ポーク100%の手づくりハム&ソーセージの「厚木ハム」。豚を知り尽くした職人が作る、本場ドイツの味

2015.11.08 更新

パリッとした食感と燻製のいい香り。神奈川県厚木市の「厚木ハム」で作られているソーセージは、一度食べはじめたら止まらなくなる味です。2007年にはドイツの国際コンテストで、日本人初の世界ランキング3位に輝いたという職人が作る、味の秘密に迫ります。

東名高速道路の厚木ICより車で約20分の場所にある「厚木ハム」。三角屋根の建物に、ピンクの豚ちゃんが目印です。
「厚木ハム」という名前ながらメインはソーセージで、店内のショーウィンドウにはズラリと多種多様なソーセージが並びます。
「粗挽きウインナー」や「チョリソー」など耳慣れた名前のものから、「ケーゼグリラー」(モッツァレラチーズ入り)や「クノーブラオフ」(生のにんにくの芽入り)といった初めてその名を聞くものまで、「厚木ハム」ではレギュラー商品に季節ものなどを加えた、常時30~40種類のハム&ソーセージを製造・販売しています。

店内POPのそれぞれの商品名の下には説明書きがあり、どんな商品なのかがわかりますが、イートインコーナーも併設されていて、「ドイツプレート」(税込1,200円)や「ウインナー盛合せ」(税込1,000円)で、いくつかの味を日替わりで試してみることができます。
▲イートインスペース。取材に訪れた9月中旬には「ハロウィン」の飾り付けが。テラス席もあるので、天気のいい日は外でも食べられます

一番人気は「ドイツプレート」。その時おすすめの腸詰ソーセージが2種類、スライスソーセージ、型焼きソーセージ、ハム、ベーコン各1種類にパンが付いた、「厚木ハム」の魅力がギュッと詰まった一皿です。
▲「ドイツプレート」。左から反時計回りにハックブラーテン、ベーコン、メットヴルスト、粗挽きウィンナー、ヤークトヴルスト、らんぷハム

また、日本では珍しい白ソーセージ「ヴァイスヴルスト」は、ドイツ・ミュンヘンへ行ったことのある人なら迷わず注文するという一皿。一口食べると、フワッとした食感とレモンの爽やかな香りが漂います。
▲「ヴァイスヴルスト」(1皿2本入り1,000円・税込)。皮をむいて甘いマスタードにつけて食べるのがドイツ流

養豚屋が手掛ける、オールポークのソーセージ

「うちのソーセージは、100%豚肉を使って作っているのが特徴です。師匠にも豚だけで作るのは難しいと散々言われましたが、そこはポリシーのようなものですね」

「厚木ハム」の工場長である、嶋崎洋平さんにお話を伺いました。
ソーセージは、豚肉と牛肉を混ぜ合わせて作るのが一般的。牛肉を使うことで、容易にコクを出せるといいます。そんななか、「厚木ハム」が豚肉のみにこだわる理由はどこにあるのでしょうか?

「もともとうちは養豚業から始まっているんです。子どもの頃から“豚”で育ったようなものなので、豚肉以外を使うことに違和感すら覚えて(笑)」

「厚木ハム」は、洋平さんのお父さんが始めた「しまざき牧場」の豚肉販売および加工部門なのです。初めは外から職人を雇っていたそうですが、洋平さんが大学3年生の時に職人が退職。長男は既に牧場を手伝っており、次男の洋平さんに白羽の矢が立ちました。
「昔からものづくりは好きでしたし、兄が養豚で自分が加工というのはいいバランスだと思いました。ただ、僕は全くの素人。始めた当時の肉に関する知識は、主婦の方よりもなかったと思いますね」

独学でハム&ソーセージ作りを始めた洋平さんでしたが、後に日本におけるハム・ソーセージ作りの第一人者である師匠と出会い、今があると話します。

「師匠も僕に理解を示してくれて、オールポークのレシピを一緒に考えてくれました。本来、牛肉を入れて出す香りやコクを、うちでは品種や年齢、部位、赤身と脂身のバランスなどを変えることで出しています」
▲豚肉をミンチにしているところ。腸詰ソーセージには子豚、スライスソーセージには大人の豚肉を使用。また、コラーゲン豊富な首の肉を使うことでプリプリ感を出すそう

「パズルのピースを合わせるように、豚肉だけでも無限の作り方ができる。これは養豚業でいろんな豚を知っている僕らだからこそ、できることだと思っています」

世界に認められた、Made in ATSUGI

自社農場で育てた「SPF豚」(特例病原菌を持たない豚)の肉だけを使い、オリジナルのレシピで作る「厚木ハム」のソーセージ。洋平さんは2005年に腕試しのつもりで、ドイツの食肉加工品コンテスト「SUEFFA(ズーファ)」に初めて出品しました。

すると、ソーセージ部門において9種類出品したうち、金賞6個、銀賞1個、銅賞1個を受賞。なんとグランプリに輝いたのです。

「嬉しいけど正直戸惑った。翌年に再びグランプリを受賞できて、初めて本当だったんだなと思えました」
▲たくさんの豚の置物と一緒に並んだ、数々のトロフィー

2007年には、「IFFA」(3年に一度、ドイツ・フランクフルトで開催される食肉加工の国際見本市)で、日本人初の世界ランキング3位に。

「コンテストでは、賞のほかに良かった点、悪かった点の成績表がもらえるんです。なぜ受賞に至らなかったかが次の参考になる」

2010年と2013年には口蹄疫や放射能などの問題で、日本から「IFFA」への出品ができなかったそうですが、1年~1年半に一度はドイツに視察に訪れるなど、洋平さんはさらなるおいしさを追求しながら、日々邁進しています。
▲「厚木ハム」では、ドイツの伝統的な製法を継承して、塩とスパイスをベースに、保存料や着色料などの添加物は使用しません

小さなメーカーだからできること

子どもの頃、豚舎の中で遊んでいたという洋平さんは、豚の生と死をたくさん見てきました。

「こうしてハムやソーセージを作れているのは、素材になってくれた豚があってこそ。古くから保存食としてソーセージを作ってきたドイツでは豚をとても大事にしていて、端の端まで使います。僕らのような小さなメーカーの役割は、そうした文化をつないでいくことだと思っています」

豚を知り尽くした職人が作る、オールポークのハム&ソーセージ。「厚木ハム」が作りだす本場ドイツの味をぜひお試しください!
長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)

広告出版社を退職後、世界一周、日本一周を経て「くらしさ」を設立。全国各地のモノ・コト・ヒトを伝え、つないでいく活動に尽力している。全国の仕事人に会いに行ける旅「Life Design Journey」も運営。http://lifedesign-j.com/

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