剣山の頂から見る最高の景色!西日本第2の高峰からは四国の端まで見渡せる!?

2019.06.23 更新

徳島県の南西部に位置し、山深い緑に囲まれた「剣山(つるぎさん)」。日本百名山のひとつに数えられるこの名峰は標高1,955m、愛媛県の石鎚山(いしづちさん・1,982m)に次ぐ西日本第2の高峰ですが、頂上付近まで整備されたリフトのおかげで、比較的手軽に登ることができる山として多くのハイキング客に親しまれています。頂上からの絶景を求めて、初心者にも登りやすい登頂コースを体験してきました。

山頂手前までリフトで楽々、初心者にもやさしい登山

剣山は古くから山岳信仰の対象として敬われてきました。他にも1185(文治元)年の「屋島の合戦」で敗れた平家の一行が幼い安徳(あんとく)天皇を連れて落ちのびてきたとか、かつて渡来してきた古代イスラエル人がソロモンの秘宝を埋蔵したとか、数々のミステリアスな伝説が語り継がれています。
▲リフトのりば隣の駐車場に向かう車内からは、剣山山頂部の全体像が見える。左の頂が剣山、右が「次郎笈(ジロウギュウ)」

そういったロマンを抜きにしても、純粋な登山スポットとしての魅力は十分な剣山。ただし、リフトでお手軽に登れることと、2,000m近い山をナメてかかることは別。動きやすい服装と帽子、運動に適した靴に水分補給の水筒、そしていざという時の雨具など、山登りに適した準備をして登りましょう。
▲リフトのりばは駐車場に隣接していて、車から降りてすぐに山へと出発できるのがありがたい

登山の始まりとなるのは、「剣山観光登山リフト」の見ノ越(みのこし)駅。体力に自信があれば、リフトを使わず自力で登ったり、片道だけリフトを利用するのもアリですが、今回は無理をせず往復券を購入。
▲急勾配で登っていくリフトからは、見える景色も刻々と変わる

標高1,420mにある見ノ越駅から約15分かけて、1,750mにある西島駅へと一気に330mも登ります。リフトに揺られながら振り返れば、すでに遠くの山々が見渡せる素晴らしい眺望が。山頂にはどんなパノラマが広がっているのか……と、期待も膨らみます。
▲どのコースを選んでも、無理なペースでなければ初心者にも登りやすいのが剣山

西島駅でリフトを降りると、登山コースの案内図が描かれた看板を発見。比較的なだらかな道が約2km続く「遊歩道コース」、急な坂道が連続する上級者向けの「行者コース」などいくつか選択肢がありますが……今回はちょっと強がりつつも無理はしすぎないというテーマで、全長1,200mを約1時間で登れる「大剱道(おおつるぎどう)コース」をセレクトしました。
▲西島駅の脇には、こんなとんでもない場所に設置されたベンチが!
▲こういうのを見ると、寒さ対策の必要性を感じますね~

コース入り口の目印となる小さな鳥居をくぐって、いよいよ登山開始!今回登ったのはGW明けの5月でしたが、驚かされたのは足下の日陰にある霜柱。平野部では25度を超える日が続いているというのに、霜柱って……。さすが高山。珍しく快晴に恵まれた日でもコレですから、天気の変わりやすい山では、真夏でも長袖は必携です。
▲歩きやすいように整備された山道がありがたい

歩を進めるにつれ息は上がり、じっとりと汗ばんでくる額と背中。でも次第に自分なりの山登りのペースがつかめてくればこっちのもの、やみくもに登っていた最初のような苦しさは感じなくなってきます。汗を冷やしてくれる風が心地よく、他の登山客とすれ違う時にも「こんにちは」とあいさつをする余裕すら出てきます。
▲「大劔神社」は基本的に無人。参拝は自由にできる

登り始めて30分もしないうちに見えてくるのが、大剱道コースの名前の由来でもある「大劔神社」です。「天地一切の悪縁を断ち、現世最高の良縁を結ぶ」という有り難い言い伝えがあるこの神社は、ここを目当てに剣山に登る人もいるほどのパワースポットで、社の背後にそびえ立つご神体の巨石にはパワーを感じずにはいられません。
▲病気を治す若返りの水とも言われるこの御神水(おしきみず)は、日本名水百選のひとつ

ここでちょっとコースを外れて、神社の脇にある小道を下って「剣山御神水」をいただきに寄り道しましょう。数十メートルほどの道のりですが、道中はなかなかに険しい道。ご神体の巨石の足下にある小さな社に湧き出す水は透き通るように透明で、キンキンの冷たさが喉の渇きを癒やしてくれます。しばらく休みながら、再び頂上を目指すガッツを充填!
▲ミヤマクマザサの茂る環境を守るために、登山道からは外れないように注意

頂上付近まで登り進めて来ると、次第に背の高い木が減り、一面が膝ほどの高さのミヤマクマザサに覆われているのに気がつきます。取材に訪れた5月はまだ残る寒さの影響で枯れたような色の部分も多いのですが、夏頃からは青々とした若葉が目を楽しませてくれるそうです。

登り始めて約1時間、予定どおりのペースでいよいよ山頂に到着!さすがに脚も限界になってきましたが、ここまで来れば「休みたい」という気持ちよりも「早く絶景を見たい!」という気持ちが先に立つから不思議です。
▲この風景が見たかった!周囲は背の低い草木ばかりなので、眺望が開けて見える

山頂にある三角点の周囲には展望デッキが数カ所用意されていて、周囲をぐるりと見渡すことができます。快晴のこの日は遠く東に淡路島、南に土佐湾も見渡すことができ、周囲に空以外に見上げるものが何も無いという風景はまさに絶景!そして圧倒的達成感!!
▲中央に見えるのが「次郎笈」。尾根に伸びる道をたどれば1時間ほどで到着するそう

剣山と対をなす「次郎笈」に向かって、尾根に沿った細い道が続いていますが、登山初心者の筆者としては次郎笈への道はまた次の機会に譲ることにしておきます。
▲三角点をぐるりと囲む展望デッキは、まさに360°のパノラマ。遠くまで見渡せる日もあれば足下に雲海が広がる日もある

展望デッキの付近では風景を眺める人、山頂の標識を入れて自撮りする人、小さなバーナーを使って慣れた手つきでコーヒーを入れる人など、過ごし方も様々。筆者はデッキに腰を下ろして、バッグに入れておいた袋菓子でも食べよう……って、平地との気圧差で袋パンパンやないかい!さすが標高1,955m、風景だけでなくこんなところでもその高さを実感させてくれます。
▲昭和30(1955)年の開設から多くの登山客を迎えてきた「剣山頂上ヒュッテ」

山頂の風景を堪能した後は、少し下った場所にある「剣山頂上ヒュッテ」で腹ごしらえ。ここは毎年4月27日から11月23日の期間のみ営業していて、食事だけでなく宿泊することも可能。ちなみに剣山は富士山に次いで日本で2番目に標高の高い測候所が早くから整備されたことから、このヒュッテには麓の村よりも先に電気の供給が始まったそうです。
▲取材時は温かい状態で提供。夏場は冷やしそうめんとして提供される

オーダーしたのは、剣山の麓にあるつるぎ町の名物「半田そうめん」(税込600円)。一般的なそうめんより少し太めでボリュームがありながらも、あくまでそうめんなので登山の妨げにならない適度な軽さと、ダシの効いたあっさりとした口当たりで胃を満たしてくれます。
▲昔は登山客が宿で食べる米は自分で持って登るのが一般的だったとか。その当時に手ぶらで来ても提供される最初のメニューとして登場したのが、このあめゆ

そしてもう一品、このヒュッテがオープンした当時からあるという名物の「あめゆ」(税込300円)。ショウガの効いた熱々のあめゆを飲めば、山頂の寒さで冷えていた身体が芯から温められるとともに、小学校のマラソン大会や運動会の後には決まってあめゆが振る舞われていたことを思い出します……あれ、この感覚って徳島県民だけなんですかね……?
ちなみに山頂ヒュッテの横にある「剣山本宮宝蔵石(つるぎさんほんぐうほうぞうせき)神社」では御朱印がいただけるのですが、平日は無人のため、御朱印がほしい人は神主さんがいる土・日曜やGW、夏休み期間中に登ってくださいね。

さて、山頂の風景も堪能したし、あとは下山するだけ。そう思って準備をしていたら、ヒュッテのスタッフさんが「下る時、足下を注意して見てください。この季節ならネコノメソウが小さな花を付けているかもしれませんよ」とのこと。
なにそのかわいい名前。早速スマホで画像検索して花の色と形を覚えます。せっかくなので帰りは別のコースを通ってみようと思い立ち、960mと最短距離で西島駅に着く尾根道コースを下りながらじっくりと足下を見ていると……。
▲ありました!予想以上に小さい、長さ5mmほどの葉が寄り添ったネコノメソウ

他にも剣山にはたくさんの植物が自生していて、特に8月頃にはキレンゲショウマの黄色い花が見頃なのだとか。尾根道コースの中ほどにある「刀掛(かたなかけ)の松」は、その群生地に続く道の目印です。ちなみに、国定公園に指定されている剣山では植物を採取したり、持ち帰ることはできません。当然ですが、ゴミもすべて持ち帰りましょう。
▲キレンゲショウマの群生地は尾根道コースの近くにある(写真提供:美馬市木屋平総合支所経済建設課)
▲安徳天皇が平家の武士とともに山頂に宝刀を納めに来た際、部下をねぎらい刀を掛けて休憩させたといわれる「刀掛の松」

ほどなく西島駅に到着し、リフトで見ノ越駅まで下りて剣山の登山は無事終了。運動不足の身体に登山は大変でしたが、それを上回る感動と発見がある体験でした。繰り返しになりますが、お手軽に登れるとはいえ相手は標高2,000m近い高山です。しっかりと準備を整えて、山登りを楽しんでくださいね!
青井 康

青井 康

地元徳島のタウン誌で勤務後に独立し、現在フリーのライター兼グラフィックデザイナー。なぜかやたらと人から道を聞かれやすい体質。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP