美肌の湯としても横綱級!「俵山温泉」のレトロな風情とグルメを丸ごと満喫

2019.06.04 更新

山口県長門市南西部の山深くに位置する「俵山(たわらやま)温泉」。1100年以上もの歴史を刻み、泉質の良さで知られる病気療養の湯治場として古くから栄えました。近年では「美肌の湯」としても注目を集め、昭和レトロな温泉街の風情も相まって、観光スポットとしても人気上昇中です。小さな温泉街ながら、お楽しみは盛りだくさん。俵山温泉の魅力を堪能し尽くします!

優れた泉質は国のお墨付き。近年は美肌の湯として女性が注目!

山口県の北西部に位置する長門(ながと)市は、「元乃隅(もとのすみ)神社」「青海島(おおみじま)」など、県内でも有数の絶景スポット集中エリア。さらに、ロシア・プーチン大統領の宿泊でも知られる「湯本温泉」、温泉総選挙「うる肌部門」で2017年より2連覇中の「ホテル楊貴館」など温泉も粒ぞろい。山口県観光において必ず訪れたいエリアです。

そんな同市において、さらにおすすめしたいスポットが今回ご案内する「俵山温泉」なのです!公共交通機関でのアクセスはJR下関駅発着の路線バス(所要時間約105分)があるものの、山深くの小さな温泉地のため、自家用車かレンタカーでの訪問が便利です。
▲俵山温泉へは、中国自動車道・美祢(みね)ICから約40分。途中の経由地・湯本温泉から、さらに峠道を進む

温泉の発見は平安時代初期の916(延喜16)年とされ、1100年以上の歴史を刻みます。白猿(はくえん)に化身した薬師如来が猟師に温泉の存在を教えたという言い伝えがあり、温泉街では猿にちなむイラストをあちこちで見つけることができます。
▲温泉街の入口「俵山温泉バス停」の案内板では、白猿がお出迎え
▲温泉街の道路には「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿のイラストが

俵山温泉は、江戸時代には毛利藩直轄で管理され、明治時代以降もリウマチや神経痛、胃腸の病気などを患う全国各地からの湯治客で栄えました。現在でもその優れた泉質は、全国24カ所ある「国民保健温泉地」の一つとして、国のお墨付きを得ています。
▲俵山温泉に五つある源泉の一つ「河内湯泉」。俵山温泉の効能を「西日本の横綱」と評する温泉学者もいるそう

その泉質は、アルカリ性単純泉でPH値は約9.8。ここで「あっ!」と気付いたあなたは流石の温泉通!そう、病気療養のみならず、お肌のクレンジング効果も期待できるといわれる泉質なんです。

そのため、かつては湯治のために長期滞在するという利用者がほとんどでしたが、近年は「美肌の湯」を求めて、日帰りでも多くの人が訪れています。

俵山温泉の公共浴場「町の湯」と「白猿の湯」へ。周辺の情報収集にもおすすめ

そして、古き良き日本の郷愁を誘う光景もまた、俵山の魅力の一つです。木造旅館が軒を連ねる温泉街の風情は、まるで昭和のまま時が止まったかのよう。令和へと時代が移り、その魅力をなおいっそう増しているようです。
▲木造旅館が立ち並ぶ温泉街。旅館から外湯の公共浴場へ通うのが俵山温泉のスタイル

俵山温泉を訪れたなら、そんな風情ある温泉街を歩き、まずは二つの公共浴場「町の湯」「白猿の湯」を訪れましょう。温泉街や周辺観光地に関するパンフレットが手に入るので、情報収集にもおすすめです。
▲温泉街中央に位置する「町の湯」。2階は無料休憩所となっている

「町の湯」の建物に入ると、すぐに飲泉場が!注ぎ口からは、常時かけ流しのお湯が流れ出ています。備え付けのコップに注いでさっそくいただいてみましょう。
▲飲泉はぬるま湯を飲むような感覚。販売もされており、北海道から注文するお客さんもいるそう

飲泉は胃腸の疾患などに効能が期待できるとされ、無味ながら硫黄の香りがほのかに漂います。硫黄の香りは、筆者にとってほとんど気にならない程度。何よりも想像以上に柔らかな口あたりがとても印象的でした。
▲そのまま内湯でひとっ風呂というのもいいかも。受付の方によると、「飲泉→入浴→飲泉」のスタイルがおすすめとか(写真提供:俵山温泉)
さて、「町の湯」は飲泉のみで後にして、今回は露天風呂のある「白猿の湯」で入浴を楽しむことにします。ちなみに、俵山では湯治という観点から、一度入浴したらしっかり休息をとることが推奨されており、“はしご湯”はおすすめできません。
▲「町の湯」からわずか徒歩3分ほどの場所にある「白猿の湯」。1階では土産物も販売されている

