ジブリ作品に出てきそうな博物館「多治見市モザイクタイルミュージアム」が面白い!

2019.07.12 更新

岐阜県多治見市笠原町に2016年6月にオープンした「多治見市モザイクタイルミュージアム」は、その名の通り「モザイクタイル」をコンセプトにした博物館。外観がユニークなだけでなく、展示物にも趣向が凝らされ、タイルを使った工作体験などもできるので、老若男女に大人気です。今回はそんな「多治見市モザイクタイルミュージアム」の魅力を周辺のおすすめスポットとあわせてご紹介します!

▲切り立った山のような外観

まるでラピュタ!? 不思議な外観のモチーフは……

「多治見市モザイクタイルミュージアム」へのアクセスは、車なら中央道自動車道・多治見ICから約25分、または東海環状自動車道・土岐南多治見ICから約15分。電車ならJR多治見駅で下車し東鉄バス笠原線「東草口行き」または「羽根行き」で約17分です。
▲絵本に出てきそうな小道を歩いて入口へ向かいます

至って普通の町中に突然現れる「多治見市モザイクタイルミュージアム」は、とにかく外観が印象的。筆者は見た瞬間、テンションが一気に上がって、カメラマンの撮影指示を無視して入口に向かってしまいました……。ちなみにジブリ作品『天空の城ラピュタ』に出てくるラピュタ城に似ていると思ったのは筆者だけでしょうか?
▲いきなりかわいい入口!大きな建物に小さな入口というメルヘン感に、40代男子の筆者もココロわし掴みにされました!
▲外壁をよく見ると、茶碗などの陶器の破片やタイルが埋め込まれていてオシャレすぎ!

入る前からテンション上がりまくり!さらに入口の木の扉は開き戸でも引き戸でもなく自動ドア!アナログな見た目とのギャップに萌えます!
▲入館したら、まずは受付

「多治見市モザイクタイルミュージアム」は4階建てになっており、1・2階は無料、3・4階は観覧料(18歳以上1人300円・税込※高校生以下無料)が必要です。1・2階の無料エリアのみでも一旦受付してからの見学となります。

おすすめ見学コースを聞くと「まずは4階から!」ということで階段で上ります。

階段を上り始めるとすぐに2階フロアへの入口がありますが、一旦スルーしてさらに上ると……。
▲4階まで続く大階段。あえて暗くしてあるそうで、最上階から差し込む眩い光とのコントラストが美しい!

今回案内してくれたキュレーターの村山さんによると「この大階段は登り窯や洞穴をイメージして作られています。手前が広く、上に行くにつれて狭くなり、遠近法で長く見えるようになっているんですよ。土壁のように仕上げられた天井や壁も、あえて塗り跡を残してあります」とのこと。

トンネルのような大階段ですが、上ってみると意外に長くないので階段が苦手でも大丈夫!足が不自由な方のためのエレベーターもあります。

そして上りきると……。
▲真っ白なモザイクタイルと光あふれる展示室です(©Akitsugu Kojima/写真提供:多治見市モザイクタイルミュージアム)
▲最初に目に入る「タイル・カーテン」

「タイル・カーテンは、モザイクタイルミュージアムを設計&デザインした建築家の藤森照信(てるのぶ)先生のアイデアで作られたタイルの新しい見せ方です」と村山さん。
見ての通り「タイル・カーテン」の上には大きな穴があり、遮るガラスもなし!タイルは水に強いので、雨が降っても大丈夫だそうです。さらにタイルにお触りもOK。天井に穴が開いた構造を見て、個人的に瀬戸内海にある「豊島(てしま)美術館」を思い出しました。
遠目にはタイルが蜘蛛の巣に付いた水滴のようにも見えましたが、間近で見ると大きさも色も形も違うタイルがワイヤーに貼り付けられています。
▲部屋の中央には竹のようなタイルアートが!

