赤べこ発祥の地・柳津へ。真っ赤で愛らしい福島県会津地方の民芸品を探す旅!

2019.07.13 更新

真っ赤で丸みを帯びた、赤い牛の張り子人形「赤べこ」。「べこ」とは東北の方言で「牛」のことで、赤べこは福島県会津地方の民芸品として親しまれています。この赤べこの発祥地として知られる柳津町(やないづまち)では、町のいたるところで赤べこの愛らしい姿を見ることができます。インスタ映え必至な“癒しキャラ”を探しに柳津町へ出かけてきました。

赤べこ発祥の町には、あちらこちらに赤べこが!

東京駅から東北新幹線で1時間20分ほどのJR郡山駅で下車し、西へ車で約40分。福島県西部に広がる会津地方の中心部に柳津町はあります。
▲「観光物産館 清柳苑」(道の駅 会津柳津)の駐車場に立つ大きなサイン。町のあちこちで赤べこが迎えてくれます

取材日はあいにくの雨模様。町中を流れる只見(ただみ)川は普段よりも水量を増していて、遠くの山々は雨に霞んでぼんやりと見えました。
▲只見川にはアーチ型の2本の赤い橋がかけられています(写真奥は瑞光寺橋)

町のシンボルは「圓藏寺(えんぞうじ)」。茨城県の村松山日高寺(むらまつさんひだかでら)に祀られている「大満虚空蔵菩薩(だいまんこくうぞうぼさつ)」、千葉県の千光山清澄寺(せんこうざんせいちょうじ)に祀られている「能満虚空蔵菩薩(のうまんこくうぞうぼさつ)」と共に、日本三体虚空藏の一つに数えられる「福満虚空藏菩薩(ふくまんこくうぞうぼさつ)」を祀っています。そしてこのお寺こそが、赤べこ発祥の伝説が残る場所です。
▲瑞光寺橋そばの「きよひめ公園」から眺める圓藏寺

その伝説は約1200年前に遡ります。圓藏寺は、奈良時代から平安時代にかけて活動していた徳一(とくいつ)大師によって建立されました。しかし、1611(慶長16)年に東北地方を襲った慶長三陸地震によって寺が倒壊。その後、6度の建て替えを経て現在の場所へ7度目のお堂が建てられることになりました。
▲旧道から真上に圓藏寺を眺めて。手前にあるのは「大日如来」を祀ったお堂

しかし、建てる場所は崖の上。只見川を利用して運ばれてきた木材を上まで運搬するのに、人々は苦労していました。そこへ現われたのが、赤毛の牛たち。この赤い牛たちが運搬を手伝ったことで見事お堂は完成し、このことは「赤べこ伝説」として伝えられることとなりました。さらに、慰労を込めて境内に「撫牛(なでうし)」が建立され、会津の人たちの心の拠り所として守り続けられてきたのです。
▲表情がそれぞれ違う、民芸品の赤べこたち。会津の人にとって、福を呼ぶお守りとしてなくてはならない存在

「赤べこ発祥の地である柳津町では、町のいたるところでその姿を見ることができるんです」と話すのは、観光ボランティアガイド協会会長の武田幹雄(みきお)さん。そこで武田さんのご案内のもと、赤べこ探しに出かけることにしました。
▲柳津町の歴史のことならどんなことでも答えてくれる武田さん

町中には、「福太郎」(お父さん)、「満子」(お母さん)、「もうくん」「あいちゃん」(子ども達)と名付けられた赤べこファミリーの大きなモニュメントが点在しています。まずは赤べこ発祥の地とモニュメントの2ショットを狙うべく、圓藏寺を望む「きよひめ公園」へ。
▲「きよひめ公園」の駐車場で、圓藏寺と柳津橋をバックにパチリ。これはお父さんの「福太郎」。首がゆらゆら動いて可愛い!
▲圓藏寺境内では、お母さん赤べこの「満子」を見ることもできますよ(写真は「福太郎」)

オブジェ以外にも、町の中には赤べこをイメージしたものが点在しています。
▲いたるところに設置されているフラワースタンドも赤べこ
▲清柳苑の入口にあった自販機も赤べこバージョン!左隣りには子どもの赤べこ「あいちゃん」が

「赤べこをモチーフにしたものを各所で見ることができるので、楽しみながら散策していただけます。赤べこ以外にも、この町には赤色が印象的なスポットがたくさんあります。橋もその一つ」と武田さん。
▲武田さんに、赤べこがデザインされた法被を貸していただいてパチリ

4体の赤べこスポットを案内してくれた武田さんとは「きよひめ公園」でお別れ。門前町の落ち着きとどこか懐かしい町並み、そして愛くるしい「赤べこ」たちに癒されたひとときでした。

ちなみに、今回は特別なコースを案内していただきましたが、観光ボランティアガイド協会が通常提供する散策コースは「柳津の散歩道」「歴史の散歩道」「食べ歩きの散歩道」の3種類(いずれも所要時間は約55分)。コンパクトな町なので、負担なく散策できますよ。

赤べこの絵付けに挑戦してみよう!

武田さんに「柳津ならではの体験ができる場所がある」と聞いて、「憩いの館 ほっとinやないづ」に行ってみることにしました。ここは会津地方の特産物が揃う物販コーナーや食堂、さらに無料で利用できる足湯(内湯・露天)などを備え、観光客も多く訪れる観光施設。
▲入口では子どもの赤べこ「もうくん」がお出迎え

赤べこ絵付け体験をはじめ、餅米と粟(あわ)を原料とした柳津銘菓「あわまんじゅうづくり体験」や「ピザづくり体験」など様々な体験を楽しめます。旅の思い出に、さっそく赤べこの絵付けにチャレンジしてみることにしました。
▲個性的な赤べこたち。「描く人によって、こんなに表情が違うんですね」

絵付けは、館内の専用スペースで体験できます(体験料800円・税込)。用意されているのは赤く塗られた無地の赤べこと、白、黒、黄の3色のアクリル絵の具。大きな見本用の赤べこを傍に置き、「好きなように描いてください」とスタッフの白井文子(ふみこ)さん。「え?もう描いちゃっていいんですか?(笑)」。うまく描けるのか、少し不安になりながら絵付けスタート!
▲はじめは、先の細い筆で恐る恐る…
▲揺れる首を抑えながら絵の具を重ねていきます
▲目と口の大きさやバランスに苦戦。「亀みたいな顔になっちゃう(笑)」
▲「ハートがアクセントの赤べこが完成しました~!」

赤べこは30分ほどで完成。こだわって絵付けしても1時間ほどで完成します。赤べこの模様そのものは単純なので、子どもから大人まで絵付けを楽しむことができますよ。

赤べこは専用の箱に入れてお持ち帰りできるので、絵の具が乾くまで館内をめぐってみましょう。物販コーナーには、お菓子や小物など、お土産に喜ばれそうな赤べこグッズがたくさん並んでいます。
▲赤べこをかたどったクッキーでチョコレートをサンドした「あかべっこりん」(24個入1,000円・税込)の他、さまざまな赤べこ商品が並んでいます
▲赤べこの形をした革製の小銭入れも(540円・税込)

さらに、この施設では赤べこをモチーフにした可愛いグルメをいただくこともできます。それが「赤べこカレー」。辛味の少ないカレーの真ん中には、ベーコンを入れてケチャップ味に仕上げた赤べこライスがドーンと。愛嬌のある目は薄切りにしたらっきょう漬けと海苔で表現しています。その可愛らしさに、つい笑みがこぼれてしまいます。
▲子どもにも人気の「赤べこカレー」(850円・税込)

旅の楽しみは旅先でしか味わえない体験をしたり、ご当地グルメに舌鼓を打ったりすること。「憩いの館 ほっとinやないづ」は、その両方が楽しめる施設でした。

散策の途中で寄ってみたいパン屋さん

さらに町中を散策。圓藏寺の仁王門から南に100mほど歩いたところで、赤い看板が掲げられたパン屋さんを見つけました。

「ぱん工房 あかべこ」という店名に誘われて入っていくと、赤べこの焼印を押したパンやお菓子など、アイデアに富んだ商品が所狭しと並んでいます。
▲国産バターを使った、添加物を使用していない体に優しいパンの数々。耳までやらわかい食パンにも赤べこの焼き印が。1斤320円、1本(2斤)600円(ともに税別)
▲帽子やTシャツなど、店員さんのユニフォームも赤べこ!
▲3色の「あかべこパン」(各180円・税別)

薄い赤色のパンの生地には、紅麹が練り込まれています。中には自家製のミルククリーム&チーズがたっぷり。一方の白いパンの中には、クリーム(写真右)とチョコレートクリーム(写真左)がそれぞれ入っています。ふわふわの生地と優しい甘さのクリームが相性抜群!
▲生地の中に入っているミルククリームは「べこ」をイメージしたもの

こちらの店ではパンの他に、最中などのお菓子も販売しています。
▲赤べこの形をした「あかべこ最中」はお土産にぴったりです(1個160円・税別)
▲薄皮の最中の中には、はみ出してしまうほどたっぷりの自家製粒あんが!
▲地元のお店の人たちの温かさに触れるのも旅の楽しみの一つ

オープンテラスのカフェスペースもあり、コーヒーなども提供しています(有料)。歩き疲れたら、パンを食べながらちょっとひと休みするのもいいですね。

赤べこ伝説を再現した地元のまつり

柳津町では毎年10月上旬の土曜に「会津やないづ赤べこまつり」を開催しています。見どころは巨大な丸太を5人1組で引き合う「赤べこ丸太引き選手権」。興味がある人は、お祭りの日にあわせて柳津町を訪れてみるのも良いかもしれませんね。
▲赤べこ伝説を再現して丸太を引っ張る勇ましいお祭り
見て、食べて、体験して…。赤べこ伝説の残る町で、その愛らしさに触れることができました。近くには温泉もあるので、散策の後はゆっくりとお湯にひたる楽しみも。柳津町の赤べこたちが、首をゆらゆらしながら待ってますよ。

撮影:佐藤友美
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。オフィス マウマウワン代表。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

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