日本三大うどんの一つ「五島うどん」の本場・五島列島の福江島に上陸!おすすめ3軒に行ってきた

2019.06.11 更新

日本三大うどんといえば、香川県の「讃岐うどん」、秋田県の「稲庭うどん」、残る1つは?そう!長崎県の「五島うどん」。その発祥の地である五島列島で本場の味を楽しんでみませんか?今回は五島列島の中で一番面積が広い福江島(ふくえじま)で、島の王道スタイルからご当地ビーフやポーク入りのオリジナルうどんなど、多彩な五島うどんが味わえるおすすめ3軒をご紹介します。

今回紹介する福江島の五島うどん、イチオシの3軒はこちら。

1.「五島手延べうどん おっどん亭」
2.「五島手延べうどん ばらもん亭」
3.「鬼岳 四季の里」

お店レポートの前に、まずは今回訪れた福江島をカンタンにご紹介しましょう。
福江島は長崎市の長崎港から高速船で西へ約90分。東シナ海に浮かぶ五島列島の南に位置する列島最大の島です。市町村名では五島市にあたります。
島内には「高浜海水浴場」をはじめ、エメラルド色の美しい海や白砂ビーチが随所に見られます。
2018年に認定された世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成遺産がある五島市。赤レンガの教会「堂島天主堂」をはじめ、潜伏キリシタンにまつわるスポットも点在しています。
さらに2010年に公開された映画『悪人』の撮影地にもなった「大瀬崎(おおせざき)灯台」など、絶景スポットも満載です。これらをめぐる島内ドライブは別の機会に紹介しますね。

五島うどんの工場兼食堂「五島手延べうどん おっどん亭」。工場見学の後はアツアツのうどん地獄?

まずは五島うどんビギナーにおすすめのお店を。そのためにはちょっと五島うどんの歴史も語らせてください。

今から1000年以上も昔、奈良から平安時代に活躍した遣唐使の時代まで遡ります。五島列島北部の上五島(かみごとう)には大陸への玄関口的な港がありました。大陸への最新文化や技術と一緒に、当時の麺作りの製法もいち早く上五島に伝わったようです。中国浙江省(せっこうしょう)岩垣地区に現存する「索麺(さくめん)」がそのルーツではないかといわれています。

その索麺の作り方が島の風土に根付き、長い年月の中、島の人々の知恵と工夫が加わりながら、列島の隅々まで広まっていきます。やがて一般のうどんよりもそうめんに近い、直径2mmほどの細麺でありながら強いコシと独特の食感を持つ、現在の五島うどんの姿に。
▲「中本製麺」。左の長い建物がうどん工場、正面のグレーの建物にうどん直売所と食堂がある

その五島うどん伝来の地・上五島に本社を持つ「中本製麺」が2017年秋、福江島にうどん工場兼直売所兼食堂をオープン。その名も「五島手延べうどん おっどん亭」(以下、おっどん亭)。
「いらっしゃいませ。まずは五島うどんができるところを見てください」と迎えてくださったのは、社長の中本茂さん。
「平日はここで1日約400kgの手延べ五島うどんを製造しています。生地の練り込みから熟成、さまざまな手延べ作業、乾燥など五島うどんができるまでをガラス越しではありますが、公開しています」と中本さん。
▲全工程を解説するパネルも用意。まずそちらを見てから見学開始
▲建物の手前で生地を練り、奥に向かうにしたがって麺ができていく流れに

「五島うどんの材料は厳選された小麦粉にミネラル豊富な島の水、そして五島灘の塩。これを練って生地にし、棒状に延ばしたところに島の特産である椿油を麺の乾燥、および酸化防止を目的に塗っていきます。できた生地をこまめに熟成し、延ばし、また熟成。これらを繰り返しながら少しずつ、生地を麺状にしていきます」と中本さん。
熟成された生地を2本の棒に8の字に掛け、絶妙な力加減で上下に延ばしながら、麺の間に専用の棒を差し込み、左右に手早く丁寧にさばいていきます。中本製麺では、最新の機械を取り入れながら、昔ながらの伝統製法にこだわった五島うどん作りを行っていました。
もう少し詳しく見ていきましょう。
▲1m以上の長さになったら、「ハタ」と呼ばれる干し台にセット
▲生地の乾燥と熟成状態を見ながら、さらに2mほどの長さまで、手作業でゆっくり麺を引き延ばす。ここは熟練職人の目と手の感覚で絶妙に調整
▲さらに管理された室内で、ゆっくり乾燥させ、きめ細かな麺肌に仕上げていく

