リニューアルした「福岡市美術館」が魅力的すぎる!感じて楽しむアート空間へ

2019.06.03 更新

福岡県福岡市内の中心地、緑豊かな大濠(おおほり)公園の敷地内にある「福岡市美術館」。1979(昭和54)年に誕生し、魅力的な作品や様々な催事で楽しませてくれた美術館は2019(平成31)年3月に2年半の休館を経てリニューアルオープン。一体どこが新しくなったの?どこが見どころ?楽しむべきリニューアルのポイントをお教えします!

早速リニューアルしたばかりの福岡市美術館へ

福岡育ちの方であれば、何度も訪れたことがあるであろう福岡市美術館。かく言う筆者も子どもの頃からとってもお世話になっている場所です。リニューアル後初めて訪れたのですが……。ん?外観を見る限りあまり変化がないような?
▲南口からの福岡市美術館。重厚なタイル造りは以前のまま

それもそのはず、開放的なエントランスを新設したものの外観はほぼ以前と同じ姿。ここ福岡市美術館は、日本を代表する近代建築家、前川國男(まえかわくにお)氏が設計しており、前川氏独特の建築意匠が随所に施されています。この意匠をしっかり継承しつつ、機能面をアップデートしたリニューアルをしているのです。

ゆえに、赤茶色の磁器質タイルによる外壁や広々としたエスプラナード、1階ロビーから2階へと続く階段など、建築の意匠を可能な限り継承しています。以前の姿を知っている人にとっては、親しんだ以前の姿が残されているのはちょっと嬉しいですよね。
▲2階のエスプラナード(広場、散策路)もそのまま

良いところは残しつつ、刷新された今回のリニューアル。実際に訪れて伝えたいポイントは5つです。

1.大濠公園側の入り口を新設
2.機能面の拡充とともに展示室の内装を区画ごとに変更し、雰囲気もチェンジ
3.ホテルメイドの味わい!レストラン&カフェ
4.センス抜群のミュージアムショップ
5.子どもが楽しめるキッズスペースも!

では、早速見に行ってみましょう。

新設された大濠公園側の入り口は、開放的なアプローチ広場を備えているので、公園利用客もふらりと立ち寄れる利便性も魅力。
▲新設された大濠公園側からの入り口

電車を利用した場合のアクセスは、福岡空港から市営地下鉄で約15分、博多駅から約10分の大濠公園駅(福岡市美術館口)で下車。徒歩10分ほどの場所にあります。大濠公園も観光スポットになっているので、美術館巡りと併せて楽しむのもいいですね。
▲カフェもあるので、ふらりと立ち寄れます

あの有名作品が目の前に!展示室の色や素材で空間に表情が

リニューアルした福岡市美術館は、1階が古美術のコレクション展示室やミュージアムホール、2階が近現代のコレクション展示室や特別展示室、ギャラリーなどで構成されています。今まで全室が同じ内装だった2階の「近現代美術室」は、多様な作品を観賞できるA・B・Cの3タイプに。グレーを基調としたAは、落ち着いた雰囲気で油彩画や日本画を観賞できます。
▲近現代美術室Aでの展示。取材時は、サルバドール・ダリ《ポルト・リガトの聖母》(写真右)を鑑賞できました

メッシュの黒い天井で空間に奥行きができたBは、新しい表現方法や斬新な現代美術作品を展示するのに適しているそう。

そして、真っ白の空間で宇宙的な広がりを感じさせるCは、大型の絵画や彫刻作品を最適な環境で鑑賞できます。
▲照明のLED化、透過性の高い展示ケースの採用などにより、国内最高水準の展示環境を実現

「美術鑑賞=なんだか小難しい」という懸念を一瞬で吹き飛ばすようなユニークな仕掛けもたくさん。そのうちの一つがこれ。
▲バスキアの作品横に掲示されていた学芸員さんのコメント

いくつかの所蔵品には、通常の作品紹介に加えて館長(!)や学芸員さんの似顔絵入り作品紹介が。これが本当に独自の視点で面白い!「こんな見方もあるんだ~」「へぇ!そうなの?」「わかるわかる!」など、どんな感想を持つかはアナタ次第。ぜひ注目してみてくださいね。
▲取材時、近現代美術室Cには大型彫刻作品も展示されていました。写真手前の戸谷 成雄《森VIII》は、複数並ぶ作品の間に入って鑑賞ができ、質感や刻まれた細かな細工まで楽しめます

作品の中には、リアルに見ているからこそ感じる、写真では伝わらない迫力と感動に衝撃を受けたものが多々ありました。視点によって表情が変わる、生々しい質感、空間の広がり……、実際に行かないとわからない感覚。個人的にはこんな生きた作品たちが多数展示されているように感じました。
▲アンディ・ウォーホル《エルヴィス》(写真右から2番目)、ジャン=ミシェル・バスキア《無題》(写真左から3番目)も間近に鑑賞できました!なんたるシアワセ

今回特別に写真撮影させていただいた作品は、すべて福岡市美術館の所蔵品。所蔵品の展示と言うと「いつ行っても同じ」と考えてしまいがちですが、実は数ヶ月に1度は展示替えをおこなっているそう。福岡市美術館には約16,000点もの所蔵品があるので、コレクション展でどんな作品が観賞できるかは当日のお楽しみにしてくださいね。

重要文化財も多数!ええ?撮影OKなんですか?