周りを見渡すと、天井も壁も床も全てタイル張り。さらに、白い額縁のようになっている中に様々なタイル作品が飾られています。ここでミュージアムの成り立ちや展示物、そしてモザイクタイルについて村山さんに聞きました。
▲筆者と村山さんの後ろのタイルは、多治見市のご近所・瑞浪(みずなみ)市の銭湯で使われていたもの

「大正時代に始まったタイル産業は、笠原町を拠点として戦後に盛んになりました。ただ、タイルでできた壁や床などは建物が壊されると一緒に捨てられていたんです。そこで1995(平成7)年頃から、自分たちの仕事に誇りと愛着を持っていた当時の町の有志が、廃棄されるタイルの収集を始めたんです」と村山さん。
▲タイルだけでなく陶壁(とうへき)と呼ばれる装飾壁もありました。ちなみにマリリン・モンローは向かい側の壁にもあります!

「そのコレクションをもとに、藤森先生のご協力を得て、地元の産業文化を伝える場として開館したのが当ミュージアムです。4階には藤森先生が1万点を超えるコレクションから選定したものを配置しました。それぞれ年代や使われていた環境などが違うので、いろいろ想像しながら見て頂くと面白いと思います」(村山さん)
▲1935(昭和10)年頃に使われていた竃(かまど)。いまキャンプ場とかにあったら相当オシャレでしょうね

そもそもタイルとは、建築物の表面に使われる陶磁器製の薄片の名称として1922(大正11)年に定められた総称です。モザイクタイルは表面積が50平方センチメートル以下の小さな製品のことを示すそうです。
▲昭和30年代前後の流し台も10台並んでいて、いずれの模様もアンティークなセンスのよいデザイン!
▲俳優・原田大二郎氏と一緒に1999(平成11)年に制作されたというタイルアート

上写真にあるタイルアートの絵柄は、展示壁の向こう側に見える景色がモチーフとなっています。よく見ると右上の角が折れ曲がっていますが、この建物の形状に合わせているから。こんなことができるのはタイルならではなんだそう。

筆者がラピュタ城に似ていると思った外観についても聞いてみました。
▲横から見るとまさに登り窯のよう!屋根に見える煙突は、1階受付の斜め前にある暖炉に繋がっています

「外観は、タイルの原料となる粘土の採土場がモチーフです。多治見では山を削って粘土を採掘するので崖のようになり、山の上には松が生えているんです。それで当館の屋根にも松があるんです」(村山さん)

モザイクタイルの歴史を学べる3階

4階で写真を撮りまくり、多彩なモザイクタイルを眺めまくった後は、階段を下りて3階に移動。3階には、モザイクタイルの歴史や製造工程が展示され、どうして多治見市笠原町でモザイクタイルの生産が盛んなのかも説明されています。
▲戦後の笠原町のモザイクタイルの歴史がまとめられた年表。当時のモザイクタイルもあわせて並べられています

もともと多治見市笠原町を中心とするエリアには1300年を超える「美濃焼」の伝統があり、陶器のメーカーがタイルを作り始めた歴史があるそうです。また原料生産・成形・焼成・企画・販売まで各工程の分業体制が確立していたことでモザイクタイルが盛んに生産され、笠原町は長年モザイクタイル生産量全国No.1のシェアを誇っています。
▲タイルが西洋建築とともに幕末に輸入され始めた歴史や、タイルの種類の変遷も展示されています
▲仕上げの工程で使われる「貼り板」と呼ばれる木枠

貼り板にタイルを入れて振り、枠にはまったタイルを表にしていく作業は、いまでも人の手で行われているそうです。
▲釉薬をかけるための機械。当時はもちろん手作業だったんですね

3階の奥にはギャラリーがあり、定期的に特別展も開催されています。筆者が訪れた時は特別展「工場賛歌~成形編」が行われており(2019年9月1日まで開催)、タイルの成型方法にフォーカスしたなんともマニアックな展示でしたが、想像以上に面白かったです。工場見学等が好きな人にはおすすめです!
▲タイル成型のためのプレス機のミニチュア。実際に動かすことができます!

