「牧野植物園」は3,000種類以上の植物と建築物が融合する癒しのスポット!

2019.07.02 更新

高知県出身の世界的な植物学者・牧野富太郎(まきのとみたろう)博士の業績を顕彰するため開園した「高知県立牧野植物園」。園内には、牧野博士ゆかりの植物や、高知県特有の草花など3,000種類以上が咲き誇ります。今回は、そんな植物の数々はもちろん、来園者が植物と一体になれるよう建てられた記念館や温室、レストランやショップも巡り、心の中から癒されてきました!

色とりどりの花と美しい緑に囲まれた癒しの植物園

JR高知駅から車で南東へ約20分。高知市街地を望む標高146mの五台山(ごだいさん)に「高知県立牧野植物園」(以下、牧野植物園)があります。この五台山は、牧野博士が青年期のころに訪れていた山で、植物園建設計画の際、牧野博士が「植物園を造るなら五台山がいい」と言ったことから、四国霊場第三十一番札所「五台山 竹林寺(ちくりんじ)」(以下、竹林寺)より土地を譲り受けて造られました。
▲「牧野植物園」までは、JR高知駅発の「MY遊バス」(五台山1日券:中学生以上税込600円、小学生税込300円)という周遊バスで行くことも!

「牧野植物園」の正門から「牧野富太郎記念館」本館にあるチケット売り場までのアプローチは、高知の豊かな自然を再現した「土佐の植物生態園」になっています。ここでは、高知の山地から海岸に至るまで生育する様々な植物を紹介しています。
▲正門から緑溢れる木のトンネルを抜けてチケット売り場へ
▲「土佐の植物生態園」には小さな滝や小川もあって涼しげな雰囲気

「牧野富太郎記念館」本館入口でチケット(税込720円、高校生以下無料)を購入したら、散策スタート!本館には、アトリエ実習室や映像ホールなどの多目的ホールがあります。また、1階では牧野博士の蔵書や遺品など、約58,000点を収蔵する牧野文庫(研究調査のみ利用可)をガラス越しに見ることができます。
▲奥に見える建物が「牧野富太郎記念館」本館

植物はもちろん、建築美も楽しめるのが「牧野植物園」の魅力。「牧野富太郎記念館」の本館と展示館は、三重県にある「海の博物館」などを手掛けた内藤廣(ないとうひろし)氏が設計しており、周辺の景観と調和するデザインや木の温もり溢れる空間が、なんとも素敵!自らを“草木の精”と呼んだ牧野博士にふさわしい建物となっています。
▲「牧野富太郎記念館」本館

「牧野富太郎記念館」本館から展示館へと続く回廊の左側には、2019年4月にオープンしたばかりの「ふむふむ広場」があります。ここでは、高知の暮らしに関わり深い果樹や野菜などを見られるほか、植物の葉や種子などを観察したり、ハーブの香りや触感を楽しんだりすることができます。
▲「牧野富太郎記念館」本館から展示館へと続く回廊。左側に見えるのが「ふむふむ広場」

本館から回廊の右側へ進むと、2019年3月にオープンした「こんこん山広場」へ行くことができます。「草原エリア」「花木類のエリア」「芝生広場」の3つのエリアが楽しめる広場には、美しい海や竹林寺の五重塔、植物園の南園や温室などを望める展望台とデッキが設けられています。
▲「こんこん山広場」の草原エリアでもフラワーショーが開催されていた

四季折々の植物が楽しめる草原エリアには、一面に色とりどりの草花が咲き誇ります。花畑の間には小径があるので、花に囲まれて写真撮影するのもオススメです。
▲「こんこん山広場」の芝生広場。撮影時(2019年5月)は、フラワーショーが開催されていた

牧野博士が東京都の自宅に自身で植えたというオオカンザクラとタイワンニンジンボクを植栽した芝生広場では、座ったり寝転んだり、レジャーシートを敷いてピクニックを楽しむことも!
▲「カンナ&ローズ園」。5月には満開に咲くバラを楽しめる

お次は、かつて竹林寺の境内だった古い石垣や参道、起伏に富んだ地形を活かして造園された南園へ!道中には、「カンナ&ローズ園」や、大規模なサギのコロニーが見られる展望デッキなどがあります。
▲トビカズラは常緑つる性植物。なんだか神秘的な姿

「カンナ&ローズ園」のすぐ近くには、トビカズラという珍しい植物が根をおろしていました。トビカズラは、日本国内で果実をつけたという事例が多くはないそうですが、「牧野植物園」では、毎年、花と果実の両方が楽しめるそう!
▲暗紫色の花が特徴的なトビカズラの花。例年4月中旬~5月下旬が見ごろ
▲牧野富太郎像。右手には、カラカサタケというキノコを持っている

牧野博士の像が建つ南園では、「牧野植物園」が国内外から収集した野生のツツジやアジサイの仲間、サクラ類やハナショウブ、ハスやリンドウなど、様々な草花を楽しめます。
▲5月下旬から開花するホタルブクロ
▲5月中旬~6月に開花するシモツケ
▲散策ロードには、小川や池も
▲新緑に囲まれた道は、まるで森林セラピーロードのよう

「牧野植物園」を訪れたらぜひ見ていただきたい花のひとつがアジサイコレクション。こちらでは、西洋アジサイやヤマアジサイなど約80種類のアジサイの仲間を育てており、例年5~6月頃には、南園のあちこちで色とりどりのアジサイを見ることができます。
▲ヤマアジサイに囲まれた素敵な小径
▲‘紅’という名が付けられているヤマアジサイ

春には桜やツツジ、夏にはアジサイやユリ、秋にはキクやツワブキ、冬にはツバキやユキワリイチゲなど、四季折々の花が楽しめるため、何度も訪れたくなります。
▲牧野博士が和名を付けたサクラ属の園芸品種‘仙台屋’は、3月末~4月上旬に花を楽しめる
▲ノジギク。見ごろは、例年11月上旬~下旬予定
▲ユキワリイチゲ。見ごろは、例年2月下旬~3月中旬予定
▲南園の西側にある温室。隣には植物園の南門があり、そちらから入園することも可能

散策を楽しんだら、園内でも人気が高い温室へ。熱帯さながらの室内では、国内外から集めた貴重な植物や色鮮やかな熱帯花木、熱帯果樹などを一年中楽しめます。
▲温室の入口。フォトジェニックな空間が女性に大人気!

温室の入口は大木の洞窟をイメージした高さ9mの塔になっており、壁面で熱帯植物のアコウを植栽しています。2050年くらいにはアコウが壁面を覆い尽くす姿が見られるかもしれないとのこと!
▲テーブルやイスもあるので、熱帯の森をゆっくりと満喫できる

温室に入ると、そこは別世界!まるでアマゾンのジャングルに迷い込んだかのような室内は、乾燥地の植物・資源植物ゾーン・展望デッキ・ジャングルゾーンなどに分かれています。
▲乾燥地の植物コーナーでは、ガステリアやハオルチア、アロエ類などの多肉植物を見ることができる
▲果実が実ったバナナの木

熱帯地域ならではのカラフルなお花もいっぱい!その鮮やかな色合いと美しさは、自然のものとは思えないほど!
▲ボルネオ島やスマトラ島に分布するトリコグロティス・スミシー。数年栽培し、つくりこむと茎に沿って整然と花が並び、この種独自の造形を楽しめる
▲エルサルバドルやホンジュラスの熱帯雨林に自生するアリストロキア・サルバドレンシス
滝が設けられたジャングルゾーンでは、シダ類やベゴニア類、アナナス類やサトイモ類などが見られます。
▲オオオニバス。丸くて大きな葉が印象的

2階には温室内を一望できる展望デッキがあり、その前の池には巨大なオオオニバスが!なんと、大きいもので1枚の葉が直径1.5mから2mにもなるそうです。
▲「牧野植物園」では、「オオオニバスにのろう!」というイベントも実施(2019年は7月28日と8月4日)。体重15kg以下のお子さんは体験できるそうなので、ぜひ!
▲三角屋根が印象的な「南園ガーデンショップ nonoca」

他にも南園には、牧野博士によってシンビディウム・カンランと学名が付けられた初冬に咲く寒蘭を中心に紹介している「土佐寒蘭センター」、日本の伝統園芸植物を観賞できるコーナー、また、温室の近くには季節の植物や牧野博士のグッズ、高知のお土産などを販売している「南園ガーデンショップ nonoca」もあるので、ぜひ立ち寄ってみてください。
▲「南園ガーデンショップ nonoca」では、牧野博士が描いた植物画や、博士ゆかりの植物写真のポストカード(1枚税込100円)などを販売

日本の植物分類学の基礎を築いた牧野富太郎博士

▲植物の美しさと建築美が織りなす絶景

植物に癒された後は、「牧野富太郎記念館」の展示館に戻って牧野博士の足跡を辿ることに。
本館と同じく、植物をぐるりと囲むように立つ展示館。そよそよと風が吹き抜けるデッキスペースでしばし、その景色に酔いしれます。
▲「牧野富太郎記念館」展示館の中庭

展示館の中庭では、牧野博士が愛したというバイカオウレンをはじめ、マルバマンネングサやヒメハマナデシコなど、博士ゆかりの植物約250種類が植栽されています。
▲四国に多く分布するバイカオウレン。見ごろは1月上旬~2月中旬予定
▲一度見たら忘れられない特徴的な形をしたアリマウマノスズクサ

筆者が取材に訪れた時季は、牧野博士が兵庫県有馬郡(現在の神戸市北区)の五社(ごしゃ)周辺で発見したことから命名したアリマウマノスズクサが開花していました。
▲故郷の高知県高岡郡佐川(さかわ)町で過ごした少年期から、青年期、壮年期、晩年の4つのブースで牧野博士の生涯を紹介

展示館の常設展示室では、牧野博士の94年にわたる生涯や業績を、蔵書や著書、パネルや写真などで紹介。2019年の8月には大幅にリニューアルし、牧野博士が採集した植物標本や自筆の植物図を展示する「牧野蔵」や4K映像のシアターも開設するそうです。
※リニューアルに伴い、2019年6月1日~8月2日までは展示館の常設展示室を閉鎖
▲展示室には、牧野博士が実際に使用した採集道具や日記、直筆の書や蔵書などを多数展示

牧野博士が収集した植物の標本はなんと約40万枚、命名した新種や新品種の植物は1,500種類以上といわれています。世界的権威となった博士は、78歳で研究の集大成「牧野日本植物図鑑」を刊行。この本は改訂を重ねながら現在も販売されています。
▲牧野博士の書斎「繇條書屋(ようじょうしょおく)」を再現したコーナーには、晩年の博士を模したリアルな人形も

散策を楽しんだ後は本館にある「レストラン アルブル」でお腹を満たすことにしました。こちらでは、高知の旬野菜や土佐和牛など、地元の食材をふんだんに使用した料理やスイーツ、カフェメニューが楽しめます。
▲「レストラン アルブル」

オススメはシェフこだわりの「薬膳ランチ」(税込1,300円)。こちらは、植物園の現園長が薬学博士であることから考案されたランチで、漢方などを取り入れた美味しくて身体に優しい逸品です。お肉や魚など内容は時期によって変わるそうですよ。
▲女性に人気の「薬膳ランチ」は、身体も心も喜ぶ逸品

今回いただいたのは、「乙女鯛のカルパッチョ薬膳ジュレ」!高麗人参やスパイスなどをコンソメジュレと合わせた風味豊かなソースが、乙女鯛の旨みや甘みとマッチする、クセになる味わいでした。
▲写真手前「カシスとレモンのマチェドニア風ジュレ」(税込400円)、写真左奥「完熟メロンのパンナコッタ」(税込400円)

ランチの後はやっぱりデザート!ということで、「カシスとレモンのマチェドニア風ジュレ」と「完熟メロンのパンナコッタ」をオーダー。フレッシュな果実の美味しさがギュッと詰まったキュートなスイーツです。
「レストラン アルブル」の隣には、「ミュージアムショップ バイカオウレン」も併設。店内には、牧野博士にまつわるグッズや植物園のオリジナル商品がズラリ!
▲手前が「ミュージアムショップ バイカオウレン」、奥が「レストラン アルブル」
▲「Makinoオリジナルブレンドティー」(各税込324円)

「ミュージアムショップ バイカオウレン」のオススメは、牧野博士が命名した植物・スエコザサや、ゆかりの植物・ケケンポナシ、ユズを使った3種類の「Makinoオリジナルブレンドティー」です。香り高く、味わい豊かな逸品で、お土産にもうってつけ!
▲2018年度夜間開園「よるまきの」は、4~9月17:00~21:00、3・10月17:00~20:00。11~2月はなし

また、「牧野植物園」では、毎週土曜開催の夜間開園「よるまきの」(入園料:税込 500円、高校生以下無料)を実施。ライトアップされた美しい南園と温室を楽しめます。詳しくは牧野植物園の公式ホームページをチェックしてみてくださいね♪

生命力に溢れた植物たちの美しさもさることながら、自然と見事に融合した建築美にも感動。季節ごとはもちろん、夜や雨の日など、色んな表情をまた見に行きたくなる、癒しの植物園でした。

※一部写真は提供「高知県立牧野植物園」
畔元志保

畔元志保

高知県生まれ、高知県育ち、高知県が大好きな高知県民。高知県のタウン誌「ほっとこうち」の編集部勤務を経て、フリーライターになり、横長の高知県を西へ東へ駆け巡っている。高知県の大自然と、可杯・箸拳・菊の花を愛するお酒好き!

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