世界でここだけかも?「アップルパイ」の食べ歩きが楽しい街、弘前

2015.10.24

リンゴの生産量が日本一を誇る青森県弘前市。この街ではリンゴを使ったスイーツが人気です。特にこだわりのある「アップルパイ」を提供する店が市内のいたるところにあり、食べ歩きを楽しむ観光客も多いのだとか。

▲弘前駅構内にあるリンゴのオブジェ
弘前駅を降りるとさっそく大きなリンゴのオブジェがあり、リンゴの街ならではのお出迎えです。まずは人気の「アップルパイ」を求めて、弘前の中心商店街・土手町に足を運ぶことにしましょう。その途中で外観が真っ白なお店を見つけることができます。
▲古い商店街の中に突然現れる白い建物

店の名前は「パティスリー ヴェルジェ」。創業は2004年。2013年に今の場所に移転した弘前市内でも人気の高い「アップルパイ」がある洋菓子店です。店内を見渡すとさっそく発見。
▲きれいに積み上げられた「窯出しアップルパイ」

こだわりの「アップルパイ」の裏側

ヴェルジェの「窯出しアップルパイ」は「食感を特に大事にしている」と、紹介してくれたのはオーナーパティシエの蟻塚あらしさん。

一般的に「アップルパイ」に合うリンゴは酸味の強い「紅玉」と言われますが、蟻塚さんは「ふじ」を使い「リンゴが持つシャキッとした食感を表現した」と話します。もちろん青森県産のリンゴを使用。シロップの加工も市内の業者に依頼しているそうです。
▲「窯出しアップルパイ」は、陶芸家の作品のように一つひとつ丁寧に作りたいという想いから名付けたという

実際に買って食べてみると、リンゴをそのまま食べているような食感で、甘さと酸味が程よく調和されている上品な味わいです。

さらに驚くのはこのクオリティで1個260円(税込)。「看板メニューだからなるべく価格は維持している」と蟻塚さん。なんと、平日でも多いときだと100個以上は販売すると言います。
▲カットされたリンゴをたっぷり使う

こだわりは随所に見られます。当初は有塩バターでパイ生地を作成していましたが、お客さんに時間が経ってもおいしく味わってほしいという想いから、発酵バターに変更したそう。時間が経ってもバターの香りが抜けにくい仕上がりになるとか。

また、焼いて膨らんだときに、少しリンゴが覗いて見えると食べる楽しみが増すのではと、包み方を四つ折りにしたというこだわりも。
▲四つ折りにするとこんな感じ

弘前市出身の蟻塚さんは、ケーキ職人を目指して向かった秋田の洋菓子店でチーフパティシエを経験。神戸のカリスマパティシエに技術を学ぶ機会などもあり、多くの技術を習得したのち2003年に帰郷。そして、青森の基幹産業であるリンゴを使って地域に貢献したいと、「アップルパイ」の提供を考えたそうです。
▲蟻塚あらしさん

「自分が学んできたスイーツを通して、弘前という地元に貢献することが自分の役割なのではないか。これからも続けていきたい」と最後に蟻塚さんが夢を語ってくれました。

「アップルパイ」が食べ歩きできる街

弘前公園に隣接する弘前市立観光館の外壁には、市内で食べられる「アップルパイ」を集めた看板がありました。数えてみるとその数40余り。さまざまな形があり、どれも同じ「アップルパイ」とは思えません。
▲弘前市立観光館の外壁に掲げられたアップルパイの看板

さらに観光施設などには、アップルパイを提供している洋菓子店やカフェなどを掲載した「弘前アップルパイガイドマップ」なるものも。「リンゴを使ったスイーツはありませんか?」と観光客からの問い合わせに応えるかたちで作られたといいます。

このガイドブックを製作した「弘前観光コンベンション協会」によると、アップルパイを取り扱っている店舗を独自に調査。甘味、酸味、シナモンの強弱を5段階で評価し、イートイン情報や営業時間などをしっかり掲載しています。
▲弘前アップルパイガイドブック

実はこれがきっかけで「アップルパイ」を提供するお店が増えたとか。今では和菓子屋やレストラン、パン屋までも「アップルパイ」を提供しています。
▲和菓子屋ならではの和風「アップルパイ」を販売する「菓子司みしま」
ただしこのガイドブックへの掲載には“県内産リンゴを使っていること”という条件があります。裏を返すと、県内産以外のリンゴを使った提供店もあり、「アップルパイ」を提供している店はさらにあるようです。

県内産のリンゴを使った「アップルパイ」提供店が40店以上も市内にあることだけでも驚きですが、それ以外も加えるとさらに多いとは驚きを越えて言葉が出てきません。
▲ガイドブックに載る「アップルパイ」提供店にはのぼりが設置されている

弘前市では、女性観光客を中心に、市内の「アップルパイ」を食べ歩く人が増えています。市内に点在する洋館や武家屋敷、寺院をめぐるためのお供にしたり、弘前駅から弘前公園へ向かうまでの道沿いに点在するお店を食べ歩いたりと、ガイドマップを片手に自分の観光に合ったスタイルで「アップルパイ」を楽しんでいるようです。

たかがアップルパイ、されどアップルパイ。リンゴの街だからこそ、リンゴの特質を活かしたさまざまなアップルパイを食べることができます。世界広しといえども、「アップルパイ」だけをこれほど食べ比べられる街は、弘前だけなのではないでしょうか。
くどうたける

くどうたける

東京でウェブライターを経験し、2012年に青森へ移住。地域新聞や地域の情報を発信するお仕事をいただきながら、田舎でせっせと暮らしてます。(編集/株式会社くらしさ)

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