モザイクタイルのある生活を体験できる2階

歴史を学んだ後は、現代のタイルがたくさん展示されている2階へ!
多治見市笠原町のタイルメーカーの多種多様なタイルが並んでいるだけでなく……。
2019年4月のリニューアルで、タイルを使ったモデルルームが新設!浴室や洗面所以外に、ベッドルームやキッズルームなどもあり、壁紙とは違った印象になるタイルならではの雰囲気を感じられます。

インテリアデザイナーによる「タイル」なんでも相談会が毎週土曜の午後に開催(祝日の場合は休止)されているので、タイルを使った部屋のリフォームなどを考えている人はぜひ行ってみてください。商品のオーダーも受けているそうです。
▲“TILE BAR”と称した「ホビールーム」のモデルルーム

体験工房とショップで楽しめる1階

1階には体験工房があり、タイルを使った作品作りも楽しめます。筆者もやってみました。
作品作りはワンコイン(500円・税込)。9:00~16:00にできます。
▲作れるのは、ミニサイズのテーブルやイス、タオルハンガー、フォトフレーム、ボックスなど。曜日や時期により変わるそうです
▲スタッフから簡単に説明を受けたらスタート!筆者はフォトフレームにしました
▲まずは壁際に並んだモザイクタイルから使いたいものを選びます
▲四角形や丸形の他、ハート形、葉っぱ形、菱形など、色も形も大きさもたくさんあり、ハッキリ言って迷います!
▲使うモザイクタイルを選んだら、配置を決めて木工用ボンドで貼り付けていくだけなので簡単!

スタッフからは大体30分程度あれば完成すると言われましたが、筆者はいろいろと迷ってしまい30分以上かかりました……。
▲一旦貼り付け終了。はみ出したボンドをふき取って、乾燥させれば完成です!

ひとつ作ると次は違うデザインで作りたい!と思い、案外ハマります。筆者は子どもを連れて後日リピートしました。

体験の後は、おみやげを買いに隣のミュージアムショップへ!
体験工房で使ったモザイクタイルも買えます!カップにタイル詰め放題で500円・税別。購入できるタイルは体験時よりも種類が多いので、筆者はここでも迷ってしまいました。コースター用の木枠なども一緒に売っているのでおみやげに最適ですよ。
▲モザイクタイルを使ったかわいいアクセサリーも種類豊富です!

ユニークな外観から始まり、モザイクタイルの魅力を存分に感じられましたが、一番はとにかくタイルに触れることができ(3階の一部展示は触れられません)、写真も撮り放題(3階は企画の内容によって撮影できないものもあります)なのが個人的な推しポイントです。

4階の開放感も、3階の企画展も、1階の体験工房も、リピートする価値大です!
▲受付と体験工房の間にあるモザイクタイルで覆われた車も必見!当然ですが乗れません
▲モザイクタイルで書いてある文字が読めますか?いろんな図柄も隠れているのでぜひ現地で見てください!

町の中にもモザイクタイルがいっぱい!

村山さんに、ミュージアム以外にも笠原町内にはモザイクタイルがたくさんあると聞き、町を散策することにしました。まずはミュージアム前の笠原中央公民館1階にある「カフェ ド ソレイユ」に行ってみます。
▲店内全てタイル貼り!約15万枚のモザイクタイルが使われているそうで、細かいところまで見るとかなりかわいい!
▲オープンテラス席もあり、テーブルもモザイクタイル!

あんこクロワッサン(280円・税込)とアイスコーヒー(400円・税込)でミュージアムを眺めながら休憩タイムを楽しみました。
次はミュージアムから徒歩約3分の和菓子店「御菓子司 陶勝軒(とうしょうけん)」。モザイクタイルミュージアム開館記念の生菓子があると村山さんから聞いたので期待して向かいました。
▲一見すると普通の和菓子店のようですが……
▲店頭にモザイクタイルの看板やベンチ、フォトフレームが!
▲店内に入るとモザイクタイルをテーマにしたお菓子コーナーもありました!