この麺をカットして検品、そして包装。生地の練り込みから2日間かけて、完成です。実に丁寧に作られる五島うどん。いよいよ工場隣接の食堂で、実食です!
▲入口の券売機で購入した注文券をカウンターに渡すセルフスタイル

かけうどん、ざるうどんのほか、さまざまなトッピングが乗ったものや定食になっているものもありますが、はじめての五島うどんなら、まずは島ならではの食べ方で味わってみてはいかがですか?
▲「地獄炊きうどん」単品550円(税込)

大量の湯で茹でたうどんの鍋をみんなで囲み、専用のうどんすくいで各々とって、島の特産である焼きあご(トビウオ)だしのつゆに付け、ハフハフ、ツルルッと味わいます。その名も「地獄炊き」。地獄の釜のように湯がぐらぐら煮えたぎる鍋で出るからではなく、五島で初めてこのスタイルで食べた旅人が言った「至極(しごく)おいしい!」が「地獄おいしい!」に聞こえたという、聞き間違いがネーミングの由来だそうです。
細い麺=手早く茹でられ、椿油の使用とそこから生まれる強いコシ=長く湯の中にあってもなめらかな口触りとしこしこ、つるつる食感をキープ。五島うどんはこの「地獄炊き」で味わうことを前提に作られた、ともいわれています。ちなみに、おっどん亭の「地獄炊きうどん」は1人用の小鍋で提供されますが、みんなで食べる際に欠かせないうどんすくいも付いてきます。箸より断然、うどんがとりやすかったですよ。
ネギや鰹節などの薬味を入れたあごだしつゆのほか、すき焼きのように卵につけて味わうのも五島流。全卵にあごだしつゆをちょっと入れてよく混ぜます。
そこにアツアツの地獄炊きうどんを入れ、よーく絡めてズズズッと。まさにすき焼きスタイル。あっという間に鍋のうどんがなくなりますよ。
食堂の入口には先ほど味わった、そして隣の工場で作ったばかりの「中本製麺」の「手延べ五島うどん」(357円/300g)や「自家製あごだしつゆ」(724円/360ml)、「うどんすくい」(380円)など五島うどんの関連商品がズラリ!ほかにも椿油をはじめ、五島列島の特産品をいろいろ販売しています(すべて税込)。
太さや長さなどが異なるさまざまな五島うどんを用意する中、自宅用のお土産にするなら工場限定販売の「きゃーめん」702円(税込)がおすすめ。手延べうどんを作る際にでる大きさ、太さが異なる副産物麺をあつめたものですが、味と食感は五島うどんそのもの。しかも1kg入って702円は破格値!

島の言葉で“きゃあ”とよばれる船の櫂(かい)に似た麺も入っていることで「きゃーめん」。でも、買って自宅で地獄炊きを味わった時にも思わず「きゃー、うめ~!」ってなりました。

ピリ辛のジャージャーうどんにあごだしカレーうどんなどオリジナルうどん満載!「五島手延べうどん ばらもん亭」

2軒目は、先に紹介した「おっどん亭」から車で約2分の「五島手延べうどん ばらもん亭」(以下、ばらもん亭)。
▲国道386号沿いのバス停「シティーモール前」の真ん前にある「ばらもん亭」
▲店内には店名の由来となる五島列島の郷土玩具「ばらもん凧」が飾ってありました

おっどん亭と同様に、ばらもん亭も手延べ五島うどん工場の直営食堂。毎朝、自社工場から運ばれる手延べうどんを使用。一般的に五島うどんは乾麺ですが、なんとばらもん亭では、定番の「地獄炊き」以外のメニューに五島うどんの生麺を使用。乾麺とは少し異なるつるっ!もちっ!の食感に魅了されるファンも多いとか。中でも人気なのが、こちら!
▲「五島豚のジャージャーうどん」580円(税別)

冷たい五島うどんの上に、島育ちのブランドポーク「五島豚」を使ったピリ辛みそ味の肉そぼろがたっぷり。
まずは濃厚な肉そぼろとつるつるの五島うどんを絡めて味わい、その後、黄身をつぶして、豪快に混ぜましょう。全体的に味がまろやかになるだけでなく、黄身によってうどんと具がより絡みあうことで、食べやすさも一層アップ!さらに1辛、2辛、3辛(各30円増)、そして鬼辛(100円増)と辛さのアップも可能(各税別)。

このジャージャーうどんと人気を二分するのが、こちら!
▲「あごだしカレーうどん」500円(税別)

五島うどんに欠かせない焼きあごのだしをベースに、牛肉や島産の練り物をたっぷり入れた和風カレー。焼きあごと練り物が生み出す魚のうま味、そして和風カレーの絶妙なとろみ具合が、細麺の五島うどんにベストマッチ!まさに五島うどんの故郷ならではのカレーうどんですね。

