「やまぐち維新さんぽ」で、幕末へタイムスリップ!志士たちの足跡を辿る街歩き

2015.11.03 更新

維新志士たちが往来した路地を辿って「やまぐち維新さんぽ」しませんか――。明治維新胎動の地として、当時の史跡が数多く残る山口県山口市。その中心地でもあった旧山口藩庁のお膝元・大殿(おおどの)地域では、志士に“なりきって”タイムスリップ感覚で歴史探訪が楽しめます。

(写真提供/畑谷友幸)

“十者十様”の街歩きが楽しめる、歴史情緒豊かな街並み

第13代長州藩主・毛利敬親(もうりたかちか)による萩から山口への藩庁移転(1863年)により、山口市大殿には多くの藩士が移り住み、明治維新に関わった志士たちの胎動の地となりました。

「やまぐち維新さんぽ」は、幕末当時の面影を残す歴史情緒豊かな大殿を舞台に、志士の気分に浸りながらの歴史探訪を提案する街歩き企画です。

それでは、地元目線による細かな街の見どころが綴られたパンフレット兼マップを観光交流施設「大路ロビー」で手に入れるところからスタートしましょう!
▲「大路ロビー」では、街歩きのさらに細かなアドバイスが聞ける

「パンフレットで案内している史跡は、すべて大路ロビーから徒歩15分圏内に点在し、3時間もあれば、ゆっくり見て回ることができます。大殿には、古い町屋を再生した個性的な店もたくさん。歴史探訪しながらの路地探検も楽しいですよ」とスタッフの内山桃子さん。
▲古い町屋を再生したお店も数多く点在

まずは、大路ロビーのすぐ近くにある「十朋亭(じっぽうてい)」へ。

ここは幕末に長州藩の宿舎として使用され、周布(すふ)政之助、高杉晋作、伊藤博文ら多くの藩士が起居したとされています。中でも、高杉とともに「村塾(松下村塾)の双璧」と称された久坂玄瑞(くさかげんずい)は頻繁に宿泊し、その際に使っていたとされる「久坂玄瑞常用湯呑」(山口市歴史民俗資料館所蔵)が現在に伝わっています。

建物は自由に見学(10:00~17:00、火曜定休、無料)ができ、室内にも入れます。約150年前に志士たちも座ったであろう縁側で、街歩きの作戦を立ててみるのはいかがでしょう?
▲「十朋亭」はほぼ当時の姿のまま。幕末の民家建築を知る上でも貴重な存在

次に、数々の歴史上の貴重なお宝を目の当たりにできる観光交流施設「山口市菜香亭(さいこうてい)」へ。明治10(1877)年ごろ開業の料亭「祇園菜香亭」が元の姿で、山口の迎賓館、社交サロンとして、伊藤博文、山県有朋、井上馨(「菜香亭」命名者)、木戸孝允(桂小五郎)をはじめとする多くの著名人に愛されました。
▲「山口市菜香亭」には著名人の逸話が残る部屋もあり、催事がなければ館内は自由に見学可能(9:00~17:00、火曜定休、入館料・税込100円)

彼ら直筆の扁額がずらりと並ぶ大広間や、寛いだであろう客間は「史実を彩った人物たちの存在感が感じられ、雰囲気に圧倒される」と歴史の体感スポットとして人気です。
▲「山口市菜香亭」の大広間。伊藤博文、井上馨ら直筆の書が並ぶ

続いて、国宝「瑠璃光寺五重塔」がそびえる「香山公園」へ向かいます。
▲香山公園と国宝「瑠璃光寺五重塔」。大殿には守護大名大内氏関連の史跡も点在

ここには、薩長連合に向けての密談が交わされた「枕流亭(ちんりゅうてい)」が移築されています。
▲香山公園内に移築された「枕流亭」

1階で関係人物などのパネル展示を見学(無料)したら、いざ“密談の場”となった2階へ。薩摩藩から西郷隆盛、大久保利通らが訪れ、伊藤博文、木戸孝允と対峙した空間とは――。
▲「枕流亭」の1階では、薩長連合に向けての密談に関わった長州側、薩摩側それぞれの人物を紹介
▲「枕流亭」の2階。約150年前、まさにこの空間で薩長両藩の志士たちが熱い議論を繰り広げた