「たべられるモザイクタイル」というキャッチコピーの付いたクッキー(個包装タイプ400円・税別)、こはく糖(370円・税別)、おまんじゅう(1個180円・税別)、生菓子(160円・税別)などが売っています。
筆者お目当ての生菓子は、この日は売り切れ!ということで、代わりにおまんじゅうを食べてみました。
おまんじゅうは見た目がシックな色のモザイクタイル風で、甘さ控えめのキャラメルあんにアーモンドが香る上品な味。タイルの目地をイメージした溝で割って遊んでもOK。3週間日持ちするのでおみやげに最適!
▲後日再訪し、取材日に売り切れだった生菓子のモザイクタイル開館記念菓「彩り」(160円・税別)をゲット!カラフルな練りきりに包まれた濃いめの黒糖あんは、和菓子好きなら要チェック!

見るからにかわいくて売り切れるのも納得の「彩り」は、日によって作る数が変わるそうなので、必ず購入したい場合は事前に予約をするのがベストです。
▲お店の横にある駐車場側の壁は、36種類の地元産タイルを使った「トリックアート」になっていて、インスタ映え必至のフォトスポット!

「陶勝軒」のおかみさんがとにかく親切で、マップをくれるだけでなく、町の各所に散らばるモザイクタイルスポットの説明もしてくれるなど至れり尽くせり。笠原町のモザイクタイルを堪能したいなら、ぜひ訪れるべきお店です。
「陶勝軒」のおかみさんから情報を得て、歩くこと約5分。向かったのは「三千盛(みちさかり)」という、日本で唯一辛口の日本酒だけを作っている酒蔵です。
▲醸造蔵の下の方が大きなタイルのように見える「なまこ壁」になっていて見応えがあります

「なまこ壁」は一般的に瓦を使って作られますが、ここの「なまこ壁」は美濃焼の陶板(とうばん)で出来ています。陶板は陶器の板のことで、タイルの一種です。
▲蔵の反対側にある店舗で販売もしています

100円・税込でお猪口一杯分の試飲ができるということで、酒好きの筆者は当然飲みます!
おかみさんと話しながら、岐阜県内限定販売の「まる尾」と三千盛の個性である辛口を突き詰めたという「小仕込純米」の2本を頂くことに。どちらも爽やかで旨みも香りも主張しすぎず、和食にも洋食にも合いそうなスッキリとした後味でした。もちろん筆者はおみやげにしました。

ゴミ捨て場すらもタイルアート!?

さてこの後は、ほろ酔い気分で散歩がてらモザイクタイルのアート巡り。
まず笠原町のゴミステーションにはモザイクタイルで装飾されているものがあると聞き、いくつか廻ってみます。
▲「つる」。ミュージアムから陶勝軒の前を通り過ぎ、徒歩約3分

ゴミステーションのタイル装飾の多くは、笠原の女性を中心としたボランティアグループ「モザイクプリンセス」が手がけているそうです。
▲「つる」からさらに歩くこと約3分。十二単を着た「かぐや姫」です

他にも、多治見のゆるキャラ「うながっぱ」や「かいじゅう」「バレリーナ」「きんぎょ」など20以上もあります。さらに、ゴミステーション以外にもありました!
▲遠目では分かりづらいですが……
▲近づくと家の塀が「鳥獣戯画」の連作になっています!これは見応えがありました

最後はまだ出来たてほやほやという「神戸(ごうど)・栄記念公園」のモザイクタイル。神戸・栄記念公園は、ミュージアムの臨時駐車場の隣です。
▲筆者のようなおっさんより子どもや女子の方が似合うと思いますが、ティンカーベル気分になれるベンチです!ベンチ以外にもタイルアートがあるのでぜひ見に行ってみてください!

「多治見市モザイクタイルミュージアム」と笠原町のモザイクタイルはいかがでしたでしょうか?紹介しきれなかったタイルアートや神社、公園、カフェ、ショップなどが小ぢんまりとした街の中に点在しています。町のあちこちにMAPも配布されているので、ミュージアムだけではなく町歩きも楽しんで下さいね。
▲ミュージアムから徒歩5分ほどの丘の上にある「陶ヶ丘(すえがおか)公園」の展望台からの景色
澤井敏夫

澤井敏夫

愛知県・清須市在住のライター。情報誌の編集制作、音楽事務所でのマネジメント業務を経て独立。読書と落語鑑賞とヨガが趣味。

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