「倉敷アイビースクエア」は泊まれる文化財! レンガとグリーンのヨーロピアンな空間で癒されよう

2019.06.28 更新

情緒あふれる街並みで人気の観光地・倉敷美観地区。その美観地区内にある「倉敷アイビースクエア」は、古くから地元の人はもちろん観光客にも愛され続けてきた宿泊型の複合施設です。紡績工場だった時代を含めると約130年の歴史を誇り、日本遺産にも認定され、今や倉敷のランドマークとなりました。由緒ある建物の歴史に包まれながら“泊まれる文化財”で癒されてみませんか。

明治22年建設、貴重な文化財の歴史

▲なまこ壁と柳、流れゆく川面のコントラストが美しい倉敷美観地区

「倉敷アイビースクエア」(以下、アイビースクエア)があるのは、観光客で賑わう岡山県の倉敷美観地区。JR岡山駅から倉敷駅までは電車で約20分、そこから大通り沿いを歩いて15分ほどの距離にあります。
▲あたたかみのある赤茶色のレンガ壁が目印

倉敷川沿いから1本東側の路地に入ると、そこには落ち着いた雰囲気の通りが。街並みに馴染むカフェやギャラリー、アパレルショップなどが立ち並ぶ一角にアイビースクエアがあります。
▲観光客は美観地区のメインストリートに近い西門から入ることが多い

古くは倉敷川を起点に綿花や米の集積地として栄え、紡績業で賑わった倉敷。アイビースクエアはもともと、明治22(1889)年に建てられた「倉敷紡績所(現クラボウ)」の本社工場として、昭和20年(1945)年まで稼働していました。

そうした町と建物の歴史を受け継ぎ、観光客が宿泊・飲食できる施設にしようと、昭和48(1973)年に工場から複合施設へと生まれ変わりました。
▲イギリスの工場設計を忠実に再現した操業当時からのレンガ壁。長辺と短辺が交互に現れる積み方を“イギリス積み”という

その後、文化的にも貴重な操業当時の外観と基本構造を残した設計が評価され、平成19(2007)年に国の「近代化産業遺産」、平成29(2017)年には文化庁が定める「日本遺産」の構成文化財に認定されました。

今回はそんな“泊まれる文化財”アイビースクエアをゆったりと堪能したいと思います。

思わず写真を撮りたくなる「アイビースクエア」

▲ホテルのフロントやレストランにつながるこちらの入口で記念撮影する人が多い

さて、西門をくぐり、いざアイビースクエアへ。石畳の小道を進むと、目の前に現れたのは蔦、蔦、蔦……!瑞々しい蔦がこんもりと外壁を覆い、見ているだけで涼やかな気分になってきます。

倉敷紡績所の社長であり「大原美術館」の創設者でもある大原孫三郎(まごさぶろう)さんの「働く人の環境を自然と調和させながら人間的、健康的にしたい」という思いから、工場時代からこの蔦は植えられていたんだそう。

夏はレンガを覆って暑さをしのぎ、冬は落葉して太陽の暖かさを取り込むなど、蔦が工場内の温度調節を果たしていたのです。
▲先ほどの入口を進んで右折すると、左手に見える池。奥に連なる空間の切り取られ方が美しい
▲水面には睡蓮が浮かび、鯉が悠々と泳いでいる
▲フロントにつながる石畳の小道は、空気が澄んでいて気持ちいい

何気ない風景がとても絵になるアイビースクエア。先ほどの入口を抜け、まずは「チェックインを!」とフロントを目指すも、ついつい足を止めて眺めたくなる雰囲気です。町家が並ぶ純和風な美観地区とはまた意匠の異なる、アンティークでヨーロピアンな空間にも心惹かれますよね。
▲館内に入ってすぐのフロア。この奥にフロントがある

最奥の館内に到着。吹き抜けのように天井が高く、開放感があります。存在感のある左手のガラス窓からは、柔らかな光が射し込んでいました。
▲フロントの向かいには、さりげなく絵画が飾られている

チェックインを済ませ、アイビースクエア周辺のお散歩に繰り出すことにしました。
▲倉敷紡績所が創業した当時の混打綿(こんだめん ※紡績工程の一つ)室を改装してできた「アイビー学館」
▲アイビー学館の内部

散歩に繰り出すつもりが、敷地内の魅惑的な場所にまたもや目移り……。この日はイベント・展示スペースの「アイビー学館」で展示販売会「倉敷繊維考房」が開催中でした。
▲倉敷市児島「坂本織物」の「2m巻き真田紐8分」税込1,080円

帆布やデニム、畳縁や真田紐など、繊維の町としての倉敷の良さがわかる品々がずらり。この他にも定期的に地元に関するイベントを開催しているので、ぜひ立ち寄ってみてください。
▲昭和32(1957)年に苗木で植えられ、30m以上の高さになったメタセコイアの木

そして西門付近にはこれまた絵画的な空間が。左手に生い茂る蔦、奥行きのある石畳の道の傍らにそっと立つ大きな樹木。この構図が美しいと、映画やドラマの撮影にたびたび使われてきたんだそう。
▲施設内外の各所で写真に収めておきたくなるシーンに出合う

「思った以上に長居したなあ」と、ついゆっくりしてしまえる居心地の良さが魅力のアイビースクエア。美観地区を観光する時間が減ってしまうかもしれませんね。
▲秋の紅葉時には、赤い蔦が混ざって華やかな印象に(写真提供:倉敷アイビースクエア)
▲夕暮れ時は建物がノスタルジックな雰囲気に(写真提供:倉敷アイビースクエア)

また、季節や天候、時間帯によって様々な表情を見せるスポットが多いのも
アイビースクエアの魅力です。ぜひカメラを構えて、お気に入りの1枚を切り取ってみてください。

時代とともにリニューアルされてきた快適な客室

▲フロントから客室へと続く廊下にはシンプルな美しさがある

アイビースクエア周辺を堪能し、少しお部屋で休憩することに。

複合施設として生まれ変わってからおよそ半世紀、アイビースクエアの客室は3度にわたってリニューアルを行ってきました。1度目は1992(平成4)年頃。2度目は1997(平成9)年頃、3度目は2018(平成30) ~2020(令和2)年の間に進行中。新旧が入り混じる、それぞれのお部屋の魅力をご紹介します。
▲エコノミーツイン(定員1~2名)。1泊朝食付・2名1室で大人1名税込7,700円~

まずはコンパクトなエコノミーツインのお部屋。瀬戸内の海や倉敷名産のデニムをイメージしたインディゴブルーの壁が印象的なお部屋です。2階はのこぎり屋根の傾斜を生かすことで、15平米ながらも広さを感じられる造りになっています。
▲スタンダードツインA(定員2名)。1泊朝食付・2名1室で大人1名税込9,300円~。(写真提供:倉敷アイビースクエア)

続いてはスタンダードツインAのお部屋。こちらも2階は天井が高く、ナチュラルな木材が雰囲気を明るくしてくれています。21~23平米で、洗面所、トイレ、お風呂場がセパレートに。ゆったりと身支度ができる使い勝手の良さが魅力です。
▲ファミリールーム(定員3~4名)。1泊朝食付・4名1室で大人1名税込9,300円~

そしてアイビースクエアのおすすめは、こちらのファミリールーム。45平米で6室限定。以前は和室だったお部屋を和洋折衷の趣にリニューアルしました。南側の障子からは爽やかな朝日が射し込みます。ローベッドで眠りやすく、引き戸で空間を仕切れるので多世代やグループでの宿泊にも便利です。
▲スタンダードツインAとファミリールームの水回り。ユニットバスではなく、お風呂場、洗面所、トイレがセパレート。お風呂には洗い場も付いている
▲デラックスツイン(定員2~3名)。1泊朝食付・2名1室で大人1名税込9,900円~。2020年にリニューアル予定

リニューアルされた客室のベッドは眠り心地抜群のシモンズ社製。大浴場(17:00~24:00、6:00~9:00。日帰り利用は不可)もリニューアルされたばかりで、ステンドグラスが麗しい空間になっています。ぜひぜひお試しを。
▲工場だった当時のレンガ壁をあえて凸凹に削り、味わいを出した客室エリアの廊下(4号棟1階、2階)

夜はディナーとバーで大人なひとときを

▲「レストラン蔦」

夜になり、楽しみにしていたディナーへ。食事ができる「レストラン蔦」は、紡績工場の面影を残すクラシカルな雰囲気です。
▲フレンチのフルコース「リエール」4,000円(税込)。“リエール”は、フランス語で“蔦”を表す

