小樽の「北一硝子」で、輝く硝子を眺めて朝からうっとり。硝子の彫刻体験も

2015.11.26

「北一硝子」は、北海道小樽市にある老舗の硝子製造販売会社。明治中期建造の木造石張倉庫を再利用した店舗「三号館」の中には、石油ランプが灯された幻想的なフロアや、手作りの硝子製品がずらりと並ぶフロアなど見どころいっぱい。「花園店」では硝子のグラスに彫刻する体験もできますよ。

▲北一硝子の店内に並ぶ、職人手作りの硝子製品

早起きした人だけが見られる!開店直後のセレモニー

北一硝子は小樽市内に数店舗ありますが、メインの店舗は明治時代の木造石張倉庫を再利用した「三号館」。小樽運河まで徒歩7、8分程度の街中にあります。
▲歴史を感じる佇まいが印象的な「三号館」

この建物はもともと、明治24(1891)年に建てられた漁業用倉庫です。昭和58(1978)年に、倉庫を管理していた別の会社から北一硝子が譲り受け、「三号館」としてオープンしました。建物の外壁は小樽軟石、木骨はエゾマツやトドマツ、床材には主にヒノキが使用されています。
▲建物の中には、倉庫内から海岸へ海産物を運び出していた時のレールの跡も残っています

さて、北一硝子の「三号館」を訪れるのであれば、オープン時間の8:45直後がおすすめです。
なぜなら、毎朝行われる「儀式」を誰でも自由に見学できるからです。「儀式」とは、石油ランプの点灯作業のこと。
▲硝子の石油ランプに点灯。やさしい灯りにうっとりしてしまいます

「三号館」は、硝子製品を販売しているフロアと、軽食を楽しめる飲食フロア「北一ホール」に分かれています。

「北一ホール」内は、営業中は電気をつけず、167本の石油ランプのみで店内を照らします。
毎朝開店直後、スタッフが石油ランプを一つずつ点灯していきます。この作業をしている様子が、一つひとつに命を吹き込んでいるかのようで、なんとも幻想的なのです。
▲点灯するまでの間は壁面の照明がついています

すべて点灯し終えるまで20~30分。壁面や卓上のランプに点灯し、シャンデリアへの点灯を終えると儀式は終了。照明が消され、石油ランプのほのかな灯りだけが店内を照らします。
▲天井が高いホールの中を、石油ランプのやさしい灯りが照らしています

北一硝子の創業は、明治34(1901)年(創業時の社名は浅原硝子)。電気が普及していなかった当時、生活必需品だった石油ランプの製造販売業としてスタートしました。
「北一ホール」は、当時の雰囲気を今に伝えるため、このような演出にこだわっています。

ノスタルジックな空間に少し酔いながら、モーニングコーヒーをいただきましょう。
▲朝からちょっと優雅に。きっと誰もが心ときめくはず

オーダーしたメニューは、「びっくりシュークリーム」のドリンクセット(1,120円、税込)。名前から想像できるように、直径15cmもある超巨大なシュークリームと、コーヒーなどのドリンクがつくセットです。
▲朝からこれは重たいと思う方が多いかも…!?でも、スイーツは別腹ですよね、きっと…

シュークリーム1つとドリンク2人分がセットになった、2ドリンクセット(1,420円、税込)もあるので、2人で訪れた人はシェアして食べるのもおすすめ。
▲食べきれなければ、残りをテイクアウトすることもできます

朝の「儀式」の見学と、コーヒー&スイーツタイムを過ごした後は、硝子製品の販売フロアへ。

あれもこれも欲しくなる!ステキな硝子製品がいっぱい

硝子製品の販売フロアは、和硝子が並ぶ「和のフロア」、カジュアルなグラスが並ぶ「カントリーフロア」、異国情緒溢れる製品が並ぶ「洋のフロア」があります。
テイストごとに、グラスや皿などの食器類のほか、ランプシェードやステンドグラスといった飾りものやインテリア製品が数多く並びます。
▲「洋のフロア」の一部分。建物の1階と2階に、数えきれないほどの硝子製品が並びます

アイデア商品や、遊び心あふれる硝子製品もあります。
起きあがりこぼしのように、水を入れて傾けても倒れないグラスや、影絵のように手の込んだ装飾が施された作品も、手に取って見ることができます。
▲水を入れて傾けても倒れないグラス。実際に水が入った状態で展示されていて、触れることもできます
▲ウサギの模様と月の模様が施されたグラスを手に取り、のぞいてみると…
真ん中の月をのぞくと、その仕掛けに納得。反対側の側面に施されたウサギが月の中に現れたように見えます。

北一硝子の製品は、機械で一括生産しているのではなく、すべて職人による手作り。そのため、同じ製品でもよく見ると微妙な差異があるそうです。
▲一見同じに見えるグラスも微妙な差異が

お店のスタッフは、「同じグラスでも、ぜひ手に取って、見比べてから購入してほしい」と言います。
わずかに異なる硝子の表情を眺めていると、手作り感とともに、職人の想いや人の温もりが伝わってくる気分。自分好みのグラスを選ぶのも楽しいですね。
北一硝子が、店舗での販売しかしていない理由がよくわかりました。

このあと、「三号館」を後にして、徒歩で15分ほど離れた「花園店」で硝子の彫刻体験をしてみます。

私も硝子職人に!?硝子の彫刻体験をしてみました!

「三号館」から徒歩15分程度、小樽駅からは徒歩7分程度の場所にある「花園店」では、「サンドブラスト」という、硝子の表面に細かい砂を吹きつけて絵柄を彫っていく技法の彫刻体験を楽しめます。

まずは好みのグラスを選びます。今回選んだグラスは、先ほど「三号館」で見た、傾けても倒れないグラス。
▲スタッフがやり方を一から教えてくれます

つぎに、彫刻する絵柄を決めます。
北一硝子の硝子彫刻体験では、絵柄を3つ選べる手短に楽しむ「らくらくコース」と、絵柄をいくつでも選べる「お好みコース」があります。今回は欲張って「お好みコース」で。
▲絵柄は、ハートや星形、動物や植物、アルファベットなどたくさんあるので迷ってしまうかも!?

絵柄が描かれた四角いシールをグラスの表面に貼りつけていきます。模様の部分だけがはがれるようになっていて、はがすと模様がくりぬかれた状態になります。
ここに砂を吹き付けることで、シールをはがした部分のみ砂で削られて、模様の形に彫刻される、という仕組みです。
▲絵柄以外の削りたくない部分には、砂が触れないようビニールテープを貼ります

シールとビニールテープの貼り付けが終わると、特殊な機械に入れて砂の吹付作業です。
肘くらいまで隠れる長い手袋をして、機械の中に手を入れたらグラスをしっかり持ちます。足でペダルを踏むとノズルから砂が吹き出し、グラスに吹き付けることができます。
▲のぞき窓から見ながら、グラスの模様部分に砂を吹き付けていきます

砂の吹き付け作業が終わったら、グラスに張り付けたシールとビニールテープをはがし、水洗いすれば完成です!
▲シールとビニールテープをはがして綺麗に洗うと、模様が白くくっきり!

さらに、絵柄をいくつでも選べるコースでは、ペン型の彫刻機で名前などを彫ることもできます。
▲完成したグラスに、ペン型の彫刻機で名前を刻んでみました
▲世界で一つだけの、マイグラスの完成です

今回の体験所要時間は約1時間30分。絵柄選びで悩んだり、シールの点数を欲張ったりすると、もう少し時間がかかってしまうかも。


朝の「北一硝子」訪問。石油ランプの点灯作業の見学にはじまり、スイーツタイムとショッピング、硝子の彫刻体験と、午前中たっぷり楽しむことができました。
朝から時間をとって、じっくり見て回るのがおすすめです!
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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