佐賀・武雄市の「御船山楽園」で、自然とテクノロジーが融合した幻想美に圧倒される
佐賀県武雄市にお殿様が作った壮大な庭園があるのをご存知ですか?その名は「御船山楽園(みふねやまらくえん)」。春の桜に始まり、つつじ、藤、紅葉、雪景色……さらには、プロジェクションマッピングも楽しめ、いつ訪れても信じられないような景色が楽しめる景勝地です。そんな「御船山楽園」の四季折々の絶景をご紹介します。

鍋島茂義公が約3年かけて造った「御船山楽園」とは?

茂義公は、幕府の御用絵師であった狩野派の絵師をわざわざ京都から呼び寄せ、思い描いた庭園のイメージを細かく伝えて現在でいう設計図を作らせています。鍋島家別邸の庭園として完成し、「萩の尾園」と呼ばれていましたが、明治時代には一般開放され、武雄の人々に親しまれている現在の「御船山楽園」に至ります。

とにかく絶景!とSNSで多数アップされている、そんな「御船山楽園」へ実際に行ってきました!
池の周りをぐるりと散策。どこも写真映えする景色ばかり
「御船山楽園」は通年、季節ごとの草花が楽しめるため、見ごろに応じた催しがあります。取材日は5月中旬だったので「さかさもみじと皐月」が開催されていました。

順路に沿って、池の周りを歩いていきます。新緑の瑞々しい時季だったので、爽やかな気分!

奥に進めばおよそ樹齢300年の大楠が!写真で見ると存在感ありますが、庭園自体のスケールが大きく、またほかにも見ごたえのある場所も多いので実際には森の一部に迷い込んだような感覚。

さらに奥に進めば、つつじ谷や桜を一望できる花見台や五百羅漢(ごひゃくらかん)もあります。五百羅漢は約1300年前に行基(ぎょうき)がこの地を訪れ、羅漢像500体を彫り、洞窟に安置したと伝えられています。

順路を進むと茶屋も。この茅葺屋根の「萩野尾御茶屋(はぎのおおちゃや)」は、御船山楽園の造園時からあるそう。ということは、築170年以上!!

「花まつり」期間中(3月中旬~5月初旬)と「紅葉まつり」期間中(11月上旬~12月上旬)は一般開放され、昼は「粉茶と串団子のセット」、夜は「粉茶とぜんざいのセット」(各500円)を販売、こちらでいただくこともできますよ。


桜の時季、紅葉の時季の茶屋はまた格別!昼も夜も風流がありますよ。


また、花まつりと紅葉まつりの時季の「萩野尾御茶屋」は、22:00以降は「茶屋バー」に変身!こちらは敷地内にある宿泊施設「御船山楽園ホテル」と「御宿 竹林亭」に宿泊している方だけが利用できる贅沢なバー。夜もじっくり楽しみたいなら、宿泊してライトアップを観賞してバーでお酒を味わう……なんて素敵ですね!

ゆっくり回って1時間弱くらいでしょうか。花まつりや紅葉まつりなどの人気の時季は人が多いため、時間に余裕をもって観賞するのがおすすめです。

取材日は「さかさもみじと皐月」(5月初旬~6月初旬)の時季でしたが、他の時季に訪れれば、また違った御船山楽園の姿を楽しむことができ、催しごとに異なった絶景が広がります。ライトアップの有無に応じて営業時間も異なるので、事前にチェックしておくことをおすすめします。
「御船山楽園」は1年を通して見頃の草花が楽しめる様々なイベントが行われています。いつ来ても何かしらのイベントが行われており、四季折々の景色が楽しめる……そんな各イベントと見どころを紹介します!
3月中旬~4月中旬「花まつり―桜」約2,000本の桜が山裾を覆う


さらに特筆すべきはライトアップされた姿!光を受けてピンクの桜が白く輝き、水面に映し出される様子は幽玄的な美しさです。
花まつり―桜
[開催時期]例年3月中旬~4月中旬
[開園時間] 8:00~18:30、18:30~22:00
[入園料(昼夜共通)]中学生以上600円、小学生250円
[休園日]なし
0954-23-3131
4月中旬~5月初旬「花まつり―つつじ、大藤、春もみじ」つつじの圧倒的な迫力と多様な花が魅せる春