レストラン蔦では洋食と和食が選べると聞き「どっちも捨てがたい……」と悩みましたが、今回はヨーロピアンな建物に合わせて洋食をチョイス。その中でも1番人気だというフレンチのフルコース「リエール」をいただくことにしました。

旬の食材が使われる「リエール」は、全7品。「前菜2種盛り」「本日のスープ」「真鯛と貝柱のミルフィーユ仕立て オニオンクリームソース」「牛フィレのステーキ グレビーソース」などを中心に、アイビースクエアのベテランシェフが丹念に仕上げます。
▲「前菜2種盛り」

まずいただいたのは「前菜2種盛り」。手前「鴨のスモーク バルサミコソース」は酸味の効いたソースとともにさっぱりとした鴨肉が楽しめます。奥「野菜のラタトュイユ」は素材の旨みがあふれるマイルドな一品です。
▲「本日のスープ」

この日の「本日のスープ」は、生クリームとバターを合わせたコーンスープ。口当たりのよいまろやかな味わいです。季節によってカボチャ、グリーンピース、トマトなどのスープに変わり、グリーンピースとトマトは冷製のため夏限定とのこと。
▲「真鯛と貝柱のミルフィーユ仕立て オニオンクリームソース」

魚料理は、瀬戸内産の真鯛と北海道産のホタテの貝柱が美しく層を成す逸品。丁寧に炒めた玉ねぎを生クリームで煮込んだオニオンクリームソースは、甘みとコクのバランスが絶妙です。ハリのある真鯛やコリコリとした食感の貝柱との相性がすばらしく、思わず顔がほころびます。
▲「牛フィレのステーキ グレビーソース」

肉料理の牛フィレステーキは、脂身が少なく癖のないサッパリとした味わい。厳選した牛肉にオーブンでじっくりと火を入れ、香ばしく焼き上げています。
お肉の味をより一層引き立てるのは、牛骨、牛すじ、野菜をコトコトと煮込んで旨みを凝縮させたフォンドヴォ仕上げのオリジナルグレビーソース。肉汁の旨みが口の中に溢れる一皿です。

お高いイメージのあるホテルディナーですが、「リエール」はこの内容でなんと4,000円(税込)!非日常的な空間で、フレンチのフルコースをリーズナブルにいただけます。
▲「蔦おもてなし御膳」5,000円(税込)。(写真提供:倉敷アイビースクエア)

今回は洋食に心惹かれてしまった筆者ですが、和食のほうも見逃せません。和食の中では「蔦おもてなし御膳」が1番人気とのこと。瀬戸内の鰆や鯛のお造り、岡山県産牛のすき焼き風鍋など、すべての料理に地元の食材が使われています。

ディナーでは、コースはもちろん「仔牛のカツレツ ミラノ風」1,800円(税込)などの一品料理をアラカルトで注文できるので、気分に合わせて楽しめます。
▲「パブリックバー赤煉瓦」。酒樽をイメージして造られたアーチ状の天井が印象的

ディナーで多幸感に包まれたら、1日の締めくくりに半地下の「パブリックバー赤煉瓦」へ。大人の隠れ家のような雰囲気で、すてきなひとときを演出してくれます。
▲スペシャルカクテル「赤れんが」1,000円(税込)

せっかく倉敷に来たんだからと頼んでみたのは、スペシャルカクテル「赤れんが」と「アイビー」。名前の通りの綺麗な色合いにうっとり。

「赤れんが」は日本酒やブランデーをベースに、ざくろのシロップを加えたカクテル。甘くてサッパリとした味わいが女性に人気とのこと。
▲スペシャルカクテル「アイビー」1,000円(税込)

「アイビー」はミントを漬けたラム酒を炭酸水で割った爽やかなカクテル。蔦を眺めている時のような涼しげな雰囲気があり、スッキリとした飲み心地です。
▲バーの柱にある掛け時計やランプは、アイビースクエアの開業当時からずっとある。レトロでかわいい

客室などがリニューアルする中、こちらのバーだけは開業当時からずっと変わらない装いのまま。現代の趣向に合わせながらも得難い雰囲気は残していく。そんな気持ちが聞こえてくるような気がしました。

ちなみに「レストラン蔦」と「パブリックバー赤煉瓦」は宿泊者以外の方でも利用できます。
▲ライトアップされて幻想的な夜の「中庭広場」。(写真提供:倉敷アイビースクエア)

気が向いたらアイビースクエア内の「中庭広場」を散歩してみるのもおすすめ。今日一日の出来事を穏やかにかみしめることができるはずです。ちなみに、毎年夏は「中庭広場」でビアガーデンを開催(9月初旬ごろまで。予約がおすすめ)。約50種類のお料理とさまざまなドリンクが提供されるので、こちらでディナータイムを過ごすのもおすすめですよ。

バラエティ豊かなビュッフェが楽しめる朝食

朝がくると、いそいそと朝食へと向かった筆者。なぜなら「レストラン蔦」のレトロモダンな空間で食べられる和洋折衷の絶品ビュッフェを楽しみにしていたからです。
▲「朝食ビュッフェ」の提供時間は7:00~9:30。1,944円(税込)で宿泊者以外も利用可能(写真提供:倉敷アイビースクエア)

用意されるお料理は約30種類。岡山名物の魚「ままかり」など、郷土の味も楽しめるのが魅力です。そのほか、朝食で欲しくなるサラダやヨーグルトなどに加え、小松菜のおひたしや塩鮭、スクランブルエッグにベーコンなどしっかり食べたい人にもぴったりなお料理が並びます。
▲ゆがみや泡などが入ってレトロな雰囲気のレストラン蔦の手吹きの窓ガラス。当時のまま残っており、ひとつひとつが手作りで大変貴重

ガラス越しに朝の陽気を感じながら食べる朝食は最高でした。
お腹が満たされたのでチェックアウトをして、お土産を買いに「アイビーショップ」へ行ってみました。
▲「アイビーショップ本店」(8:00~20:00)。西門近くにはコンパクトな「西門店」(10:00~17:00 ※期間によって変更あり)もある

岡山土産を網羅しているという種類の豊富さが魅力の「アイビーショップ本店」。広めのお店なので、銘菓や民芸品などをじっくり吟味できます。
▲果実工房が手がけるGOHOBI「フルーツコラーゲンゼリー」5本入356円(税込)

女性に人気なのは、瀬戸内の果実を使ったGOHOBIシリーズの「フルーツコラーゲンゼリー」。スティックタイプで食べやすく、果物を口に含んだかのような瑞々しさが美味しさの秘訣です。ここ最近はマスカット・オブ・アレキサンドリア、岡山白桃、ピオーネ&ベリーAの順によく売れるそう。
▲電動ロクロの体験(12月上旬までの期間限定)。備前焼の体験と並んで人気(写真提供:倉敷アイビースクエア)

そしてなんとアイビースクエアでは、掻きおとし(税込1,500円)や絵付け(税込1,100円~)、手びねり(税込2,200円)などの陶芸体験や、岡山らしい備前焼の体験(税込3,500円)が楽しめます。※掻きおとし・絵付け以外は要予約

こうした工芸体験のできる「愛美(アイビー)工房」は、西門からまっすぐ進んで左手にあります。観光地の中で、手軽に工芸体験ができるのは嬉しいですよね。時間に余裕があればぜひともやってみたかった!

アイビースクエアを出たら、2日目の観光はジーンズの聖地、倉敷市の児島へ。いやはや、ぐっすり眠れたし、旅の合間に癒されるすてきなホテルでした。
▲車の場合は正門からが便利。アイビースクエアの平面駐車場は、宿泊者1泊(当日12:00~翌12:00)税込500円で駐車可。(写真提供:倉敷アイビースクエア)

レンガ壁の外観など、紡績工場当時の趣を守りながら美観地区に佇む「倉敷アイビースクエア」。客室をリニューアルしたことで、歴史ある文化財での宿泊がより快適なものになりました。長く在り続ける建物だからこそ醸せる安心感と、一瞬一瞬が絵画のように美しい空間を楽しんでみてください。
ココホレジャパン

ココホレジャパン

ココホレジャパンは「地域の魅力を広告する」地域広告会社です。 広告といってもチラシやポスターをつくるだけではありません。地域のおいしい野菜があれば、それを使って商品も作ります。素敵だと思う商品を販売したりもします。地域の魅力を掘り起こして「これ、いいでしょ!」と伝えていく、それが私たちの仕事です。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

関連エリア

PAGE TOP