もっちもちぷっりぷり!小豆島・なかぶ庵の「生そうめん」

2015.07.31

日本の夏の定番「そうめん」。短時間で調理ができる上に、セミの鳴き声が響く暑い日でもするりと食べられて、清涼な気持ちにさせてくれる、夏の強い味方です。日本三大そうめん(兵庫の「揖保乃糸」、奈良の「三輪そうめん」、香川の「小豆島そうめん」)のひとつである小豆島の製麺所「なかぶ庵」では、なんと「生(なま)」のそうめんを食べることができます。今までのそうめんのイメージを覆す、もちもちぷりぷり食感ですよ。

▲爽やかな風と雨の少ない地域性を活かしてそうめんが作られる。

製麺所のまかないとして出てくる「生そうめん」を体感して欲しかった

小豆島を代表する特産品「そうめん」。山や海から流れる風、そして雨が少ない気候はそうめんを干すのに適しており、400年余り前からそうめん作りが盛んに行われてきました。今なお約150の製麺所がありますが、最盛期の明治の終わりには600ほどの製麺所があったそうです。

「そうめんは夏でも冬でもしょっちゅう食べるけど、買うってことはないなぁ」。そう島の人が話すほど、そうめんは定番の贈り物とされてきました。

実はそんな小豆島では、製麺所で働く人が生のそうめんを食べることは日常だったそうです。
「もともと『まかない』として生のそうめんを食べていたんです。小豆島の昔ながらのそうめん作りでは、早朝から作り始め、真上から太陽の光があたるお昼頃にそうめんを野外に干します。僕が子供の頃も、忙しい時はその乾燥しきる前のそうめんが昼食として出てきたんですが、それが美味しいんですよ」

そう優しい笑顔で話すのは「なかぶ庵」の社長、中武義景さん。手延べ製麺技能士第三号を保持する、職人暦37年、そうめん作りのベテランです。

「その美味しさをみんなに知ってもらいたくて、そうめんを作る工場の隣に飲食スペースを設けたんです」
▲社長の中武義景さん。朗らかで温かいお人柄。尋ねたことに何でも的確に答えてくれる。
そうめんを作る場所とガラス窓で仕切られた飲食スペースに行くと、お店の女性が「メニューは『生そうめん』のみとなり、普通盛りと大盛りがあります」と声をかけてくれました。メニューの選択肢が「生そうめん」のみとは潔い!

そして食べて納得。生そうめん以外に選ぶ必要がないほど食べる価値があります。もっちもちでぷっりぷり。「美味しい!こんなそうめんがあったなんて!」と周りからも驚きの声が聞こえます。しかも、噛めばかむほど小麦の甘さが口に広がります。中武さんの食べてもらいたいという想いに深く納得しました。
▲お店で食べることができる「生そうめん」。普通盛り500円、大盛りは700円。

「生そうめん」を持ち帰れるように独自開発

「この美味しさを家でも楽しみたい!」という声に応え、中武さんは持ち帰りのできる「生そうめん」を独自で開発しました。
「生のまま置いておくとカビが生えてしまうんですよ。カビが生えず、そして美味しさも保って日持ちもする『生そうめん』を開発するのは大変でした」と、中武さんは振り返ります。努力の甲斐があって、今では生産が追いつかず「購入は1人1個まで」と制限をかけることもある人気ぶり。
▲生そうめん。乾燥しきる前なのでこんなに柔らか。
さらに中武さんは、自社農園産100%のオリーブ果汁を麺に練り込み、贅沢にも自社農園産100%のエキストラバージンオリーブオイルを麺の表面に塗った「オリーブ生そうめん」も開発しました。国産オリーブと言えば小豆島。二つの特産品のコラボレーションです。
▲この自社農園産オリーブから採れたエキストラバージンオリーブオイルの約半分が麺の表面に塗られる。
ちなみに「なかぶ庵」では、見学やそうめん製造のひと工程「箸分け」の体験も受け入れていて、伝統あるそうめん作りを体感できます(要予約)。

ぐっとそうめんを手で伸ばしてみると想像以上の弾力にびっくり。切れないかと緊張しながら伸ばしていると「もっと伸ばしましょう」と促され、さらに伸ばしてみると意外に切れずに細く長く伸びていきます。これは快感!そしてこの弾力こそが明け方から長時間かけて熟成し、よりをかけていった職人技によるもの。
ありそうでなかった「生」のそうめん。一度食べたら何度も食べたくなりますよ。
黒島慶子

黒島慶子

醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときに体温が伝わる醤油を造る職人に惚れ込み、小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続けている。 (編集/株式会社くらしさ)

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