「白猿の湯」は、もともとあった公共浴場を観光向けにリニューアルして2004(平成16)年に誕生した入浴施設。以来、より多くの人が足を運ぶようになり、俵山温泉が美肌の湯として注目を集めるきっかけにもなりました。無料の足湯、さらには、なんとペット向けの浴場まで備えられているんです!
▲玄関への階段の途中にある足湯(無料、7:00~20:00)もかけ流し。浴槽の中央からコポコポとお湯が湧き出ている
▲ペット湯(税込2,000円~、11:00~16:00)の利用は予約が必要

受付を済ませてさっそく大浴場へ。男女とも、内湯の浴槽が二つと露天風呂が一つという構成です。ここで要チェック!内湯に並ぶ二つの浴槽は、それぞれお湯が異なっているんです!

入口側にあるのが「1号湯」。俵山最大の湧出量を誇る「川の湯源泉」(毎分97L、泉温約41.1度)と呼ばれる泉源のお湯がかけ流しで注がれています。
それではお湯に浸かってみましょう!
▲手前が「1号湯」で奥が「2号湯」。いずれもかけ流しのお湯が楽しめ、湯の花が浮いていることもある(写真は男湯)

わわわ、入った途端にお湯の中で肌がつるつるとした感触に~!その感覚は、「おおっ」と思わず声をあげてしまうほど。お湯の温度は季節に多少左右されるそうですが、ちょっとだけぬるめのお湯加減で、気持ちよすぎていつまでも浸かっていられそうです。

なお、「白猿の湯」入口の掲示にもありますが、入浴に伴う疲労を考慮し推奨される入浴時間は、体を洗う時間も含めて30分程度とのこと。ほどほどに「2号湯」の浴槽へと移ります。こちらは「川の湯源泉」にさらに二つの泉源をブレンドしたお湯となっていて、ちょっと熱めです。

1号湯ほどのつるつる感はないものの、浴槽の一角は「マイクロナノバブル」という装置による泡風呂となっています。何だか、超音波でマッサージされているような感覚…、き、気持ちいい~♪
▲「マイクロナノバブル」は2号湯の窓側で楽しめる。ボコボコと水流のある泡風呂ではなく、極小気泡が体にまとわりつくような感覚

そして、露天風呂も2号湯と同じお湯。訪れた日は快晴で、新緑の山々を見ながら開放感ある入浴を楽しめました。火照った身体に、初夏の山風の爽快感といったら!これぞ露天の醍醐味ではないでしょうか~。
▲快晴時の露天風呂は開放感も抜群。温泉街全体で屋外照明が極めて少ないということも相まって、夜には満天の星が眺められる

なお、あくまでも筆者の感想ですが…風呂上がりに身体を拭くと、明らかにお肌のスベスベ感が増しているような気がします!効能が長続きするのも俵山のお湯の特徴とのこと。女性を中心にリピーターが増えていることにも納得です。

風呂上がりに俵山グルメを堪能!定番「釜蒸し豆腐」と人気急上昇中の「とりそば」

お湯を存分に楽しんだ後は、心なしかお腹も空いてきたような…。「白猿の湯」には、レストラン「涼風(りょうふう)亭」が併設されており、数々の人気メニューが存在します。
▲涼風亭は高台にあり、眺めの良さも抜群

まず紹介するのは「とりそば」(税込850円)。観光客だけでなく、地元でもハマる人が続出しているという、人気急上昇中の“ご当地中華そば”です!
▲地元民も絶賛する「とりそば」

長門市は古くから養鶏業がとても盛ん。「とりそば」には、「長州どり」という地元のブランド銘柄の鶏肉がふんだんに使われています。

まずはスープ。長州鶏からとった醤油仕立てで、とてもまろやかな味わい。中細のちぢれ麺によく絡みます。と~っても優しいお味!これは飲み干せてしまいそう~。
▲モチモチ食感のちぢれ麺。スープとも、具材とも相性は◎

そして、なんという具だくさん!長州どりの唐揚げに、とろろ、チンゲンサイ、モヤシ、ネギにきざみ海苔まで!なんと言っても、揚げたての唐揚げがたまりません。カリッとした香ばしさとともに、スープに浸った鶏皮がしんなり…、美味しい~!これは誰もがヤミツキになること請け合いです!

