「倉敷アイビースクエア」は泊まれる文化財! レンガとグリーンのヨーロピアンな空間で癒されよう
情緒あふれる街並みで人気の観光地・倉敷美観地区。その美観地区内にある「倉敷アイビースクエア」は、古くから地元の人はもちろん観光客にも愛され続けてきた宿泊型の複合施設です。紡績工場だった時代を含めると約130年の歴史を誇り、日本遺産にも認定され、今や倉敷のランドマークとなりました。由緒ある建物の歴史に包まれながら“泊まれる文化財”で癒されてみませんか。

明治22年建設、貴重な文化財の歴史

「倉敷アイビースクエア」(以下、アイビースクエア)があるのは、観光客で賑わう岡山県の倉敷美観地区。JR岡山駅から倉敷駅までは電車で約20分、そこから大通り沿いを歩いて15分ほどの距離にあります。

倉敷川沿いから1本東側の路地に入ると、そこには落ち着いた雰囲気の通りが。街並みに馴染むカフェやギャラリー、アパレルショップなどが立ち並ぶ一角にアイビースクエアがあります。

古くは倉敷川を起点に綿花や米の集積地として栄え、紡績業で賑わった倉敷。アイビースクエアはもともと、明治22(1889)年に建てられた「倉敷紡績所(現クラボウ)」の本社工場として、昭和20年(1945)年まで稼働していました。
そうした町と建物の歴史を受け継ぎ、観光客が宿泊・飲食できる施設にしようと、昭和48(1973)年に工場から複合施設へと生まれ変わりました。

その後、文化的にも貴重な操業当時の外観と基本構造を残した設計が評価され、平成19(2007)年に国の「近代化産業遺産」、平成29(2017)年には文化庁が定める「日本遺産」の構成文化財に認定されました。
今回はそんな“泊まれる文化財”アイビースクエアをゆったりと堪能したいと思います。
思わず写真を撮りたくなる「アイビースクエア」

さて、西門をくぐり、いざアイビースクエアへ。石畳の小道を進むと、目の前に現れたのは蔦、蔦、蔦……!瑞々しい蔦がこんもりと外壁を覆い、見ているだけで涼やかな気分になってきます。
倉敷紡績所の社長であり「大原美術館」の創設者でもある大原孫三郎(まごさぶろう)さんの「働く人の環境を自然と調和させながら人間的、健康的にしたい」という思いから、工場時代からこの蔦は植えられていたんだそう。
夏はレンガを覆って暑さをしのぎ、冬は落葉して太陽の暖かさを取り込むなど、蔦が工場内の温度調節を果たしていたのです。



何気ない風景がとても絵になるアイビースクエア。先ほどの入口を抜け、まずは「チェックインを!」とフロントを目指すも、ついつい足を止めて眺めたくなる雰囲気です。町家が並ぶ純和風な美観地区とはまた意匠の異なる、アンティークでヨーロピアンな空間にも心惹かれますよね。

最奥の館内に到着。吹き抜けのように天井が高く、開放感があります。存在感のある左手のガラス窓からは、柔らかな光が射し込んでいました。

チェックインを済ませ、アイビースクエア周辺のお散歩に繰り出すことにしました。


散歩に繰り出すつもりが、敷地内の魅惑的な場所にまたもや目移り……。この日はイベント・展示スペースの「アイビー学館」で展示販売会「倉敷繊維考房」が開催中でした。

帆布やデニム、畳縁や真田紐など、繊維の町としての倉敷の良さがわかる品々がずらり。この他にも定期的に地元に関するイベントを開催しているので、ぜひ立ち寄ってみてください。

そして西門付近にはこれまた絵画的な空間が。左手に生い茂る蔦、奥行きのある石畳の道の傍らにそっと立つ大きな樹木。この構図が美しいと、映画やドラマの撮影にたびたび使われてきたんだそう。

「思った以上に長居したなあ」と、ついゆっくりしてしまえる居心地の良さが魅力のアイビースクエア。美観地区を観光する時間が減ってしまうかもしれませんね。


また、季節や天候、時間帯によって様々な表情を見せるスポットが多いのも
アイビースクエアの魅力です。ぜひカメラを構えて、お気に入りの1枚を切り取ってみてください。
時代とともにリニューアルされてきた快適な客室

アイビースクエア周辺を堪能し、少しお部屋で休憩することに。
複合施設として生まれ変わってからおよそ半世紀、アイビースクエアの客室は3度にわたってリニューアルを行ってきました。1度目は1992(平成4)年頃。2度目は1997(平成9)年頃、3度目は2018(平成30) ~2020(令和2)年の間に進行中。新旧が入り混じる、それぞれのお部屋の魅力をご紹介します。

まずはコンパクトなエコノミーツインのお部屋。瀬戸内の海や倉敷名産のデニムをイメージしたインディゴブルーの壁が印象的なお部屋です。2階はのこぎり屋根の傾斜を生かすことで、15平米ながらも広さを感じられる造りになっています。

続いてはスタンダードツインAのお部屋。こちらも2階は天井が高く、ナチュラルな木材が雰囲気を明るくしてくれています。21~23平米で、洗面所、トイレ、お風呂場がセパレートに。ゆったりと身支度ができる使い勝手の良さが魅力です。

そしてアイビースクエアのおすすめは、こちらのファミリールーム。45平米で6室限定。以前は和室だったお部屋を和洋折衷の趣にリニューアルしました。南側の障子からは爽やかな朝日が射し込みます。ローベッドで眠りやすく、引き戸で空間を仕切れるので多世代やグループでの宿泊にも便利です。


リニューアルされた客室のベッドは眠り心地抜群のシモンズ社製。大浴場(17:00~24:00、6:00~9:00。日帰り利用は不可)もリニューアルされたばかりで、ステンドグラスが麗しい空間になっています。ぜひぜひお試しを。

夜はディナーとバーで大人なひとときを

夜になり、楽しみにしていたディナーへ。食事ができる「レストラン蔦」は、紡績工場の面影を残すクラシカルな雰囲気です。

レストラン蔦では洋食と和食が選べると聞き「どっちも捨てがたい……」と悩みましたが、今回はヨーロピアンな建物に合わせて洋食をチョイス。その中でも1番人気だというフレンチのフルコース「リエール」をいただくことにしました。
旬の食材が使われる「リエール」は、全7品。「前菜2種盛り」「本日のスープ」「真鯛と貝柱のミルフィーユ仕立て オニオンクリームソース」「牛フィレのステーキ グレビーソース」などを中心に、アイビースクエアのベテランシェフが丹念に仕上げます。

まずいただいたのは「前菜2種盛り」。手前「鴨のスモーク バルサミコソース」は酸味の効いたソースとともにさっぱりとした鴨肉が楽しめます。奥「野菜のラタトュイユ」は素材の旨みがあふれるマイルドな一品です。

この日の「本日のスープ」は、生クリームとバターを合わせたコーンスープ。口当たりのよいまろやかな味わいです。季節によってカボチャ、グリーンピース、トマトなどのスープに変わり、グリーンピースとトマトは冷製のため夏限定とのこと。

魚料理は、瀬戸内産の真鯛と北海道産のホタテの貝柱が美しく層を成す逸品。丁寧に炒めた玉ねぎを生クリームで煮込んだオニオンクリームソースは、甘みとコクのバランスが絶妙です。ハリのある真鯛やコリコリとした食感の貝柱との相性がすばらしく、思わず顔がほころびます。

肉料理の牛フィレステーキは、脂身が少なく癖のないサッパリとした味わい。厳選した牛肉にオーブンでじっくりと火を入れ、香ばしく焼き上げています。
お肉の味をより一層引き立てるのは、牛骨、牛すじ、野菜をコトコトと煮込んで旨みを凝縮させたフォンドヴォ仕上げのオリジナルグレビーソース。肉汁の旨みが口の中に溢れる一皿です。
お高いイメージのあるホテルディナーですが、「リエール」はこの内容でなんと4,000円(税込)!非日常的な空間で、フレンチのフルコースをリーズナブルにいただけます。

今回は洋食に心惹かれてしまった筆者ですが、和食のほうも見逃せません。和食の中では「蔦おもてなし御膳」が1番人気とのこと。瀬戸内の鰆や鯛のお造り、岡山県産牛のすき焼き風鍋など、すべての料理に地元の食材が使われています。
ディナーでは、コースはもちろん「仔牛のカツレツ ミラノ風」1,800円(税込)などの一品料理をアラカルトで注文できるので、気分に合わせて楽しめます。
レストラン蔦
岡山県倉敷市本町7-2 倉敷アイビースクエア内
[営業時間]7:00~21:30(L.O.21:00)
[定休日]なし
086-422-0173

