燈籠の数、日本一!3,000基に火が灯る春日大社。幽玄な夜の世界遺産へ

2017.01.16

毎年2月の節分の日に行われる、世界遺産・春日大社の「節分万燈籠(せつぶんまんとうろう)」。万燈籠は、神様に浄火を献じてさまざまな願いごとを祈願する行事。冬の冷たく清浄な空気のなか、3,000基もの燈籠に火が灯る様子は神秘的で、厳かな雰囲気に包まれます。

▲雅やかな節分万燈籠(写真提供:春日大社)
奈良公園の東に位置する春日大社は、1300年前、平城京を守護するために創建された古社。鹿島神宮より武甕槌命(たけみかづちのみこと)を迎え、御蓋山(みかさやま)の山頂に勧請(かんじょう)されました。
▲木々の緑に朱が映える、春日大社
武甕槌命が白鹿に乗って来られたことから、鹿を神鹿(しんろく)として保護するようになったのだそうです。だから、現在も多くの鹿が奈良公園周辺に暮らしているんですね。

春日大社は、燈籠の数が日本一多い神社。参道から本社まで合わせて、石燈籠約2,000基、釣燈籠約1,000基の計約3,000基もの燈籠が並んでいます。

それらは平安時代末期から今日まで、その時代時代の人々が、家内安全、商売繁盛、武運長久などの願いを込めて寄進したもの。苔が生えていたり、彫られた文字が薄くなっていたり、年代を感じさせる燈籠を多く見つけることができます。
▲参道には石燈籠がずら~り。鹿がひょっこりこんにちは
なかでも注目したいのが、鹿をモチーフにした燈籠。春日大社の燈籠には鹿の紋様が彫られているものが多いのですが、一言に“鹿の紋様”と言っても実に多彩なんです。
▲ぷっくり浮き出た鹿。丸いフォルムがキュート
▲大きな2基の燈籠には雌雄の鹿が。近くで見るとポーズもユニーク
▲よく見ると鹿の上に紅葉が。花札でおなじみの絵柄ですね
▲燈籠の基壇に男鹿と女鹿がうずくまっている「寝鹿型燈籠」
▲お尻がかわいい鹿の後ろ姿
▲本物の鹿の後ろ姿と見比べてみるのも◎

燈籠探しで、長者になれる!?

燈籠の竿部分にもぜひご注目を!ほとんどの竿は「春日社」と刻まれていますが、2,000基のうちの15基だけ「春日大明神」と刻まれた燈籠があり、それをひと晩で3基見つけると長者になれるという言い伝えも。
私は2基探せましたが、あと1基探せず…。

普段じっくり見ることのなかった燈籠ウォッチング。ここではご紹介できなかった珍しい燈籠も、まだまだたくさんあります。夜の万燈籠が始まるまでの時間、道すがら探してみてください。

ただし、古い燈籠が多いので、燈籠に触ったり、燈籠が並んでいる場所に入ったりするのは危険なので注意しましょう。
▲「春日大明神」と刻まれた石燈籠。さて、どこにあるのでしょう?

期間限定オリジナルグッズ「すがちゃん」をおみやげに

2016年11月、20年に一度執り行われる社殿の修築大事業「第六十次式年造替」が行われ、二之鳥居の手前右側には、公式記念品を販売する特設売店が設置されています。
▲第六十次式年造替 公式記念品特設売店
100種類もの限定グッズが揃うなかでも、1番人気なのが、第六十次式年造替を記念してつくられた白鹿のマスコット「すがちゃん」。
名前は「春日(かすが)」の語源である「(か)+すがすがしい」から名付けられました。
愛らしい表情と手触りの良さで、子どもから大人の女性にまで大人気です!
▲すがちゃんキーチェーン680円(税込)
▲背中にある丸い斑点の中に一つだけハートの斑点が

※特設売店の営業と、すがちゃんグッズ等のオリジナルグッズの販売は、2017年2月末までの予定です。

江戸時代の書物にも載る、風流な茶屋で名物粥を

夜の万燈籠に備え、お腹を満たすため立ち寄りたいのが、参道の途中に建つ「春日荷茶屋(かすがにないぢゃや)」。

荷茶屋とは、文字通り「荷物を“荷う”茶屋」のことで、江戸時代末期、てんびん棒に茶箱と茶釜をかけて、春日大社境内でお茶を振る舞っていた移動式茶屋がはじまり。奈良の名所を紹介する江戸時代の旅行ガイドブック『大和名所図会』にも紹介されています。
▲茶箱と茶釜がてんびん棒にかけられたディスプレイ
▲『大和名所図会』には、江戸時代の荷茶屋の様子が描かれている
その後、時を経て、隣接する萬葉植物園の開園50周年を記念した整備の一環で、昭和58年(1983年)に常設茶屋として開店。

名物は、『万葉集』に出てくる四季折々の万葉植物を、月替わりに取り入れた万葉粥。1月は七草、3月は菜の花、5月はよもぎ、11月はきのこなど、旬の味覚が楽しめます。

昆布ダシに、春日の神様にお供えした酒と塩を使い、白味噌で仕立てたやさしい味わいの粥は、甘みがじんわり染み入り、寒い冬も身体の中まであったかくなります。
▲万葉粥は、一品、香の物が付いて1,000円(税別)。2月は万葉粥が大豆に、一品の京ふきが白和えになる

寒さを忘れさせてくれる、幻想的な釣燈籠

石燈籠が並ぶ参道を抜け、南門をくぐって本社へと入ります。
南回廊から東回廊、本殿前を通り、西回廊へ。緑青の色が時代を感じさせる江戸時代以前のものから、金色に輝く平成のものまで、約1,000基の釣燈籠がずらり。
▲間近で見ることができる釣燈籠。江戸時代のものも数多い
そして18時頃になると釣燈籠に火が灯ります。昼間とはまったく違ってロマンチック~♪
参拝当日に献灯することもできますよ(奉納3,000円)。
▲あたたかい光に包まれる万燈籠(写真提供:春日大社)
▲中門もライトアップされる(写真提供:春日大社)
室町時代や江戸時代にも行われていたという万燈籠。
「鬼は外、福は内」の行事もいいですが、今年は、神様に願いを込めて献灯し、火の光に守られる節分の日を過ごしてみませんか?
白崎友美

白崎友美

奈良の編集制作会社EditZ(エディッツ)の編集者。大阪、京都で雑誌や通販カタログなどの制作を行い、現在は居住する奈良県に軸足を置き、奈良の観光関連のガイドブックやホームページなどを制作。自社媒体の季刊誌『ならめがね』にて、「ユルい・まったり・懐かしい」奈良の魅力を発信している。

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