「神代植物公園」はバラをはじめウメ、サクラ、大温室に芝生広場など四季を通じて楽しめるおすすめスポット

2019.06.12 更新

東京都調布市にある「神代植物公園」は、都内唯一の都立植物公園。園内には約4,800種類、10万本・株の植物が植えられており、ウメやサクラの名所としても有名です。春と秋には人気のバラフェスタが開催されるほか、大温室や芝生広場、水生植物園、植物多様性センターなどの見所もたくさん。近くには「深大寺」もあるので、併せて訪れるのもおすすめです。今回は、そんな神代植物公園の魅力を紹介します。

▲色とりどりのバラが咲き乱れる(写真提供:神代植物公園)

「代々木公園」よりちょっと小さめで、散策にピッタリ!

「神代植物公園」は京王線の調布駅かつつじヶ丘駅、JR中央線の三鷹駅か吉祥寺駅からバスに乗って20分ほどで着きます。入口は正門のほかに、深大寺に近い深大寺門もあります。
▲正門。取材時は「春のバラフェスタ」が開催されていたため、行列ができていた
▲入場券売場。入園料は一般500円、65歳以上250円、中学生200円、小学生以下は無料
▲深大寺門。深大寺に寄ってから行くなら、こちらから。深大寺からは歩いて約2分

広さは48万8,196平方メートルと、「代々木公園」より少し狭いくらい。園内は「ばら園」「つつじ園」「うめ園」「はぎ園」をはじめ、植物の種類ごとに30ブロックに分かれています。
▲園内を一周するには約1時間かかる(画像提供:神代植物公園)

品種名を考えたくなる!?「国際ばらコンクール花壇」

正門から園内に入り右手に向かってしばらく歩くと、ばら園に到着します。ばら園は「国際ばらコンクール花壇」「野生種・オールドローズ園」、整形式沈床庭園(庭園の中央部が低く、左右対称に整形された庭園様式)からなる「本園」の3つのエリアで構成されています。

春バラは例年5月中旬から7月、秋バラは10月上旬から11月が見頃です。毎年それぞれの開花時期に合わせて、5月上旬~6月上旬に「春のバラフェスタ」が、10月上旬から下旬に「秋のバラフェスタ」が開催され、講演会やガイドツアー、香りのモーニングツアー、コンサートなどのさまざまなイベントが行なわれています。取材時は「春のバラフェスタ」の期間中でした。
▲バラのアーチが素敵な「国際ばらコンクール花壇」の入口

最初に現れるのは「国際ばらコンクール花壇」です。ここでは「国際ばら新品種コンクール(JRC)」のために世界各国の人が試作したバラを育てています。このコンクールではバラの形態ごとに4部門に分けて審査が行なわれ、優秀なバラに金、銀、銅などの賞が贈られます。
▲「国際ばらコンクール花壇」。広々としており、バラをゆったり眺められる

「国際ばらコンクール花壇」のバラは、審査中なので花の品種名がつけられておらず、審査番号が表示されています。上位入賞作品には品種名がつけられ、市販されるものもあります。つい、「自分が品種名をつけるならどんな名前がいいかな~」と想像しながら眺めてしまいます。
▲豪華な大輪のバラ。どんな品種名がよいか、想像が広がる……

さらに進んだ先には、「野生種・オールドローズ園」があります。「東京都立園芸高等学校バラ園(鈴木省三記念バラ園)」から接ぎ穂を譲り受けて育てた野生種やオールドローズが植栽されています。

バラという花は150種類の野生種の8、9種をもとに長い年月をかけて交雑や交配が重ねられて、現在では数万もの品種が作り出されています。1867(慶応3)年に、フランスの育種家ギョーが大輪四季咲き・剣弁高芯(けんべんこうしん)咲き・芳香の3つの要素を初めて備えた「ラ・フランス」を発見し、発表したことによって、「ラ・フランス」以前の品種をオールドローズ、「ラ・フランス」以後の品種をモダンローズと区別するようになりました。つまりここでは、バラの原点である品種たちを見ることができるのです。
▲モダンローズが誕生したきっかけになった「ラ・フランス」。剣弁高芯咲きとは、花弁の先の縁が外側にそり返り、剣先のように尖ったもの(写真提供:神代植物公園)
▲「野生種・オールドローズ園」のバラたち(写真提供:神代植物公園)

筆者は花の知識が全然ないため、野生種やオールドローズというとシンプルな感じのバラだと思っていましたが、全体的に、たくさんの花びらがくるくると渦巻いている愛らしい印象のバラが多いと感じました。バラに鼻を近づけると、ほのかに甘い香りがします。
▲きりっとした印象のモダンローズに比べて、野生種・オールドローズはやわらかい印象。写真は「ロサ・キネンシス・ミニマ」(写真提供:神代植物公園)

「本園」「野生種・オールドローズ園」併せて約400品種の中から、運命の君、「ピエール」と遭遇

「本園」と「野生種・オールドローズ園」には、春バラが約400品種5,200株あまり、秋バラが約300品種5,000本あまり植えられています。
▲すべてバラ!噴水の向こうに見えるのは大温室(写真提供:神代植物公園)

噴水をぐるりと取り囲むように整形式沈床庭園があり、色とりどりのバラが咲いています。あまりのきれいさに、まるでアニメや映画の世界に入り込んだかのように錯覚してしまいます。
▲反対側から。バラの向こうに見えるのは屋根つきのテラス
▲「クイーン・オブ・神代」。2009(平成21)年度の「国際ばら新品種コンクール(JRC)」の金賞を受賞したバラに、神代植物公園が2011(平成23)年に開園50周年を迎えた記念事業の一環で名づけた(写真提供:神代植物公園)
▲「ふれ太鼓」。黄色からオレンジ色、そして赤色と色が変化していく。3色が咲き乱れる様子は、たしかにふれ太鼓(相撲興行などを広く人々に知らせるために打つ太鼓)のようだ
▲「デンティ・ベス」は一輪咲きのシンプルな花びらが美しく、強い香りを放つ

芳香を持つバラには香りマークの札がついているので、ぜひ香りをかいでみてください。ちなみに香りが強いのは早朝だそうなので、香りを楽しみたいという方は開園直後に訪れるのがおすすめです。

南側にはベンチが置かれ、後ろには見事なつるバラが並んでいました。記念撮影にピッタリのスポットです。
▲ベンチに腰かけると、前も後ろもバラで贅沢な気分を味わえる。右は「春風」、左は「つるサマー・スノー」
▲「本園」の近くにある売店で購入できる「バラソフト」(400円)。バラの風味がして、とってもおいしい!

可憐なバラ、力強く咲くバラ、孤高のバラ……。品種によって表情ががらりと異なります。「バラってこんなに品種があったんだなぁ」と改めて感激しました。普段、バラを愛でることがない筆者も、他の花にはない独自の美しさに思わず心がふわっと沸き立ち、メロメロになりました。友人や恋人と一緒に訪れて、それぞれのお気に入りの一種を見つけてみてもよいですね。

そんな中、運命の出会いをしました。つるバラの「ピエール」。主張しすぎず、凛と咲く姿に一目ぼれです……。
▲「ピエール・ドゥ・ロンサール」。まるで詩人の名前のよう。白い花びらの中心にほんのりとのったピンクが愛らしい!
▲バラに埋もれるような贅沢な気分に!優雅なバラを眺めていると、なんとなく上品な歩き方になってしまう……
▲「本園」の横には藤棚があり、日陰になっていて気持ちがいい
▲藤の見頃は例年4月上旬~5月上旬。5月上旬に訪れれば、藤とバラの両方を見られるかも(写真提供:神代植物公園)

ピンクの衣をまとった「采女の衣」の登場

その他の花の見頃を簡単にご紹介します。

神代植物公園といったらウメとサクラ。

「うめ園」には約70品種約170本のウメが植えられており、2月上旬から見頃を迎えます。例年2月上旬から3月上旬にかけて「梅まつり」が開催され、講演会やガイドツアーなどウメにちなんだイベントが行なわれます。
▲赤いウメと白いウメ、黄色いロウバイも楽しめる(写真提供:神代植物公園)

そして、「さくら園」をはじめ、園内にはなんと60品種約750本のサクラが植えられています!2月からカンヒザクラ、続いてオオカンザクラ、ソメイヨシノ、ヤエベニシダレが咲き、そして5月中旬にはサトザクラ類が満開を迎えます。長く楽しめるのがよいですね。
▲神代植物公園で発見された「ジンダイアケボノ」。開花は4月上旬(写真提供:神代植物公園)

「ぼたん・しゃくやく園」には、ボタン100品種約480株、シャクヤクが70品種約550株植えられています。ボタンは4月中旬から5月上旬、シャクヤクは5月中旬が見頃です。

取材時はシャクヤクがきれいに花を咲かせていました。ここで出合ったのが「采女(さいじょ)の衣(ころも)」。「見て!」といわんばかりの存在感に、多くの人が吸い寄せられるかのように立ち止まって見とれていました。
▲大ぶりで存在感たっぷりの「采女の衣」。采女とは宮中の女官のこと。たしかに衣のような花びら

そのほか、4月中旬から5月中旬はツツジ・ボタン、5月中旬はシャクヤク、5月下旬から6月中旬はハナショウブ、6月上旬から7月上旬はアジサイ、8月はハス・ムクゲ、9月から10月上旬はハギを楽しめます。

まるで別世界へプチトリップ!見ごたえたっぷりな「大温室」

ばら園の近くには2016(平成28)年にリニューアルオープンした「大温室」があります。中は「熱帯花木室」「ラン室」「ベゴニア室」「熱帯スイレン室」「小笠原植物室」「乾燥地植物室」の6室に分かれており、合計1,300種・品種の植物が集められています。
▲大温室はガラス張りの外観が目印

はじめに「熱帯花木室」に足を踏み入れると、そこはもう別世界!目に飛び込んでくる熱帯ならではの植物は、タイやマレーシア、インドネシアなどに訪れたような気持ちにさせてくれます。
▲「熱帯花木室」では、熱帯・亜熱帯地方原産の色鮮やかで多種多様な花や木を見られる。6室の中でいちばん広く、珍しい植物を眺めながらぐるぐる歩きまわるのが楽しい。熱帯の独特な雰囲気が漂う
▲世界最大の果実といわれている「パラミツ」。大きいもので長さ60cm、重さ30kgにもなるのだそうだ!
▲「ラン室」には、洋ランを中心に、約150種類のコレクションの中から開花した株などが展示されている
▲ラン独特の上品さが漂う「ファレノプシス・メモリア・アン・フェジェン」
▲「ベゴニア室」は、さまざまな球根性ベゴニアや木立性ベゴニア、根茎性ベゴニアが展示されている。赤や黄、オレンジなど鮮やかな色彩のベゴニアたち
▲記念撮影にピッタリなスポットも。取材時は少しだけ行列ができていた
▲「熱帯スイレン室」では、さまざまな種類の熱帯スイレンとハイビスカス、ショクダイオオコンニャクが見られる。熱帯スイレンの「マイアミ・ローズ」は、切れ込みのあるギザギザの葉が特徴で水面から十数センチメートル立ち上がって花をつける
▲「小笠原植物室」では2011(平成23)年に世界自然遺産として登録された小笠原諸島の植物が展示されている。「オガサワラビロウ」には、青紫色のおいしそうな実がついていた
▲「乾燥地植物室」ではサボテン科の植物とその他の多肉植物、チリ共和国原産の植物が展示されている。「マミラリア・ペレスデラロサエ」は、白い毛に覆われた姿が奇妙なオーラを放っていた

館内はスロープになっているので、車椅子やベビーカーでも安心してまわれます。6室すべてをまわると、なかなか見ることができない植物を見られるだけでなく、それぞれの世界へプチトリップしたような気分になれるので、ぜひ訪れてみてください。

マイナスイオンを浴びられる!?癒しの「雑木林」

さらに、個人的におすすめなのがばら園の隣の「雑木林」。武蔵野の古刹として知られる深大寺の裏山にあたり、深大寺門の近くです。ここにはクヌギ、コナラ、イヌシデ、エゴノキ、アカマツなどが茂っています。
▲新緑の中を歩いていると、リラックスした気持ちになってくる

青々とした緑の間から木漏れ日があふれ、上品で可憐なバラたちを見て高揚した気分を、すーっと落ち着かせることができます。
▲さらさらと水が流れる「せせらぎの小路」。まるでジブリの映画に出てきそうな光景!

また、近くにある「せせらぎの小路」を越えると、「芝生広場」が広がっており、運動やピクニックができます。
▲お弁当を広げたくなるほど広~い広場。子どもたちが遠足に来ていた

腹ごしらえは定番のカレーで!

園内をぐるっと一周するとお腹がペコペコ。「お弁当を持ってこなかった!」という方のために食事ができる場所もあります。
▲食事ができる「グリーンサロン」は、正門から園内に入り左手に向かって歩いたところにある。目の前にある大きな木が日陰をつくっている
▲メニューはシチューやパスタ、うどん、おでん、ケーキなど豊富!
▲定番メニューの「じっくり煮込んだカレーライス(ミニサラダ付)」(780円)

「グリーンサロン」の隣にはドリンクやグッズ、植物などを購入できるショップもあるので、立ち寄ってみるのもおすすめ。
▲ドリンクやアイスの他、グッズなども置いている「ガーデンビューロー」。春と秋のバラフェスタの際には限定商品も並ぶ
▲四季折々の草花を販売している「植物売店」。取材時はバラの鉢植えを購入する姿が多く見られた

伊豆諸島のゴツゴツ岩に出合える「植物多様性センター」

園の外へ出て神代植物公園通りを渡って少し歩いたところに「植物多様性センター」があります。ここは植物の多様性とその保全の大切さ、東京の絶滅危惧植物について学べる施設です。
▲「植物多様性センター」情報館の入口。入館は無料。館内には自然にまつわるパネルや絵本、木のおもちゃなどがあり、楽しく学べる

また、「植物多様性センター」の周囲には、「奥多摩」「武蔵野」「伊豆諸島」の3つのゾーンに分けて植物を屋外展示する学習園もあります。
▲思わず「ここって調布だっけ?」と思ってしまう、ちょっと不思議な光景の「伊豆諸島ゾーン」。ゴツゴツとした岩の間に草花が咲く様子が見られる

いかがでしたか?「神代植物公園」は、バラの時季はもちろんのこと、どの季節に訪れてもその時季に見頃の草花を楽しめるおすすめのスポットです。ぜひ近くの深大寺の散策と合わせて訪れてみてください。
▲6月上旬から7月上旬に見頃を迎えるアジサイ。75品種約1,200株あまりのアジサイがわたしたちの目を楽しませてくれる(写真提供:神代植物公園)
※記事内の料金・価格はすべて税込です

撮影:舛元清香
桑沢香里

桑沢香里

編集者、ライター。出版・編集プロダクションのデコに所属。雑誌、書籍、小冊子、ウェブ媒体の編集・執筆などを手がける。編集を担当した本に『わたしらしさのメイク』『おとなのヘアケア読本』(ともに技術評論社)、『劇団四季ミュージカルCATSのすべて』(光文社)、『大相撲手帳』(東京書籍)、『大相撲語辞典』(誠文堂新光社)などがある。

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