大磯町の農園で、田植え体験!東京から約1時間、週末にゆったりと“農的な暮らし”を楽しむ

2015.07.27

湘南発祥の地とも言われる大磯町(神奈川県中郡)は豊かな自然に恵まれ、かつて吉田茂や伊藤博文など歴代8人もの宰相が別荘や邸宅を構えた風光明媚な土地。そんな大磯町ののどかな山間に、週末になると首都圏から集まってきた人たちが“農的な暮らし”を楽しんでいる場所があります。その名も、大磯農園。今回は田植えの一日体験に参加してきました。

ほぼ自分たちしかいないプライベート田んぼ

大磯農園のメンバーには首都圏から電車でやってくる方が多いので、朝の集合場所は大磯駅前。送迎担当スタッフの車に揺られ、約10分ほどで農園に到着しました。森や竹林に囲まれた静かな谷戸田は、プライベートビーチならぬプライベート田んぼのような雰囲気。農園の田んぼは全部で4枚、約2反ほどの広さで、谷の最上部から流れてくる湧き水が棚田を潤しているそうです。
▲苗の持ち方や植えるコツなど、まずは田植えのイロハを学習
「この田んぼで山田錦という酒米を無農薬自然栽培して、相模原市にある久保田酒造で『僕らの酒』という純米酒を醸してもらっています」と教えてくれたのは、農園を主催する「NPO法人 西湘をあそぶ会」代表の原大祐さん。種まきや田植え、稲刈り、天日干しなど、できるだけ機械を使わず手でやることにこだわっているそうです。そんな昔ながらの酒米づくりをはじめから終わりまですべて体験できる機会は希少とあって、この会員制の農園には毎年100~200名もの人たちが参加。

意外に家族連れも多いなあ、と思ったら、月会費は大人1,000円で、二人目は半額、そしてお子さんは何名でも無料とのこと。なるほど。
※会費は入会月から翌年3月までの分をまとめて払うシステム

ちなみに今回の田植えと10月の稲刈りの時は、有料(大人2,000円)で誰でも一日体験ができます。ふだんの農作業日には無料体験も受け付けているので、湘南や箱根へ遊び行ったついでに、“農的な暮らし”気分を味わってみるのもオススメです。

楽しいですね、気持ちいいですね、からはじまる会話を楽しんだり

早速、田植えをはじめてみました。まずは田んぼの一方からもう一方にピーンと紐を何本も張っていくと、田んぼが幅1.8mずつ区切られて、プールのレーンのような状態になりました。植える人は苗の束を持って、そのレーンの中に入り、竹で作られた物差しに30cm間隔で刻まれた印に従いながら、苗を2、3本ずつ植えていきます。今日はじめて会った人たちと、何だか古くからの仲間のようにワイワイ楽しくしゃべりながら。
▲機械を使っていないから鳥やカエルの鳴き声もよく聞こえます
「僕らの酒」田んぼに稲作のプロはいないそうですが、酒米づくりは今年で7年目を迎えるので、もう何回も経験しているメンバーやスタッフは慣れたもの。「米づくりって、10年かけても10回しか経験できないんですよ」というベテランメンバーならではの深い言葉を聞いたときは、「そうだよな、プロ野球は毎年144試合もやってるけど、稲作は毎シーズンが一度きりの真剣勝負なんだ」なんて思わず苗を握る手にチカラが入ってしまいました。
▲「頭の上通りますよー!」と紐を順番に移動させながら
ひとり1レーンくらい楽勝だな、と最初は思っていたけど、いざやってみると、なかなかつらい中腰ポーズ。苗を持つ指先が、というより指と指の間が痛くなってきます。泥にハマッた長靴をズボッと抜いては、少しずつバックしていくのも重労働。倒れないよう知らないうちにバランスをとっているから、あとで「え?そんなところが筋肉痛に?」なんてビックリするような気がします。きっとそこが、田植え筋。
▲腰痛や筋肉痛に無縁な子ども軍団は田植えの大きな戦力

毎回かまどごはんが当たり前という贅沢ランチ

お昼は、料理上手な農園メンバーが交代で調理を担当するそうで、この日はカレーや季節の野菜料理がずらりと並びました。食堂エリアには、大谷石のピザ窯とかまどがあり、どちらもメンバーによるオールハンドメイド!毎回このかまどでごはんを炊いているそうで、お焦げまでおいしい白飯を久しぶりに満喫しました。
▲大きな羽釜で3升近いごはんを炊くそうな
▲大人用と子ども用のカレーライス、さらにカレーうどんまで!
▲農園内でとれた山菜やタケノコ、地揚がりの生シラスもときどき登場

オトナの部活動もいろいろあります

今年の田植えの参加者は、2日間で大人&子ども合わせて120名以上。このあとは田んぼ内に生えるコナギやオモダカなどの雑草を取ったり、周囲にイノシシ防御用の電気柵を張り巡らしたり、スズメ対策の案山子を作ったりしながら夏を越し、秋に稲刈り、そして竹を組んだハザに架けて天日干しにしてから脱穀する予定だそうです。
▲中央のアメリカ人夫婦は今年入会した新メンバーで、春に田んぼでのキャンプも経験
収穫作業が落ち着いたら、来春まで「僕らの酒」田んぼの農作業はひと休みとなりますが、実はこの農園には、ほかにもさまざまな部活動があるのです。

マボロシと言われる津久井在来大豆を栽培して、酒米からつくった米麹で味噌を仕込んだり、同じ畑で二毛作した小麦でパンやピザ、うどんをつくったりする自給度の高い「手前味噌部」。耕作放棄されたみかん山を再生し、そこで収穫したみかんが、毎年完売の人気ビール「大磯こたつみかんエール」になる「大磯こたつみかん部」。高級食材マコモダケをお腹一杯食べたいメンバーによる「マコモ部」。そして、農園メンバーの親睦を深める「酒場部」や、つい最近できたばかりの燻製好きが集まった「スモーク部」などなど、遊び心あふれるオトナの部活動が目白押し。
▲段ボールで手軽に燻製を楽しむ「スモーク部」
夏場の大磯農園は、大磯産イノシシのBBQと、竹林から切り出してきた竹を使った流しそうめんが名物とか。メンバーなら誰でも利用できるというマイ菜園には、トマトやナスなどの夏野菜がたわわに実っていました。来たるべき流しそうめんランチに向けて、シソやネギなどの薬味ばかりを栽培している人もいるそうです。食べることが大好きで、生産してもすぐに消費してしまいそうなメンバーばかりに思えてしまうのは、気のせいでしょうか。
▲酒米のほかにランチ用のコシヒカリも植えて、2015年度の田植え終了
東京から、わずか1時間とは思えない別世界感。大磯農園を流れる時間は、ゆったりとしていて、そこで体験できる“農的な暮らし”は、どれもとても楽しくておいしそうでした。またこの農園へ戻ってきたいな、自分の手で植えた稲の穂が黄金色に輝くころに。
eat shonan

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