ディナーで多幸感に包まれたら、1日の締めくくりに半地下の「パブリックバー赤煉瓦」へ。大人の隠れ家のような雰囲気で、すてきなひとときを演出してくれます。

せっかく倉敷に来たんだからと頼んでみたのは、スペシャルカクテル「赤れんが」と「アイビー」。名前の通りの綺麗な色合いにうっとり。
「赤れんが」は日本酒やブランデーをベースに、ざくろのシロップを加えたカクテル。甘くてサッパリとした味わいが女性に人気とのこと。

「アイビー」はミントを漬けたラム酒を炭酸水で割った爽やかなカクテル。蔦を眺めている時のような涼しげな雰囲気があり、スッキリとした飲み心地です。

客室などがリニューアルする中、こちらのバーだけは開業当時からずっと変わらない装いのまま。現代の趣向に合わせながらも得難い雰囲気は残していく。そんな気持ちが聞こえてくるような気がしました。
ちなみに「レストラン蔦」と「パブリックバー赤煉瓦」は宿泊者以外の方でも利用できます。
パブリックバー赤煉瓦
岡山県倉敷市本町7-2 倉敷アイビースクエア内
[営業時間]19:00~23:30(L.O.23:00)
[定休日]なし
086-422-0173

気が向いたらアイビースクエア内の「中庭広場」を散歩してみるのもおすすめ。今日一日の出来事を穏やかにかみしめることができるはずです。ちなみに、毎年夏は「中庭広場」でビアガーデンを開催(9月初旬ごろまで。予約がおすすめ)。約50種類のお料理とさまざまなドリンクが提供されるので、こちらでディナータイムを過ごすのもおすすめですよ。
バラエティ豊かなビュッフェが楽しめる朝食

用意されるお料理は約30種類。岡山名物の魚「ままかり」など、郷土の味も楽しめるのが魅力です。そのほか、朝食で欲しくなるサラダやヨーグルトなどに加え、小松菜のおひたしや塩鮭、スクランブルエッグにベーコンなどしっかり食べたい人にもぴったりなお料理が並びます。

ガラス越しに朝の陽気を感じながら食べる朝食は最高でした。
お腹が満たされたのでチェックアウトをして、お土産を買いに「アイビーショップ」へ行ってみました。

岡山土産を網羅しているという種類の豊富さが魅力の「アイビーショップ本店」。広めのお店なので、銘菓や民芸品などをじっくり吟味できます。

女性に人気なのは、瀬戸内の果実を使ったGOHOBIシリーズの「フルーツコラーゲンゼリー」。スティックタイプで食べやすく、果物を口に含んだかのような瑞々しさが美味しさの秘訣です。ここ最近はマスカット・オブ・アレキサンドリア、岡山白桃、ピオーネ&ベリーAの順によく売れるそう。

そしてなんとアイビースクエアでは、掻きおとし(税込1,500円)や絵付け(税込1,100円~)、手びねり(税込2,200円)などの陶芸体験や、岡山らしい備前焼の体験(税込3,500円)が楽しめます。※掻きおとし・絵付け以外は要予約
こうした工芸体験のできる「愛美(アイビー)工房」は、西門からまっすぐ進んで左手にあります。観光地の中で、手軽に工芸体験ができるのは嬉しいですよね。時間に余裕があればぜひともやってみたかった!
アイビースクエアを出たら、2日目の観光はジーンズの聖地、倉敷市の児島へ。いやはや、ぐっすり眠れたし、旅の合間に癒されるすてきなホテルでした。

レンガ壁の外観など、紡績工場当時の趣を守りながら美観地区に佇む「倉敷アイビースクエア」。客室をリニューアルしたことで、歴史ある文化財での宿泊がより快適なものになりました。長く在り続ける建物だからこそ醸せる安心感と、一瞬一瞬が絵画のように美しい空間を楽しんでみてください。
倉敷アイビースクエア
岡山県倉敷市本町7-2
[チェックイン]15:00~ [チェックアウト]~11:00
[宿泊料金]1泊朝食付き・2名1室大人1名・税込7,700円~
086-422-0011
【アイビーショップ 本店】
[営業時間]8:00~20:00
[定休日]なし
086-424-2160
【愛美工房】
[営業時間]9:00~17:30
[定休日]なし
086-424-0517

ココホレジャパン
ココホレジャパンは「地域の魅力を広告する」地域広告会社です。 広告といってもチラシやポスターをつくるだけではありません。地域のおいしい野菜があれば、それを使って商品も作ります。素敵だと思う商品を販売したりもします。地域の魅力を掘り起こして「これ、いいでしょ!」と伝えていく、それが私たちの仕事です。
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