「枕流亭」のさらに奥にあるのが、長州藩主第13代“そうせい候”毛利敬親らが眠る「香山墓所」。

墓所への通路は「うぐいす張りの石畳」と呼ばれ、声を発したり手をたたいたりすると音の反響が楽しめます。何か迷いがある人には、こだまと一緒に「そうせい!」と背中を押す声が聞こえてくるかも!?
▲「香山墓所」への通路は音の反響が楽しめる「うぐいす張りの石畳」

その後は「旧山口藩庁門」を経由して、季節ごとに美しい風景を見せる一の坂川沿いを散策しながら再び「大路ロビー」へと戻ります。
▲山口県庁前にある「旧山口藩庁門」。周囲には当時のお堀も残る
▲四季ごとに美しい姿を見せる一の坂川。春はサクラの名所

久坂玄瑞常用の湯呑みで特別メニュー

街歩きの途中で少し疲れたら、「久坂玄瑞常用湯呑」で食事やお茶はいかがでしょう。

「やまぐち維新さんぽ」のパンフレットでは、「久坂deカフェ」と題して6カ所の飲食店を紹介。久坂が使った湯呑みの“レプリカ”を用いた特別メニューが各店で味わえます。
▲「久坂玄瑞常用湯呑」のレプリカ

メニューはスイーツ、寿司、お酒など店によってさまざまですが、おすすめしたいのが「瑠璃光寺五重塔」を目の前に臨む「香山」。ここでは、久坂の湯呑みとともに、山口を代表するグルメ「瓦そば」のセットを味わうことができます。
▲「瓦そばセット ※デザートとコーヒー付き」 税込1,600円(写真の「瓦そば」は2人前)

「維新deコスプレ」で街歩き

もっともっと維新の雰囲気に浸りたいという人には、「維新deコスプレ」がオススメ。「大路ロビー」では、久坂玄瑞、高杉晋作、坂本龍馬をイメージした衣装を、30分税込200円、2時間税込500円というリーズナブルな料金でレンタルできます。

しかも、服の上から着用できる簡易的な作りで、大がかりな着替えも必要ありません。久坂の衣装については子供用(小学生程度)も用意されています。

周囲には幕末の衣装が映える撮影場所がたくさん。もちろん、時間の許す限り衣装を着たままで街歩きが楽しめ、「久坂deカフェ」のお店にも入店できます。
▲久坂玄瑞(左)は甲冑風、高杉晋作(右)と坂本龍馬は着物風

「熱烈な歴史ファンだけでなく、多くの人が記念にとコスプレ体験をされています。『やまぐち維新さんぽ』で案内しているエリア内には、建物の外壁などに久坂玄瑞、高杉晋作、井上馨、伊藤博文、桂小五郎のシルエットが描かれています。何人に会えるか、彼らを探して一緒に写真を撮るのも楽しみ方の一つです」と内山さん。
▲「大路ロビー」には井上馨のシルエット。残りの4人も街のどこかで出会えますよ

志士ゆかりの湯呑みを手にしたり、コスプレを体験したり、「やまぐち維新さんぽ」の最大の魅力は歴史の雰囲気に“浸る”というところにあります。きっと誰もが、街歩きの中で視界にふと久坂玄瑞や高杉晋作たちの姿を思い描いてしまうはず。

ほんの少しディープに歴史にふれるだけで、脳内はどっぷりタイムスリップ。ひと味もふた味も違う歴史探訪をぜひ体験してみませんか?
兼行太一朗

兼行太一朗

記者兼営業として、地元山口の地域情報紙に14年間勤務。退職後はNPO法人大路小路ひと・まちづくりネットワークに籍を置き、守護大名大内氏や幕末における歴史資源の取材に携わる。同時にフリーライターとして活動しながら、たまに農業も。自称ネコ写真家。(編集/株式会社くらしさ)

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