五番閣(ごばんかく)」のまかない飯がその始まり。もともとはご飯に焼豚の切れ端をのせて、煮汁をかけただけのものでした。
昭和45(1970)年に開業した「白楽天(はくらくてん) 今治本店」(以下、白楽天)の先代が半熟の目玉焼きをのせるなどの改良を行い、現在の「焼豚玉子飯」のスタイルを作りあげたと言われています。開業当初は高校のそばにお店があったことから、お腹を空かせた生徒たちから人気が広がったそうです。その人気は市内中心部へと移転した今も変わりません。
▲本格的な中華料理が味わえる「白楽天」。JR今治駅から徒歩約8分
▲店頭には「焼豚玉子飯」誕生の秘話を紹介した看板が

「白楽天」は様々な料理が味わえる中華料理店ですが、現在の「焼豚玉子飯」を作り上げた元祖の店として話題を呼び、来店するお客さんの半数以上が「焼豚玉子飯」を注文しています。先代は、独立前に「五番閣」に料理人として勤めていたという経緯があり、もとの味をよく知る人物でもあるんです。
▲「白楽天」の「焼豚玉子飯」(スープ付き・税込750円)

さっそく「焼豚玉子飯」を注文。
目の前に運ばれてきたのは、白身はこんがり、黄身はプリプリの半熟に焼かれた目玉焼きがドーンとのった丼。目玉焼きの下には焼豚がぎっしりと敷き詰められています。もちろん食べ方は自由ですが、目玉焼きを崩して、玉子を焼豚やご飯に絡めながら食べるのがおすすめです。
▲食べやすいように、焼豚はやや薄めにスライスしてある

口に運ぶと玉子のコクや焼豚の旨みが渾然一体となり、予想をはるかに超える美味しさ!焼豚の煮汁をベースに、さらに手を加えたというタレが全体にかけられていますが、それがまた甘みがあって絶品!半熟玉子が苦手な方には、無料でしっかり焼いた目玉焼きに変えてもらうこともできます。また目玉焼きが3個で、ご飯や焼豚を増量した大盛りバージョンもプラス税込200円で提供しています。
▲これが味の決め手!開業以来のタレ

タレは開業当時から継ぎ足して仕込んでいるため、他では真似のできない深い旨みがあります。昔はかなり濃い目に仕上げていましたが、今はヘルシー志向に合わせてややあっさり目に調整しているのだそう。
▲タレは瓶詰めでも販売。店内で購入できる(1本税込890円)
▲ピリ辛ソースはお好みで

また、ピリッと辛めを好む人のために、「白楽天」では特製のピリ辛ソースを開発しています。ラー油のような風味のソースをかけると味がしまり、また違った美味しさを楽しむことができますよ。
▲「白楽天」の二代目、関英輔(せきえいすけ)さん

現在、店を率いているのは二代目の関さん。「数分で調理できるシンプルなメニューですが、タレや焼豚はじっくりと時間をかけて仕込んでいます。簡単なようで難しい、それが焼豚玉子飯なんです」と言います。彼の父である先代をはじめ、今治市の料理人たちが食べていたまかない飯が、ご当地グルメとして多くの人に愛されていることに喜びを感じているそうです。
▲和モダンテイストの落ち着いた雰囲気の店内

店内は和モダンを基調とした落ち着いた雰囲気。テーブル席のほか、家族連れも安心な座敷席の個室も2室あります。

オリジナルのアレンジで人気!「大黒屋飯店」

▲気取りのない店構え。営業はお昼のみ。JR伊予富田駅から徒歩約20分

2軒目に訪ねたのは、ラーメンやおでんが味わえる庶民派の食堂「大黒屋飯店」。ここは一風変わった「焼豚玉子飯」があると評判のお店です。いったいどのようなアレンジがされているのでしょうか。
▲「大黒屋飯店」の「カレー玉子飯」(スープ付・税込788円)

こちらのお店で多くのファンの胃袋をつかんでいるのは「カレー玉子飯」。見た目は普通の「焼豚玉子飯」のようですが、かけられたタレはほんのりカレー色。丼から漂うスパイスの香りに、思わずお腹がグゥッとなります。小皿で添えられたネギも気になります。

まずは一口。ベースはマイルドな甘さですが、ピリッとほどよくスパイスがきいたタレが絶妙!小さめに切られた焼豚にも、しっかりとタレの味が染み込んでいます。
▲店内にはバス屋台時代の思い出の写真も