御船山楽園には、前述した通り眼下に花々を眺められる地上約30mの花見台があります。散策路の奥にあるので、ぜひ花見台からのつつじの姿もお楽しみくださいね。

そして、この時季はつつじだけではありません。「萩野尾御茶屋」枠の藤棚に推定樹齢170年以上の大藤が薄紫のトンネルを作り出します。この時季は生命力にあふれた輝くような若葉も魅力。秋の紅葉になぞらえ、春もみじとも呼ばれるそう。つつじ、大藤、若葉(春もみじ)……一度に楽しめるこの時季は特に多くの人で賑わっています。

そして、桜の時季同様に夜のライトアップも楽しめます。桜と違い、つつじは色とりどりで、また違った美しさ。


藤棚の夜の姿も、また凛とした印象で格別です。ちょっと高貴な気分になれちゃいますね。


花まつり―つつじ、大藤、春もみじ
[開催時期]例年4月中旬~5月初旬
[開園時間] 8:00~18:30、18:30~22:00
[入園料(昼夜共通)]中学生以上700円、小学生300円
[休園日]なし
0954-23-3131
しっとりとした和風情も素敵。皐月や紫陽花を楽しむ初夏

さかさもみじと皐月
[開催時期]例年5月初旬~6月初旬
[開園時間] 8:00~17:00※繁忙日、イベント開催日等、開園時間を延長する場合あり
[入園料]大人400円、小学生200円
[休園日]なし
0954-23-3131

雨のさかさもみじと紫陽花
[開催時期]例年6月初旬~7月中旬
[開園時間] 8:00~17:00
[入園料]中学生以上400円、小学生200円
[休園日]なし
0954-23-3131
7月中旬~11月上旬。自然と光の壮大なプロジェクションマッピング「チームラボ かみさまがすまう森」

そして夏。2016年から開催している催しで、チームラボが制作した作品「かみさまがすまう森」は、いま武雄でも風物詩になりつつあります。50万坪におよぶ御船山楽園の自然を舞台に光や映像により新しい姿を生み出した光の物語です。

樹齢300年以上の大楠、名僧行基が掘ったとされる五百羅漢、巨石や洞窟など、庭園内に作りだされた光のアートに、誰もが圧倒されるはず!






チームラボかみさまがすまう森
[開催時期]例年7月中旬~11月上旬(2019年は7月12日~11月4日)
[2019年の開催時間]
7月12日~9月12日 第二入園門18:30~22:30、第一入園門19:30~22:30
9月13日~10月11日 第二入園門17:30~22:30、第一入園門18:30~22:30
10月12日~11月4日 第二入園門16:30~22:30、第一入園門17:30~22:30※昼も開園
[入園料]大人1,200円(土日祝および8月13~16日は1,400円)、中高生800円、小学生600円、未就学児無料
[休園日]なし
0954-23-3131

水月と虫の音
[開催時期]例年10月下旬~11月上旬
[開催時間]8:00~17:00
[入園料]中学生以上400円、小学生200円
[休園日]なし
0954-23-3131
11月上旬~12月上旬「紅葉まつり」15万坪の庭園が秋色に染まる

そして、つつじと並ぶ御船山楽園の見どころ、紅葉の時季を迎えます。
日本経済新聞の「何でもランキング:専門家が選ぶ昼も夜も紅葉を楽しめる庭園 東西10選」(2016年発表)に西日本で2位、全国でも3位にランクインしています。

庭園に広がる赤、黄色、橙の紅葉は、見事の一言に尽きます。樹齢170年以上の大モミジやつつじ谷など、15万坪の庭園敷地内のどこをとっても秋の色に染まり、感動の景色をじっと眺めていたくなりますよ。

そして、紅葉の時季もライトアップが。漆黒の闇に浮かび上がる鮮やかな紅葉は得も言われぬ幻想的な美しさです。


紅葉まつり
[開催時期]例年11月上旬~12月上旬
[開催時間]8:00~17:30、17:30~22:00
[入園料](昼夜共通)中学生以上900円、小学生400円(昼または夜)中学生以上600円、小学生300円
[休園日]なし
0954-23-3131



