島全体が聖域!船でしか行けない神の島「大神島」を地元ガイドと散策
宮古島から北北東に約4km離れた場所に浮かぶ離島「大神島(おおがみじま)」。島全体が“聖域(パワースポット)”といわれ、地元では古くから「神様のいる島」として大切に崇められています。そんな大神島ですが、沖縄に何十年と暮らしていても「行ったことがない」という人も多く、それどころか島の存在さえ知らないという人も珍しくありません。今回は、そんな未知の島にお邪魔し、たくさんの魅力とパワーに触れてきました。

島全体が聖域といわれている小さな離島
そこで、宮古島観光や現地ツアーを企画する「宮古島旅倶楽部」が手がける「大神島~船でしか行けない神の島~ 地元の島人ガイドがご案内する人気のツアー」に参加しました。

ツアーの集合場所は、宮古空港から車で20分ほどのところにある島尻漁港。大神島へのアクセスは海路のみなので、ここから出ている定期船を利用します。

船は1日4~5往復しかしていない上(天候によっては欠航になる場合も)、夏季(4~9月)と冬季(10~3月)で出発時刻が変わります。そのためガイドツアーのスケジュールも夏季と冬季で変わります。4~9月の場合は午前の部が11:00発、午後の部は13:30発。10~3月は午前の部が9:00発、午後の部は14:15発。出発時刻の15分前までに、島尻漁港の乗船切符売り場付近に集まります。

今回は11:00発のツアーに参加。ガイドさんとの待ち合わせは大神島になるので、島尻漁港で船のチケットを購入し(往復670円・税込)、船に乗り込みます。
雄大な景色を眺めながら、神が宿る大神島に到着!

島尻漁港から大神島までは15分ほど。通常は33人(乗客30人)乗りの高速船「スマヌかりゆす」を利用しますが、この日は故障中とのことで15人(乗客12人)乗りの「ニューかりゆす」で大神島に向かいました。

船は大きく揺れることもなく快適。地上からは見ることのできない絶景と開放感に感動していると、あっという間に大神島が見えてきました。

船から降りてホッと安心していると、「神様に呼ばれたね。無事に到着して良かった」とガイドの下地義明(しもじよしあき)さんが出迎えてくれました。




入島料の100円を払い、まずは島の入口にある龍宮神に「お邪魔します」と挨拶します。こちらには、かつて港が造られる時に崩したという琉球石灰岩の欠片が祀られています。

このゴルフカートは、「島に住む高齢者たちの生活に役立ててほしい」と県内の東急グループで組織された「沖縄東急会」によって大神自治会に寄贈されたもの。
普段は島民の足として利用されているため、観光客は利用できないことが多々あるそうです。徒歩での島内散策が基本となるため、動きやすい服装がオススメです。

面積0.24平方キロメートル、周囲2.753km、人口約27人(2019年4月25日現在)が住む小さな島、大神島。島にはスーパーマーケットも銀行も、郵便局も病院もありません。住民は必要時には、定期船を利用して宮古本島へ行くそうです。

島内を周回する道路はなく、途中で切れています。下地さんによると、かつて周回道路を造る予定があったそうですが、建設中、ブルドーザーが故障したり工事監督が亡くなったり、関係者が次々と原因不明の病気にかかってしまったり…と様々なトラブルが続いたそうです。そこで「これは何かの暗示に違いない」と、周回道路は未完成のまま工事を中断したのだとか。
そのおかげで、今でも手つかずの風景が広がっている大神島。便利さと引き換えに原風景が失われずに済んで、結果的には良かったのかもしれませんね。

最初に立ち寄ったのは、港のすぐそばにある「大神小中学校跡」。大神小中学校は島唯一の学校で、昔は50人ほどが在籍していたそうです。だんだんと生徒が減っていき、2008年には在籍人数がゼロに。そして2011年に廃校となり、校舎が解体されました。

次に向かったのは、集落の中心にある「カー(井戸)」。今はもう使われていませんが、かつては200人ほどいた島民の生活用水をここから確保していました。
当時は水を確保するのが大変だったそうで、井戸水が少ない時には、たった1杯の桶の水だけで1家族が1日を送る日もあったとか。当時いかに水が貴重だったかを思い知らされました。

そして、島の1番高い場所にある「遠見台(トゥンパラ)」へ向かいます。

木製の階段を上ること約5分。途中で息切れしながらも、草木のざわめきや木洩れ日の美しさに触れているうちに、心が癒され落ち着いてきます。

「疲れたら休憩していいよ」と声をかけてくださる下地さん。でも頂上まではあと少し。頑張って上りきることに。

やっと頂上のすぐ手前にあるウガンジュに到着しました。こちらは島の中で最も重要な神事を行う場所。この大きな岩に神様が降りてくるそうで、この岩を避けるように島の道路が整備されたという逸話もあるようです。

なお、旧暦の6~10月の間のどこかで島内の巫女組織によって行われる秘祭「祖神祭(ウヤガン)」期間中は、観光客はもちろん、島民もこの場所に立ち入り禁止となるそうです。祖神祭は神秘的な祭祀行事。神事を執り行う老女たちが「御嶽(ウタキ)」という場所にこもり、神に祈りを捧げます。この神事は5日間続きますが、その間、老女たちは一睡もせず、水と塩だけをとって神との交わりを続けるそうです。

頂上の遠見台は海抜74.5m。大神島の景色を一望できる360度の絶景が広がっていました。視界を遮るものは何もありません。青い空とエメラルドグリーンの海、池間大橋、池間島、宮古島東岸なども見渡せます。大潮の時だけ海面に現れる(普段は海中に沈んでいる)ため幻の大陸と呼ばれている日本最大級のサンゴ礁群 「八重干瀬(やびじ)」も運が良ければ望むことができます。


目の前に広がるきれいな景色は、ずっと見ていても飽きることがありません。気持ちの良い風と澄んだ空気に、思わず何度も深呼吸してしまいました。そして心が浄化され、身体の内側から力がみなぎってくるような感覚になりました。

遠見台を下りてからは、ゴルフカートでしばらく海沿いを走ります。この辺りはシュノーケリングスポットとしても人気だそうで、ゴルフカートを降りて水面を覗いてみると、地上からもルリスズメダイやカクレクマノミなどの魚を見ることができました。

こちらは大神島の防波堤。防波堤はコンクリートの壁が繋がっている状態のものが一般的ですが、下地さんの説明によると「神様は海からやってくる」ため、神様が通れるように防波堤の真ん中に通り道となるすき間を作ったそうです。

「今から300年ほど前、この島に海賊がやってきて宝を隠したという伝説があるんだよ。その海賊は島民を一ヵ所に集めて焼き殺したんだけど、その中でも逃げ延びた島民が数名いたとか。その逃げ延びた島民の子孫が、今この島に住んでいるといわれているんだよ。事実はいまだ謎に包まれたままだけどね」(下地さん)

「この島にそんな痛ましい歴史があったのか」と考えていると、次の名所に到着。まるでキノコのような形をした、ノッチと呼ばれる奇岩を見られるスポットです。
ノッチは、島が隆起した際に地表から転がり落ちた岩によってできたもの。波の浸食によって岩の根元が削られて細くなり、長い歳月をかけてこのような形になったのです。

満潮時には根元までは見られませんが、干潮時にはしっかりとキノコの様な形状を見ることができます。浸食は今も進んでおり、数年後には重さに耐えきれなくなって倒れてしまうかもしれませんが、「20年後も30年後も40年後も…倒れずに残っていますように」と心の中で願いました。

ところで、沖縄では魔除けとして門柱や玄関の前にシーサーを設置するのが一般的ですが、ここ大神島の民家の入口に吊るされているのは、シーサーではなくスイジガイ(水字貝)。形状が「水」の字に似ていることから、火事や水害から家屋を守るといわれているそうです。

1時間15分ほど下地さんに島を案内していただいたところで、ツアーは終了。下地さんとは港のすぐ近くでお別れです。小さな島とはいえ、地元のガイドさんが付き添って案内してくださるので、安心して島内をまわることができました。他の離島に比べて情報量が少ない大神島。きっと個人で歩くだけでは気づかないポイントなどもあると思うので、特に初めての方はツアーを利用されるのが良いでしょう。

日常から解放され、自然の持つ美しさや力強さを全身で体感することができた今回のツアー。所要時間は決して長くはありませんが、大神島に降り立つ前とツアー参加後では心に変化があったような気がします。気のせいではなく、身も心もすっきりして元気になったような感覚があったのです。
島に一軒だけある食堂で、地元のおじいのオススメを

帰りの出航まで20分ほど時間があったので、島唯一の食事処「おぷゆう食堂」へ。タコの燻製がのった「カーキたこ丼」 (800円・税込)や「宮古そば」 (650円・税込)も気になりましたが、店内で食事をされていた地元のおじぃおすすめの「カレーライス」(550円・税込)を注文してみることに。

味がよく染み込んだカレーは家庭的な味わい。とろみ加減も抜群でした。出航を知らせるアナウンスが流れることはないので、食事をする場合は船の時刻を気にしながらいただきましょう。

おぷゆう食堂
沖縄県宮古島市平良大神130
[営業時間]10:00~17:00
[定休日]不定休
0980-72-5350

自然が作り上げた偶然の産物や、神聖なパワーを感じられる場所を多く見学することができた今回の大神島ツアー。帰りは後ろ髪を引かれながら船に乗り込みました。出航後、だんだんと離れていく島をずっと見つめながら「絶対にまた戻らなくては。今度は両親を連れて行ってあげよう」と心の中で誓いました。
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舘幸子
沖縄在住のフォトライター。以前はフードコーディネーターとしてカフェやお菓子メーカーのメニュー開発に携わっていました。 趣味である食べ飲み歩きブログ(おいしい沖縄)を続けながら、 大好きな沖縄の情報を発信したいと思い、2015年からフォトライターとして活動をスタート。様々なWebサイトや雑誌で沖縄の情報を発信しています。 (編集/株式会社くらしさ)
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