予想外の味にびっくり。久慈市山形町の郷土料理「まめぶ汁」に、ハマる!

2015.10.21 更新

岩手県の久慈市山形町地域に古くから伝わる郷土料理「まめぶ汁」。数年前から、まちおこし団体「久慈まめぶ部屋」が宣伝活動をしていたが、テレビドラマに登場したことで、一気に全国へ広まった。「しょっぱいけど、甘い」という不思議な味の魅力を知るため、久慈市へ向かう。

見た目もカワイイ、「まめぶ」って?

「まめぶ汁」。名前を聞いただけでは、一体どんな食べ物かわからない。汁の中に豆が入っているのか、麩が浮いているのかと思ってしまうが、そのどちらでもない。

「まめぶ汁」は、野菜や焼き豆腐、キノコなどが入った具だくさんの醤油汁に、小麦粉で作った丸い団子「まめぶ」がコロコロと入ったものだ。

団子に入っているのは、なんと黒砂糖とクルミ。醤油汁のなかに、甘い団子!という衝撃に最初は驚くが、一度食べるとハマる人も少なくない。
▲黒砂糖の甘みが、クルミの香ばしさと見事にマッチ!

山里の郷土料理、「まめぶ」

「まめぶ」は久慈市内陸部、山形町(旧山形村)地域で親しまれてきた料理だ。昔から正月や冠婚葬祭で振るまったと言われ、そのルーツは江戸時代まで遡る。凶作の続いた時代、農家では「ハレの食事」の麺類に代わる代用食として、小麦粉にクルミの実を包んだ団子を食べていたのではないかと伝わる。
▲「まめぶ」が生まれたのは、久慈市街地から車で約30分の山形町(旧山形村)
団子の形がまり麩に似ているので、「まめふ」と呼ばれ、それが訛って「まめぶ」になったとか、「まめまめしく、健康で暮らせるように」と思いを込めたとか、名前の由来にもいくつか説がある。

ドラマ効果で、人気急上昇!

▲NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」にも登場した三陸鉄道久慈駅。今や久慈の観光スポット
▲三陸鉄道久慈駅から徒歩1分の「まめぶの家 久慈駅前店」
そんな「まめぶ汁」を食べに、「まめぶの家 久慈駅前店」へ。店のオーナーである谷地ユワノさんも、山形町出身。もともと山形町で農家体験ができる民宿「まめぶの家」を営んでいたが、もっと気軽に「まめぶ汁」を食べられるように、2011年の夏に同店をオープンした。

その後、「あまちゃん」で、「まめぶ汁」が取り上げられると、一気に観光客の来店が増え、店外にお客さんが行列を作ることも!実は、同店の味がドラマで使われた「まめぶ汁」のベースになっているという。
▲店内には数々の有名人のサインが!

食べるのを迷う人ほど、ハマる味!

▲煮しめや和え物がついた「久慈まめぶ汁定食」(税込1,080円)。「まめぶ」が5個も入ってる!
さっそくいただいた「まめぶの家」の「久慈まめぶ汁」。旨みたっぷりの汁を吸った「まめぶ」は、もっちりした食感。噛んだ瞬間、口の中で想定外の味が広がった。ん?お?と思いつつ……、次の1個に手が出るから不思議だ。

汁の中に甘い団子が入っていることに、抵抗感を持つ人もいるが、そういう人ほど、食べるとハマるという。

メニューは「久慈まめぶ汁」(単品/税込800円)のほか、「久慈まめぶ汁定食」、「山形村短角牛定食」など、地元食材を使った定食がいろいろ。「まめぶ」が足りない場合は、1個50円で追加できるという心配りだ。

小さな「まめぶ」は1個ずつ、手作り

▲幸恵さん(右)と、スタッフの皆さん
ユワノさんと共に、店を切り盛りする義娘の幸恵(さちえ)さんも、山形町出身。子どもの頃から、「まめぶ汁」を食べて育った。

「人が集まる時のもてなし料理です。お正月はお雑煮を作らず、『まめぶ汁』を食べますよ。同じ山形町でも、汁の具材にコンニャクが入ったりサツマイモが入ったり。私の家では、『まめぶ』に黒砂糖を入れずクルミだけを入れていました」。

あくまで家庭料理なので、集落によって微妙に食材が変わるのだとか。しかし、共通するのは、出汁は煮干しと昆布を使うこと。肉やネギを入れないこと。醤油味であること。

同店では、ゴボウ、ニンジン、シメジ、かんぴょう、油揚げ、焼き豆腐を具材にし、「まめぶ」に入れるクルミは、地クルミを使う。「アメリカ産クルミだと、食感や風味が違うんです」と、幸恵さん。

小さな団子の中に、黒砂糖とクルミのカケラを入れて丸めるのはけっこう難しい。全てスタッフが1個ずつ手作りで丸めるそうだ。
▲山形町の道の駅「白樺の里やまがた」前にある、「まめぶ有ます」の看板
▲「白樺の里やまがた」では冷凍「まめぶ」を販売(税込420円)
昔は、旧山形村周辺だけの郷土料理だったが、今では、同店をはじめ久慈市内で「まめぶ汁」を食べられる店が増えた。幸恵さんは「煮干しや昆布、いろんな野菜のダシの風味は、辛いものを入れるとわからなくなります。七味や一味などはかけずに食べてほしいです」と、味へのこだわりを話す。

久慈市を訪れ、「まめぶ汁」を食べるかどうか迷った方、ぜひ一度お試しあれ。
水野ひろ子

水野ひろ子

岩手県在住フリーライター。行政や企業等の編集物制作に関わる傍ら、有志とともに立ち上げた「まちの編集室」で、ミニコミ誌「てくり」やムック誌の発行をしている。(編集/株式会社くらしさ)

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