「大黒屋飯店」は、初代が昭和27(1952)年に開業した屋台が始まり。当初はラーメンやおでんを提供する屋台でした。その後、バス屋台として営業していましたが、昭和61(1986)年に今の場所に店を構えました。
現在は創業者の孫にあたる三代目店主・越智啓一(おちけいいち)さんが店を切り盛りしています。「焼豚玉子飯」を始めたのもここの店舗を構えた時期。「僕が、焼豚玉子飯が好きで、店でも出したいと思ったんです」と越智さんは話します。
▲スパイスの香りが食欲を誘う「カレー玉子飯」

最初は普通の「焼豚玉子飯」を出していましたが、毎日このメニューを食べていた越智さんは、味に変化を持たせたいと、ふと思いついてマヨネーズをかけたところこれが意外な美味しさで定番となりました。同様にカレーバージョンも、2004年頃に気まぐれでカレールーをかけたら美味しかったことから、メニューにしようと試行錯誤。

こうしてできあがったのが、祖父母の代から受け継いだ焼豚の煮汁をベースに仕込んだカレーダレです。
▲厚切りの豚バラ肉をじっくりと煮込んで仕込む焼豚。この煮汁がカレーダレのもとになっている
▲煮込んだ焼豚をタレと絡みやすいように細かくカット。ここから再度煮込んでいく

使っている材料や製法は企業秘密とのことですが、甘みのある煮汁にスパイスがアクセントになって、お子さんにも好まれる味に仕上がっています。半分ほど食べたところでネギを足すと、目先が変わって最後まで飽きさせません。ちなみにネギとスープはお代わり無料です。
▲越智さん(右)と奥様のひとみさん

ユニークな「カレー玉子飯」を考案した越智さんは、現在、新たな「焼豚玉子飯」を構想中。「完成に近づいていますから、2019年の初夏には新メニューとしてお店で出したいですね」と話していました。新メニューの登場が待ち遠しい限りです。

「瀬戸内ちゃんぽん 菜めん」の焼豚玉子飯はまるで洋食!

▲可愛らしいイラストの看板が目印の「菜めん」

最後にもう1軒、変わり種の「焼豚玉子飯」をご紹介しましょう。訪ねたのは野菜たっぷりの「瀬戸内ちゃんぽん」が評判の「瀬戸内ちゃんぽん 菜(さい)めん」(以下、菜めん)。ヘルシーに麺料理を食べたいという女性に人気のお店です。
▲和食店のような外観のお店。JR伊予富田駅から徒歩約23分

この店の「焼豚玉子飯」は2種類。1つはみんなが良く知るオーソドックススタイルで、もう1つが「ふわ~りとろ~り玉子飯」という一皿です。目玉焼きではなく、ふわとろに仕上げたスクランブルエッグがのっており、さらにトマトソースがかかっています。
▲「菜めん」の「ふわ~りとろ~り玉子飯」(1人前・税込800円)

「半熟の目玉焼きが苦手」というお客さんがいたことから、この形を思いついたそう。玉子の甘さにトマトソースの酸味がよくマッチしており、その下にあるとろとろの焼豚やタレと絡みあうことで、いっそう美味しさが増します。焼豚は炙りで仕上げており、鼻孔をくすぐる香ばしさもアクセントになっています。
▲カウンターもあるので、おひとり様でも気兼ねなく足を運べる

麺類がメインのお店ですが、女性がひとりで気軽に行けるのも、「菜めん」の魅力です。ピカピカに磨き上げられたステンレスのカウンター席は、おひとり様にぴったり。一人旅の方も、ここでふわ~りとろ~りの味わいを堪能してくださいね。
今治市民いわく、今治の人はとてもせっかちなんだとか。「待つのはイヤだけど美味しいものを食べたい」という市民性が、スピーディに提供できる「焼豚玉子飯」を支えているのかもしれません。パパッと食べて時間を有効に使いたい旅行者にも、「焼豚玉子飯」はおすすめのメニューですよ。
阿部美岐子

阿部美岐子

四国の旅ライター&グルメライターとして、「四国旅マガジンGajA」や「マチボン」などの雑誌、企業広報誌などを手がけており、四国中を駆け回っている。著書に「サントリーバー露口 12ストーリーズ(青舟社)」。

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