冬枯れと、たまに雪景色
[開催時期]例年12月中旬~3月中旬
[開催時間]8:00~17:00
[入園料]中学生以上400円、小学生200円
[休園日] なし
0954-23-3131
窓の景色と、滋味あふれるランチ。 「カジシナジーレストラン」で自然を体いっぱいで味わう

店内は、木をふんだんに取り入れた造り。窓が大きくとられており、御船山楽園の自然を間近に感じることができます。

店内に配された家具は、地元産の木材を使用した特注品。中央に置かれた大きなテーブル台は、旧武雄市役所の敷地内にあったクスノキを使用したもの。廃棄されるところを引き取り、テーブルに加工したのだとか。

ここは、“地域の相乗効果(シナジー)を目指すレストラン”をコンセプトに建てられた、店主・梶原さんの思いがたっぷり詰まったお店。美味しいのに、形が悪いというだけで食材が廃棄されることに疑問を感じていた梶原さんが、食材を無駄にすることなく美味しい料理を作り提供してくれるのです。

梶原さんは、食材を作る農家、畜産農家、漁師さんなどの生産者の方々に直接会い、一番美味しいものをキチンと選び、素材の味を引き出した料理へと昇華させます。だからこのレストランは、生産者と私たち消費者、そして地域が一体となる相乗効果(シナジー)を生み出す場なのですね。
そんな梶原さんが手掛けるランチは、味もさることながら見た目にも楽しい内容!
取材日にお願いしたのは、「若楠ポーク薪焼ランチ」(2,700円)。良質なタンパク質やビタミンB1が豊富に含まれている武雄のブランド豚「若楠ポーク」を味わえるメニューです。

若楠ポークは、桜と松の間伐材を使用した薪で約4時間かけてじっくりと火を入れていくのだそう。

この若楠ポーク、2cm弱はあるくらい分厚いんです!なんて贅沢な!そして口に入れるとびっくり。薪の炎で時間をかけて焼き上げた肉は、旨みがしっかり閉じ込められていて、とにかくジューシー。噛むほどにじゅわっと甘い脂と香ばしい肉の旨みが口に広がります。
添えられた野菜も、素材がしっかりと味わえる“生き生きとした野菜”ばかり。これらの野菜は、その時期にその姿で一番美味しいものを提供しているそう。例えば、取材日は咲いてあった花びらをあしらっていましたが、明日咲いていないなら違うものを、自然の形に応じて内容も変える、というふうに。

他の料理も、目からウロコの美味しさ。トマトのスープは、トマトをそのまま飲んでいるのではないかというくらいダイレクトに味が伝わります。


「せっかく美味しいのだから、形が悪くても美味しく料理しなくては。それが僕たちの仕事です」と食材について話す梶原さん。御船山楽園という、四季を十分に感じられる場所にあるのだから、今後ももっと自然と地域に寄り添ったレストランにしたいそう。

kaji synergy restaurant
佐賀県武雄市武雄町武雄4239-1(御船山楽園内)
[営業時間]11:30~14:00L.O.、18:00~20:30 L.O.
[定休日]月曜、第3日曜
0954-38-9007


一番人気は、武雄市の老舗和菓子店で作られるお煎餅「夢本陣」。梅としょうがの2つの味が楽しめますよ。しっかり梅としょうがの風味がして美味しいです!

四季折々、異なる表情を見せてくれる御船山楽園。それに加え、昼と夜とでも表情が違うので、本当に訪れるたびに新たな絶景に出合えるはずです。夜の幻想的な景色を愉しむなら、敷地内の宿泊施設を利用するのがおすすめですよ。さらに自然の景色と味も楽しめる素敵なレストランも!日本の美しい四季に会いに、でかけてみてはいかがですか。きっと贅沢な休日になるはずですよ。
御船山楽園
佐賀県武雄市武雄町大字武雄4100
[開園時間・入園料]時期によって異なる
※竹林亭・御船山楽園ホテルに宿泊の方は入園無料
[休園日]なし
0954-23-3131
※記事中の価格・料金はすべて税込です
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