ただし、通常メニューではない不定期の日替わりメニューで、カレーの中の具材は日によって変わることがあるそうです。事前に電話でのご確認をおすすめします。
また、店内には直営工場の手延べうどん直売コーナーもあります。

定番の「手延べ五島うどん」(400円)のほか、パスタ用の小麦・セモリナ粉を使った手延べ五島うどんの製法で作られた「五島手延べスパゲッティ」(430円)、麺の形状が羽衣のように薄く幅広で黒蜜やシロップをかけてスイーツとしても楽しめる「五島手延べはごろも麺」(450円)など、五島うどんの可能性を広げる商品がいろいろありましたよ(すべて税別)。

これらを作る直営工場は、ばらもん亭から車で約3分。しかも事前予約にて、工場見学が1人から見学料なしで楽しめるそうです。
▲「特定非営利活動法人 五島あすなろ会 うまか食品」の工場
こちらの工場では昔ながらの手作業で、手延べ五島うどんを製造しています。マスク、帽子の着用で工場内に入れるだけでなく、工場スタッフに教えていただきながら麺のさばき体験などもできるそうです。興味のある方は、ぜひ電話で予約してみてください。

標高315mからの絶景と共に味わう、ブランド牛入りぶっかけ五島うどんがある「鬼岳 四季の里」

3軒目は標高315m、芝生に覆われた島のシンボル的火山「鬼岳(おにだけ)」のふもとにある「鬼岳 四季の里」。
▲福江港から車で約15分、五島福江空港からは約6分。お土産の販売やお食事処、さらにうどん作りなどの体験(予約制)も楽しめます
店内に入るとまずはお土産コーナーがあり、その奥が東シナ海を一望するお食事処。ネコ好きに評判のネコ島・黄島(おうしま)をはじめ、大小さまざまな島々も見えます。

この福江島でも1、2を争う絶景食堂では、五島うどん発祥の地である上五島の二大製麺所「坪井製麺」と「浜崎製麺」の手延べうどんを使った多彩なメニューが味わえます。中でもイチオシはこちら!
▲「五島牛ぶっかけうどん」850円(税込)

茹でたのち冷水でしめた、つるつるしこしこの五島うどん、その上に五島列島のブランド牛「五島牛」のしぐれ煮がたっぷり!さらに福江島産のわかめにネギ、半熟たまごものって、もう下のうどんが見えませーん!
潮風が運ぶミネラル分をたっぷり含んだ自然の草を食み、ストレスフリーで育つ五島牛。その特徴は柔らかな肉質、そして味と香りの良さ。バラ肉を使ったしぐれ煮からもその柔らかさと旨みを感じました!

まずはその五島牛を味わったのち、あごだしベースでやや甘めの自家製つゆを全体にかけまわし、よ~く混ぜて勢いよくズボッズボッといきましょう。半分ほど進んだら、椿の葉っぱにのったゆず胡椒を投入。再度よく混ぜれば、甘辛味からピリ辛に味変!まずます箸が進みます。

冷たいぶっかけのほか、あたたかいかけうどんスタイルの「五島牛肉うどん」780円(税込)もありますよ。館内のお土産コーナーでは、お食事処で使用する二大製麺所の乾麺も販売。お家でも味わいたい方は、ぜひどうぞ。
ちなみに「鬼岳 四季の里」の前には、ドーム型の「鬼岳天文台」がありました。夜には九州でも有数の口径60cmのニュートン式反射望遠鏡を使った星空観賞(予約制)も行われるそうです。
ということで長崎県五島市福江島の五島うどん店、おすすめ3軒でした。
ちなみに日本農林規格(JAS)によると、小麦粉に食塩、水を混ぜて練った生地で作る麺のうち、直径1.7mm以上のものを「うどん」、1.3mm以上1.7mm未満だと「ひやむぎ」または「細うどん」、1,3mm未満を「そうめん」と分類しています。

つまり中身は同じ、麺類みな兄弟だけど、それぞれの口触りや味わいはさまざま。本場の五島うどんも材料や作り方はほぼ同じながらも、みんな違ってみんなおいしい。今回紹介の3軒をはじめ、福江島ではいろんな五島うどんが味わえるので、いろいろはしごして楽しんでくださいね。
山田誠

山田誠

新潟県十日町市生まれ、現在は福岡県福岡市在住のフリー編集者・ライター。九州の宿や温泉、飲食、雑貨系のショップ、さらに漁村、農村、道の駅など、暮らしと休日に関わるスポットをほぼ毎月、年間150軒以上を取材。取材後は必ず近隣の直売所で地元食材を買って帰る。1児の父。

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