そして1階には「コレクション展示室古美術」があります。ココ、ちょっと凄いですよ。なんと撮影可!なんです。
▲このマークがあります。前述の通り展示内容は数ケ月に一度変更されますが、取材時は撮影OKでした

中に入れば、まるで寺院にいるかのようなピンと張りつめた空気に。その理由は……
ココ!!すごい、荘厳です!!
こちらは、旧福岡藩主黒田家の菩提寺のひとつ、東光院(福岡市博多区吉塚)の所蔵作品であった重要文化財を含む仏像を展示した「東光院仏教美術室」。寺院の山門をイメージして設計されており、両側には金剛力士像が鎮座しています。
そして展示室中央には重要文化財《薬師如来立像》、そのまわりを《十二神将立像》がぐるりと囲んでいます。
▲《十二神将立像》の頭上には、十二支の動物が

つまり、重要文化財の仏像群を360度から観賞できるということ。くどいようですがコレが撮影OK!(フラッシュ使用はNG)もうカシャカシャ撮影しましたよ、もちろん。SNSへの投稿もOKなので、自撮り写真も良いかもしれませんね。
▲こんな勇壮な《金剛力士立像(吽形)》を、触れるほどの距離で見られるなんて!

「東光院仏教美術室」の隣には「企画展示室」「松永記念館室」があります。取材時の企画展示室には、ゆる~い脱力系の絵がいい味出してる仙厓義梵(せんがいぎぼん)和尚による作品が並んでいました。仙厓義梵の作品はオリジナル商品としてショップで販売もしていますよ。
▲これぞヘタウマの元祖?思わずふふっと笑ってしまいます

鑑賞スペースだけじゃありません。2階のロビーには、「美術情報コーナー」も新設されています。約16,000点に及ぶ所蔵品を検索できるパソコンが設置されており、また美術全集、雑誌など約1,000冊の書籍を自由に読むことができます。
▲読書も自由にできるチェアも

が、何といっても注目すべきはコレ!
▲「みどころルーペ」はタッチパネルだから操作も簡単!

このタッチパネルは同じく美術情報コーナーに新設された「みどころルーペ」という作品の細部や技法を観察するシステム。パネル上で作品をタッチすると、拡大され、その部分の説明や見どころが文字で表示されるという優れモノ!あまりに楽しくて、色々タッチしてしまいました。
美術情報コーナーの近くにはリニューアルされたキッズスペースも!所蔵作品をもとにしたオブジェはマグネット付きで壁に貼って遊べます。授乳室や男性も入室できる「赤ちゃんの休憩室」もあり、小さなお子さん連れにも優しい!

ホテルメイドの味が美術館で!レストラン&カフェの料理が美味しい

そして、こちらも嬉しいリニューアルポイント!レストラン&カフェが「ホテルニューオータニ博多」の直営に。美術館にいながらホテルの味わいを楽しめるってワケです。

ラテン語で桜を意味する2階のレストラン「プルヌス」では、オムライスやビーフカレーなどホテルニューオータニ博多特製の看板メニューがズラリ。
▲レストラン「プルヌス」。奥の窓からは大濠公園が一望できます
▲デミグラスソースたっぷりの「クラシックオムライス」(1,404円)
▲ホテルでもファンの多い逸品「ホテル特製ビーフカレー」(1,512円)
▲11:00~15:00のランチタイム限定で食べられる「シェフおすすめパスタセット(サラダ・コーヒー付)」(1,620円)
▲「松花堂弁当」(2,160円)は、年配の方にも人気

そのほか、取材時は「特別展メニュー」も提供されていました。リニューアルオープン記念展「これがわたしたちのコレクション+インカ・ショニバレCBE:Flower Power」(現在は終了)が開催中は、サルバトール・ダリの作品も展示されたことから「特別展メニュー」はダリの生まれ育ったスペインにちなんだコース料理でした。
▲「特別展メニュー」は3,240円。ダリの生まれ育ったスペインコースはメインの豚肉グリルと前菜、スープ、パン、デザート、コーヒー付き(現在は終了、特別展の内容により季節のコース等に変更の場合あり)
1階のカフェは大濠公園に面して立つ、カフェ「アクアム」。ラテン語で水を意味する店名通り、大濠公園の池を眼前に臨む絶好のロケーションです。
▲日の光が入る明るい店内