ヘルシーなことで人気の特製「釜蒸し豆腐」(税込580円)も外せません。注文して、すぐに配膳されますが、実は仕上げはここから。店員さんが固形燃料に火をつけてから待つこと約15分、火が消えれば蒸し上がりのサインです。
▲右上にあるのが「釜蒸し豆腐」。定食など、他のメニューに追加する形で注文するのがおすすめ。写真は「長州どりの唐揚げ定食」(税込950円)と一緒に
▲湯気が隙間から勢いよく噴き出す。固形燃料の火が消えるまでひたすら待つべし

さっそく、熱々のうちにいただきます!ハフハフ…、一般的な湯豆腐よりも濃厚な味わい、特製ごまだれの素朴な風味とよく合います!こちらも、俵山に訪れたなら、ぜひ味わっておきたい逸品です。う、旨い~。
▲レンゲですくって、涼風亭特製のごまだれ、またはポン酢でいただく

昭和レトロな街並みを探索!手作りの「三猿まんじゅう」は1個35円!

ご当地グルメで至福のひとときを過ごした後は、腹ごなしに温泉街を散策してみましょう。温泉街のメーンストリートは基本的に一本道で、ぐるっとひと回りしても30分程度。レトロな佇まいの旅館を眺めたり、小さな脇道をちょっと探検したり、昭和の雰囲気そのままの街を歩いて行きます。
▲何の変哲もない坂道も情緒が漂う。SNS映えも期待できそう~!
▲小高い場所にある「白猿山薬師寺(はくえんざんやくしじ)」。俵山の守護寺で白猿伝説にまつわる薬師如来が祀られている

温泉街の終点付近の交差点にあるのが、「福田泉月堂(ふくだせんげつどう)」という土産物店です。このお店も、見たままいかにも“昭和の商店”という風体。俵山名物の「三猿まんじゅう」は、唯一このお店で製造されています。
▲福田泉月堂。店頭では、ガラス越しに製造する様子を見物できる
▲専用の型枠を使って、丁寧に手焼きで製造される(写真提供:俵山温泉)
▲運が良ければ焼き立てを購入できる。閉店時間が15時と早いので、絶対味わいたいなら注意が必要(写真提供:俵山温泉)

その名のとおり「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿をかたどったまんじゅうで、中には白あん、黒あんがたっぷり!なお、どちらのあんが入っているかは、食べてからのお楽しみなのだとか。しかも1個・税込35円!と超リーズナブル!!

では一つ、手に取った「いわざる」をいただくと…中身は黒あん!どこか懐かしさを感じる素朴な甘さがたまらない~。何個でも食べられそうです。

6月限定のお楽しみ!自然豊かな俵山の夜空に舞う無数のホタル

山深く、もはや秘湯ともいえる俵山温泉は、もちろん豊かな自然も自慢。近隣の清流では数多くのホタルを見ることもできます。中でも「七重(ななし)川河川公園」付近は、ゲンジボタルの発生地として国の天然記念物に指定されており、人気の観賞スポットとなっています。
▲全国各地で減少傾向にあるゲンジボタル。俵山ではその美しい光景を目の当たりにできる(写真提供:俵山温泉)

ホタルの発生時季は、その年によって多少の変動はありますが、およそ6月上旬から7月上旬までの約1カ月間。期間中は土・日曜に限り、前述した福田泉月堂前から無料の「ホタルバス」が運行されています。詳しくは俵山温泉の公式ホームページをチェックしてください。
俵山温泉のお湯とグルメと街並み探訪、いかがでしたか?国内有数の美肌の湯と昭和へタイムスリップしたかのような雰囲気を楽しみに、俵山へ足を運んでみませんか?冒頭でも紹介しましたが、付近の人気スポット「元乃隅神社」「青海島」などからも車で30分圏内です。観光の疲れを癒やし、汗を流すのにもぴったりですよ!
▲夕暮れ以降、温泉街はぐっと風情を増す。令和にいながらにして昭和の世界へ――
兼行太一朗

兼行太一朗

フリーライター・カメラマンとして、山口県を拠点に活動中。 主に旅行、グルメ、歴史、地方創生などについての書籍やウェブサイトを中心に取材・執筆を行っている。拠点とする山口市では、歴史資源を生かした地域活性化に取り組むNPO法人「大路小路まち・ひとづくりネットワーク」にも所属し、守護大名大内氏や幕末に関する史跡、ゆかりの場所や人物についての取材を担う。(編集/株式会社くらしさ)

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP