古代日本の首都!奈良・明日香村をレンタサイクルで1日周遊

2019.06.21 更新

今からおよそ1400年前の飛鳥時代。日本の中心は、現在の奈良県明日香(あすか)村にありました。当時の繁栄を物語る古墳や古代遺跡が点在する明日香村を観光するなら自転車がおすすめ!近鉄飛鳥駅前のレンタサイクル店で自転車を借りて、古代ロマン漂う歴史スポットをめぐってきました。周辺の風光明媚な景色も必見ですよ。

▲国の特別史跡に指定されている「石舞台古墳」

飛鳥駅に着いたら、お得で楽チンな観光ツールをゲットしよう

明日香村へのアクセスは、奈良の中心地・近鉄奈良駅から近鉄電車を乗り継いで約1時間。または大阪阿部野橋駅から近鉄特急もしくは急行電車で約40分。最寄りの飛鳥駅に到着します。駅前広場に出たら、まずは「飛鳥びとの館」に立ち寄りましょう。明日香村をお得に回れる情報が入手できます。
▲左奥が飛鳥駅で、右の建物が「飛鳥びとの館」です
▲館内では観光情報のほか、飛鳥時代の出来事を映像でわかりやすく紹介しています。お土産やグッズ販売も

「飛鳥びとの館」に立ち寄った目的は、「飛鳥王国パスポート」(税込100円)をゲットすること!村内の観光スポットを効率的に回れるルートや名所旧跡について説明された小冊子で、観光施設や寺社の割引券も付いています。お得に回るには、ぜひ持っておきたい一冊ですね。
▲持ち歩きやすい大きさなのもうれしい「飛鳥王国パスポート」
▲明日香村の観光スポットには、各所に記念スタンプが置いてあるんです。さっそく1つ目のスタンプを、パスポートにペタッと押して記念に
明日香村のある一帯は「国営飛鳥歴史公園」に指定され、「高松塚周辺地区」や「石舞台地区」など、5つの地区に分かれています。広いエリアなので、徒歩より自転車などで回るのがおすすめ。同じ駅前広場にある「明日香レンタサイクル(飛鳥駅前営業所)」で自転車を借りるのが便利です。明日香村はゆるい坂道が多い丘陵地帯なので、特に電動自転車がおすすめですよ。
▲左が電動自転車、右が普通の自転車。普通自転車のサイズは、子供用から大人用まで5種類が用意されています

レンタル料金は、1日利用で普通自転車が平日900円、土・日・祝日だと1,000円。電動自転車は一律1,500円です(すべて税込)。営業時間は9:00~17:00なので、特に返却時間に気をつけてくださいね。
▲ここでさっそく「飛鳥王国パスポート」を利用。1台100円割引になります
▲明日香レンタサイクルでいただいた地図。左下にある飛鳥駅前から、東側にある「石舞台古墳」の方へ向かいます。ルートを確認して、いざ出発!(画像提供:明日香レンタサイクル)

まずは「高松塚古墳」へ!飛鳥美人に会いにいこう

最初に向かうのは駅前広場から自転車で10分ほどの場所にある「高松塚古墳」と「高松塚壁画館」です。木々や畑、田んぼの風景を眺めながらどんどんペダルをこいでいきます。風が気持ちいい!
▲この辺りは「国営飛鳥歴史公園」の「高松塚周辺地区」。芝生広場を横に見ながらサイクリングを楽しみます

1962(昭和37)年、村人がショウガを貯蔵しようと土を掘っていたところ見つけたのが、高松塚古墳でした。694(持統8)年~710(和銅3)年にかけて築造された、丸い形の二段式の円墳です。
埋葬された人物は特定されていませんが、天武天皇の皇子、大和朝廷の大臣を歴任した石上麻呂(いそのかみのまろ)、もしくは朝鮮半島から来た王族の墓という3つの説があります。
▲下段は直径23m、上段は18m、高さ5m。筆者と並ぶとこの規模感。やっぱり古墳は大きい!

古墳の内部は部屋になっていて、1972(昭和47年)の考古学調査により、棺のあった部屋で極彩色の壁画が発見されました。実際の壁画は、保存と研究のため別の施設に移されていますが、古墳の隣にある「高松塚壁画館」には壁画の精巧なレプリカが展示されています。さっそく訪ねてみましょう。
▲高松塚壁画館の入口

東西南北それぞれの壁に、中国の神話上の四神である玄武(げんぶ/北)、青龍(せいりゅう/東)、白虎(びゃっこ/西)、朱雀(すざく/南)などが描かれたと考えられているこちらの壁画。ただし南の壁に描かれた朱雀は、盗掘にあった際に失われたとされています。
壁画館には、そんな四方に描かれた壁画の模写図をはじめ、盗掘をまぬがれた副葬品などが展示されています。館内は写真撮影が禁止されていますが、今回は特別に撮影をさせていただきました。
▲館内には、発見された当時の姿を忠実に再現した「現状模写」(写真右)と、一部復元して見やすくした「復元模写」(写真左)が展示されています
▲四神のほかに男女の群像や、天井には「星宿図(せいしゅくず)」も描かれました。「斗(ひつき)」と呼ばれる現在の南斗六星など、28もの異なる星座があります

高松塚古墳を一躍有名にしたのが、壁面に描かれた男女の群像。中でも鮮やかな色彩で優美な雰囲気の女性4人の姿は「飛鳥美人」と注目されました。
▲ゆったりとした極彩色の衣装をまとう、4人の「飛鳥美人」たち。こちらは復元です

女性たちの息づかいや笑い声まで聞こえてくるようで、1400年前が急に身近に感じられるような気がしました。

かわいい姿なのに怖い言い伝えがある「亀石」

明日香村には古墳や遺跡以外にも、「酒船石(さかふねいし)」や「鬼の俎(まないた)」などの言い伝えだけが残る謎の巨石が点在しています。高松塚古墳から自転車で15分ほど走ったところにある「亀石」もそのひとつです。
▲あぜ道の途中に突然現れる亀石。名前の由来は、見た目が亀に似ているからとか

亀石は花崗岩でできた大きな石で、前方に顔のような彫刻がほどこされています。はじめ顔は北向きだったそうですが、現在はどういうわけか南西向き。これが西を向いた時に、大和の国一帯(現在の奈良盆地)は泥の海に沈むと言い伝えられています。
▲身長165cmの筆者と比べてこの大きさ!奥行き4m、幅2m、高さ2mほどあります

のんびり日向ぼっこしているような穏やかな表情からは想像もできないほど、恐ろしい言い伝えですね。このまま平穏に向きを変えずにいてくれることを願いましょう。

日本最大級の「石舞台古墳」に潜入!

亀石から自転車で15分ほど走り、石舞台古墳にやってきました!日本最大級の方墳です。
飛鳥時代の実力者で、聖徳太子と同時代を生きた政治家・蘇我馬子(そがのうまこ)がかつてこの辺りに住んでいたこと、また巨大な墓に葬られた記録が残っていることから、馬子の墓といわれています。
▲石舞台古墳の見学は有料なので、入口で料金(一般300円、高校~小学生100円 ※ともに税込)を払って敷地内へ入ります

大抵の古墳には盛り土がしてありますが、石舞台古墳は巨大な横穴式石室(遺体を納める部屋へつながる通路を造りつけた石積みの墓室)が露呈した独特の形をしています。天井石の上面が広く平らでまるで舞台のようなので、古くから「石舞台」と呼ばれています。
▲石舞台古墳は、近くで見てもやっぱり大きい!

中でも一番上に並ぶ2つの巨石は、左(北側)が推定64t、右(南側)が77tとかなりの重量。そして、古墳を形作る30数個の岩の総重量は約2,300tだそう!
造られたのが7世紀初め頃と推定されていて、当然クレーンなどの運搬機械がない時代。巨大な石もすべて人の力で運ばれました。当時の土木・運搬技術の高さがうかがわれますね。
▲近づいて、石の隙間から中をのぞいてみましょう。あれ?底の深い、大きな空間がありますよ!?

実は石舞台古墳は中に入れるんです。気になるのでさっそく行ってみましょう!
▲南側に、石舞台の内部へ通じる羨道(せんどう)があります
▲入口の高さは2mくらい

内部は「玄室(げんしつ)」といって、かつて棺が納められていたはずの部屋です。室内の高さは約4.8m、奥行きは約7.6m、幅約3.5m。上の天井部分にある石が石舞台古墳の一番上にある巨石で、隙間からうっすら光が差し込みます。
▲もし重い巨石が落ちてきたらとおっかなびっくり入りましたが、石に囲まれているうちに気持ちが落ち着いてくる、不思議な空間

発掘調査では石棺は発見されず、石棺のかけらのみが見つかったそうです。
▲春は石舞台古墳のまわりが桜でピンクに染まります(写真提供:明日香村教育委員会)

有名な石舞台古墳ですが、実際に見ると迫力ある巨石に圧倒されます。そして玄室の力強くおごそかな雰囲気に、神秘的なパワーをもらえた気がしました。

石舞台の近くで古代米を味わえる「農村レストラン 夢市茶屋」

さて、遺跡めぐりで古代に思いを馳せたところで、ランチに「古代米」をいただくことにしました。古代米とは稲の原種である、野生稲の特徴を引き継いだお米のことです。聖徳太子も食べたかもしれないという古代米を、石舞台古墳から歩いて5分ほどのところにある「農村レストラン 夢市茶屋(ゆめいちちゃや)」でいただきましょう。
▲レストランは、観光拠点「明日香の夢市」の2階にあります
▲施設内からも上がれますが、石舞台古墳側の広場からスロープで直接2階へ入ることもできます
▲広い店内には大小のテーブルで45席。外のデッキにも8席あります。デッキはペット連れOK

地元の主婦が作る手料理がおいしいと評判ですが、中でもイチオシの「古代米御膳」(税込・1,080円)をいただきます。
▲カウンターで先に注文と支払いを済ませて席で待っていると運ばれてきました!こちらが「古代米御膳」です

古代米ご飯を中心に、鶏の唐揚げ、地元産の旬の野菜を使った煮物や和え物など、皿や小鉢に盛られた7品が並びます。そこに手作りの生姜の佃煮や、デザートに地元のブランド苺「あすかルビー」が添えられています。
▲古代米には赤、黒、緑などがありますが、こちらは白米に赤米と黒米をブレンドして炊き上げています

古代米は口に入れたとたん、もちもち感とともにかすかにプチプチとした食感が。米の甘みがおいしい!
そして古代米と並んでお客さんに評判なのが、同店手作りの「呉豆腐(ごどうふ)」です。
▲豆乳と吉野葛で作った明日香の呉豆腐。箸で切ろうとするとその弾力の強さに驚かされます

口に入れるとねっとりした食感とコクのある味で、スッと喉を通っていく呉豆腐は、いくらでも食べられそう。単品では提供されておらず、お土産としても販売されていないので、この御膳でしか食べられない、大好評のお豆腐です。

他にも人気の「古代米カレー」(税込・860円)や、古代米おにぎり(2個・税込・360円)など、手作りメニューが並んでいました。ぜひそれらも味わってみてください。
▲1階では地元で採れた新鮮な野菜や果物、手作りの加工食品などの地場産品を販売しています。こちらにもぜひ立ち寄ってみてくださいね(写真提供:明日香の夢市・夢市茶屋)
▲緑の自然と風が爽やかな、石舞台古墳周辺の風景

少し足を延ばして「飛鳥寺」へ。日本最古の寺院と仏像に出会う

時間に余裕があったら、石舞台古墳から自転車で15分ほどの場所にある「飛鳥寺」まで足を延ばしてみましょう。こちらは仏教を保護した蘇我馬子の発願で、約8年をかけ596(推古4)年に創建された日本で最初の本格的な仏教寺院です。
▲こぢんまりとしたお寺ですが、「日本で最初」がたくさん詰まっています

創建当時は、塔を中心に3つの金堂を配置し、外側に回廊が巡らされた大規模なお寺でした。
造営には朝鮮半島にあった国家・百済(くだら)などから来た多くの技術者が関わりました。大陸から仏教が伝わったことで、仏教にまつわる技術や美術など、当時のアジアの最新文化が日本中に広がり、各地の寺院造営につながったのです。
ちなみに、日本で初めて屋根に瓦が使われたのも、ここ飛鳥寺なのだとか。
▲美しいたたずまいの本堂。鎌倉時代にお寺の大半が焼失したため、現在の本堂は江戸時代に再建されたものです

日本最古の仏像である釈迦如来坐像・通称「飛鳥大仏」は、この本堂の中にあります。
飛鳥大仏は女性で初めて天皇になった推古天皇が、聖徳太子や蘇我馬子に命じて造らせたものです。制作したのは当時の名工・鞍作止利(くらつくりのとり)です。
▲日本最古の仏像・飛鳥大仏。約15tもの銅を用いたといわれ、高さ約3m。造られた当初は全身に約30kgの黄金が塗布されていたそう

他の日本の仏像と比べて鼻が高く、少しほっそりした顔立ちは朝鮮半島や中国の影響とのこと。表情は、向かって右から見ると厳しく、左からだと優しく見えるのが不思議です。
1400年間、同じ場所に座っておられる飛鳥大仏。もしかしたら推古天皇や聖徳太子も、私たちと同じように参拝していたのかもしれませんね。
▲ご住職から、飛鳥寺の成り立ちを聞くことができます。お話が終わった後、写真撮影が可能です

お寺の中には、瓦をはじめとしたさまざまな出土品が展示されています。それらを見学した後、境内の西門から70mほど行くと、「五輪塔(ごりんとう)」があります。別名「入鹿(いるか)の首塚」です。
▲「入鹿の首塚」。向こうに見える「甘樫丘(あまかしのおか)」からは、明日香村を一望できます

入鹿とは蘇我入鹿のことで、石舞台古墳に葬られたといわれる蘇我馬子の孫です。飛鳥寺から南へ500mほどの場所にあった皇居「飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)」で「乙巳の変(いっしのへん)」が勃発した際、そこで中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)と中臣鎌足(なかとみのかまたり)によってはねられた蘇我入鹿の首が、ここまで飛んできたという伝説があります。

その後、中大兄皇子が「大化の改新」と呼ばれる政治改革を実行したことは、あまりにも有名ですね。
▲飛鳥寺のご朱印もいただきました(納経料300円)

私たちが訪問している間も、修学旅行や観光グループの団体、そして個人旅行者など、ひっきりなしに人が訪れていた飛鳥寺。知れば知るほど、見える景色が違ってくる気がしました。京都や奈良の立派な寺院と並び、ぜひ訪れておきたい場所です。
飛鳥寺からスタート地点の飛鳥駅までは、自転車で20分ちょっとで戻ることができました。
今はのどかな風景が広がる明日香村。でも1400年前は天皇が住み、政治が行われる、現在の東京と同じような日本の中心地でした。飛鳥時代中頃には最初の元号「大化」が制定され、大化の終盤に倭国から「日本」と呼ばれるようになりました。
248番目の元号である「令和」が幕を開けたばかりの今こそ、歴史のダイナミズムを体感しに、ぜひ明日香村を訪れてみてください。
國松珠実

國松珠実

大阪エリアの女性ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」所属。人と話すのが好きで店舗や企業取材を得意とする。また旅行好きが高じて世界遺産検定1級を持っている。 編集/株式会社くらしさ

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