カフェでもホテルメイドの軽食やスイーツなどが揃います。美術鑑賞に来た人はもちろんですが、大濠公園の散歩やジョギング途中にふらりと立ち寄る方も多いそう。テイクアウトメニューが多いので、公園のベンチや芝生などでピクニック気分を味わうのもおすすめですよ。
オリジナル商品の一つ、「バナナ・ばなな・バナナ」(648円)はSNS映えもしそうなカラフルさ。バナナアイス、ラズベリーソース、マンゴーソース、フレッシュバナナなどがぎっしり!の幸せスイーツです。
筆者がもう一つオーダーしたのは、「自慢のカツサンドウィッチ」(756円)と「季節のフレッシュジュース」(648円)。カツサンドのカツの分厚さと言ったら!味の満足度はもちろんですが、食べ応えも十分です。
取材時の季節のフレッシュジュースはイチゴ。生のイチゴをそのまま食べているかのようなフレッシュな味わい!夏はマンゴーなどで企画中だそう。季節替わりなのでこちらも楽しみですね。
▲晴れた日はテラス席も用意。こんな気持ちが良いカフェタイム、素敵です
▲こちらもオリジナルの「大濠シュー」(432円)。福岡県八女茶のムースと生クリームたっぷりですが、抹茶の苦みも味わえる大人の味!男性もペロリの商品だそう

おしゃれな友人へのお土産にも最適。素敵デザイン&遊び心満載のショップに

正直、美術館のショップって……と期待していなかったのですが、リニューアルに際しここまで素敵になったのか!と個人的に一番驚いたのはショップでした。
とにかくデザイン性が高い!セレクトショップにしか置いていない作家さんの商品なども並んでいます。「えぇ!美術館に?」と思ってしまうような品揃えですよ。

どれもおすすめしたくなっちゃうところですが、福岡市美術館オリジナルの商品をいくつかピックアップしてご紹介。

一番人気の商品はこちら!
なんともとぼけた表情がキュートな2体の「福かぶり猫」(各4,212円)。博多人形師・小副川(おそえがわ)太郎氏が手がけた作品です。福岡市美術館オリジナルとして、前述した仙厓の《虎図》とレオナール・フジタの作品に描かれた猫をモチーフにしたモノ。すぐ紙袋などに潜り込んじゃう、可愛らしい猫のしぐさが表現されています。可愛い!
もう一つ、ショップには可愛いキャラクターが!こちら「こぶうしくんボールチェーンマスコット」(1体864円)です。モチーフとなったのはパキスタンで出土された紀元前2000年頃の《コブウシ形土製品》で、こちらも福岡市美術館のコレクション。コレクション展でお目にかかれるかもしれませんよ。

他にも、クスっと笑ってしまうようユニークなデコレーションテープや付箋、ボールペン、マグネットなども多数。日常で使用すると、ちょっと元気が出そうですよね。
▲仙厓義梵、十二神将立像、ジョアン・ミロ、アンリ・マティスの「デコレーションテープ」は各540円。ジョアン・ミロのテープは、絵柄を合わせると一枚の絵になるような工夫も
▲「仙厓のふきだし付箋」「菩薩半跏思惟像(ぼさつはんかしいぞう)の考える付箋」は各540円で4柄あり
▲フランク・ステラ《バズラ門II》(分度器シリーズ)の「ダイカットノート」(648円)

館内の鑑賞だけにあらず!外にも作品が点在しています

さて、館内の見どころ紹介は以上ですが、「福岡市美術館」の見どころはもう一つ。それは屋外に設置された作品たち。これもリニューアル前から変わらない部分。
▲草間彌生の《南瓜》も健在

屋外彫刻作品がエスプラナードや中庭など建物の外にもあるので、気軽に芸術に触れることができます。取材時には、お散歩に訪れた1~2歳くらいの子どもが、お母さんと《南瓜》で「いないいないばぁ」をして遊んでいました。こんなに日常に溶け込んだ芸術作品、ちょっと素敵だと思いませんか。
▲国体道路側の福岡市美術館の入り口(南口)にも、ジャンプするウサギの彫刻バリー・フラナガン《三日月と鐘の上を跳ぶ野うさぎ》が

その他ギャラリーツアーやワークショップなどのイベントも多数企画。詳細は美術館の公式ホームページで告知・募集しているのでチェックしてみてください!
▲ボランティアによるギャラリーツアーは参加費無料で、毎日開催

いかがでしたか?福岡市美術館の見どころを紹介してきましたが、作品鑑賞だけじゃない楽しみ方もたくさんあり、筆者自身も目からウロコでした。昔からの姿を知っている人には“懐かしさ”も、そして“新しさ”も感じられると思います。カップル、友達、小さな子ども連れファミリー、あらゆる人が美術を体感できる、色んな側面を持つ美術館に進化しています。ぜひお出かけして体感してみてくださいね。
※本記事で紹介している料金はすべて税込です(2019年6月現在)
桑野智恵

桑野智恵

フリーの雑誌ディレクター/ライター。福岡生まれ、福岡育ちの博多女。3つの出版社を渡り歩き、雑誌編集歴20年弱。食育アドバイザー、フルーツ&ベジタブルアドバイザー。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP