地球岬や室蘭夜景など絶景揃い!「室蘭八景」をめぐるドライブコース決定版

2019.07.17 更新

北海道室蘭(むろらん)市は製鉄業で栄えた工業都市。工場夜景が楽しめる室蘭港の夜景が有名ですが、「地球岬」や「トッカリショ」などの大自然が広がる景勝地や絶景スポットもたくさんあります。そんな数ある名所の中から一般市民の投票などで選んだベスト8が「室蘭八景」。登別温泉洞爺湖に比較的近いながら意外と知られていなかった室蘭八景が観光名所として近年注目され、写真愛好家が数多く集っています。今回は絶景8スポットを効率よく巡るドライブコースを紹介します。

▲太平洋を見渡す絶景スポットとして有名な「地球岬」(写真提供:室蘭観光協会)

室蘭市は北海道南西部にあり、新千歳空港やカーフェリーが発着する苫小牧西港からは、ともに車で1時間15分前後で行くことができます。
▲室蘭市は夜景の名所として近年注目を集めています(写真提供:室蘭観光協会)

太平洋に突き出したかぎ型をした陸地、「絵鞆(えとも)半島」の内海側の港湾部と半島付け根周辺に市街地があり、半島の外海側は断崖絶壁の海岸が続く大自然の風景が広がります。
▲室蘭市内の地図と室蘭八景を紹介する案内板

「室蘭八景」は、半島中央にある「測量山(そくりょうざん)」からの街と港の眺めや、断崖絶壁の海岸にある地球岬の眺望など、以下の8つのスポットやテーマからなります。

1.トッカリショの奇勝(きしょう)
2.金屏風・銀屏風の断崖絶壁
3.地球岬の絶景
4.測量山の展望
5.マスイチ浜の外海展望
6.黒百合咲く大黒島(だいこくじま)
7.絵鞆岬の景観
8.室蘭港の夜景

各スポット間はそれほど距離が遠いわけではありませんが、1つのテーマで複数スポットあるものがあるうえ、各場所を把握して計画的に回らないと行ったり来たりすることになり大変。そこで、それぞれの眺望や見るべきポイントとともに、アクセスしやすい筆者おすすめの巡り方を紹介します。

1.スタート地点は「トッカリショの奇勝」

トップバッターは「トッカリショの奇勝」。外海側の高さ100m前後の切り立った断崖と奇岩が続く海岸線と、崖の上を覆う緑のクマザサの大地を遠望できる景勝地です。
▲トッカリショの語源は、アイヌ語でアザラシの岩という意味の「トカル・イショ」(写真提供:室蘭観光協会)

車ならJR室蘭駅から約12分、JR東室蘭駅から約15分で行くことができます。絵鞆半島各所に点在する室蘭八景の中で半島の付け根側に一番近いスポットなので、ここを起点にすると回りやすいですよ。

2.「金屏風・銀屏風の断崖絶壁」は2カ所の総称

トッカリショの次は、車で2分程度で行くことができる「金屏風」へ。
「金屏風」と「銀屏風」は実は別々の場所。金屏風は海辺の崖が黄金色に輝き、銀屏風は海辺の崖が白銀に輝くことから、室蘭八景では双方を合わせて1つとしています。銀屏風は後ほど紹介しますね。
▲金屏風には午前中に訪れるのがベスト。午後は崖が影になります。特に朝は崖の部分に朝日があたって、まさに金屏風のように見えますよ(写真提供:室蘭観光協会)

金屏風の見学スポットは道路上で、駐車場がありません。案内板を頼りに場所を見つけたら、道路が広くなっている部分に車を停めて見学します。
▲片側一車線の道路沿いの歩道が広くなっている部分に展望スペースがあります
▲各スポットにこのような案内板があります。走行時に目的地を見つける目印に

3.室蘭観光の代表格「地球岬の絶景」

金屏風の次は、室蘭市を代表する観光スポット「地球岬」へ。金屏風から地球岬の駐車場までの移動時間は、車で3分ほど。駐車場から階段や坂道を2分ほど上ったところにある展望台がビューポイントです。
▲階段と坂の途中にはSNS映えするパネルもあります
▲階段で展望台の上へ
▲絶景!眼下には真っ白い「チキウ岬灯台」が見え、海の向こうには北海道駒ケ岳をはじめ渡島(おしま)半島の山並みが見えます(写真提供:室蘭観光協会)

海抜約130mの断崖上にある灯台を見下ろす高所にある展望台。天気がよく空気が澄んだ日には、津軽海峡越しに青森県の下北半島まで見えることもあるそうです。
▲展望台には撮影用のスタンドもあり、絶好の記念撮影スポット!
▲展望台は階段状になっていて奥行きがあり、最奥の展望スポットには「幸福の鐘」もあって絵になります
▲灯台と反対側を向くと、絵鞆半島の山並みとともに、半島反対側に広がる室蘭市街地と室蘭湾を遠望できます

地球岬の名前の由来は、アイヌ語で「断崖」を意味する「チケプ」。チケプからチキウに転じ、地球岬というようになりました。市街地が至近にあるにもかかわらず雄大な自然の風景を眺められるスポットとして有名で、観光バスのツアー客も多数訪れる観光名所です。また、初日の出の観賞スポットとしても有名で、元旦はかなり賑わいます。
地球岬ではもう一つ有名なものがあります。それは「炎の毒まんじゅう」(税込730円)。駐車場脇にある「地球岬売店シナダ」で販売している名物土産です。
▲パッケージがインパクト大!

1箱に6個入ったまんじゅうのうち、1個が唐辛子入りの激辛まんじゅうなのです。これぞロシアンルーレット!誰が“当たり”を引くか、みなさんでお試しを。
▲箱を開けてぱっと見ると、どれが「毒」なのか全くわかりません

素朴な味わいで美味しいまんじゅう。でも1個だけは……。食べたことを激しく後悔するその辛さ、言葉で言い表せません。あなたもぜひ、大当たりを引いてみてください!

4.眺め爽快!「測量山の展望」

地球岬の次に訪れる場所は「測量山」。標高が199.6mとあまり高い山ではありませんが、室蘭市街を一望できる展望スポットで、天気がよい日には北に羊蹄山や南に北海道駒ケ岳など北海道の名山も遠望できます。また、野鳥の宝庫としても知られ、巨大な望遠レンズを携えたバードウォッチングの人たちの姿もよく目にします。
▲室蘭市街地から眺めた測量山。山頂にはテレビやラジオ各局の送信所があり、巨大なアンテナがたくさん立っています

地球岬から測量山の駐車場までの移動時間は車で約15分。山道を進んだのち一度市街地へ出て、再び山道に入ります。駐車場はそれほど広くないため、大型のキャンピングカーなどで訪れるのは困難かもしれません。
▲駐車場からはやや長い階段で山頂の展望台へ。ちょっと息が切れます……

測量山という名前の由来は、ズバリ測量をした山だから。1872(明治5)年に測量のためこの山へ登って道路計画の見当をつけたことから「見当山」と呼ばれるようになり、その後「測量山」に改められたそうです。
▲山頂にある広場は南北に細長く、北側に室蘭港や市街地を見下ろせる展望台があります

展望台へ行って眺望を楽しみましょう!
▲北西側の眺め。海に浮かぶ大黒島(左)と、室蘭湾の入口付近をまたぐ白鳥(はくちょう)大橋(中央)、その奥にはうっすらと羊蹄山も見えます
▲北東側の眺め。JR室蘭駅や室蘭港など市街地が眼下に見え、室蘭港の奥は絵鞆半島越しに太平洋まで見渡せます
▲南側を向くと、内浦湾とその先に広がる渡島半島を一望!

室蘭市のシンボル的な山で、電波発信の基地であり、自然豊かな憩いの場であり、大パノラマを眺められる絶景の地でもあります。昼間の眺望も素敵なのですが、夕暮れ時や夜の風景も格別!時間をあけて再び訪れて眺めてみるのもいいですよ。改めて後ほど、「室蘭港の夜景」を紹介する際に案内しますね。

5.神秘の空気を感じる「マスイチ浜の外海展望」

測量山の次は、外海側にある「マスイチ浜」を見下ろす展望台へ。移動時間は車で5分ほどです。
▲この先はやや細い道がしばらく続きます

マスイチとは、アイヌ語で「ウミネコの家」という意味の「マスイ・チセ」。ウミネコをはじめこの界隈にはさまざまな野鳥が営巣し、希少なハヤブサの姿を目にすることもある自然豊かな場所です。
▲駐車場からも眺望を楽しめますが、階段を少し上がるとより眺めのよい展望スポットがあります
▲遠くに人工的な港が見えつつも、手前はほとんど手付かずの大自然が広がります。浜といっても広い砂浜があるわけではなく険しい海岸線が続きます
▲内浦湾越しに渡島半島が左右に連なります

マスイチ浜は、海辺で先住民族が狩猟生活をしていたことをうかがわせる遺跡が発掘されたことから、一帯は「名勝ピリカノカ絵鞆半島外海岸」として国の名勝に指定されています。ピリカノカとは、アイヌ語で「美しい形」という意味。太古の歴史と自然が宿り、心なしか神秘的な空気を感じる場所です。

「銀屏風」はクルージング船から眺めるべし

マスイチ浜からこのあと向かう絵鞆岬までの間には、「ローソク岩」や「象岩」などの奇岩や、「ハルカラモイ」や「銀屏風」など崖の景勝地が点在しています。
▲道路沿いから崖と崖の切れ目にチラリと見えるローソク岩

金屏風とともに室蘭八景とされている銀屏風も道路沿いから眺めることは可能ですが、ここからではちょっと迫力に欠けます。
▲道路から眺めた銀屏風

実は銀屏風は海から眺めるのがベストなんです。4~11月に白鳥大橋付近から出航している「地球岬遊覧」のクルージング船に乗れば、銀屏風の見事な風景をはじめ、マスイチ浜や地球岬、金屏風、トッカリショなど断崖絶壁の眺めを海上から楽しむことができますよ。
▲クルージング船に乗って海上から眺めた銀屏風。こちらのほうが圧倒的に迫力あり!(写真提供:室蘭観光協会)

6.「黒百合咲く大黒島」を望む、7.「絵鞆岬の景観」

マスイチ浜の展望スポットから銀屏風などを経由して細い山道を進み、次に訪れる場所は絵鞆半島の突端にある「絵鞆岬展望台」。銀屏風などの見学時間を除くと、10分弱のドライブです。
▲モニュメントの左手に展望台があります

帆掛け船の船首をイメージした展望台があり、沖合に浮かぶ大黒島をはじめ、内浦湾越しに羊蹄山や有珠山、昭和新山などを望むことができます。
▲天気がよい日は絶景!大黒島は右手防波堤の先に見えるおわん型の島です(写真提供:室蘭観光協会)

大黒島は陸地とつながっていないうえ公共の船などがないため、一般の人は上陸することができません。ここ絵鞆岬展望台などから眺めて楽しみましょう。

三面ガラス張りの絶景カフェ「宮越屋珈琲 MUTEKIROU」

そろそろ休憩をはさみたいところ。もう一カ所、休憩を兼ねて大黒島のビュースポットへ行ってみましょう。
▲駐車場から少し高いところにあるお店へ

絵鞆岬展望台から車で3分ほど進んだところにある「宮越屋珈琲 MUTEKIROU」(以下、宮越屋珈琲)は、ぜひとも訪れたい絶景カフェ。建物の扉をあけて店内に入った瞬間、あまりに素敵な空間に驚くこと間違いありません。
室蘭八景のラスト、「室蘭港の夜景」が始まる日暮れまでの待ち時間にもおすすめです。
▲左手の扉から店内へ
▲三面ガラス張り!窓の外には大黒島や白鳥大橋など海辺の絶景が広がります

2015(平成27)年にオープンした珈琲店。1,000万円以上する高級スピーカーから流れるジャズを聴きながら、本格的な珈琲やチャバタサンドなど軽食を楽しめます。
▲ハンドドリップの珈琲を味わえます。数ある珈琲の中から今回は深煎りの「宮越屋フレンチブレンド」(税込600円)をオーダー

音楽とガラス越しの風景を楽しめる店内も快適なのですが、天気のよい日は心地よい潮風を肌で感じるテラス席もおすすめです。
▲大黒島を眺めながらゆったりとできます
▲WEDGWOODのカップ&ソーサ―で味わう珈琲。奥に見える岩礁が風景のいいアクセントになります

あまりのロケーションのよさに、いつまでもここで佇んでいたくなるようなお店です。このあと市内各所で夜景観賞に出かけようと思いつつ、珈琲をおかわりしてこのままお店にいたくなるほど、夕景や夜景も綺麗なんです!
▲テラス席がある建物側面を西日が照らします
▲ライトアップされた白鳥大橋がすぐそこに見えます
▲店内から眺める白鳥大橋などの夜景も素敵!

時を忘れ、このまま居ついてしまいたくなるお店。優雅なひと時を過ごせます。

8.「室蘭港の夜景」は必ず観賞すべし!

室蘭八景のラストは「室蘭港の夜景」。夜景観賞スポットは市内各所に点在していて多数あります。その中から行きやすいおすすめの場所を3カ所紹介します。

1カ所目は、宮越屋珈琲から車で5分ほどで行ける「祝津(しゅくつ)公園展望台」。ライトアップされた白鳥大橋とオレンジ色の道路灯が照らすループ橋が絵になる場所です。
▲夜景が左右に細長く広がって見えるスポットなので、スマホなどワイドスクリーンで撮ると綺麗に見えますよ
2カ所目は「白鳥大橋展望台」。白鳥大橋を間近で眺めることができるビュースポットで、車で宮越屋珈琲からも祝津公園展望台からも、ともに約6分で行くことができます。
▲全長1,380mの白鳥大橋は、関東以北では最長のつり橋。ライトアップされた橋がとても絵になります(写真提供:室蘭観光協会)

白鳥大橋の後ろに見える工場夜景も素敵!ただし、2019(令和元)年夏に工場が閉鎖されるため一部の明かりを除き消灯される予定です。
3カ所目は日中に訪れた「測量山」。日本夜景遺産や夜景100選に登録されている、夜景の名所です。宮越屋珈琲や祝津公園展望台、白鳥大橋展望台から行くには、今まで来た細い道を戻って向かうよりも、市街地を抜けて進むほうが走りやすくてベスト。所要時間はおおよそ15分です。

「測量山」は、できれば夕方から山頂で粘り、夕景と夜景を両方観賞したいところ。宮越屋珈琲など素敵な風景が見られる他のスポットとどちらをとるか、非常に悩ましいです。
▲測量山山頂からは天候次第で夕日が綺麗に見えます
▲夕刻、室蘭と三陸の宮古を結ぶカーフェリーが室蘭港へ入ってきました
▲羊蹄山のシルエットは存在感があります
▲ライトアップされた白鳥大橋とともに、羊蹄山のシルエットなどを同時に眺められます
▲フェリーが停泊する夜景が素敵!半島越しに見える太平洋の海岸線には室蘭市の先、登別市方面の夜景が点々と続きます

空がトワイライトブルーに染まるのはほんのわずかな時間。15分も経つと真っ暗な夜を迎えます。夕景と青く輝く夜景はビュースポットをハシゴするには時間的に少々厳しいので、どこで楽しむか本当に悩みどころです。お好みの場所でどうぞ!

大自然と都市景観が織りなす絶景の数々を楽しめる「室蘭八景」。手短に訪れるなら半日、じっくり巡っても一日あればじゅうぶん見て回ることができます。観光名所として有名な登別温泉や洞爺湖などとともに、カメラを携え、時間の許す限り各所を巡ってドライブしてみませんか?
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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