いざ、餅の聖地・一関へ。おいしい餅をたらふく頂く!

2015.09.21

岩手と宮城の県境、一関市(いちのせきし)といえば、古くから「餅文化」が息づく町。正月や節句だけじゃなく、冠婚葬祭、子どもの帰省、とにかく“餅でもてなす”のが一関流だ。なんと10月には、今年で4回目となる「もちサミット」なるイベントも開催!餅好きは、もう、一関へ行くしかない。

訪れたのは、一関市の西側。栗駒山のふもとに位置する厳美町(げんびちょう)。豊かな土壌と水に恵まれ、昔から米づくりが盛んだ。付近には奇岩や滝などダイナミックな景観が広がる厳美渓や温泉もあり、紅葉シーズンの秋は、観光客や登山客が多く訪れる。

その厳美渓をめざして一関インターから車を走らせて5~6分のところに、「道の駅厳美渓」が見えてくる。
▲木の臼が並んだ入口

餅メニュー満載のレストラン

道の駅に併設されたレストランは、その名も「ペッタンくん」!いつでも、つきたてのお餅が食べられるのだ。案内してくれたのは道の駅・駅長の小野寺拓也さん。物腰しが柔らかく、まさに滑らかなお餅のよう。
▲案内してくれた小野寺さん
「このレストランでは、100%一関産のもち米を使って、毎日つきたてのお餅をお客様にお出ししています」と小野寺さん。一関周辺で作付されるのは、「こがねもち」というもち米が主流。コシがあって歯切れがいいのが特徴だ。
▲メニューには餅メニューがずらり。「餅オードブル」に衝撃!
メニューを見ると、お餅だけで9種類。しかも、単品もちは、スタンダードなあんこやゴマ、クルミ、ショウガ、エビ、納豆、ネギ、いなり、など10種類から選ぶことができる。

迷ってしまうので、おすすめを小野寺さんに聞くと、
「観光客の方が気軽に食べやすいのは、『和風もちセット』。いろいろな種類を少しずつ味わえますから。定番の味7つに加え、菜の花、ブルーベリー、トマト、モロヘイヤ、カボチャなど、地元の旬食材を使った季節限定の味を1種類入れてお出ししています」。

おお、ならば、それを頼みましょう!

見た目もカワイイ「和風もちセット」

▲和風もちセット880円(税込)。この時の季節のお餅は「トマトソース」!
出てきたお膳は彩りも鮮やか。甘い餅、しょっぱい餅、イタリアンな餅、とバラエティに富んだお膳は、世代を問わず楽しめそう。しかも、お餅は皆、ひと口大。胸やけしないように、大根おろしもついている。

どれも初めて食べる餅ばかりだが、中でも沼エビの食感は新鮮。一関市の東側に位置する花泉町は、昔、沼エビがよく獲れた地域で、地元では馴染み深い味だという。
▲トマトでさっぱりといただく
▲ショウガ餅はピリっと辛い大人の味

餅で祝い、餅でもてなす

一関地域は、もともと伊達領。江戸時代から武家の年中行事として餅を食べる習慣があり、それが商家や農家に広まっていったのだとか。藩主に餅米を献上していた農家が、くず米をおいしく食べるために工夫を凝らしたことで、餅の種類が豊富になったと云われる。

中でも、一関地方のもてなし料理として伝わるのが「もち本膳」。膳の上にはご飯やおかずではなく、餅だけが何種類もズラリと並び、祝い事か不祝儀かでメニューは変わるという。

「例えば、納豆は縁があるようにと祝い膳につけますが、糸を引くので不祝儀にはつけません」と、小野寺さん。

一関地方に受け継がれる餅の歳時記を見ると、正月にはじまり、七草、桃の節句、春彼岸、八十八夜、端午の節句、お盆……、など季節の行事ごとに年間60日近くも餅を食べる風習があり、今も続いているのだそう。

でも、本当に一関の人は、普段から餅をひんぱんに食べるの?

「皆、自宅でことあるごとにお餅を食べますね。餅つき機を持っているご家庭が多い。もしなかったとしても、お客様が来れば、うちのような店でもてなすという方も多いです。毎月1回、当店で行うもちバイキングも人気ですね。一関では餅をつくのが、暮らしにおけるステイタスなんです」と、にこやかに小野寺さんは話す。
▲「ペッタンくん」のスタッフも皆、家でも餅をよく食べるという

餅の里・一関は、まだまだ進化中!

昔ながらの餅文化を背景に、市内では餅イベントが増え、それが新しい餅メニューを生み、一関は「餅の町」として進化中だ。20年以上前から続く新しい餅料理コンテスト「もちりんピック」、2月に行われる餅の早食いイベント「全国わんこもち大会」、そして4年前からは、工夫を凝らした餅料理やスイーツを食べ比べ、投票でグランプリが決まる「全国ご当地もちサミット」を開催している。
▲多くの人で賑わう「もちサミット」
今回訪ねた「道の駅厳美渓」だけでなく、市内の飲食店や居酒屋など、とにかく餅メニューは街にあふれている。もはや、一関の餅料理は300とも400とも聞くが、定かでない。

たっぷりお餅を食べたけれど、お土産用のお餅もあると聞き、せっかくなので購入。それを持って、近隣の温泉と厳美渓へ足を運んだ。
▲好きなお餅を詰めあわせ、おいしい餅を「モチ」帰り!
水野ひろ子

水野ひろ子

岩手県在住フリーライター。行政や企業等の編集物制作に関わる傍ら、有志とともに立ち上げた「まちの編集室」で、ミニコミ誌「てくり」やムック誌の発行をしている。(編集/株式会社くらしさ)

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