北海道ホッキカレー/全国カレー巡礼の旅Vol.9

2015.11.06

今や世界中で愛されるカレー。しかし、カレーの世界というのは奥深いもの。この企画では、カレーの第一人者・井上岳久先生と、私、カレー初心者ライター・井上こんの“ダブル井上”で全国の名店カレーを食べ歩き、先生の解説とともに地域性や歴史背景も交えてさまざまなカレーを紹介していきます!

前回は、スープカレー界に海老出汁という新ジャンルを打ち立てた奥芝商店(北海道)をご紹介しました。さて、今回はどんなカレーが登場するのでしょうか?

【Contents】

1.ホッキ貝ってどんな貝?
2.甘さの正体…アイツ!

この日、井上先生と私がやってきたのは北海道・苫小牧市にある苫小牧公設地方卸売市場。目の前には魚介類が豊富に水揚げされる苫小牧港が広がります。
▲お目当ての店はこの市場の中
井上「本日はここ、マルトマ食堂さん名物のホッキ貝を使ったカレーをご紹介します!」

1.ホッキ貝ってどんな貝?

ホッキ貝とは握りこぶしほどの大きさの2枚貝で、漁獲量日本一を誇る北海道苫小牧市では「市の貝」として家庭料理や給食にも登場するポピュラーな食材だそう。そんなホッキ帝国・苫小牧にはホッキ貝を使った郷土料理を供する飲食店が多く、その中でも創業44年の「マルトマ食堂」は全国から訪れる客で行列ができるほど人気の店。なんと、多いときには日に250人も訪れるとか。
▲さすが有名店!壁だけでなく天井にまで写真やサインがびっしり
「樺太生まれ、苫小牧育ち。料理人として全国を渡り歩いたよ」と威勢よく話す主人の三浦さん、御年70歳。江戸っ子のようなチャキチャキとした口調とキュッと締めたねじりはちまきが素敵です。「うちのホッキは毎朝目の前の苫小牧港で獲れたものしか使ってないからね、とにかく新鮮よ」。
▲ホッキピザ、ホッキシューマイ…まるでホッキ天国
「これは4年ものだよ。食べてごらん」と厨房から持ってきたホッキ貝の殻を手際よく開けていくご主人。
▲ズシッとありがたい重み
勧められるまま醤油を付けずにそのままパクリ。
弾力のある身をエイッと噛んだ瞬間、口中に圧倒的な旨みと潮の香りが広がるのを感じます。そして後からやってくる貝本来の甘み。あぁ、ありがたやありがたや。

2.甘さの正体は…アイツ!

さぁお待たせいたしました。こちらが看板メニューのホッキカレー1,000円(税込)です!
ひと口大にカットされたホッキ貝がふんだんに入ったルーは少し黒め。1人前あたり3個ものホッキ貝が使われているそう。
▲いただきまーす!
▲どこをすくってもホッキ貝に当たる
井上「甘めの仕上がりだけど、まったりした嫌な甘みではなくキレがよく爽やかな甘みだね。それでいてホッキの濃厚な旨みも感じられる」
こん「うわ~!このプリプリと跳ね返してくる食感にはまりそう!」
こん「あれ?そういえば部位によって食感が違う気がする…。ヒモはキュッキュッとほどよく弾力があるのに貝柱はホワホワと柔らかくて、一皿でいろんな食感を楽しめますね!」

ご主人「そうそう。熱を入れ過ぎるとせっかくの食感が失われちゃうからね、ホッキは提供する直前に入れてるよ」
井上「おや?食べ進めていくごとに段々と辛さが際立ってくるぞ。…そうか!最初に感じた甘さというのは、ルーではなくホッキそのものの甘さだったのか。ルー自体は中辛だね」

こん「本当ですね!噛んだ瞬間、ホッキから濃厚なエキスが出てきますよ!」

ホッキの天然の甘み、ピリリと辛さがたったルー。見事な掛け算です、ご主人。では、本日もカレー格言にて締めさせていただきます!
井上「具材の鮮度にこだわったカレー(現地でしか味わえない!)一食の価値あり!」

こん「部位ごとに異なるホッキの食感を楽しむべし!」

井上「レトルトではホッキの食感は損なわれてしまうし、ホッキを道外へ運ぶとなると鮮度が損なわれる。現地に来ないと食べられないところに付加価値があるね」
▲かめはめ波じゃございませんよ、ホッキ貝ですよ

みなさんも国内漁獲量第一位の街が誇る、天然の甘みを蓄えた海の宝石を堪能あれ!マルトマ食堂さん、ありがとうございました!

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。


井上こん

井上こん

1986年生まれのフリーライター。「Yahoo!スポーツナビDo」「SPA!」「nomooo」「ウートピ」などのWEBメディアや雑誌「散歩の達人」などで執筆。

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